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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
それぞれの新たな出会い

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第976話 人化の術の会得状況・女衆編

 その後ライト達は、八咫烏達と様々な話をした。

 まずは彼らの人化の術の習得状態を聞いている。


「こないだミサキちゃんの人化を見せてもらったけど、その後どう?」

「ンーとねぇ、朝に化けたらお昼くらいまでは人化したままでいられるようになったよ!」

「おお、そりゃすげーな!」

「ンフフフ♪」


 ライトの問いやレオニスの驚きに、ミサキがエッヘン☆と胸を張る。

 そしてすぐにシュルシュル……と姿を変えていき、あっという間に黒いキャミソールワンピースを着た美少女に変身した。


「おお……これはまた見事な変身だな」

「あッ、ラキちゃんにも分かるー?」

「もちろんだとも。普段の自分と全く異なる形態の生物に変身するなど、そうそうできるものではない。ひとえにミサキちゃんの努力の賜物であろう」

「ありがとう!ラキちゃんにそう言ってもらえるなんて、すっごく嬉しい!」


 ラキからの賛美に、ミサキが人化した姿のままラキの腕に飛び込んだ。

 腕に飛び込むと言っても、ラキはレオニスやラウルの三倍近い大きさなので、まるで木登りしたくて大木にしがみついている小猿状態なのだが。

 そんなほのぼのした光景の横で、ライトが八咫烏達にさらに問うた。


「他の皆さんはどうですか? まだ人里見学に来れていないウルスさんとケリオンさん以外は、人化できるようになった、と聞いてますが」

「ええ、私やムニン、トリスは人族の女性に変身できるようになったわ」

「もしよかったら、ここで見せてもらえますか!?」

「そうね、せっかくだから人族のライト君やレオニスさんに成果を見てもらって、良し悪しを判断してもらうのもいいわね」


 ライトの問いに答えたアラエルが、早速立ち上がってシュルシュル……と変身し始めた。

 そうしてライト達の前に現れたアラエルは、大人の女性の魅力に溢れた美しい姿をしていた。


「うわぁ……アラエルさん、すっごく綺麗です!」

「そ、そうかしら?」

「おおお、これは……上流階級の奥方にも引けを取らんな。もしかして、クレナを見本にしたか?」

「ええ。以前人里見学に行った時にお邪魔した、冒険者ギルド?の受付嬢がオススメだと聞いたので……その人を基本にして、ムニンやトリスにも見てもらって少しづつ変えてみたの」

