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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
新しい生活

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925/1681

第925話 三つの来訪理由

 作者からの予告です。

 作者都合により、明日の8月11日から8月14日まで更新をお休みさせていただきます。

 ちょっと長めのお盆休みとなってしまいますが、何卒ご了解くださいませ。

 ロレンツォの案内で、ルティエンス商会の奥を進むライト。

 暗く長い廊下を歩きながら、軽く雑談を交わす。


「先日お買い上げいただいたスキル類などは、あれからお役に立っていますか?」

「はい!『紫の写本』に入っていたスキルの『マッピング』は、自分が指定した場所に瞬間移動できてすっごく助かってます!あと、『幻のツルハシ・ニュースペシャルバージョン』も、ヴァレリアさんに使い方を教えてもらいまして。こないだ初めて幻の鉱山に行ってきました!」

「そうですか、それはようございました」


 先日ライトがルティエンス商会で購入した【お役立ちアイテム詰め合わせセット】。

 それらの使い心地?をロレンツォから尋ねられたライトは、思わず興奮気味に大絶賛する。

 そんなライトを見つめるロレンツォ。その眼差しはとても柔らかくて優しい。


 実際CPという課金通貨を使って購入しただけあって、それらのスキルやアイテムの有用性は計り知れない。

 詰め合わせセットの中には【髪型変更チケット・ツインテール】や【金糸雀色の香炉】というハズレも含まれてはいたが、それらを差し引いてもなお莫大なお釣りが来るくらいには大当たりを引けた!とライトは思っている。

 ここで得たマッピングと幻のツルハシ・ニュースペシャルバージョンは、今後のライトの活動に欠かせないものとなるだろう。

 それを思うと、本当にロレンツォには感謝しかない。


「やっぱりCPで購入できるアイテムって、ホントにすごいんだ!って実感しました」

「そうでしょうとも。CPという貨幣には、それだけの価値があるのです。何よりライトさんにこんなに喜んでいただけたら、猛烈に推した私としてもオススメした甲斐があったというものです」

「それもこれも、全てロレンツォさんのおかげです!本当にありがとうございました!」

「いえいえ、そんなに礼を言われる程のことでもありませんよ。我々NPCとは、勇者候補生の方々を影に日向にお支えすることこそが使命なのですから」


 ライトの礼の言葉に、ロレンツォは静かに微笑む。

 ロレンツォもまたヴァレリアのように、己のことを『NPC』と称している。ロレンツォにも自分がBCOのNPCであるという自覚があるようだ。


 そんな話をしているうちに、客間の扉の前に辿り着いた。

 ロレンツォが扉を開けて、ライトを中に通す。

 そこは前回ライトがCPの使い道について、ロレンツォに相談しに行った時と同じ部屋だった。


「今お茶をお出ししますので、そちらの席に座ってお待ちください」

「あ、どうぞお構いなく」


 部屋の中央にある応接セットのソファにライトが座り、ロレンツォは部屋の端に置いてあったワゴンのもとに行きお茶を用意する。

 しばらくしてロレンツォがワゴンで二人分のお茶とお茶菓子を運んできた。

 ライトの前に一組、そして向かい側にも一組のティーカップが置かれ、お茶を用意し終えたロレンツォがライトの真向かいに座る。


「さて、本日のご用向きは何でしょう?」

「えーとですね、今日ロレンツォさんを訪ねたのは三つほど理由がありまして」

「ほう、そんなにたくさんのご用向きがあるのですか?」

「はい。まずは先程もお話しした、詰め合わせセットのお礼ですね。他にも二つ相談したいことがありまして」

「まずはお聞きしましょう」


 来店理由が三つもあると聞いたロレンツォが、興味深そうな目でライトを見つめる。


「一つ目は、ルティエンス商会にマッピングの登録ポイントを設置したいんです。そうすれば、ロレンツォさんのところにももっと気軽に訪ねることができて、いろんなお話もできるかな、と」

