6話 成長の実感
悲鳴が聞こえた場所に向かうと、そこには商人らしき人物がワイバーンに襲われていた。するとソフィーが俺たちに合図をする。
「私とレオとミルシェでワイバーンを討伐する! シャーロットとジャックでこの人たちを助けて!」
ソフィーの指示に全員頷き、別々行動のとる。
「俺とソフィーで前衛をする。ミルシェは俺たちの援護を頼む」
「わかったわ」
簡単な戦闘方法を話してワイバーン討伐へ入る。定石通りミルシェがワイバーンめがけて矢を撃つ。
(!!)
一発目でワイバーンの目に当たり、地上に落ちてくる。それを見逃さず、俺とソフィーでワイバーンの両羽を斬り落とす。
「ギャイィィィ~」
そしてワイバーンがソフィーに火風を放とうとした時、魔法無効化で打ち消す。ワイバーンが怯んだ一瞬を突き、ソフィーがワイバーンの首を斬り落とし討伐した。
3人合流するとミルシェが叫びだした。
「私たち強くなってるよね?」
「そうだよね!」
「あぁ。あんな簡単に倒せると思ってもいなかった」
ワイバーンはBランク上位のモンスター。俺が銀色の風に加入する前までソフィーたちは苦戦していたと聞いている。それを今回は数分足らずで倒してしまった。
(ここまで成長していたとは)
はっきり言って予想外だった。まだAランクになって間もないパーティなのに、Bランク上位のモンスターをいとも容易く倒してしまう。それほど俺たちは成長していた。
「それよりもジャックたちのところに行こう!」
「「了解」」
走ってジャックたちのところに向かう。するとひげを生やした人の服が血だらけになっていたが、なぜか苦しそうな顔をしていなかった。
「シャーロットが回復したのか?」
「えぇ。流石に助けるでしょ?」
「あぁ。でもこんなに早く回復ができるとは思ってなくてさ」
そう。シャーロットが回復魔法を得意としているのは知っている。だけど戦闘をしていたのは数分足らずであり、シャーロットたちがこの人がいるところに着いたのは俺たちが戦闘を行っている時だったはず。それなのにもう治療が終わっていた。
(シャーロットも成長していたってことか)
「私も驚いているわ。でも早く治療できるに越したことは無いし、良かったわ」
「シャーロットも成長しているってことはみんな成長しているってことだね!」
ソフィーがそう言った。するとなぜか笑いながらミルシェが言う。
「ソフィー? 間違っているわよ? 今このパーティには何もやっていない人が居ない?」
「え?」
「ジャックよ! だからジャックは成長していないってことよね?」
なぜかミルシェが小さく笑っていた。
(おちょくっているな。だったら)
「そうだな! ジャックは何もやってないしジャック以外が成長していたってことだろ!」
「ま、待ってくれよ! 俺もそっちの討伐に加わっていれば!」
なぜか弁明してきた。いや、本心で言ってるわけないじゃん。俺がミルシェを見るとやれやれって顔で
「冗談よ。からかっただけ」
するとジャックの顔が赤くなり大声を上げた。全員笑いながらこの人が目覚めるのを待った。するとぴくッと動いて声が聞こえた。
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