第957話 ノーヴェ砂漠での合流
ラウルが飛んでいく後を、ライトを乗せたアクアとレオニスがついていく。
目印となるものが一切ない砂漠の中では、ラウルの魔力感知能力だけが頼りだ。
そしてラウルもマキシ達の魔力を感じる方向を常に把握するために、神経を研ぎ澄ましつつ全速力で飛行している。
その全速力にレオニスが追いついているのは当然のことだが、アクアもまた置いていかれることなく完全に同じ速度で飛んでいけているのが驚きだ。
アクアの成長は力や体格的なものだけでなく、飛行などの基礎身体能力も着実に上がっている。
日々目覚めの湖の中で過ごす、普段の生活ではなかなか実感し難いが、こうした緊急時にこそその成長ぶりがよく分かる。
そうして二十分程飛び続けただろうか。
それまでずっと無言で先頭を飛んでいたラウルが、ここへきて初めて声を上げた。
「マキシ達が見えた!」
「何ッ!? …………あれか!」
ラウルの声に、思わずレオニスも反応する。
そして、ここまで近くに来ればレオニスにもマキシ達の魔力を感じ取ることができたようだ。
そうしてどんどん双方の距離が近づき、とうとうライト達はマキシ達のいる場所に辿り着いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
時は少し遡り、ノーヴェ砂漠での晩ご飯?を食べ終えた三体のドラリシオ・ブルーム。
マキシ達八咫烏への警戒もすっかりなくなり、普通に会話するまでに至っていた。
「フーン、アナタ達モ、森の中ニ、住んでいるのネ」
「うん。ラウルの話では、僕達八咫烏が住む場所と君達ドラリシオの住処は結構近いみたいだね」
「そうなのネ。オ姉チャンハ、そノ、ラウル?のことヲ、知ってタ、ようだけド」
「うン、引き篭もりノ、偏屈プーリア、とカ、言ってたわネ」
「偏屈プーリア……アハハハハ、その通りだけど……って、お姉さんはラウルのプーリアのことを知ってるのに、君達は知らなかったの?」
ドラリシオ・ブルーム達の話に、マキシは一度は笑いながらも不思議そうに尋ねる。
偏屈プーリアとは言い得て妙だが、姉がプーリアを知っていて妹が知らないというのがマキシの中で引っかかったようだ。
すると、彼女達は互いに顔を見合わせ、コクコク、と頷き合っている。
「私達ト、オ姉チャンとでハ、血の濃さガ、全然、違ウ」
「血の……濃さ?」
「そウ、ドラリシオとしてノ、血の濃サ」
「私達ハ、オ母チャンかラ、とてモ、遠くテ、薄イ」
「だけド、オ姉チャンハ、違ウ。私達よリ、もっともっト、オ母チャンニ、近イ」
「だかラ、オ姉チャンハ、腕が多くテ、力モ強いシ、中にあル、記憶の量モ、違ウ」
「私達ハ、覚えていル、ことガ、少ないけド。オ姉チャンハ、たくさんノ、ことヲ、知ってるノ」
ドラリシオ・ブルーム達が語る、自分達と姉の違い。
それらをマキシ達は静かに聞き入っていた。
今目の前にいる三体と、砂地に横たわり眠る一体。
同じドラリシオ・ブルームでも見た目がかなり異なっているのは、マキシ達にも一目見ただけですぐに分かる。
腕の本数や頭と腰の花びらの枚数などは姉の方が多いし、体格も三体の妹達はマキシと同じくらいの背丈なのに対し、横たわる姉はそれより明らかに大きい。立ち上がればレオニスやラウルと同じくらいの身長はあるだろう。
マキシ達も、内心では『この違いや差は、一体何なのだろう?』とは思っていたのだが、どうやらそれは彼女達に言わせれば血の濃さからきているらしい。
血の濃さ、つまりそれはどれだけ直系に近いか、ということだ。
彼女達が『オ母チャン』と呼ぶドラリシオ・マザー。その血を受け継ぐ直系、それに近ければ近いほどドラリシオ・ブルーム達の生まれ持つ力も変わってくる。
そしてそれは単純な力だけでなく、本能レベルで備わる知識量も変わるようだ。
