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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ドラリシオの悲劇

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第967話 熱烈な挨拶

 ライト達の北の里の開墾はどんどん進み、やがてその終わりも見えてきた頃。

 遠くの方から何やら騒がしい声が聞こえてきた。


「カティア姉様ーーー!」

「姉様達をお連れしてきましたーーー!」


 その声の主は、三体のチルドレン達。

 他の顔馴染みのドラリシオを連れてくるよう、カティアが頼んだ件をきちんと遂行してきたようだ。

 率先してスタタタターーー!と駆けてくるチルドレン達の後ろには、巨大なドラリシオが二体ついてきている。

 その巨大なドラリシオを見たレオニスの顔が、パァッ!と明るくなった。


「おお、ドラ恵にドラ代じゃねぇか!久しぶりだな!」

『ンまーーーッ!ホントにレオニスがいるわ!』

『アンタ、本物!? つーか、まだ生きてたのーーー!?』

「おう、生きてるぞ!勝手に殺すんじゃねー!」


 レオニスに向かって、出会い頭に勢いよく蔓を飛ばしてくるドラリシオ。その体躯はカティアとほぼ同等で、二体ともドラリシオ・レディーと思われる。

 そのドラリシオ・レディー達が繰り出してくる蔓は、極太なのに異常なまでに俊敏で鞭のように靭やかに動き回り、ヒュン!ヒュヒュン!という空を斬る音すら発生している。


『懐かしいわねー!元気にしてたー!?』

「おかげさまでな、この通り元気も元気だぜ!」

『何よー、ちょっと元気過ぎやしなーい!?』

「お前ら程じゃねーから安心しろ!」


 会話だけ聞いていたら和やかなやり取りだが、その実態は『鞭の如き多数の極太蔓が、レオニス目がけてビュンビュンと飛び回る』という、実に物騒な光景が繰り広げられている。

 一発でも当たったら確実に大怪我しそうな、実に容赦のない攻撃だが、レオニスは器用にヒョイ、ヒョイヒョイ、と全て紙一重で躱しつつ、極太蔓を蹴飛ばしたりアッパーや横殴りで弾き返すなどで応戦している。


 それを少し離れたところで見ているカティアは『まーた始まった……』というような顔をしていて、レディー二体を呼んできたチルドレン達は「何、アレ……」「アレを全部避けるとか……」「ウッソー、信じらんなぁい……」とドン引きしている。