「確かに受付嬢の姉ちゃん達に似てはいるが、ちゃんと別人に見える程度には違ってるな」


 アラエルの変身した姿に、ライトはもちろんレオニスもラウルも感嘆しつつ見入る。

 ぱっちりとした目元や整った鼻筋など、ところどころにクレア十二姉妹と似た箇所が見受けられる。

 だが、そこまでそっくりさんレベルになっていないのは、ムニンとトリスの指導があったからだという。


 顔のラインはシュッとした逆三角形で、流れるような細めの眉が凛々しさを増している。

 髪は肩より少し長めのふんわりとしたウェーブで、身体は中肉中背。その身には漆黒の長袖ロングドレスをまとっているように見える。

 普段のアラエルはぽやぽやとした雰囲気だが、人化した姿はまるで敏腕マダムを彷彿とさせる出で立ちだ。


 ライト達が感心しながら見ていると、程なくしてボフン!という音とともに元の姿に戻ってしまったアラエル。

 はぁー……というため息とともに、翼で己の肩を叩きつつ愚痴る。


「歳を取ると、物覚えが悪くなるだけでなく持続力も続かないのよねぇ……ホント、嫌になっちゃうわぁ」

「でも、アラエルさんの人化した姿はすっごく綺麗でした!」

「ああ、あれで普通の服を着ていたら、街中で歩いていても何の違和感もないだろうな」

「いや、むしろ綺麗な女性ってことで人目を引くかもしれんな」


 人化の術で疲れて凝り固まった肩を解すアラエル。

 アラエルもまた八咫烏随一の魔力持ちで、聖女的な役割を果たしているが、それと人化の術の持続力はまた別問題らしい。

 しかし、人化の術を行使するにあたりアラエルが満たさねばならない『大人の子持ちの女性』という見た目的条件は、現時点で十分に達成できていると言ってもいい。

 それを口々に褒め称えるライト達の言葉に、アラエルの沈んだ顔が徐々に明るくなっていく。


「まぁ、ホント? ちゃんと人族に見えたかしら?」

「もちろんですよ!十分というか、ぼくの目には人族にしか見えませんでした!」

「まぁ、嬉しい。そしたらムニンやトリスの人化の術も、見てやってもらえるかしら?」

「是非!」


 褒められて大満足のアラエル、今度は娘達に人化の術披露のバトンを渡す。

 アラエルからご指名を受けたムニンとトリスが、「分かりました!」と答えつつ早速その場で人化の術を始めた。


 むっちりムチムチのまん丸体型の八咫烏の乙女達が、シュルシュルと縦長の人型の姿に変化していく。

 そうして現れたのは、ミサキやアラエルとはまた違う美女達だった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「おお……ムニンさんもトリスさんも、すっごく綺麗なお姉さんだー!」


 ムニンとトリスの人化の術に、ライトが真っ先に感激の声を上げる。

 まずトリスはアイギス三姉妹のセイを手本にしたらしく、キリッとした釣り目とシュッとした小顔、そしてすらりとしたスレンダーなモデル体型が実に見目麗しい。

 そして、二羽の人化した姿を見てレオニスとラウルが何故か呻る。


「ほう……トリスがセイ姉ってのは分かるが、ムニンのそれは……まさかとは思うが……」

「もしかして……バッカニアが入ってるか?」


 ライトはすぐには気づかなかったが、レオニスとラウルはムニンの人化した顔の面影をすぐに察知したらしい。

 そしてそれは正解だったようで、ムニンは凛々しい笑顔でラウルの問いかけに答えた。


「ラウル殿、半分正解ですね!これは皆様方に連れていってもらった、ヴァイキング道場?の師範コルセア殿を手本にしています!」

「え……何でまたコルセアを見本にしたの?」

「あの道場でのレオニス殿とコルセア殿の打ち合いは、とても凄まじくて素晴らしいものでした。私も八咫烏の里を守る一員として、立派な剣士を目指したい―――そう思うくらいに、私は感銘を受けたのです」

「ぁー……そりゃまぁ、分からんでもないが……」


 ムニンのハキハキとした答えに、レオニスはかなり困惑している。

 レオニスが一目で手本が誰なのかを見抜き、ラウルも『バッカニア成分入りか?』と半分正解したのも、ムニンが手本にしたコルセアがバッカニアとかなり顔つきが似ていたからだった。


 しかし、当のムニンは至って真面目で本気だ。

 冗談でやっている訳でもなければ巫山戯ているのでもないことは、彼女の表情からしても手に取るように分かる。

 そんな両者の間に、ライトが明るい声で話に入っていった。


「でも、ムニンさんのこの姿も、ぼくは大いにアリだと思うなー」

「ライト殿はそう思ってくださるのですか?」

「はい!レオ兄ちゃん達は、まさかムニンさんが男の人を手本にするとは全く考えていなかったから驚いているだけですよ。ね、レオ兄ちゃん、ラウル?」

「ぁ、ああ、全く以ってライトの言う通りだ」

「完全に俺達の予想外だったから驚いたが……うん、ライトの言う通り、これはこれでアリだと俺も思う」


 ライトの執り成しに、レオニスもラウルも頷きながら同意する。

 そう、ライト達はこれまで人里見学と称して八咫烏達に様々な人族を見る機会を与えてきた。それはひとえに各々の性別や年齢、役割などに合った人物像を掴んでもらうためである。