しかし、全てのドラリシオ・ブルームが持つ根源的な本能は、妹の三体とも持っている。
それは『母たるドラリシオ・マザーの居る場所』。それだけは三体にも分かるので、本能が指し示す方向に向かってひたすら旅を続けてきたのである。
「私達ノ、オ母チャンはネ、あっちニ、いるノ」
「だかラ、私達ハ、そこを目指しテ、歩いてるノ」
「あと何回、昼と夜ヲ、越せばいいのカ、分からないけド……」
「それでモ、皆デ、いっしょニ、帰るのヨ」
「「「ネーーー♪」」」
一体のドラリシオ・ブルームが、蔓の腕でとある方向を指し示す。
東西南北すら全く判別できない夜の空の下、その方向が正しいのかどうかマキシ達にも全く分からない。
だが、ドラリシオ・ブルーム達が揃ってその方向を見ている。ならばきっと彼女達の言うことは正しいのだろう。
そして、カタポレンの森に帰ることを願い、互いの顔を見合わせながらニコニコと微笑む三体のドラリシオ・ブルーム。
いつか必ず、故郷にいる母のもとに帰ることができる―――そう信じて疑わない彼女達の笑顔に、マキシ達も思わずつられて微笑む。
ここでふとマキシが横たわるドラリシオ・ブルームの方を見遣ると、彼女が胸に抱いていた仲間達の遺骸の一部が零れて砂地に落ちていた。
夜になり安堵して寝ている間に緊張が緩み、それに伴い腕の力も抜けて零れ落ちたと見える。
彼女達がともに森に帰りたいと願う仲間の遺骸だ、それが落ちたままでは哀れに思ったマキシ。
そそくさと立ち上がり、空間魔法陣から空のバスケットを取り出した。
「ン? マキシ、どうした?」
「あのお姉さんが抱えていた、葉や花びらが横に落ちているので……このバスケットに入れてあげたいんです」
「おお、そうだな。大事な品は、その入れ物に移し替えてやった方がよかろう。その方が、今後の移動も楽になるだろうしな」
「ですね!マキシ、俺も手伝うぞ!」
マキシの謎の行動に、その理由を聞いたフギンもレイヴンも納得する。
早速三兄弟は横たわる姉の横に行き、まずは零れ落ちた遺骸をバスケットにそっと入れていく。
腕の蔓に花びら、球根の欠片、細い根の一部、どれも切れ端が多く、中には乾燥しきって干からびてしまったものもある。
だが、どれ一つとして疎かにはできない大事な遺骸の一部。マキシ達は慎重かつ丁重に扱い、バスケットに収めていく。
ちなみにこのバスケット、先程マキシ達が晩ご飯として食べたサンドイッチが入れられていたものである。
下に落ちた遺骸を全部拾った後は、姉が抱えている遺骸もそっと抜き取り同じくバスケットに入れていく。
取り出せるかどうか分からなかったが、姉の腕の力が存外抜けきっていて思ったより簡単に取り出すことができた。
そうして全部の遺骸をバスケットに入れ終えたマキシ達。上部の蓋を閉めて、トグルボタンにゴム紐をかけてきっちりと閉じた。
「……さ、これで持ち運びが楽になるはずだよ」
「ありがとウ!」
「せっかくここまで来たんだ、姉妹全員で森に帰らねばな」
「うン!」
「そしたら、今度は俺がこの篭を持ってやるからな!」
「よろしくネ!」
姉妹の遺骸が一つの入れ物にまとまり、喜ぶ三体のドラリシオ・ブルーム達。初めて見るバスケットというものに、物珍しそうな様子で蓋や側面を撫でたりしている。
百体ものドラリシオ・ブルーム、その遺骸がこんなバスケット一つに収まってしまったという重たくも悲しい事実が、途轍もない侘しさとなってマキシ達の胸を締めつける。
だが、当の妹達に然程悲壮感は感じられない。ただただ母の元に帰る、それだけを信じて満ち溢れた笑顔でマキシ達に礼を言う。
するとその時、マキシの身体がピクッ、と動き、急に真顔になった。
マキシの異変に気づいたフギンが、心配そうな顔で尋ねる。
「マキシ、どうした? 何かあったのか?」
「…………来る」
「ン? 何が?」