 そんな猛攻の応酬を一頻り交わした後、ドラリシオの蔓の攻撃が一旦止まり普通にレオニスに歩み寄る。

 身長2メートルにも満たないレオニスが、10メートルを超える巨大なドラリシオ・レディー達を相手に、真正面で見据えつつ真上を見上げる。

 しばし無言で対峙していた両者だったが、ほぼ同時にニヤリ……と笑い、その口角を上げる。


『私達の挨拶を、こうも見事に躱すなんて……やはり本物のレオニスね!』

「だぁーかぁーらぁー、俺はいつだって本物だぞ?」

『思ったより元気そうね!もうすっかりヨボヨボになってる頃かと思ってたわぁー』

「いくら人族が短命だからって、たかだか三年会わん程度でそこまで萎びるこたねぇよ」

『そうなの? 私達、人族なんて今までレオニスしか見たことないから、そこら辺ちーっとも分かんないわ!』

「違ぇねぇ!」

「『『()ーッハッハッハッハ!!』』」


 思いっきりふんぞり返りながら、破顔するとともに高らかに大笑いするレオニスと二体のレディー。

 底抜けに陽気な笑い声が辺り一帯に響き渡る。

 あの猛烈な蔓攻撃が挨拶代わりとは何とも物騒な話だが、レオニス達の会話を聞くにこの程度のことはご愛嬌の範疇らしい。

 このレディー達、何気にかなりの脳筋族なのかもしれない。


 そうして互いの健在を喜んだ後、レディー達がふとレオニス以外の者達に視線を遣る。


『ていうか、何だか今日は珍しくお客さんがいっぱいいるのねぇ?』

「ああ、今ここにいる他種族は皆俺の連れだ。俺以外の人族もいるし、妖精族に八咫烏族、水の精霊に水神なんてのもいるぞ?」

『まぁ、それはすごいわね!レオニス、是非とも私達にも紹介して!』

「おお、いいとも。……お、ちょうど開墾が終わったようだから、あいつら自身に自己紹介させてやるか」


 レオニスが各人の解説をしようとしたところで、一番端まで開墾作業をしていたライト達がレオニス達のもとに向かってきていた。


「レオ兄ちゃーん!療養所の土を柔らかくするの、全部終わったよー!」

「おう、お疲れさーん!」

「見て見てー、頑張って畝にしたんだよー!」

「……おおお、確かにすげーな!」


 レオニスが少し目を離した隙に、美しく整地された療養用の畑を見たレオニスが目を見張りつつ絶賛する。

 邂逅を喜ぶレオニス達の横で、ライト達の開墾作業はかなり進んでいた。

 平地の大部分にライトが土魔法をかけて深めに耕し、ラウルが石や岩、古びた木の根を取り除き、アクアが水を撒いて回る。

 その途中、ラウルの提案により畝を立てることにしたのだ。


 畝とは、畑に作物を植えるために筋状に土を盛り上げること。

 筋状に盛り上げた土に種や苗を植えることで、療養中のブルームがどこにいるのか分かりやすくなる、という利点がある。

 大きく広げられた療養用の畑に、幾筋もの畝が均等かつ綺麗に並んでいる。

 これなら、ノーヴェ砂漠で傷付いたブルーム達も快適に過ごせるに違いない。


 しかし、今ここに来たばかりのレディー達には、そこら辺の事情が全く分からない。

 二体のうちの一体、ドラ恵が不思議そうな顔でぽそりと呟いた。


『まぁ……こんなに静養所を広げたの?』

「ああ、これには訳があってな。今からここで、百体のブルーム達が療養に入るんだ」

『えッ!? ブルームが百体!? 何ソレ、一体どゆこと!?』


 レオニスの予想外の解説に、レディー達は『訳分かんない!』という顔をしている。

 そんなレディー達に、レオニスがこれまでの出来事を掻い摘んで話していく。


「実は何日か前に、とある事故によりノーヴェ砂漠という場所で百体のブルームの種が一気に発芽してな。……ああ、砂漠ってのは、土もなければ草木一本生えない、森とは全く真逆の環境の土地のことなんだが……」

「そのノーヴェ砂漠にも固有の魔物がいて、そいつらに全滅させられそうになっていたところを、このラウルがたまたま近くの街を通りがかった時に見つけて保護したんだ」

「でもって、百体のうち、そこにいる四体だけが何とか生き残ってて……魔物達に倒された他の仲間達の蔓や球根、花びらなんかを全部死守してたんだ。死んだ仲間達を、せめてマザーのもとで眠らせてやりたい一心でな……」


