14話 ギルド緊急要請
次話、1.3章最終話です
すぐさま全員でギルドに入ると、ギルド内の雰囲気がものすごく悪くなっていた。
(どういうことだ?)
この前来た時は、笑っている奴や困惑していた奴など様々な奴がいたけど、今回は違う。誰一人として笑っていない。全員が不安そうな表情をしていた。
俺以外のみんなもそれを察知したのか気を引き締めていた。
「どう言うことかしら?」
「何かやばいことでも起きたのかな?」
「わからないけど、非常事態ってことだけは事実よね」
「そうだな」
話しながら受付カウンターに向かうと、俺たちに気付いてくれたみたいだったが、カナンさんのみが別室に行ってしまった。
(ん? どう言うことだ?)
ロイドの時みたいに話すと思っていた。もし別室に行くのなら、一緒に行くと思う。だけど新人のチャイザさんを残してどこかへ行くってことは、そこまで重要なことではないのか?
そう思いながらもチャイザさんの目の前に着く。
「皆さん。お待ちしておりました! 別室にご案内いたします」
「え?」
俺も含めて全員がソフィー同様に驚く。何せさっきカナンさんが別室に入ってくのを見ていたのだから、驚くのも当然と言えば当然だ。
「お時間はありませんか?」
「いえ。大丈夫です!」
「ではご案内しますね」
チャイザさんの言われるがまま案内される。別室に入るとそこにはカナンさん、そしてギルド長がいた。
(は? どう言うことだよ)
別室に案内されること自体珍しいのに、ギルド長までいるとは思いもしなかった。それはソフィーやシャーロットたちも同様で、驚いていた。
「今回は急に呼んでしまって申し訳ない」
「いえ、大丈夫です」
ギルド長の言葉にソフィーが返答する。
「カナンくんから話しは聞いているか?」
「いえ」
すると深刻そうな顔をしながら話し始めた。
「それで本題に入らさせてもらう。今回呼んだのはこの街にスタンピードが近寄っているという情報を入手した」
「え......?」
あのスタンピードか? 数年~数十年に一度、モンスターの大群が来るっていうあれか? そんなのがここに来たら街が消滅してしまうかもしれない。
「まだ公にはしていないが、冒険者たちも感づいている奴らも少なくない。それでだが、この街にいる上位冒険者及び、周辺国の冒険者を要請して戦ってもらいたい」
その言葉に全員困惑する。なんたってスタンピードなんて冒険者でも経験するかしないかのラインだ。でもソフィーはすぐさま我に返り、俺たちに話しかけてくる。
「私は戦いたい。冒険者になったってことは市民を守るのも仕事だから。でも命が一番大切だからちゃんと考えてほしい」
「ソフィーが戦いたいなら俺も戦うよ」
俺はそう言う。それに続くようにシャーロットやジャック、ミルシェも言った。
「そうそう。リーダーがそう言っているなら戦うしかないでしょ」
「おう!」
「そうね。それにレオンが戦うなら私も戦うわよ」
するとギルド長が別室からなぜか出ていった。それを見計らったようにカナンさんが話し始める。
「では皆さん大まかな情報を言いますね」
そう言ってスタンピードのことを話し始めた。