「ラウルがこっちに向かってきてます」
「何ッ!?」
「え、マジ!? どこどこ!?」
マキシの言葉に、フギンもレイヴンもびっくりして周囲をキョロキョロと見回している。
それから程なくして、上から声が聞こえてきた。
「マキシ!」
天から降ってきたその声は、間違いなく聞き慣れたラウルのもの。
三兄弟は皆して一斉に上を見上げる。
ラウルの天空竜革装備は、夜の空に溶け込む漆黒色。普通の者の目には、夜空と区別がつかず全く見えないところだ。
だが、夜目が利く八咫烏達の目には、燕尾服をまとったラウルの姿がはっきりと見えていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あッ、ラウル!おかえり!」
「おお、ラウル殿!」
「おかえりなさいッス!」
空から地に下り立ち、マキシ達のもとに駆け寄るラウル。
マキシ達もまたラウルの声に顔を上げて帰還を喜ぶ。
そこから数瞬後にレオニスとライトを乗せたアクアが到着した。
アクアの背から下りたライトも、すぐにマキシ達のもとに駆け寄ろうとするも、レオニスに手で制止される。
レオニスもカタポレンの森の番人として、彼の森の中をよく知る一人。当然ドラリシオという者達が何たるかをある程度は知っている。
それ故に、まだ向こう側の様子がよく分からぬうちから安易に近づくことを良しとしなかった。
まずはラウルとマキシ達の会話する様子を窺い、それからドラリシオ達の様子を見ていこう、という訳だ。
今の時刻は、午後の八時を少し回った頃。
思っていた以上に早く帰還してくれたラウルに、マキシ達も心から安堵している。
そして、この頃には瀕死だった一体を除く三体のドラリシオ・ブルーム達も目が覚めて起きていた。
全員寝ていて意識がないならともかく、起きているならば初見のライトやレオニスはますます警戒を怠ってはならない。
突如現れたラウルに、ドラリシオ・ブルーム達は一瞬だけ警戒して身構えた。
だが、ラウルが近づくにつれてドラリシオ・ブルーム達の警戒はすぐに解かれた。それは夕方に自分達を助けてくれた、黒い点の一つであることにすぐに気づいたからである。
ラウルの方も、起きて座っているドラリシオ・ブルーム達を見て声をかけた。
「お前達も無事だったか。良かった」
「うん。さっきまで食事をしてて、今はのんびり話をしていたところなんだ」
「食事? …………ああ、そういうことか」
マキシ達の周辺に散らばった、青い蛾の翅や大きな鎌を見たラウル。凡そのことを察する。
ラウルがネツァクに帰還する前に、マキシに向けて『ドラリシオ達に安易に回復剤を与えるな』とは言ったが、食事制限までは言い渡していない。
回復剤に頼りはしないが、これから先のことを思えばここでの食事摂取も必須であることはラウルにも理解できた。
そして、ラウルは三体のドラリシオ・ブルーム達の横にいる瀕死の姉の方をちろりと見遣る。
そちらは横たわったままで未だ寝ている。
ラウルの視線の意味を敏感に感じ取ったマキシが、先制するようにラウルに話しかけた。
「あのね、ラウル。僕達、この子達といろいろお話ししたんだけど。今のところはとてもおとなしくて良い子達だよ」
「……そうか」
「うん、僕達の話すことや言うこともきちんと聞いてくれるし。ね、フギン兄様、レイヴン兄様?」
「ああ。マキシの言っていることは全て事実にて」
「俺もずっとここにいて、一部始終を見てました!マキシの言う通りです!」
二羽の兄に同意を求めるマキシに応えて、フギンもレイヴンもマキシの言を肯定した。
それは、ここにいるドラリシオ達の性格や気質をまだ把握しきれていないラウル達に向けて『この三体は、おとなしくて良い子だから大丈夫!』というアピールである。
ただし、その中に『今のところは』という冷静な分析もちゃんと含まれている。
