11話 元パーティメンバーの遭遇
まず最初にバミーシャのところへ行き、クエスト達成の報告と馬車を返した。
本当は宿に戻りたい気持ちだが、モンスターから採取したのを宿にもっていくわけにもいかず、しぶしぶ全員でギルドに向かう。中に入り、カナンさんとチャイザさんにキメラの翼を渡しながら報告する。すると驚いてか喜こんでいるかわからない顔で
「おめでとうございます! こんなに早くクエスト達成するとは思ってもいませんでした!」
「「「「ありがとうございます!」」」」
俺含めて全員がガッツポーズをする。
「クエスト達成により本日より銀色の風はAランク冒険者ってことになります! ですがレオンさんはすでにSランク冒険者であるため、昇格などはありません」
「はい」
まあ元パーティの時、Sランク昇格していたんだから当然だな。
「Aランクになったからと言って何をするということはありません。後、手続きは私たちがやっておきますのでゆっくりしてください」
「ありがとうございます!」
受付嬢との会話を終えて、みんなで喜びに満ち溢れる。
「これで正真正銘のAランクだね!」
「そうね!」
「まあレオンはSランクだけどな」
「あはは。でもランク維持するだけでも大変だから銀色の風に入れさせてもらえてよかったよ」
そう。ランク維持するのが一番大変だ。なんせSランクなのにBやAランククエストを何度も失敗していたらSランクと言えるのか。普通言えないだろう。そんな奴をずっとSランクにいさせていたらギルド自体の印象が悪くなるのは明白だった。
「それでこれからどうする?」
「どうするって言われてもな......。まあ一旦明日考えればいいんじゃないか?」
「そうね。今日はさすがに疲れたわ」
「だな。じゃあ明日ってことで!」
今日はオフ日になったため、みんなで宿に帰ろうとした時、聞き覚えのある声がした。
「なぁ。そろそろ新しいクエストを受けないか?」
「いいな。何を受ける?」
「流石にAランクだろ。あいつが抜けたからって俺たちの実力が落ちているわけではない。それは確信している。だけど体ならし程度にAランクを受けようぜ」
「「了解」」
(なんであいつらがここにいるんだよ......)
そう思った矢先、3人が俺に気付き笑いながらこちらに近寄ってきて、ロイドが話しかけてきた。
「あれ~。レオンじゃないか。今は何をしてるんだ? まあ一人で冒険してるんだよな! 荷物持ちのSランクなんてどのパーティも雇ってもらえないもんな」
「いや、今は他のパーティに入っているよ」
すると3人が笑い出した。
「お前を入れてくれるパーティなんてあるんだな! どんなパーティだ? Dランクか? Eランクか?」
元パーティメンバー---サルットとイワルが言う。
「買い被りすぎだってロイド! Fランクパーティに決まってんだろ! なんせ何もできないくせに報酬だけもらう奴だぜ?」
「だな!」
「俺の事はなんて言おうがいいさ。でもパーティメンバーをバカにするな」
こいつらの言った言葉にカッとなってしまい言い返す。俺が大声を出したところでソフィーたちが俺のところに走ってきて
「ねえ? 私のパーティメンバーにいちゃもん?」
「あぁ~。レオンの幼馴染であるソフィーさんではないですか。やっぱり温情で入れてもらえただけじゃないか」
それに対してミルシェとジャックが言い返す。
「違うわよ! 戦力になると思ったからレオンをパーティに誘ったのよ!」
「そうだ!」
「ふーん。まあいいや。じきにレオンが無能だってことが分かるさ。じゃあな」
そう言ってロイドたちが立ち去っていった。
「ねえレオ? なんで言い返さなかったの? レオの実力ならあんな奴ら勝てるんじゃないの?」
「......。俺は別に喧嘩をしたいわけじゃないんだ。それにもうみんながいる。だから良いんだ」
すると3人が
「まあレオンがそう言うならいいけど、俺たち3人の感情が収まんねーよ。だから俺たちも早くSランクになってあいつらを見返そうぜ」
それに続くように2人が頷きながら
「そうね!」
「うん!」
こいつら......。ジャックが言った言葉に少し涙腺が緩む。
「じゃあ明日、今後の方針を決めよ! 当面はSランクを目指してあいつらを見返すってことで!」
「「「おぉ~」」」
「ほら! レオも」
「「「「おぉ~」」」」
なんで俺よりもみんなの方がやる気なのかわからないが、みんなの気持ちが嫌ではなかった。
この時はまだ、ロイドたちにとってレオンがどれだけ必要な存在だったか気づいていなかった。そしてここから俺たち銀色の風とロイドたちのパーティの運命が分かれた。
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