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第三怪 理科室のマッドティーチャー


 久美:「……」


 彰:「おーい、どうした?」


 この学園の七不思議では神隠しや呪われたという話を期待していたのに、逆にこっちが七不思議に危害を加えている事になっているなんて…


 久美:「正直言ってがっかりです」


 彰:「そう言っても今までの奴は正真正銘の心霊現象だからな。次に行く理科室含めて確認済みの七不思議は残り3つ、そして、この七不思議で一番良く見られるのが「理科室のマッドティーチャー」だ」


 ~理科室のマッドティーチャー~


 これは、ある生徒が放課後、理科室に忘れ物をした時に起きた事だという、理科室で忘れ物を探していると、準備室の方から物音が聞こえたらしい。

 その生徒は最初は特に気にしなかったらしくて、忘れ物を持って教室を出たほぼ同時に勢い良く、準備室の扉が開いた。

 その音に驚いた生徒は、準備室から出た人物を目撃した。

 薄汚れた白衣に身を包んだ、男性だった。彼は理科室にある。人体模型の前に行き、触れると作り物であるはずの人体模型から「ぐちゃり、ぐちゃり」と生々しい音が聞こえ、時折その男のものを思われる「クスクス」と笑う声が聞こえたらしい。



 彰:「と、言うものさ」


 久美:「…部長って何というか、語り手としてはすごく上手いですよね」


 今までの二つの怪談で、ありきたりだけど実態は怖くない話しばかり、話しを聞いただけだと怖いと思えるが、恐らくこれも…


 彰:「ん…止まれ」


 部長は不意に足を止めて、スッと目を閉じる。何かを確かめるように。


 彰:「…いるな」


 そう言うと部長は室内履きを脱いで足音を立てないように靴下ですり足歩行で廊下を渡る。


 彰:「あいつは物音に敏感だ。放課後は静かだから、声にも反応する。静かに移動しろ」


 声を潜めながら部長は言う。部長と同じように靴下ですり足をする。

 理科室に近づけば近づくほど、先程の話のように「ぐちゃり」と音が聞こえる。


 部長が理科室の前で、窓からのぞくとこくりと頷き、扉を開ける。


 久美:「えっ!?そんな急に…」


 理科室の中には確かに、白衣を着た人物が立っていた。


 ???:「っ!?」


 その人物は明らかに戸惑っていて、私たちを見て慌てている。


 ???:「み、見たのか!?僕のひそかな趣味を!!」


 彰:「見たも何も、廊下に音や声が聞こえてましたよ」


 ???:「う、うわあああああああ!!」


 そう言って白衣の男性は準備室へ駈け込んでしまった。


 彰:「あー、ちょっと待ってろ」


 部長はそう言うと準備室に入る。どうやら準備室には鍵がつけられていないようで、そのまま入れるようだった。


 彰:「ほら、岸谷先生、引きこもらないで出てきてください」


 岸谷:「いやだ~絶対指さされて笑われる~」


 彰:「彼女はそんな人じゃないですよ、ほら、来て下さい」


 岸谷:「いやだ~」


 部長が準備室から出ると片手に白衣の襟を引っ張られて顔を覆っている岸谷と呼ばれた男性が出てくる。


 彰:「紹介するよ。この人が七不思議の一つの正体兼うちの部活の顧問の岸谷先生だ」


 久美:「アッハイソウデスカ」


 彰:「岸谷先生は、家庭科の調理実習の先生でもあってね。よく放課後に理科室でハンバーグ作ってたりするんだよ。あの音はタネをこねている音だ。

 それだけじゃなくて、人類学のマニアでね。人間への進化やもし、このまま人類や生物が進化を続けたらどのような生物になるかの研究をしている。人体模型の前に立っていたのはそういう事」


 久美:「…あの、こんなオチでいいんですか?七不思議の一つが生身の先生って…」


 彰:「他にも実際は人間でしたってやつもあるよ。それはまたの機会に話すとするよ」


 なんか、もう聞きたくないような気がする。


 あぁ…返して!私の期待を返してくださいっ!!

次回7月21日

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