 しかし、まさか長女のムニンがヴァイキング流剣術道場主パイレーツ家の跡取り長男コルセアを見本にするとは、正直夢にも思わなかったのだ。


 しかし、ライトに言われて改めてムニンを見ればその通りだな、と思う。

 バッカニアの生家パイレーツ家は、皆基本的にイケメンな顔立ちをしている。バッカニアだって、厨ニ病満載の黒薔薇眼帯と二角帽子を外せば普通にイケメンで通るし、バッカニアに似た顔立ちのコルセアも実に凛々しい美丈夫である。

 それを女性のムニンが真似ると、一体どうなるか。その答えは『男装の麗人』である。


 それに、よく見ると顔のラインはすっきりとした卵型で、全然ゴツくなっていない。

 涼しげな目元と少し釣り気味の凛々しい眉と相まって、ムニンの男装の麗人感をより一層引き立てている。

 これをムニンが全て計算し尽くして実現させたかどうかは定かではないが、結果として『故郷を守護する女騎士』というムニンの理想像は完璧に表現できていると言えよう。


 ライトの言葉に納得したレオニスとラウル。

 一方のムニンは、レオニス達の予想外の反応に不安そうな顔でレオニス達を見つめている。ムニンはきっと、レオニス達に好評価が受けられなかったことがかなりショックなのだろう。

 そんなムニンに、レオニスが改めて声をかける。


「すまなかったな、ムニン。お前の人化の術を否定した訳じゃなくて、ただ単にバッカニアに似てたことが意外過ぎて驚いただけなんだが……」

「そ、そうなのですか?」

「ああ。でもムニンにしたら、否定したようにしか思えなかったよな。本当に申し訳ない、俺が悪かった」

「そ、そんな!頭を下げる程のことでは……」


 ムニンに向かって深々と頭を下げるレオニスに、ムニンが慌ててレオニスの傍に駆け寄る。

 膝丈よりも長い楚々としたAラインワンピース姿のムニンは、艶やかな黒髪ロングストレートのポニーテールと合わさって本当に凛とした美女である。


「八咫烏の里を守り続けていきたいという、ムニンの強い決意は確と理解した。これからもその意思を貫いていけよ」

「……はいッ!」


 人族であるレオニスに認められた嬉しさに、ムニンの不安は一瞬で払拭され破顔する。

 花咲くような笑顔に満ちたムニンに、周りにいたライト達も思わず微笑んでいた。

 八咫烏達の人化の術の会得状況確認回です。

 これまでにミサキが一回だけ、第752話にてその成果を披露していましたが、今回は母アラエルと長女ムニン、次女トリスの人化の術お披露目です。

 というか、ムニンがバッカニアの兄コルセアを手本としたのは、正直作者も完全に予想外のことでして…( ̄ω ̄)…


 さて、ムニンはどういう女性像にしようかなー……と散々考えても何故か良い案が浮かばない。何でだ……と改めてムニンの性格を思い返したところ、彼女は八咫烏の里を守ることに人一倍熱心な子だったことに気づいた作者。

 そんな騎士精神強めの子に、フリフリとした甘いお菓子のような女の子像は死んでも似合わんよね……と思い至り、ならば彼女達が人里見学時に訪問したヴァイキング道場の剣士をモデルにすべきでしょう!ということで、バッカニアの兄コルセアに白羽の矢が立った次第です。


 思わぬところでバッカニアの女装姿が実現してしまいましたが、これはこれで普通にアリですよね!゜.+(・∀・)+.゜

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― 新着の感想 ―
[一言] 人化の術でどのような姿をとるか試行錯誤する状況がわかりましたが、これが自在にできてしまうと変装の達人になれてしまい、この作品では必要ないスパイ活動ができてしまいそうですね(SPY×〇AMIL…
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