第934話 竜騎士達の修行と帰還
中位ドラゴン達がウィカと遊んでいる間に、レオニスと竜騎士達はのんびりと休憩しがてら様々な話をしていた。
「で? 今日は七日目で、ここにいる全員ようやくっつーか目出度くラグナロッツァに帰還する訳だが。研修の成果はどうよ?」
「おかげさまで、我等全員それなりに強くなったと思います!……いや、もちろんまだまだレオニス卿には遠く及びませんが」
「ええ……先程の模擬戦においても、我等六組が総掛かりで獄炎殿達に挑みましたが……未だに一頭も倒せず終いでしたからね」
「ここへ来て、我等は思い知りました。ラグナロッツァで過ごす日々が、如何にぬるま湯であったか、ということを……」
レオニスの問いかけに、竜騎士達は意気込んだり落ち込んだりしている。
確かにここシュマルリ山脈南方での日々は、ラグナロッツァでの毎日とは全く違うものだろう。この大自然の中には、大陸一の大国の首都らしい華やかさもなければ便利さの欠片もない。
風呂もなければベッドもない、食事だって野営向けの質素かつ簡単なものばかりだし、とてもじゃないが貴族の子息令嬢達が過ごすような環境ではない。
だがそれでも、彼らはかなり満ち足りていた。それは彼らの充実した表情を見れば手に取るように分かる。
竜騎士団とは、首都ラグナロッツァの護衛の要である。
街を守る壁の向こうに常にある様々な脅威、あるいは壁の向こう側からでなくとも、国家元首一族を狙う不届きな輩がいつ何時襲撃してくるか分からない。
そうした脅威から大事なものを守るためには、兎にも角にも各々が強大な力を得ていかなければならない。特に今回のような研修は、まさに彼らが強さを得る絶好の機会だった。
彼らとて騎士の端くれ、強さを求める意欲は人一倍ある。そしてその欲求が満たされるくらいには、自身達の成長と手応えを如実に実感しているようだ。
それでもまだまだレオニスの足元にも及ばない、と謙遜するディラン達に、レオニスが笑いながら話しかける。
「でもよー、獄炎達四頭を同時に相手取っての模擬戦で、怪我をしなくなるくらいには立ち回れるようになってきたんだろ?」
「はい。先程も、かれこれ三十分くらいは戦っていたのですが。最初の頃に比べたら、回復魔法を唱える回数はかなり減りました」
「そりゃいいことだ。回復作業が減れば、その余力や時間を攻撃や防御に回せるってことからな」
「ええ。それに、空中戦での連携の精度も日々高まっております」
「そりゃますますいいことだ。空中戦に限らず、集団での戦闘において良好なチームワークは必要不可欠だからな」
竜騎士達が語る成果に、レオニスも心から喜び賛辞を送る。
だが次の瞬間、レオニスがとんでもないことを言い出した。
「そしたら、もう少しで獄炎達も倒せるんじゃね?」
「え"!? ぃゃぃゃぃゃぃゃ、そんなのまだまだ当分先の話ですって!」
「そうですよ!今だってまだ防御だけで精一杯だというのに……」
「レオニス卿、無茶言わんでくださいよ!」
レオニスの言うような未来『そろそろ中位ドラゴンも倒せるんじゃね?』という言葉に、竜騎士達が揃って慌てて否定する。
実際先程の模擬戦でも、竜騎士達は防御に徹していて反撃に出る余裕などほとんどなかったくらいだ。
そう、強大な竜族を複数相手に、たかだか一週間程度の修行で勝てる程世の中甘くないのだ。
「そうかー? お前ら、実はかなり謙虚なんだな?」
「……(そういう次元の問題じゃない)……」
「つーか、獄炎には水、氷牙には雷、鋼鉄には炎、迅雷には重力当てりゃかなり効くぞ?」
「……(そういう次元の問題でもない)……」
「ま、魔法出すのが面倒くさけりゃ拳でぶん殴りゃいいがな!」
「……(ダメだ、こりゃ)……」
レオニスが語る『対竜族必勝法』に、ディラン他竜騎士達全員がスーン……とした顔になる。
