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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
最後の聖遺物

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第996話 邪気の浄化と緊急搬送

 今日の更新は、作者事情により文字数少なめです。

 申し訳ありませんが、ご了承ください。

 破壊神イグニスと【深淵の魂喰い】に潜む【武帝】の武力対決。

 時間にすれば十分かそこらの、本当に短時間の出来事だったのだが。主教座聖堂の外は大騒ぎとなっていた。


 幾度となく爆音が轟き、地震が起きたかのように大きく揺れる主教座聖堂。

 周辺にいた信徒や観光客は、何事が起きたのか全く分からず大慌てで逃げ惑っていた。

 一方、ラグナ神殿に所属する司祭他聖職者、職員達は事態の把握に努める。


 主教座聖堂からは火の手や煙などが一切出ていないことから、火事の類いではなさそうだ、という判断がなされた。

 一旦主教座聖堂を封鎖し、非力な職員達は信徒や観光客を避難誘導、司祭達は護衛兵や門番などの屈強な者を集めてから再び主教座聖堂に向かった。


 主教座聖堂の前には若手司祭の一人、エルメスが護衛兵達を引き連れて陣取っている。最後の轟音が鳴り響いてから、様子見としておよそ五分程待機していた。

 その結果何事も起こらないことを確認し、主教座聖堂に突入する準備をするエルメス達。

 入口の扉の前に護衛兵が二人立ち、同時に扉を開いた、その瞬間。

 入口から猛烈な勢いで黒い靄が噴出した。


「「うわッ!!」」


 突然噴き出してきた黒い靄に、扉を開けた護衛兵二人が驚き仰け反る。

 そのすぐ後ろにいたエルメスは、もしや中で火事が起きてるのか!?と慌てて主教座聖堂の中に飛び込んでいった。どうやら黒い靄を、火が原因の煤煙だと思ったようだ。


 だが、建物の中で火が燃えている様子は全くない。

 エルメスは若干拍子抜けしながらも、主教座聖堂の中を慎重に歩きながら様子を伺う。

 すると、入口から程なくしたところに複数の人が倒れているのが見えた。それは、一人の司祭と二人の子供のようだ。

 エルメス司祭は、倒れている人々のもとに急いで駆け出した。


「……ジーン司祭!?」


 床に倒れていたのは、エルメスの同僚の司祭ジーンだった。

 ジーンの横には、幼い男の子一人と女の子一人が倒れている。

 そしてよく周りを見回してみると、どうやら水晶の壇の前にも子供が二人倒れているようだ。

 エルメスは、ジーンをそっと抱き起こしながら他の司祭や護衛兵に声をかけた。


「あちらにも倒れている子供がいるようです!様子を見てきてください!」

「「はい!」」


 二手に分かれて行動するエルメス達。

 エルメスの腕の中で、ジーンが「……ぅぅぅ……」という小さな呻き声を上げた。どうやらエルメスが介抱したことで、その目を覚ましたようだ。


「ジーン司祭、大丈夫ですか!?」

「……ぅぅぅ……」


 エルメスがジーンに声をかけるも、ジーンは苦しげな声で呻くばかり。

 ジーンの身体をよくよく見ると、顔や手足がところどころ黒ずんでいる。そのことに気づいたエルメスが、ジーンの黒ずんだ頬をそっと手で拭ってみる。

 しかし、顔の黒ずみは全く消えない。どうやらこれは、煤などの物質的なものが付着したという訳ではないようだ。


 物質的な汚れがついただけならば全く問題はないが、そうでないとなると話は一気に深刻さを増す。

 エルメスの経験上からすると、この黒ずみは瘴気などの邪悪な力に触れたことによって起きたものだ。

 となると、緊急かつ迅速な応急処置が必要になってくる。


 この黒ずみの原因となった瘴気の類い?がどれ程のものかは分からないが、例え微弱なものであっても決して人の体内に長時間留まっていいものではない。

 エルメスが慌ててジーンの近くにいた子供達、イヴリンとジョゼを見遣ると、その二人にもところどころに黒ずみが発生していて、苦悶の表情を浮かべているのが見受けられた。


 エルメスはひとまずジーンの身体をそっと床に下ろし、子供達の方に向かう。

