103 かねつき
結局、十色は正体不明艦隊発見と戦闘行為を確認した事を同盟各国と24番国に報告した。 そして、今後の情報収集計画についてのアドバイスを求める事に・・・
すると24番国から、24番国系列艦の艦隊に直接聞けばいいのでは? との案が・・・
「言われてみればその通りだな。 相手の情報を集めるまで身を隠すのが当たり前になっていて、目から鱗だな。」
「はい。 早速現場部隊に接触させますか?」
「いや、『希望』改造艦50隻を現場に送れ、地球の艦船は無しだ。 24番国の時みたく侵略者と間違われると厄介だからな。」
「はい、了解しました。 準備出来次第『希望』改造艦部隊を出発させます。」
「ああ、以後この部隊を『第1特務部隊』と呼称する。 各国にも通達しておいてくれ。」
「はい、了解しました。」
さて、『第1特務部隊』が目的地に到着するまで10年以上、十色は24番国の改革に本腰をいれる事に・・・
「司令、我々の後押しも有り24番国の軍事同盟入りが早々に決まりましたが、当初の予定より肩入れが過ぎるのではないかと・・・」
「それについてだが・・・ 未知の脅威を発見した今、ここが一番近い中継地となるだろう事を考えると、手を抜くわけにもいかなくなったと思っている。」
「はい。 では地球から護衛隊群を呼ぶのでしょうか? 部隊改編中の今、新編する余裕もありませんが・・・ 」
「それについては、テラⅡ配備中の第2護衛隊群の半分を24番国に移動させるつもりだ。 テラⅡは独自の戦力が多い事と、地球からの増援が比較的短時間で可能だからな、それ程影響は出ないだろう。」
「はい。 直ちに関係各局との調整に入りますが・・・ それでも部隊の到着迄に約180年、整備中の安全航宙路が予定通りに完成したとしても、100年程は掛かるかと・・・」
「その通り時間が問題だ。 当面この本隊の戦力だけで対処する事になる。 まぁ、本隊の戦力は以前の1万隻と違い6万隻以上に強化されている事を考えると、何とかなるだろう。 後は早々に各基地を完成させ、現地での建造で対処するしかない。 出来れば24番国が独自で『ファースト』の艦隊と戦えるだけの戦力を整備出来るのが理想だが・・・ そちらは、まだまだ時間がかかりそうだ。」
この様に24番国の整備・改革の支援を続け十数年、遂に『第1特務部隊』が現場宙域に到着した。
216捜隊は『第1特務部隊』の移動中も情報収集を続けており、居住惑星の場所を確認できている事から早速『第1特務部隊』の指揮を引き継ぎ、目的地に向かった。
この『第1特務部隊』50隻は、バイオコンピューター搭載艦ではないので、216捜隊のバイオコンピューターによる遠隔指揮で行動しており、更に216捜隊自体は『富士』のVR遠隔指揮システムを使った十色の指示で行動している。 (24番国在中の『富士』→目標星系の外れ『216捜隊旗艦』→『第1特務部隊』の流れで命令を出している。)
『第1特務部隊』は24番国共通通信周波数による呼びかけを大出力で行いながら内惑星軌道へと侵入していった。
そして星系国家 (かねつき)では・・・
星系軍、第3哨戒隊 (フリゲート艦×1隻、哨戒艇×2隻)が接近中の24番国系列艦の部隊に接近しつつあった。
「接近中の艦隊に告ぐ、こちらは『かねつき』星系軍、第3哨戒隊である。 所属、及び目的を知らされたい。 繰り返す。 こちらは・・・ 」