するとそこに、ウィカを連れた獄炎竜他中位ドラゴン達がレオニス達のもとにやってきた。レオニスの言葉の中に、獄炎やら迅雷等々入っていたので、自分達が何か呼ばれたと思って寄ってきたようだ。
「何カ、呼ンダカー?」
「おう、こいつらにお前らに勝つ方法を教えてたところだ」
「アンダトゥ!?」
「こいつらだって、これからもっともっと強くなるからな。お前らだって、油断してたらすぐにこいつらに負けるぞ?」
「ザケンナ、コンニャロメー!」
「ソウダ、ソウダ!竜族ヲ、舐メンジャネーゾ!」
レオニスの返事に、思わず気色ばむ中位ドラゴン達。
だがその声音はそこまで強い口調ではなく、心底怒り狂っている訳ではない。
それはひとえに、中位ドラゴン達が未だにレオニスに勝てていないせいだ。
中位ドラゴン達は誇り高き竜族故に、レオニスに媚びるまでには至らない。
しかし、竜族はもとより自然界に生きる者。貴族だの平民だのと身分に拘る人族以外の全てに共通する、絶対的な『弱肉強食』という掟がある。
この弱肉強食の理に従えば、本来なら中位ドラゴン達は皆レオニスに屈し服従しなければならないところだ。
それをせずに未だ両者が対等な関係を保っていられるのは、勝者にして強者であるレオニスの慈悲深いお情けがあればこそ。そのことを、中位ドラゴン達も内心では理解していた。
するとここで、氷牙竜が真面目な顔で持論を切り出した。
「テイウカナ? 俺ハ、コレマデ、毎日、ディラン達ト、何度モ、戦ッテキテ、分カッタ、コトガ、アル」
「ン? 何だ?」
「ソレハダナ。俺達ハ、ヤハリ、強イ」
「そりゃまぁそうだろうな? 何だかんだ言っても、お前らが桁違いに強いことは間違いない事実だし」
氷牙竜の言葉に、レオニスも頷きつつ同意する。
確かに彼らは等級的には中位だし、その上には絶対的な力を持つ竜の女王、白銀の君がいる。
だが、そうした規格外の存在と比較すること自体が間違いなのだ。
氷牙竜には氷牙竜の強さがあり、他の三頭様だってそれなりにちゃんと強いのだ。
「ソウソウ、レオニス、以外ノ、人族ニハ、負ケテネェシ」
「ツーカ、レオニス。オマエノ、ソノ、強サガ、オカシイ」
「ソウソウ、オマエガ、一番、オカシイ」
「オマエ、ヤッパ、人族ジャネェダロ?」
何と中位ドラゴン達は、レオニスの規格外の強さに口々に文句を言い始めた。
四頭のあまりの言い草に、怒り心頭のレオニスが即時反論する。
「あァン? お前らこそふざけんなよ? 俺の姿や背格好をよく見やがれ、何処からどう見ても人間だろうが!」
「嘘ツケ!魔族ダッテ、コンナニ、強ク、ネェワ!」
「うっせー!人族舐めんじゃねー!」
レオニスとの対戦で負けを喫する度に、レオニスに対して人外生物扱いする中位ドラゴン達。とうとうレオニスを魔族扱いし始めたではないか。
プンスコと怒る両者、それはあわや一触即発の空気にしか見えない。
それまでレオニスの横にいたディラン達が、目に見えておろおろし始めた。
「こ、これ、どうやって止めればいいんだ……?」
「仲裁に入ったら、両方から殴られそうなんですが……」
「喧嘩を止めるのすらも、命がけになるとは……」
いきり立つレオニス達を、どう止めていいものか分からない竜騎士達。
下手に仲裁しようものなら、両陣営からボコられて瀕死に至りそうだ。
かといって、このまま両者の諍いを放置しておくのはもっとマズい。流血沙汰にでもなったら、それこそ収拾がつかなくなる。
どうしたものかとディラン達が悩んでいると、そこに救世主が現れた。迅雷竜の肩に乗っていたウィカが、双方の間にストッ、と降り立ったのだ。
まずウィカは、中位ドラゴン達に向かって苦言を呈する。
『ドラゴンの皆、レオニス君のことをあまりいじめちゃダメだよ? レオニス君は、こう見えて本当に人族なんだからさ』
「ウィ、ウィカチャン……」
