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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
最後の聖遺物

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999/1681

第999話 緊急事態の知らせ

 その日のレオニスは、冒険者ギルド総本部のギルドマスター執務室にいた。

 先週無事に完了した、竜騎士団のシュマルリ山脈南方研修の報告。それらを主として、様々な積もる話があったのだ。

 冒険者ギルドはお役所仕事と違い、土日祝日はほぼ関係ないとはいえ、一年365日誰かしらが務めている。

 それは、冒険者ギルドが事件事故や災害時などの対応も請け負うという役割を持つからなのだが、本当に頭の下がる思いである。


 本日のパレンの出で立ちは、『赤ずきん』である。

 大きなフードのついたポンチョに、上はクリーム色の長袖ブラウスを着ていて腹部には黒に近い濃緑のコルセット。赤い膝丈のスカートの上にフリル付きのクリーム色のエプロンを着けている。大きなフード付きのポンチョは、寒い冬を過ごすにはとても良いアイテムだ。

 スカートの下には、ブラウスやエプロンと同じ色のかぼちゃパンツを穿いていて、何とも愛らしい。これも防寒対策にはもってこいである。

 手には赤い手袋、足元もメリージェーンタイプの赤い靴にクリーム色のソックス。実に素晴らしいトータルコーディネートと言えよう。

 ちなみに、普通はフードを被るとスキンヘッドなど見えなくなるものなのだが。パレンの場合、何故かフード越しにほんのりと発光しているのが分かる。これも冒険者ギルド総本部マスターたるパレンならではの威光か。


 あー、今日のマスターパレンは『赤ずきん』か。

 赤ずきんってのは、童話のアレだよな? 赤ずきんという女の子が、森の向こうに住むおばあさんの家を訪ねる途中に?狼に騙されて寄り道して?先におばあさんが狼に食われて、その次におばあさんに化けた狼に赤ずきんもペロリ☆と食べられてしまう、とか何とか。

 でもって、最後は通りがかった猟師に助けられるっつー、何気に猟奇的な話の主人公な訳だが……

 もし赤ずきんの中身がマスターパレンだったら、間違いなく狼なんざ返り討ちだよな!つーか、狼どころかドラゴンでもサクッ☆と()っちまうだろう。……いや、返り討ち云々以前に、狼もドラゴンもびっくり仰天で腰を抜かして這々の体で逃げそうだ……

 しかし……そうだな、赤ずきんというのは狼に襲われるという悲劇の女の子だが、マスターパレンならそんな女の子であっても見事に救い出してみせるだろう。

 正義の人は、例えそれが童話や架空の物語であったとしても、絶対に悲劇を見過ごすことはない!という、強い決意の現れなんだな。さすがはマスターパレンだ!


 今日も今日とてパレンのコスプレは、レオニスの脳内で壮絶なまでに過大評価されていた。


 赤ずきんのパレンと、深紅のロングジャケットを着たレオニス。今日は見目鮮やかな赤色をまとった同士が応接ソファで向かい合い、竜騎士達の研修報告などを話している。

 するとそこに、冒険者ギルド総本部受付嬢のクレナが慌てた様子で入室してきた。ノックも無しに飛び込んでくるとは、かなりの緊急事態のようだ。


「失礼します!マスターパレン、ラグナ教の使者が来て緊急救助要請を出しました!」

「ンフォ? 緊急救助要請とは、何事か起きたのかね?」

「はい!別室にて先にお話を伺いましたところ、先程ラグナ神殿聖堂にて爆発事故のようなものが発生した、とのことです!」

「「何ッ!?」」


 クレナが伝えた緊急事態に、パレンだけでなくレオニスも驚愕の声を上げる。

 ラグナ神殿には、今から三週間後にレオニスが【深淵の魂喰い】と対決するために向かう予定だった。

 だが、それより先に爆発事故が発生するとは、予想だにしていなかった。しかも爆発事故が起きたのは聖堂、つまりは主教座聖堂だというではないか。

 あの主教座聖堂には、レオニスが対決して捻じ伏せねばならない負の聖遺物【深淵の魂喰い】が祀られている。それが安置されている場所が、爆発事故に巻込まれたとあっては一大事どころの話ではない。


