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102 このタイミングで

 さて、216捜隊では捉えた未確認艦隊のデータ収集に取り掛かっていた。 が、捜索隊は存在の秘匿が最優先プロトコルとして存在しており、遠距離からの観測が中心である事から収集できた情報量は多くなかった。

 現在ステルス偵察機を向かわせているが、到着迄今しばらく・・・


 そして、第104囮艦隊旗艦『富士』の艦橋では、

「ふじ、216捜隊からのデータを表示してくれ。」


「はい。 正面大型モニターに出します。 補足事項はサブモニターに・・・」


「ふむ、ハッキリとはしないが・・・ 艦型的に片方は24番国系列の戦闘艦艇かな? しかし、もう片方は・・・ 」


「はい。 現在後退中と思われる艦隊は74.3%の確率で24番国系列艦です。 そして、追撃を行っているもう一方ですが・・・ 戦艦だけでも3タイプ、他艦種も複数のタイプが存在しているようです。 

 因みに戦艦は『播磨』型、一致率66.4% 『サファン』型、一致率57.1% ですが、改良型ではないかと、そしてもう1種類は完全に未知のタイプです。」


「地球戦役時の国際連合宇宙軍でもあるまいし、雑多な艦種が混じった艦隊なんて・・・ 」


「はい。 可能性を考えれば未確認避難船団の末裔かと・・・ とりあえず両艦隊の距離は開き始めているので戦闘は一旦終了した物かと・・・」


「そうか・・・ とにもかくにも情報収集だな。 捜索隊の現状は?」


「はい。 『希望』国からの情報を基に5個捜索隊を派遣、更に『24番国』からの情報を基に5個捜索隊を増派していますが、この増派部隊はまだ移動中です。 当面は5個捜索隊で付近宙域を調べる事になります。」


「それだと如何にも手が足りないな・・・ こんな所で人類同士の戦いが起こっているとは想定外だ。

 地球からの更なる増派では到着迄200年近く掛かってしまうか・・・ 」


「はい。 既に10個捜索隊を呼び寄せていますが、到着迄180年掛かる見込みです。 臨時で当艦隊の一部を捜索隊として分派してはいかがでしょうか?」


「分かった。 1000隻程を50個臨時捜索隊として再編、現場宙域に送り込め。 さて、各国にはどう伝えるか・・・」


 24番国もまだまだこれからと言うタイミングでの今回の発見は、十色にとっても判断に迷う事態となっていた。

 

「事態に介入するにはタイミングがな・・・ 24番国との協議真っ最中に出かける訳にもいかないしな・・・」


「はい。 216捜隊関連は遠隔指揮で対処でしょうか?  もう数年は24番国に張り付いている必要があるかと・・・」


「・・・本当に手が足りない。 なぁふじ、コピー体を造るのはやっぱり不味いかな?」


「はい。 絶対にダメですよ司令! バイオコンピューターの複製実験が大失敗に終わったのは知っているでしょう。 生体脳とバイオコンピューターの違いは有りますが、リスクが大きすぎます。 現状、この領域に足を踏み入れるには我々は未熟すぎます。」

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