「ウィカチャンガ、ソウ、言ウナラ……」
大好きなウィカに、軽く窘められた中位ドラゴン達。レオニスに向けていた威勢は一体どこへ失せたやら。
一転してしゅん……とした中位ドラゴン達を見たウィカは、今度はレオニスに向かって身体を向き直しつつ声をかける。
『レオニス君も、ドラゴンの皆のことを許してあげて? 皆、レオニス君がとても強いことをよく知っているからこそ、あんなことを言っちゃうんだと思うよ?』
「ン……まぁ、ウィカの頼みとあらば聞かん訳にはいかんな。俺もウィカにはいつも世話になってるし」
『分かってくれてありがとう!レオニス君って、ホント優しいよね!』
「そ、そうか? それ程でも……」
ウィカの嘆願を聞き届け、中位ドラゴン達の無礼を不問にしたレオニス。
その判断をウィカに褒められて、何やら照れ臭そうにしている。
ただでさえ可愛らしい糸目笑顔のウィカに手放しで褒められれば、レオニスでなくとも誰でもきっと気を許してしまうだろう。
何とか危機回避できたことに、周囲でただ見ているしかできなかった竜騎士達は、心から安堵する。
「ウィカ殿がここにおられて、本当に良かった……」
「さすがウィカ殿。その愛らしい笑顔だけで、いとも簡単に仲裁してしまわれるとは……」
「この中で最もお強いのは、ウィカ殿であったか……」
不穏な空気が消えて安堵に満ちたと思われた、その瞬間。
その場にいた者達全員の背筋に、強烈な悪寒が走る。
そして全員が一斉にガバッ!と真上を見上げた。
その強烈な感覚は、強者が近づいてきた時に感じるもの。彼らが見上げた空の先にいたのは、眩いばかりの白い輝きをまとった竜の女王―――白銀の君であった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それまでのんびりのほほんとだらけていた中位ドラゴン達は、一気にしゃんと背筋を伸ばして彼らの女王を出迎える姿勢になる。
それはディラン達竜騎士も同じで、各々相棒の飛竜の横に急いで並び全員が頭を垂れて白銀の君への敬意を表す。
「おう、白銀、お疲れ」
『おや、レオニス、来ていたのですか。……ああ、そういえば今日はそこにいる人の子等が帰る日でしたね』
「そうそう、それで俺がお迎えに来たんだ。東の方の警邏はどうだった?」
『特に異常は見受けられませんでしたよ』
「そっか、そりゃ良かったな」
竜の女王を前に畏まりまくる中位ドラゴン達や竜騎士達と違い、唯一普段と変わらぬ態度で白銀の君に接するレオニス。
如何にレオニスと言えど、白銀の君と戦って勝てるとは到底思えないが、力関係の上下に拘ることなく全てに分け隔てなく接することができるのがレオニスの最大の美点かもしれない。
そして白銀の君が、レオニスの来訪で竜騎士達の帰還を思い出してか、ディラン達に声をかけた。
『ディランにエレオノラ、ルーベンにブルーノ、ミリアム、そしてハンク。今日までよくぞこのシュマルリ山脈での修行に耐えましたね。その強い志と精神力は見上げたものです』
「「「!!!!!」」」
白銀の君から一人一人の名を呼ばれたことに、竜騎士達は全員即座に顔を上げた。
彼らがここに来てからほんの一週間しか経っていないというのに、白銀の君は竜騎士達全ての名をちゃんと覚えているのだ。
しかもそれぞれの名を覚えただけではなく、一週間の滞在を労う言葉までかけてもらえるとは―――ディラン達が感動に打ち震えるのも無理はなかった。
「竜の女王からお褒めの言葉をいただけるとは……光栄の極みに存じます」
「しかも、我等一人一人の名までお呼びくださって……」
「この感激は、一生忘れません!」
「我等に稽古をつけてくださり、本当にありがとうございました!」
「いつか必ず、このご恩を返しに再びこの地に参ります!」