 この世に存在する聖遺物は四つあり、そのどれもが実は『廃都の魔城の四帝の本体のもとに辿り着くための通行証』という超重要な役割を持つアイテムであることが判明している。

 それが一つでも失われれば、人類は四帝の本体のもとに永久に辿り着くことができなくなる。

 つまりそれは、人類が目指す廃都の魔城の四帝の打倒が永久に叶わなくなる、ということだ。


 人類の長年の悲願である、廃都の魔城の完全討滅。そのために欠かせない切符を失う訳にはいかない。

 レオニスはパレンと顔を見合わせ頷き合う。

 パレンは改めてクレナに向かい、指示を出した。


「分かった、私はレオニス君とともに今すぐラグナ神殿に向かう。クレナ君は、ギルド内にいる白銀級以上の者をラグナ神殿に派遣してくれたまえ。派遣に対する報酬は、一人あたり金貨二枚を提示するように。報酬は総本部の予算から出す」

「分かりました!人数はどうしましょう、何人集めればよろしいですか?」

「そうだな……爆発事故の規模がどの程度なのか分からんが、とりあえず十人ほど集めてくれ」

「はい!」


 パレンの指示を受けたクレナ、すぐに執務室を飛び出して大広間に向かっていった。

 入口の扉を開きっ放しにしたまま駆け出していくクレナ。いつもは完璧な所作のクレナにしては珍しいことだが、真に緊急事態の時にはそんなことは言っていられない。

 パタパタパタ……とクレナが廊下を走っていく音を聞きながら、パレンがレオニスの方に身体を向き直した。


「私は今のうちに着替えて、冒険者十人が揃い次第ラグナ神殿に向かう。レオニス君は先にラグナ神殿に向かってくれ」

「分かった!」

「ラグナ神殿に何が起きていて、何が潜んでいるのか分からん。レオニス君も、くれぐれも気をつけてくれたまえ」

「おう、気遣いありがとうよ!じゃ、先に行ってるからな!マスターパレンもなるべく早く来てくれよ!」

「承知した」


 パレンの指示に、レオニスもまた素直に従う。

 さすがに赤ずきんコスプレのままでは、事件現場で迅速に動き回るのは如何にパレンであっても不可能なようだ。

 さすがはパレン、伊達に長年冒険者ギルド総本部マスターを務めてきてはいない。普段は非常識の塊のように見えても、いざという時はちゃんと常識的な対応や行動ができるのである。


 レオニスもまたギルドマスター執務室を飛び出し、ラグナ神殿に向かっていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 時は少し遡り、ラグナ神殿の使者が冒険者ギルド総本部に救援を要請しに向かっていた頃。

 大教皇エンディも主教座聖堂で起きた事件を知り、その対応に追われていた。


 まず、怪我人への対応。

 医務室に運ばれた一般人のイヴリンやジョゼ、リリィ、イグニスを始め、同じく主教座聖堂の中で倒れていた司祭ジーン、黒い靄に襲われたルカとニコを含めた四人の護衛兵、そして黒い靄と直接対決した総主教ホロやシャング他魔の者達の治療。


 イヴリン達子供は、先に司祭エルメスが主教座聖堂内で緊急処置を施しておいたため、今は医務室で静かに寝かされている。

 他にも避難中に転んで怪我をした観光客や信徒なども、医務室で回復魔法などの治療を受けていた。

 そうした人々に対し、エンディは無期限かつ無償の治療を施す指示を出した。


 次にエンディは、ホロや魔の者達から事情を聞いていた。事件の概要を早急に把握するためである。

 本来ならば、主教座聖堂内で倒れていたジーンや四人の子供達、薬草園近くで同じく倒れていたルカやニコ達からも話を聞きたいところなのだが。彼らはまだ意識が回復しておらず、安静のため医務室のベッドで寝かされているので、今はまだ聴取はできない。