肝心要の最後の一体、この四体の中で最も強力な力を持つはずの姉の方の気質が不明である以上は、マキシ達も絶対に大丈夫!とは言い切れないことも理解していた。
そしてラウル達のそうした会話を、少し後ろで聞いていたレオニス。
頃合いと見てラウルの横に立った。
「マキシ、護衛ご苦労さん」
「あ、レオニスさん!来てくれたんですね、ありがとうございます!」
「うちの執事のたっての頼みだからな。フギンもレイヴンも、この慣れない砂漠の中でよく頑張ってくれた」
「いいえ、我が弟とともに当然のことをしたまでです」
「そうですよ!このくらいのこと、何でもないッス!」
レオニスからの労いに、マキシ達もはにかみながら嬉しそうに答えている。
するとここでマキシが、レオニスの後からついてきたライトとアクアの存在にも気づいた。
「ライト君も来てくれたんですか!? ……それに、アクア君まで来てくれるなんて……」
「……ン? あの、水竜のような姿をした御仁は……?」
「何やらすんげー高貴な感じがする御方ッスね……?」
初めて見るアクアの姿に、フギンとレイヴンが早速反応している。
マキシはアクアと何度も会っていて互いに知っている仲だが、マキシ以外の八咫烏はまだ一度もアクアにあっ会ったことがない。
なので、二羽はアクアが何者なのか全く分からないのだが、それでもアクアから漏れ出る高貴なオーラを敏感に感じ取っていた。
そんな二羽の兄達に対し、マキシが早速アクアを紹介する。
「フギン兄様、レイヴン兄様、改めてご紹介いたします。こちらは目覚めの湖に住まう水神アクア様。僕は敬意を込めて、愛称の『アクア君』と呼ばせてもらっています」
「おお、全ての水を司る水神でいらしたか!」
「水神様……俺、シア様やツィちゃん様以外の神様って、初めてッス……」
肩から毛布をかけたまま、ガバッ!と跪いて畏まるフギンとレイヴン。
そんな彼らに、アクアは明るい声で話しかける。
『そんなに畏まらなくてもいいよー。……って、このままじゃ僕の声は聞こえないか』
アクアはフギン達に優しい声で話しかけるも、はたとした顔になる。
そのままでは自分の声がフギン達に届かないことに気づいたのだ。
するとアクアが前肢をフギンの頭に翳し、続いてレイヴンの頭にも同じく前肢を翳す。
『これで僕の声が聞こえるかな?』
「……!! アクア様」
『アクア君』
「うぐッ…………アクア君、の声が聞こえます!」
「俺にもちゃんとアクア君の声が聞こえるッス!」
アクアが前肢を翳した直後から、アクアの声が聞こえるようになったフギンとレイヴン。
それまで二羽の耳には、アクアの声は『クルクルマキュモキュ』としか聞こえなかったのだが。アクアが加護のようなもの?を与えたおかげで、きちんと言語として捉えられるようになったようだ。
そして、高位の存在に対し様付けで呼ぼうとして当人?にダメ出しされるのも、もはやお約束である。
『君達、マキシ君のお兄さんなんでしょ? マキシ君は僕の友達だし、ライト君やレオニス君、ラウル君も大事な友達なんだ。だから、マキシ君のお兄さんの君達も僕の友達だよ』
「有り難き幸せに存じます!」
『うん、そんなに畏まらなくてもいいからね』
「あざーッス!」
『うん、これくらい順応性が高いのも珍しいよね。でもそれは、とても素晴らしいことだよ』
フギンとレイヴンの性格の真逆っぷりに、アクアがくつくつと笑う。
その一方で、三体のドラリシオ・ブルーム達はいつの間にかその身を寄せ合いながら怯えていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『……ああ、ごめんね。君達の知らない者がたくさん押しかけてきて、びっくりしてるよね』
ドラリシオ・ブルーム達の怯えように、真っ先に気づいたアクアが申し訳なさそうに彼女達に声をかける。