「ほう、当店をマッピングのポイントに指定していただけるとは……実に光栄なことですね」

「では、登録ポイントにすることを許していただけますか?」

「もちろんですとも」

「ありがとうございます!」


 ロレンツォの即時快諾に、ライトが満面の笑みで頭を下げて礼を言う。

 そして頭を上げてすぐにその先のことを話し合う。


「そうすると、どこを登録ポイントにすればいいですか? お店の方は、他のお客さんがいることもあるだろうからマズいですよね?」

「そうですねぇ、当店の表の店にも鍛冶屋向けの強化素材を求めるお客様がたまにいらっしゃいますからねぇ……」

「でも、今いるような亜空間とかにはポイント設置できないんですよね? ヴァレリアさんがそう言ってましたし」

「私はスキルのことは詳しくないので、あまりよく分かりませんが……ヴァレリアさんがそう仰るならば、きっとそうなのでしょう」

「「ぬーーーん……」」


 ロレンツォにマッピングの登録ポイントを承諾してもらったはいいが、どこにそのポイントを設置するかが問題だ。

 店の中だと他の客がいた場合鉢合わせてしまうので、絶対にそれは避けたい。

 かと言って、今ライト達がいるような亜空間は登録ポイント設置不可だとヴァレリアは言っていた。

 ヴァレリアがそう断言するならば、それは間違いなく真実なのだろう。


 そうなると、どこに登録ポイントを設置すればいいのか、ライトにはさっぱり思いつかない。ロレンツォが設置できそうな場所の候補を挙げるのを待つのみである。

 ロレンツォはしばらく考え込んだ後、徐に口を開いた。


「……でしたら、店の裏側に倉庫があるのですが。その横にあるちょっとした隙間の敷地は如何でしょう? 」

「倉庫があるんですか? それは初めて知りました」

「お客様にお見せするような場所でもございませんしね。それに、そこなら他のお客様の目に触れることもないでしょう」

「分かりました。後でお店に戻った時に、その場所を見せていただけますか?」

「もちろんです」


 ロレンツォがオススメしたのは、店の裏側にあるという倉庫の横のちょっとした空き地。

 そこならば客も立ち入らないし、ロレンツォもそこから誰か来たらライトだとすぐに分かるという利点もある。

 実際にどのような場所であるか、またその広さはどの程度のものなのか、後で現地を見せてもらうことになったライト。

 そして話題は三つ目の相談事に移る。


「さて、そしたら三つ目のご相談とは何でございましょう?」

「実はですね……ぼく、シルバースライムを預けられる場所を探してるんです」

「シルバースライム……ですか?」


 ライトの思いがけない話を聞いたロレンツォが、不思議そうに首を傾げている。

 確かにロレンツォがすぐに理解できないのも無理はない。彼が日頃から取り扱うのは魔物由来の素材であり、魔物そのものに直接触れたり対峙したりすることはないだろうから。

 故にライトもその理由を語っていった。


 クエストイベントのエクストラページの出現により、シルバースライムの素材が必要なこと、それを手に入れるためにシルバースライムを飼いたいこと。人知れずシルバースライムを飼うための場所を探していること等々。

 ライトの話を静かに聞いていたロレンツォも、難しい顔をしながら唸る。


「ふむ……転職神殿を頼ることも難しいのですね」

「はい……スライムにとって竜は心底怖い存在らしくて……転職神殿にはぼくの四番目の使い魔である黄金龍のルディがいるので、スライムと同居させることは不可能なんです」

「しかし……当店も魔物を飼う環境にはありませんし、私自身魔物を飼い慣らしたことなどございませんから、私からは何ともお答えしようがありません」

「ですよね……」


 ロレンツォの尤もな回答に、ライトも俯きながら肩を落とす。

 このサイサクス世界には、竜騎士団や翼竜牧場、スライム飼育場といった魔物を飼い慣らしている環境は確かに存在する。

 だがそれは極一部の特殊な事例であって、一般人や平民はそもそも魔物を飼い慣らそうという考えは持たない。

 そう、スライムを飼いたい!と思うライトが異端過ぎるのだ。


 そうだよねー……スライムをこっそり飼うなんて、やっぱ無理があるよねー……

 でも、そしたらどうしよう。『銀色のべたべた』を入手できない限りは、エクストラクエストを完遂することはができないし……

 シルバースライムを飼う以外の方法を考えなくちゃならんかな……


 ライトが内心で鬱々と考えていると、ロレンツォが声をかけた。


「それならば、ヴァレリアさんに一度ご相談してみては如何でしょう?」

「……ヴァレリアさんに相談、ですか……?」

「ええ。サイサクス世界広しと言えど、あの方ほどBCOを知り尽くした御仁は他におりますまい」

「確かに……」


 ロレンツォの言葉に、ライトは頷きつつ懸命に思考を巡らせる。

 ヴァレリアならば、ライトが挑んでいるクエストイベントのことも知っているだろうし、その攻略のためのヒントを尋ねれば答えてくれるかもしれない。

 もし答えてくれなかったとしても、その時はまた別の方法を考えればいい。何ならダメ元で四次職マスターのご褒美としてねだってみたっていい。


 そう考えたライトは、パッ!と顔を上げてロレンツォに礼を言った。


「そうですね、ヴァレリアさんは『紫の写本』のスキルやツルハシの使い方なども教えてくれましたし。今度会った時に相談してみます!」

「是非ともそうしてみてください。ヴァレリアさんなら、きっとライトさんの力になってくださることでしょう」

「はい!」


 スッキリしたライトの明るい表情に、ロレンツォも思わず綻ぶ。

 ロレンツォがどこまでヴァレリアのことを知っているかは分からないが、彼もまたヴァレリアに対して絶大な信頼を寄せていることが、今のライトとの会話でよく分かる。


「では、今から当店へのマッピングポイントの登録をなさいますか?」

「あ、はい!倉庫横の空き地というのを是非見せていただきたいです!」

「では早速参りましょう」

「はい!よろしくお願いします!」


 部屋を出ていくということで、適温に冷めたお茶をクイッ!と飲み干すライト。

 そして二人は客間から出て、店の方に戻っていった。

 ライトのルティエンス商会訪問理由が明かされる回です。

 でもって、本日の前書きにも既に告知しましたが、明日から四日間更新をお休みさせていただきます。

 マッピングの登録ポイント設置もまだ終わってないし、何ならラウルのお迎え再登場だってまだできてないのに。中途半端なところで中断してしまうことになり、本当に申し訳ございません……


 ですが、先日出した活動報告の中でも書きました通り、今年の作者は怒涛のお新盆ラッシュが確定しておりまして……

 父方の伯父二人に父方従兄弟という、身内とも呼べる近親者だけで三件のお新盆。他にも母の関係でいくつか回らなければならない箇所もあり、お盆のうちに五件以上のお新盆回りを控えておりまして。

 明日からそのための買い出し等々あり、特にお盆入りの13日や14日は正直スマホを弄る暇すらほぼないと思います。


 そんな訳ですので、今回のお盆休みだけは何卒ご容赦ください。

 夏休み中の学生諸君はもちろんのこと、お盆期間中はお休みの社会人の方々も多いと思います。

 お休みの皆様方も、そしてお休みでないサービス業の方々も、どうぞ熱中症などにお気をつけてお盆をお過ごしくださいませ。

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