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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
新しい生活

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第870話 御礼のマカロンタイム

 レオニスの要望通り、レオニス、ライト、マキシに加護をつけていくドライアド達。

 四十体くらいが手を繋いで輪となり、輪の中心にいる者に向けて加護を付与していく。加護の付与も二回目となれば、それなりに手際も良くなるというものだ。


 ドライアド達は百体以上いるので、レオニス、ライト、マキシの三人分を別々の場所に立たせて一気に付与していった。

 ということは、加護を与える作業はドライアド一体につき一回だけ。

 先程の労使交渉時のドライアド達の言い分『三回も加護を与えたら、すっごーく疲れちゃうかも!』という条件には当て嵌まらないことになる。

 しかし、その程度のことで『契約違反だ!』などと詰め寄るような、野暮な真似をする者はいない。


 ライト達三人が加護を付与してもらっている間に、ラウルは泉の畔で敷物を敷いたりして休憩兼御礼の場を設ける支度を進めている。

 そして加護を付与する作業が終わった後、早速ライト達は試しに周辺の木に植物魔法をかけてみた。

 これはかつてラウルが【ドライアドの加護】を付与してもらった直後に、成功の可否を確かめるためにした実験と同じ手法である。


「おおお……木の葉っぱがモリモリ増えていくぞ……」

「ぼくの方もわっさわっさに増えてるー!」

「こっちも木の幹が一回り太くなりました!」


 植物魔法の成果の凄まじさに、ライト達は驚きを隠せない。

 そんな三人に、少し離れた場所にいるラウルが声をかけた。


「おーい、ご主人様達よ、ドライアド達が報酬を待ち侘びてるぞー」

「おお、そうだな、ドライアド達をあまり長く待たせても可哀想だな。ライト、マキシ、行くぞ」

「うん!」

「はい!」


 ラウルに呼ばれた三人は、早速ラウルのもとに向かっていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「「「「いッただッきまーーーす!」」」」