その声に、マキシやラウルが慌ててフォローに回る。
「あ、気づかなくてごめんね!そうだよね、突然人が増えたらびっくりしちゃうよね!」
「俺も気づけなくてすまなかった。だが、皆そんなに怖がることはない。この人達は、お前達を助けるためにここに来てくれたんだ」
「私達ヲ、助けル、ためニ……?」
「そう、この砂だらけの砂漠からカタポレンの森に、お前達全員を今すぐ連れていってくれる人達だ」
「「「…………ッ!!」」」
ラウルの言葉に、三体のドラリシオ・ブルーム達の目が大きく見開かれていく。
数多のドラリシオ・ブルーム達が倒れ傷つきながらも、必死に求め続けた故郷の森。彼女達が何日も何日も歩き続けて、なお未だに届かぬ悲願の地に『今すぐ』連れていってくれると言うではないか。
ドラリシオ・ブルーム達が驚くのも無理はない。
それは俄には信じ難いことだが、今彼女達の目の前にいる者達―――アクアやレオニスから強大な力を感じるドラリシオ・ブルーム達。
その力があれば、あるいはもしかしたら本当に、自分達の願いを叶えてくれるのかも……という思いが、彼女達の中に芽生え始めていた。
戸惑いの表情を隠せないドラリシオ・ブルーム達に、レオニスが穏やかな声で話しかける。
「ラウルの言う通りだ。ここにいるアクアは、その水神の力で世界中のどこにいても目覚めの湖に瞬間移動することができる。目覚めの湖というのは、カタポレンの森の中にある湖でな。そこに行くということは、つまりはカタポレンの森に帰るのと同じことになるんだ」
「「「…………ッ!!」」」
レオニスの解説に、ドラリシオ・ブルーム達はますます息を呑む。
レオニスの話が本当なら、先程言っていた『今すぐ森に帰る』ということも実現可能だ。
そして今彼女達の目の前にいる者達は、誰一人として嘘をついているようには見えない。
そんな迷いの中、一体のドラリシオ・ブルームがその口を開いた。
「本当ニ……私達ヲ……森ニ、連れていっテ、くれるノ……?」
「ああ、本当だ」
「ソコにいル、オ姉チャンモ、いっしょニ、連れていっテ、くれル?」
「もちろん。四体とも全員、いっしょに連れていくから安心しな」
「オ母チャンノ、ところニ、帰れル……?」
「ああ。今日はもう夜だから、目覚めの湖に帰ってそのまますぐに送り届けるってのはさすがに無理だが……それでも明日明後日のうちには、必ずドラリシオの群生地に送り届けると約束しよう」
ドラリシオ・ブルームがおそるおそる聞いてくる数々の問いかけに、その全てを肯定するレオニス。
澱みなく答えるレオニスの声には、一片の迷いもない。
その迷いの無さ、力強さがドラリシオ・ブルーム達の心に大きく響いていく。
「……分かっタ」
「私達ヲ……オ姉チャント、いっしょニ……連れていっテ」
「お願イ……」
レオニスに向かって、小さな声を絞り出すようにお願いするドラリシオ・ブルーム。その腕の中には、先程マキシ達と詰め直した仲間の遺骸入りのバスケットが大事そうに抱えられている。
そしてその潤んだ瞳から、あっという間に涙がポロポロと零れ落ちる。
ドラリシオ・ブルーム達の嗚咽が、夜のノーヴェ砂漠の静寂の中静かに響き渡っていた。
アクアを連れたライト達と、ノーヴェ砂漠にいるマキシ達の合流です。
よくよく考えたら、フギンやレイヴンってアクアとまだ会ったことがないよな?等々の事情により、今日も文字数嵩みまくりです!><
でもねー、初対面でいきなり阿吽の呼吸で行動をともにするというのはほぼ不可能ですし。ここはきちんと挨拶を交わしておかなければね!(`・ω・´)
ようやく生き残りのドラリシオ・ブルームと合流できたライト達。
そろそろ今回の事件も大詰めを迎えつつありますが、彼女達が一日も早く無事故郷に帰れることを願ってやみません。