「討滅戦で皆様方の足を引っ張ることのないよう、これからも精進いたします!」
皆口々に白銀の君への礼と感謝の言葉を述べている。
レオニスが彼らから聞いた話によると、白銀の君の鍛錬はかなりキツいものだったそうだ。
いや、実際に模擬戦などの直接戦闘を行った訳ではない。ただひたすらに、白銀の君が発する圧に耐える訓練をしていたのだという。
研修初日は設営その他で何事もなかったが、二日目の朝から白銀の君の稽古が始まった。
一番最初の時なんて、白銀の君が一睨みしただけで竜騎士はおろか相棒の飛竜達も含めて全員がその場で卒倒したという。
普段から白銀の君をよく知る鋼鉄竜達は何とか堪えたが、それでも身体の芯からくる震えが止まらぬままディラン達の介抱?をしていたそうだ。
そこから三日目、四日目と過ぎていき、五日目にしてようやく白銀の君の圧に十分間耐えられるようになったという。
これは、脆弱な人族にしてはものすごく頑張った成果だ。
恐怖心に打ち勝つというのは、口で言うほど簡単なことではない。自分よりもはるかに強大な力を持つ者を前にしたら、人族でなくても何もかも放り捨てて逃げ出したくなるものだ。
それを堪えて対峙し続ける。その胆力は、戦場において最も効果を発揮するだろう。
戦闘の訓練は中位ドラゴン達と研鑽を積み重ね、戦場で冷静さを保つための胆力は白銀の君に鍛えられた竜騎士達。
彼らの目覚ましい成長は、精悍さを増した彼らの一人一人の表情からも十分に見て取れた。
ディラン達の晴れやかな顔つきに、白銀の君も満足げな様子で頷く。
『では、帰る前に我が君に別れのご挨拶をしに行きましょう』
「「「はい!!」」」
白銀の君の提案に、ディラン達は一も二もなく喜びながら頷く。
竜騎士達は全員、早速相棒の背に乗って早々に飛び立った白銀の君の後をついていく。
一方レオニス達は、いつものお約束のあみだくじ抽選会をしていた。
「オイッ、レオニス!早ク!早ク、アミダクジヲ、描イテクレ!」
「おう、分かった!」
「急ゲ!アマリ、遅クナルト、白銀ノ君ニ、ドヤサレチマウ!」
「ちょっと待てって!………………よし、できたぞ!とっとと好きな線を選べ!」
「今日コソ、ウィカチャンニ、当テテ、モラエマスヨウニ!」
中位ドラゴン達に急かされて、いつもより大雑把な線を急いで地面に描くレオニス。
雑なあみだくじが出来上がり、四本の線を四頭がそれぞれ選んで線の端の前に立つ。
反対側の線をウィカとレオニスが選び、それぞれタタタッ!と走り線の先に向かう。
『……はい、今日は鋼鉄君だね。よろしくね!』
「ヤッターーー!」
「獄炎、よろしくな!」
『……クッソー……』
抽選の結果、本日の大当たりは鋼鉄竜、大ハズレは獄炎竜と決まった。
あまり遅くなると白銀の君にどやされることが分かっていながら、それでも中位ドラゴン達はこの『誰がウィカとレオニスを乗せるか決定戦』をどうしてもやらなければ気が済まないようだ。
「さ、早いとこ皆でラグスんとこに行くぞ!」
「「「「オウッ!」」」」
レオニスとウィカを乗せた中位ドラゴン達の群れは、急いで竜王樹ユグドラグスのもとに向かっていった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『竜騎士の皆さん、ようこそいらっしゃい』
「いと尊き竜王樹にお目通りが叶い、恐悦至極に存じます」
『そんな堅苦しい挨拶は不要ですよ。皆さんがこの七日間、とても頑張っておられた姿を僕もここから見ていましたから』
「我等のような弱き者にも、このようにお優しい言葉をかけてくださって……本当に嬉しいです!」
『僕もたくさんの人や飛竜達と会えて、本当に楽しかったです。皆さん、またいつでもここに遊びに来てくださいね』
「「「ありがとうございます!」」」
