3話 パーティ勧誘
「助けてくれてありがと」
「冒険者として困ってる人を助けるのは当然だろ。それにそのパーティが知り合いのパーティなら尚更だよ」
「うん。ありがと」
それでもソフィーと他2人が深々と頭を下げてきた。
「それよりもなんでゴブリンマジシャンやホブゴブリンに苦戦していたの? いつものソフィーたちなら苦戦しないよね?」
そう。俺がSランクパーティの時、何度かソフィーたちのパーティと会ったことがあるが、確かソフィーたちもBランクパーティだったはずだ。ゴブリンマジシャンやホブゴブリンは強く見積もってもCランク程度。そんな相手に苦戦するはずがない。
「ワイバーンのクエストが終わって帰っている途中だったから」
ソフィーにから理由を聞いて納得した。流石にAランク寄りのBランクモンスターであるワイバーン討伐をした後、Cランクモンスターと連戦するとなると苦戦もするはずだ。
「それよりもレオはなんで一人でクエストを受けていたの? お小遣い稼ぎ?」
疑問そうに尋ねてくる。
「俺、パーティ追放されてさ......。今一人なんだよ。アハハ」
最初は本当のことを言おうか迷った。もし本当のことを言ったら、ソフィーたちはどんな反応をしていいかわからないと思ったから。でもいずれはバレると思い、覚悟を決めて話した。案の定、全員何を言っていいかわからないような顔をしていた。
(まあ普通そうだよな)
そんな中、ソフィーが話し始めた。
「じゃあさ。私たちのパーティに入らない?」
「え?」
その言葉にソフィー以外の全員が驚いた。そりゃあそうだ。全員と顔見知りではあるが、きちんと話したことがあるのは幼馴染であるソフィーだけだ。はっきり言って今、ソフィーは全員の意見を聞かずに言っているのが分かった。
「だから一緒のパーティに入らないって言ってるの! 今、私たちのパーティに魔法使い専門の人がいないからレオンならいいかなって思ってさ! それにレオの実力なら申し分ないしね!」
「誘ってくれてるのは本当に嬉しいけど、実力的な問題じゃなくてパーティ的に問題があると思うよ。だってソフィーと俺は昔からの仲だから良いけど、他の人たちはそうじゃないだろ? ちゃんと話したことだってないんだからさ」
「みんなはレオの事嫌?」
ソフィーが二人に尋ねると、なぜか首を横に振った。
(え? なんで?)
二人が頷いてくれたことに疑問でしょうがなかった。なんせきちんと話したことがない奴が仲間になるんだぞ? 普通断るだろ! 命を預ける存在だぞ? そう思った。
「みんなもそう言ってるし、後はレオ次第じゃない?」
「......。お二人に聞きたいのですが、なんで了承したのですか?」
すると2人の内の一人である女性が話し始めた。
「私的にはソフィが信用できる人ならいいかなって思ってる。それに初対面ってわけじゃないじゃない? もともと何度か顔は合わせていたし、今日助けてくれたのが信用につながると思わない? ジャックもそう思わない?」
「あぁ。俺もミルシェに同意見だ。さっき助けてくれなかったら、俺たちの内誰かは重傷になっていたかもしれないしな。後ソフィアも言っていたが、今の俺たちの中に、きちんと魔法使いと言える奴はいない。だからレオンさんが入ってくれるのは歓迎だぞ」
(二人ともどんだけ優しいんだよ!)
「じゃあお言葉に甘えて入れさせてもらおうかな?」
するとソフィーが叫びだした。
「や、やったー!」
「そうね! やっと4人になったしね!」
「あぁそうだな」
一応パーティメンバーになったため、全員で自己紹介を始めることになった。
「じゃあ私からね! パーティリーダーであるソフィア・リークレット!」
「次は私ね! ミルシェ・ゾイロイドよ」
「順番的に俺だな ジャック・カールリラだ」
そして俺の番になった。
(あれ? こんなに緊張したっけ?)
「え、えっと。レ、レオン・イーリアスです。よろしくお願いします!」
「「「よろしく!!!」」」
全員が笑いながら迎え入れてくれて、なんで緊張していたのかわからなくなってきた。
「てかレオン自己紹介してるとき噛み過ぎ!」
笑いながらソフィーが言ってくる。すると二人も笑い始めた。
「しょうがないだろ!」
俺はそう答えながら4人でギルドに戻っていった。
読んでいただきありがとうございました。