118 派遣艦隊の集結
さて、100年の月日が流れる頃には24番国防衛の目途も立ち、安全航宙路も完成した事から『富士』を始めとする第104囮艦隊は、『ファースト』新艦隊から約200年での到達可能域に有る星団連盟宙域の中継補給基地へ居場所を変えていた。
第104囮艦隊の戦力としては本隊6万隻 (臨時捜索隊の編成で減っていた艦船は地球からの増派で元の艦数になっている。)と第1護衛隊群10万隻が集結しており、元々星団連盟の守りに派遣してあった第3・第12護衛隊群20万隻と合わせ36万隻に達していた。 (多数の捜索隊も展開しており、全てを合わせれば40万隻になる。)
さらに同盟各国からの派遣部隊は、テラⅡと星団連盟から各2万隻、24番国から1万隻の戦闘艦艇とそれぞれ同数の支援艦船が集まって10万隻の大所帯となっており、安全航宙路星団連盟宙域側出入口付近に設置されている中継補給基地周辺は大混雑していた。
そんな中、各国艦隊旗艦が星団連盟国の宇宙港へ降り立っていた。
1000年前の戦いの時は、第104囮艦隊旗艦『富士』に集まり作戦会議を行っていたが、今回は星団連盟国への敬意をはらい星団連盟派遣艦隊旗艦『ホワイトリッチ』に参集していた。
「ようこそ『ホワイトリッチ』に、皆様をこの艦にお招きでき光栄です。」
そこにはこの艦の艦長が出迎えに来ており、十色達を作戦室へ誘う。
そして作戦室には既に関係者が集まっており、十色達が入室後挨拶もそこそこに作戦会議が開始された。 (この頃には既に『ファースト』の新艦隊がゲートから離れて約20年が経っており、進路上に星団連盟国宙域があることから少しでも早い艦隊出撃が求められていた。)
「さて、最終確認です。 各国とも作戦計画の最終案である・・・ 第3次ファースト艦隊迎撃計画 Ver.3.1に対し問題箇所はありませんね?
既に一部の部隊が行動を開始していますが、今なら変更が可能です。」
「「・・・」」
「では、このままで最終決定とします。 ゲート及び守備艦隊攻略部隊は先発し所定の位置まで進出後待機してください。
残りの部隊は1ヶ月後に中継補給基地を出発し、『ファースト』新艦隊の迎撃に向かいます。」
こうして、十色が対ファーストに向け本格的に動き出した訳だが各国の状況は・・・
『テラⅡ』と『星団連盟国』は長年の協調路線、国力・戦力増強により余裕を持って支援艦隊を派遣してきた。 (今回の対ファースト派遣艦隊や地球への派遣艦隊を除いても、両国とも自国の防衛に10万隻以上の艦船が配備されている。)
『24番国』については、造船能力の向上と第104囮艦隊が駐留中に建造した戦闘艦合わせて約5万隻が就役しており、其の内の1万隻が派遣されている。 (全艦の制御システムが旧式の機械式コンピューターの為、他国の同規模艦に比べて性能が低い。 現在、第2護衛隊群の支援を受けバイオコンピューターの育成中であり、他国同様に第104囮艦隊所属の護衛隊群が守備に就いている。)
そして、『第1特務部隊』が駐留中の『かねつき』は、他の24番国系列の移民船団の入植地に働きかける事で人口と戦力の集中を加速させていた。
『第1特務部隊』や付近の第216捜索隊を始めとする各捜索隊の支援も有り、100年と言う短い期間の割には国力を増加させていた。 (ただし、ファーストを相手に出来るほどの力は無く、『第1特務部隊』からの支援は未だ限定的な物に留まっている。)
更に、この頃になると『新地球』に対する入手した情報の裏付けや、臨時捜索隊からの追加の情報入手により色々な事が判ってきていた。
例えば、対『かねつき』戦に送り込まれていた戦闘艦は型遅れの旧式艦であり、最新型は全て本国の守備に就いている事や、地方の反乱を恐れるあまり領有宙域外縁部の守備に就いている各地方隊へは更なる旧式の2世代、3世代前の低能艦が配備されている事など・・・
ちなみに、100年前に送られた『新地球』に対する情報提供や問い掛けに対する返事は未だに無い。