 まずはイヴリンの身体に両手を翳し、目を閉じ快癒の祈りを捧げた。


「キュアオーラ」

「アンチドート」

「キュアヒール」


 エルメスが唱えたのは、サイサクス世界における浄化魔法と解毒魔法、そして回復系上級魔法。

 ここラグナ神殿に勤める司祭達は、全員が上級治療師となれる腕前を持っている。

 今回エルメスが複数の魔法をかけたのは、浄化魔法と解毒魔法で体内に蔓延る邪気や毒素を取り除き、その上で体力回復魔法をかける、というものだった。


 しかし、キュアオーラやアンチドート、キュアヒールを各一回づつかけただけでは、イヴリンの皮膚を汚染する邪気は少し薄くなっただけで全て消すことはできなかった。これは、それだけこの黒ずみのもととなっている邪気がかなり強力なものである、ということだ。

 エルメスはイヴリンの身体を観察しながら、慎重にキュアオーラとアンチドート、キュアヒールを重ねがけしていく。


 その結果、三回目でようやく目に見えるイヴリンの黒ずみが消え去った。

 さすがに服の下などの見えない部分まではどうなっているか分からないが、それでも一応の緊急措置は施せたと思っていいだろう。

 イヴリンの顔つきも、無意識ながらも苦痛に歪んでいた眉間の皺が取れて、普通に寝ているような表情になっている。


 それを受けて、エルメスは今度はジョゼを治していく。同僚である司祭よりもまず先に子供達を治療し、それから一番最後にジーンを治療するつもりなのだ。

 だがその前に、水晶の壇の前に向かった護衛兵達がエルメスに向かって声をかけた。


「エルメス司祭!こちらに倒れている子供の皮膚に、多数の黒ずみが発現しています!」

「……分かりました!こちらの子供の手当てを終えたら、すぐにそちらに行きます!」


 エルメスは急いでジョゼにイヴリンと同じ各種魔法を三回かけ、イヴリンと同じく表に見える黒ずみが消えたのを確認してから水晶の壇のある方に駆けつけていく。

 するとそこには、イヴリンやジョゼよりも黒ずみの度合いが高いリリィとイグニスが倒れていた。


 あまりの痛ましさに、エルメスが一瞬だけ言葉に詰まる。

 だが、事は一刻を争う。エルメスは気を取り直し、まずはリリィの方から浄化魔法と解毒魔法、最後に回復魔法をかけていく。

 しかし、リリィの黒ずみはジョゼやイヴリンよりも強いようで、三回では消し去れなかった。

 なので、四回、五回と追加で重ねていくエルメス。六回目にしてようやく黒ずみが全て消えた。

 その後エルメスが続けてイグニスを治療しようとしたが、俯せで倒れていたイグニスを仰向けに起こした瞬間。エルメスの顔が一気に強張った。


「……この子だけ、他の子と全然違う……?」


 イヴリン、ジョゼ、リリィは何らかの邪気に中てられて、身体のあちこちが黒ずんでいたが、イグニスの身体にはそのような症状は一切見受けられない。

 その代わり、大量の鼻血と口から吐血した痕跡があるではないか。

 邪気を受けた様子がないのはいいが、鼻血と大量吐血は別の意味での深刻さを物語っている。


 何らかの異常により内臓損傷したか、あるいはこの子供だけ物理的な攻撃などのダメージを受けたか———吐血の原因は分からないが、とにかくイグニスも一刻の猶予も許されない重体であることがエルメスにも分かった。

 エルメスは血相を変えながら、護衛兵達に声をかけた。


「皆さん!まず先に、ここにいる三人の子供達とジーン司祭を医務室に連れていってください!私はこのままここで、この子の治療に集中します!あと、誰でもいいので医務室からアークエーテルを!今すぐに何本か持ってきてください!」

「分かりました!」


 エルメスの指示に従い、何人かの護衛兵達がイヴリンやジョゼ、リリィ、ジーンを抱っこや肩車などをし、主教座聖堂の外に連れ出していく。

 そしてエルメスは、すぐさまイグニスの治療に取り掛かっていった。

 破壊神イグニス対【武帝】の後の風景です。

 本当はもう少し書くつもりだったのですが、前書きにも書きました通り作者事情により中途半端なところで終わってしまってしまってすみません。

 明日はもうちょい書けるよう、何とか頑張ります。

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