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4話 仲間たちの信用


 ギルドに戻っている時、ふとクエストのことを思い出す。


「あ!」


「ん? どうしたの?」


「い、いや~」


 仲間なんだから相談するのが一番だろうけど、数時間前に仲間になったばかりの奴が図々しく頼むのはな......。何もクエストを受けてない状態だったら考えずに相談できたさ。でもワイバーン討伐と上位種のゴブリンを討伐している時点で体力面的にもきついと思う。ここはうまく俺だけ抜けてコボルト退治に行こうと思った時


「はっきり言いなよ! 仲間じゃん!」


「そうだよ!」


「あぁ。仲間になったばかりとは言え、頼られない方が俺的にはきついな」


 ジャックが言う通りだな。俺だって仲間に頼られなければきつい。どんなことであろうと頼られるということは信用されている、必要とされているってことだ。元パーティメンバーも最初はいろいろと頼ってくれたが、ここ最近は荷物持ちしか頼られなくなった。それでも荷物持ちを頼んでくることでさえ、俺は嬉しかった。


 そんな大切なことを忘れていたことが恥ずかしくなった。負荷深く頭を下げて謝る。


「......。ごめん。まだ俺のクエストが終わってなくてさ」


 すると、全員嫌な顔一つせず言ってくれた。


「レオって前からおっちょこちょいだよね? それでどんなクエスト? 今日中じゃなきゃダメなの?」


「もっと早く言えよ! 今日中じゃなければ明日にでもやろうぜ!」


「ちょっと二人! 今日中のクエストかもしれないでしょ! 今持ってるポーションとか確認して! ほら早く行きましょ?」


 目を見開いて驚いた。元パーティメンバーに言ったらこんな言葉をもらうことはできなかっただろう。


「レオが最後尾でどうするの! 早く早く! それよりどんなクエストなの?」


「あぁ」


 ソフィ―に言われるがままみんなの近くによって話し始める。


「ゴブリン退治とコボルト退治なんだ」


「え? そんなクエスト受けてたの?」


 ミルシェにそう言われてビクッとしてしまった。


(失望されただろうか)


「うん」


「ラッキーじゃない! ジャック! コボルトの牙とゴブリンの耳って持ってたよね?」


「あぁ。一応は金になるしな! じゃあそれをレオンに渡せばいっか!」


「ありがとう。でもお金は払うよ!」


 そう言うとジャックが俺に近づいてきて、軽く胸にこぶしを当ててくる。


「なぁレオン? なんでそんなに壁を作るんだ? 俺はもうお前を仲間だとおもってるぜ。それはみんなも一緒だと思うぞ?」


「ごめん。でも俺はみんなの輪に入れさせてもらった身。そんなに図々しくしていいのかなって思って」


 嘘だ。こんなのただのいいわけである。本当はみんなのことを信用しきりたくないだけ。もし信用しきったら、元パーティメンバーにいた時のような気持ちのなるかもしれない。


(悲しい、苦しい)


 もうあの時のような感情をもう一度受けてしまったら...。そう考えたら仲間が怖くて仕方がなかった。


「別にみんなそんなこと考えてないと思うけどな。でもレオンが考えていることもわかるぞ? 周りはみんな信用している仲間であるのに、俺だけまだ新しい仲間。だから入ってうまくやっていけるのか? そう考えているんだろ?」


「......」


 間違ってはいない。でも違う......。


「そんなこと考えるなよ! 俺たちは誰でもいいわけじゃない。お前だからいいって思ったんだ!」


「でもまだ会って数時間だし」


「それは違うぞ。仲間って言うのは時間をかけて信用を勝ち取るものであり、最初は自分から見てそいつは信用できる存在なのかだ。俺はお前がそれに値すると思っている」


 そう言ってもらえると嬉しい。


「ありがとな」


「それに今言っておく! 俺たちはお前を見捨てたりなんてしない! どんな状況であろうとレオン! お前を信じる。だからレオンも俺たちを信じろ!」


 !!。その言葉を聞いて今まで考えていたことの後悔をする。


「あ、たまにはジャックもいいこと言うね!」


「ほんとにね!」


「たまにはってどう言うことだ! いつもいいこと言うだろ!」


「そうかな~」


「ね~」


「レオンも何か言ってあげなよ!」


「......。あはは。ジャックサンキューな」


「え? そっち!」


 俺の返答にソフィ―やみんなが笑っていた。


「それにさ! レオ? 私たちであんな奴らを見返してやればいいじゃない! 今の私たちはあいつらよりランクは低いけど、今後見返してやればいいじゃない!」


「そうよ!」


「あぁ!」


 すると全員がこぶしとこぶしを合わせていた。


「レオも早く!」


「あぁ!」


 俺も全員のこぶしに合わせていった。


「これから私たち---銀色の風であいつらを見返してやろー」


「「「おぉ~!!」」」


 いろいろな温かみを知り、初めて仲間たちと冒険がしたいと感じた。

読んでいただきありがとうございました。

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