レオニス達がユグドラグスのもとに辿り着いた頃には、既にディラン達は互いに感謝と思い遣りの言葉を交わしていた。
神樹と人族と飛竜の心温まる場面を、白銀の君も満足そうに見守っている。
そしてようやく現れた中位ドラゴン達とレオニスを、横目でちろりと見遣る。
『其方達、来るのが遅いですねぇ……一体何をしていたのです?』
「ン? いや、それはこいつらが、いつものあみだくじをせがムゴゴゴゴ……」
来るのが遅い!と暗に軽く咎めてきた白銀の君。
それに対し、レオニスがシレッと本当のことを言おうとしたところを迅雷竜に素早く身体ごと握られて口を抑えられた。
「ス、スミマセン!俺達、マダ、低ク、飛ブノガ、上手クナクテ……」
『仕方ないですねぇ……其方達もより上手に飛べるよう、今後は飛行の鍛錬を多くこなすように。邪竜の島の討滅戦においても、それらは役に立つはずですからね』
「「「「ハイッ!」」」」
「……(モゴゴゴゴ)……」
白銀の君に対し、『あみだくじ抽選会をしてたから、ここへの到着が遅くなりました!』とは口が裂けても言えない中位ドラゴン達。
何とか上手く誤魔化しおおせて、皆ほっと一安心である。
もっとも、未だに迅雷竜の右手にムンズ!と掴まれたままのレオニスにしてみれば、たまったものではないが。
レオニスが必死に両手でベシベシベシベシ!と迅雷竜の手を叩く。
その手が緩んでようやく解放されたレオニスは、はぁーッ!と大きく息を吸い込む。
「迅雷!お前、俺を窒息死させる気か!?」
「オオ、ソノ手ガ、アッタカ!」
「ソノ手ガ、アッタカ!じゃねぇ!洒落んなってねぇぞ!」
「ハハハ、スマン、スマン!ソノ、詫ビニ、今日ノ、見送リ役モ、俺ガ、飛ボウ」
「ならいいが……ったく、お前ら本当に俺を人族扱いしてねぇな?」
ブチブチと文句を言うレオニスに、レオニスの余計な口を封じることに成功した迅雷竜が笑いながら見送り役を買って出る。
これからディラン達は、初日に利用したシュマルリ山脈中央部の転移門まで飛竜とともに飛んで移動しなければならない。
その見送りには、当然レオニスも護衛兼案内役として付き添わなければならない。
そのための移動を誰に頼むか、まだ決まっていなかったのだが。迅雷竜が乱暴な口封じの詫びとしてその役を買って出たことで、迅雷竜に乗っていくことが確定した、という訳だ。
ギャースカと煩いレオニス達の騒がしさに、白銀の君は顔を歪めて渋い顔をし、ユグドラグスは堪えきれずにくつくつと笑い声を漏らす。
その間にディラン達は再び相棒の飛竜達の背に乗り、ふわりと宙に浮いた。
それを見たレオニスも急いで迅雷竜の背に乗り込み、迅雷竜もふわりと宙飛んだ。
「ユグドラグス殿、白銀の君殿、そして獄炎殿に鋼鉄殿に氷牙殿。七日間、本当にお世話になりました」
「またいつか、皆様方にお会いしに参ります!」
「どうぞ皆様方もお元気で!」
「またお会いしましょう!」
明るい顔で手を振りながら別れの挨拶をかけるディラン達に、ユグドラグスの枝葉はザワザワと揺れ動き、白銀の君も穏やかな笑顔とともにその背の翼をピコピコと動かしている。
後に残る獄炎竜達の「マタナー!」「オマエラモ、元気デナー!」「マタ、遊ビニ、来イヨー!」という見送りの声を受けながら、竜騎士達はレオニス&迅雷竜とともに飛び立っていった。
竜騎士団長ディラン率いる研修第一班の帰還です。
一週間の間に行われた修行風景は、事細かく書いてはいませんが。それなりに厳しい修行を積み重ねていたことは間違いないです。
ていうか、それをまた細かく書いてたら三話も四話も増えてシマウマな事態になりかねんので…( ̄ω ̄)…
主役のライトや準主役のレオニス、ラウルならともかく、竜騎士達の修行の詳細まではいらんよね☆てことで、修行の合間や帰還直前の風景のみを出すことに。
つーか、それだけでもう7000字超えてるし><




