1話 追放
新作です
「サボってばかりいるレオンは俺たちのパーティにはいらない」
ロイドに突然追放を言い渡された。
「え?」
「だからお前を追放するって言っているんだよ」
「どこらへんがサボっているんだよ!」
意味が分からなかった。今まで戦闘を行う際、敵が放つ魔法すべてを無効化していたし、十分パーティに貢献していたと思っていた。それなのになんで……。
「逆に聞くが、お前は何をしていたつもりだったんだ?」
「戦闘中に来る魔法をすべて無効化していたじゃないか! それに戦闘だって一緒にしていた」
そう。モンスターが攻撃魔法を使ってきたときや、バフ魔法やデバフ魔法をすべて無効化していた。呪い魔法を無効化していたのだって一度や二度じゃない。
「は? そんなことお前ができるわけないじゃないか。一緒に戦っていたことなんてあんまりなかったろ! はっきり言ってやるよ! お前がやっていたのは荷物持ちだ。そんな奴このパーティにはいらない」
(荷物持ち?)
ロイドが何を言っているのか理解できなかった。今まで荷物を持たせてられていたのはわかっていた。でもそれは他のメンバーが俺より肉体的に大変だと思っていたからだ。
「考えてみろよ! モンスターが魔法を放ってきていたのにお前たちに魔法がいかなかったじゃないか!」
「まず低級モンスターが魔法を使えるはずがないだろ! それにもしモンスターが魔法を使うとしたらBランクやAランクみたいに上位モンスターだけだ!」
(ロイドは本気で言っているのか?)
低級モンスターでも魔法は使っていたし、そんなこと冒険者界隈では知っていて当たり前のことだと思っていた。だから俺は少し大きな声をあげてしまった。
「そんなバカな話ないだろ! 俺が魔法無効化をしていたから魔法攻撃が来ていないと思っていただけだ!」
「だから何度も言っているが低級モンスターは魔法を使わないし、今まで戦った上位モンスターも魔法を使ってこなかったじゃないか」
使ってこなかったんじゃない。俺が魔法無効化していたんだ。それをロイドは気づいていないのか?
「じゃあお前は本当に低級モンスターや中級モンスターは魔法を使わないと思っているのか?」
例えば初級モンスターであるゴブリンだってファイアーボールは使っていたし、中級モンスターであるゴーレムだって身体強化魔法を使っていた。
「あぁ。何度も言っているが実際にそうだったじゃないか! 今まで戦ってきたモンスターで魔法を使ってきた奴なんていなかった」
「それは俺が魔法を無効化していたからで」
「だからそれが嘘だって言ってるんだよ!」
もう何を言っても無駄なのか……。そう思った途端に馬鹿らしくなり
「わかったよ。そっちはそっちで頑張れよ」
「あぁ。早くパーティから出ていってくれないか? お前に払っていた金すらもったいなくてしょうがないんだ」
「今までありがとな」
俺はそう言ってこの場を後にした。
ここからSランクパーティが没落していくのをロイドたちは気づいていなかった。そしてどれだけ魔法無効化の恩恵にあずかっていたのかをまだ知らなかった。
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