『『『『いッただッきまーーーす!』』』』


 敷物の上に座り、全員で食事の挨拶を唱和する。

 ライト達に倣い、胸の前で両手を合わせて挨拶をするドライアド達。マカロンを前にしてニッコニコの笑顔と相まって、何とも愛らしい仕草である。


「ドライアドの皆、お疲れさん。さ、約束通り報酬をたくさん用意したぞ。好きなだけ食べてくれ」

『『『わーーーい♪』』』


 ラウルの言葉に、ドライアド達が両手を上げて万歳しながら喜ぶ。


 ドライアド用に用意された敷物の中央には、一際大きな山盛りのマカロンの皿が三つ置かれている。

 一個を十字の四つ切りにカットされた、色とりどりのミニマカロン。ピラミッドのように堆く積まれたそれは、まるで宝の山のようだ。

 食事の挨拶の後、ドライアド達は早速マカロンのピラミッドを取り囲む。


 苺、ブドウ、桃、メロン、オレンジ、キャラメル、チョコレート、ミルク等々、様々な味のマカロンが混ざっている。

 だがその色を見れば、それが何味かが一目で分かる。なので、ドライアド達はそれぞれに好きな味のマカロンを選んでは口に運び、まくまくと美味しそうに頬張っている。


『ンーーー、久々のマカロン美味しーい!』

『私、このキャラメルが大好き!』

『私はミント!』

『全部好きー!』


 皆口々にラウル特製マカロンを大絶賛しながら、二つ目、三つ目とどんどん食べている。

 そんなドライアド達の様子を、ライト達も微笑みながら眺めている。


 ちなみにライト達が食べているのはマカロンではない。

 マカロンはドライアド達の大好物なので、この場で食べるのは憚られるためだ。

 ライトはカスタードクリームパイ、レオニスはシュークリーム、マキシはたい焼きを頬張っている。


 そうしてしばらくおやつタイムを過ごしたライト達。

 ドライアド達も思う存分マカロンを食べて、お腹がまん丸になっていた。


『ぷはー……食べた食べたぁー』

『もうお腹いっぱーい』

『これ以上食べられなぁーい。……ケプー』


 地面にベタ座りしながら、丸くなったお腹を手で擦り時折ゲップするドライアド達。

 しばらく休んでいたかと思うと、のそのそと起き出して泉の方に向かって這い這いしていく。


『さ、木の皆にも美味しいお水をお裾分けしないとねー』

『木の皆も、マカロン味のお水が大好きだもんねー』

『こんなに美味しいマカロンですもの、木の皆だって待ち侘びてるわ』


 いそいそと泉に向かい、ちゃぽん☆と泉の水に肩まで浸かるドライアド達。それはまるで温泉に浸かる小猿にしか見えない。

 ちなみにこのドライアド達の行動を見たことがあるのは、ライト達の中ではラウルだけ。

 ドライアド達の行動を不思議そうに見ていたライト達に、ラウルが解説し始めた。


「ドライアド達のあれはな、天空島の木々に水を与えているんだと」

「へー、そうなんだ?」

「何でもこの天空島の木々はドライアド達と繋がっていて、ドライアドの身体を通して泉の水を分配しているらしい」

「あー、だからあんな風にお風呂に浸かるようにしてるんだね!」

「そゆこと。特にドライアド達がマカロンを食べた後の水は、天空島の木々にとってもご馳走並みに美味しくて喜ぶんだそうだ」

「だろうねー。ラウルのマカロンは美味しいもんね!」

「お褒めに与り光栄だ」


 ラウルの解説に、ライトやマキシが大きく頷きながら納得している。

 そうして五分くらい経過した後、ドライアド達が泉から上がってきた。

 さっきまでまん丸だったお腹は、すっかり凹んで元通りになっていた。


『さ、木々の皆にも美味しいマカロン水をご馳走したことだし!』

『今度は私達の分を食べるわよー!』

『ラウル、おかわりよろしくねー!』

「おう、任せとけ」


 マカロンタイムの第二ラウンドに意欲を燃やすドライアド達に、ラウルも正々堂々と受けて立つ。

 既に空になった三枚の皿を集めて、空間魔法陣から取り出したカット済みのマカロンを再び山と積んでいくラウル。

 そう、ラウルの辞書に『品切れ』という言葉はないのだ。


 こうしてライト達は、ドライアド達と安らぎのひと時を過ごしていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ドライアド達のマカロンタイム第二ラウンドも無事終えたライト達。

 休憩も十分に取れたことだし、そろそろ次の行動に移らねばならない。


「さ、ぼちぼち次のエルちゃんのところに移動するか」

「うん!」


 敷物や使用済みのカップなどを仕舞うライト達。

 再び満腹になって満足そうに寝転がるドライアド達に、ラウルが声をかけた。


「俺達はこれから天空樹のエルちゃんのところに行くが、ドライアド達はどうする? いっしょに行くか、それともここで昼寝しとくか?」

『ンーーー……エルちゃん様のところに行きたいけど、もうちょっと休みたぁーい……』

「そうか、じゃあここでゆっくり休んでな」

『うん、そうするぅ……』

『後で気が向いたら、エルちゃん様のところに行くねぇ……』


 大好きなマカロンをお腹いっぱい食べたせいか、どのドライアドも眠たそうな声で返事をしている。中には既に眠っているドライアドもいた。

 眠たいところを無理に起こしても可哀想なので、そのまま寝かせてやることにしたライト達。

 彼女達を起こさないように、そっとドライアドの里から離れてユグドラエルのもとに向かっていった。

 今日は日中忙しくて、ほとんどスマホ弄りできませんでした…(=ω=)…

 おかげで文字数少なめですが、キリの良いところでの区切りということでご容赦くださいー><


 さて今回は、ドライアドの加護の付与作業とその御礼のマカロンタイムです。

 天空島に里を形成しているドライアドの数は、約百五十体程度。島にある木々はそれ以上の本数があるので、水遣りはドライアド一体につき二本~三本を担当しています。

 そして、ドライアド一体につき二個のマカロンを食べるとすると、一回のご褒美マカロンタイムで三百個は消費する計算に。

 第二ラウンドを含めたら、六百個ものマカロンが必要になる勘定ですが。作中にも書いた通りラウルの辞書に『品切れ』という言葉はありません。

 【ドライアドの加護】という貴重な力を授けてくれたドライアド達に、存分な礼を尽くさねばなりませんからね(`・ω・´)

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