 ここまでレオニスが話した時点で、二体のレディーがエグエグと泣いている。

 感情を抑えることなく、ただただ大量の滝涙を流すレディー達。

 久方ぶりに会ったレオニスに対し、容赦なく攻撃的な挨拶を仕掛けてくるような苛烈な彼女達だが、情に篤く涙脆い一面もあるようだ。


『砂漠ゥー? 草木もない砂だらけって、何その信じらんない世界……』

『そんなん、私達ドラリシオじゃ、絶対に生きていけないじゃなーい……』

『なのに、そんな地獄のような世界で……母様に会いたい一心で、懸命に生き残ってきたなんて……グスッ』

『しかもしかも、他の仲間達の身体を全部持ち続けて、守ってきたなんて……何て健気な子達なの……グスン』

『『…………うわぁぁぁぁん!!』』


 感極まったレディー、人目も憚らず号泣している。

 かと思ったら、レオニスが話した四体のブルームに向かってダッシュしていくではないか。

 二体のレディー達は、それぞれ二体づつブルーム達を極太蔓でガバッ!と捕まえて、ギュムッ!と胸元に抱きしめた。


「「「「!?」」」」

『アナタ達は、何て立派なの!?』

「「「「!?!?」」」」

『こんな小さな身体で、私達にすらできないようなことを成し遂げて……』

「「「「!?!?!?」」」」

『アナタ達は、私達ドラリシオ全ての誇りよ!』

『これからは、私達お姉ちゃんがアナタ達を守り癒やしてあげるからねッ!!』

「「「「……(ゥキュゥ)……」」」」


 号泣しながらブルーム達を賞賛し、思いっきりその胸に抱きしめるレディー達。

 だが、レディー達の体躯でレオニスよりも小さなブルーム達を力の限り抱きしめたら、一体どうなるか。

 その結果、ブルーム達はレディー達の腕の中でダウンしてしまった。


 それを見たカティアが、慌てて二体のレディー達を止めに入る。


『ちょちょちょ、ちょっと!貴女達!そんなに強く抱きしめたら、せっかく生き残ったブルーム達が死んでしまうわよ!?』

『……ぇ? ……あらヤダ、ごめんなさい!』

『どどどどうしましょ!ととととりあえず、私達の涙に浸けてみる!?』

『はぁー……そうしてやって……私達レディーの涙では、母様の涙程の効果は絶対にないけれど……それでも何もしないよりはマシだろうから』


 カティアに止められたレディー達、己の腕の中でぐったりとしているブルーム達を見て、あばばばば……と慌てまくっている。

 そんなレディー達に、カティアはアドバイスをしつつがっくりと肩を落とす。そして頭痛でズキズキと痛む頭を、蔓でこめかみを押さえながら呟く。


『というか、万が一にもこんなところでブルーム達を死なせたら……貴女達、母様から大目玉を食らうどころでは済まされないわよ?』

『わ、分かったわ!ブルーム達、お願い!元気になって!』

『私達の涙なら、いくらでも浴びせてあげるから!』

『『うわぁぁぁぁん!!』』


 カティアの指示に従い、レディー達がブルーム達を蔓で捕まえたまま己の左右の頬に当てる。

 レディー達の頬には既に大量の涙が伝っていたが、今度は『ブルーム達を気絶させてしまった』という罪悪感から新たな滝涙を流している。

 わんわんと号泣しながら、ブルーム達を己の涙で水浸しにするレディー達。傍から見たらまるで喜劇にしか見えない図だが、レディー達は至って大真面目である。


 突如目の前で繰り広げられる喜劇に、ライト達はただただ呆然と見守るしかなかった。

 北の里の開墾完了と、第二第三のドラリシオ・レディーの登場です。

 野菜作りと同じ要領で畝を立てるのは、百体ものブルーム達の療養に必須ですよね!(`・ω・´)

 というか、畑に畝を作ることを『畝を立てる』と言うのですねー(゜ω゜)

 念の為にggrksした作者、また一つ賢くなった!゜.+(・∀・)+.゜


 いや、そんなどーでもいいことよりもですね。第二第三のレディー達が、何だか初っ端からおかしな方向に…( ̄ω ̄)…

 一番最初に登場したカティアがお淑やか系だから、第二第三のレディー達もお淑やかにしようと思ったのに!いざ書き始めたら、全然違う方向に走り出したのは何故ーーー!!(ノ`д)ノ===┻━┻


 というか、脳筋どものプチ宴の再来()がどうにも止まらず、挙句レディー達が自己紹介する隙すら全く見つけられず。結果、無理矢理捩じ込むこともできずに未だに『ドラ恵』『ドラ代』のままという_| ̄|●

 次こそは!彼女達の名を出しますぅぅぅぅッ!(TдT) ←敗走

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