 故に、彼らが目を覚ますまでの間に、ホロや魔の者達の話を先に聞くことにしたのだ。


 ホロや魔の者達もかなり疲労していたが、幸いにも意識を失う程のダメージは受けていなかった。

 魔の者達の存在を公にする訳にはいかないので、エンディは皆を連れて大教皇執務室に入っていった。ここならば、他の誰にも邪魔されることなく忌憚ない話を聞けるからだ。


 大教皇執務室に入った後、エンディはホロとシャング、キース、ライノ、四人をソファに座らせて、全員に最上級回復魔法『フルキュア』をそれぞれにかけていく。

 四人全員がふわりとした優しい光に包まれ、身体の痛みや倦怠感などが全て消えていく。

 そうしてホロ達に最上級回復魔法をかえ終えた後、エンディは皆に向けて優しく話しかける。


「皆さん、具合は悪くありませんか? もしまだ倦怠感が抜けなければ、毒や邪気の類いがが体内に残っている可能性もありますので、ここは正直に遠慮なく言ってください」

「大教皇様、ありがとうございます。私はもう大丈夫です」

「俺も大丈夫だぜ!」

「自分も大丈夫、ムカムカとか怠いとか全くない」

「さっすが大教皇ちゃん!大教皇ちゃんがかけてくれた回復魔法、すっごい効き目なのねン!」

「そうですか、それは良かった」


 四人とも全回復したことに、エンディも安堵の表情を浮かべる。

 ホロはともかく、魔の者達はそこら辺は嘘偽りなく常に正直に答える者達だ。彼らが大丈夫!というのなら、それは間違いなく本当のことなのである。


「では、皆さんの身体も快癒したところで、何が起きたのかを聞かせてくださいますか?」

「はい……」


 エンディの問いかけに応じ、ホロは少しづつ自分達の身に起きたことを語っていった。

 レオニスやパレンといった、ラグナ教関係者ではない部外者がラグナ教での事件を知る回です。

 本当はラグナ教としても事件を公にはしたくないところでしょうが、爆音が響いたり信者や観光客が緊急避難しなければならないような事態にまでなると、さすがに隠し通しきれるものではありません。

 そうした時に、救援を求める相手となると、やはり冒険者ギルドが真っ先に浮かぶ訳ですね(・∀・)


 そして、マスターパレンの登場といえば、欠かせないのがコスプレ!

 今日も今日とて、マスターパレンのコスプレ表現だけで何と800字以上(!!)を費やしていますが。このマスターパレンのコスプレだけは、誰が何と言おうとも『我が執筆に一点の悔いなし』を貫く所存の作者。

 たった10話前の第989話でも、レオニスと話し合うマスターパレンの登場によりウォヴィッチコスプレしたばかりなのに。短期間で二回もの愛らしいコスプレができたことに、作者は何気に大満足してます♪( ´ω` )

 読者の皆様方も、是非是非脳内にて『ムキムキマッチョの筋肉ダルマな赤ずきんちゃん』をご堪能くださいませ!゜.+(・∀・)+.゜

 ……え、ナニ? そんなのイヤ? そんなんで喜んでるのは作者だけ!ですと?( ̄ω ̄;≡; ̄ω ̄)ウソーン


 そしてそして、今日はゾロ目の第999話。いわゆるスリーナインでございますね。

 つまり『クリスマスイブ』ならぬ『1000話イブ』なのですよ!(・∀・)

 だからって、何をどう大々的に行う訳でもないんですが。

 ここ最近も、作者のリアルは何気にゴニョゴニョウケケなことが多かったんですが。明日の投稿も無事できるよう、作者は頑張ります!

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― 新着の感想 ―
[一言] 今回のコスプレは赤ずきんですか! うん、コミックやアニメ化した場合にどう表現されるか気になります(笑)。 冒険者用の服もバリエーションも多そうな感じですね。 以前にも感想で書きましたが、コス…
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