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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
新しい生活

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第858話 予想外の数値

 ライトがマッピングスキルの移動ポイント『転職神殿/地点B』を押した次の瞬間。

 ライトの目に地点Bの景色が映る。

 そして、肝心要のミーアの方はどうなったかというと―――


『ラ、ライトさん……』

「……成功……ですか、ね……?」


 ライトと繋いだミーアの手の温もりそのままに、ミーアもライトとともに地点Bに移動していた。

 手を繋いだまま、ボーッ……と前を見ていたライトとミーア。二人は自然と顔を見合わせ、無言のまま互いに視線を交わす。

 そんな二人のもとに、実験成功を目の当たりにしたヴァレリア達が駆け寄ってきた。


「おおおッ!これはすごいね!大成功じゃないか!」

『主様、ミーアお姉様、すごいですーーーッ!』

『パパ様、成功おめでとうございますーッ!』


 大喜びの三人が、満面の笑みでライトとミーアを取り囲む。

 きゃいきゃいと賑やかな祝福に、それまで呆然としていたライトとミーアにも実験成功の喜びがじわじわと沸き起こってきた。


『……ライトさん、おめでとうございます』

「ミーアさんも実験に協力してくれて、ありがとうございます!」


 互いに祝福と礼を言い合うライトとミーア。

 そこに、実験成功に気を良くしたヴァレリアがライトに声をかける。


「さぁさぁライト君、休んでる暇はないよ!もっともっと実験していこう!」

「ささ、次はライト君とミーアは手を繋いだままで、ミーナはミーアと手を繋いでみてー」

「それが成功したら、その次はルディがミーナと繋がるんだよー」


 あれもこれも実験してみたいヴァレリアが、どんどん実験を取り仕切っていく。

 それらの実験は、ヴァレリアでなくともライトも知っておきたいところなので、テキパキと取り仕切ってくれるのはライトとしてもありがたい。

 そうしてしばらくの間、五人で様々なマッピングスキルの実験を繰り返していった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「はーーー……皆、お疲れサマンサねー」

「ヴァレリア先生もお疲れさまでしたー」


 ヴァレリアの気が済むまで様々な実験を繰り返した後、五人は休憩としてお茶と茶菓子を囲んでいた。

 もちろんそれら諸々の物資は全てライトの提供である。

 疲れを癒やさなければならない程疲れてもいないが、これまでの実験を振り返るにはゆったりとした空間で過ごすのが最適というものだ。


 大きな敷物を敷き、ライトにヴァレリア、ミーアとミーナの四人が敷物の中でそれぞれ楽な姿勢で座っている。

 黄金龍のルディだけは身体が大き過ぎて敷物の中には座れないが、それでもちゃんとルディの分の茶菓子を置くスペースは取ってある。

 ルディは敷物の横におとなしく座り、ルディの席の横にいるミーアとミーナが時折お菓子を差し出しては食べさせてあげている。

 姉二人が弟の世話を甲斐甲斐しくする姿は実に微笑ましく、日頃から仲睦まじい姉弟であることが窺える。


「いやー、実に有意義な実験だったよ。ミーア達も協力してくれてありがとうね!」

『いえいえ、そんな……ヴァレリアさんやライトさんには、日頃からお世話になっているのですから。これしきのことでお役に立てるなら、いくらでも協力させていただきます』

『そうですよ!私達だって、主様やヴァレリアさんのお役に立ちたいですもの!ねぇ、ルディ?』

『はい!姉様達といっしょに、僕も皆の役に立ちたいです!』


 ミーア達転職神殿の面々に礼を言うヴァレリアに、ミーア達もまた口を揃えて『役に立てて良かった』と言う。

 NPCのミーアはともかく、ミーナとルディはライトが得た使い魔の卵から生まれたライト専用の使い魔だ。

 BCOでは使い魔と直接会話することはできなかったが、このサイサクス世界ではこうして会話をしたり食事をともにすることができる。

 これはライトにとって、とても嬉しいことだった。


 ああ、ミーナもルディも、こんなに立派に成長してくれて……

 初めはミーアさんが寂しくないように、と思ってこの転職神殿で使い魔の卵を孵化させて、ミーアさんにその後を託したけど……この子達をミーアさんに預けて、本当に良かったな。

 ミーアさんには育児を丸投げした形で申し訳ないけど、三人で仲良く暮らしていけているようだし。

 俺もミーナ達の生みの親として、これからもいろいろ頑張らないとな!


 ライトは転職神殿の姉弟達の仲睦まじさを眺めつつ、しみじみと感慨に浸る。

 するとここで、ヴァレリアがライトに声をかけた。


「あ、ライト君、お疲れサマンサなところを悪いんだけど。たくさんお菓子を食べる前に、一つ確認してもらいたいことがあるんだ」

「え? 何でしょう?」


 ヴァレリアの突然の要請に、ライトはそれまでクッキーを食べていた手を止めた。


「それはね、ライト君。君のステータス画面を開いて、各種ステータス値を見せてほしいんだ」

「あ、はい、今開きますね」

「美味しいおやつを食べてる最中なのに、本当にごめんねー。ほら、ライト君が持ってくるおやつってどれも美味しくて、HPやMPの回復効果もあるでしょ? おやつをたくさん食べてすぐに全回復しちゃったら、実験でどれだけHPやMPを消費したか分からなくなっちゃうし」

「そうですよねー」


 ヴァレリアの論に頷きながら、ライトは早速マイページを開く。

 マイページを開くと一番最初に出てくる画面、いわゆるトップページの中にはユーザーの簡易ステータスが表示される。

 表示されるステータスは、ユーザー名、レベル、現在のHP、MP、SPなどだ。

 そしてHP、MP、SPは現在値とMAX値の両方が表示される。


 早速ライトはトップページのステータスを確認した。

 その数値は、以下の通りであった。



 ====================



【名前】ライト

【レベル】25

【職業】聖祈祷師

【職業習熟度】88%

【称号】勇者

【状態】通常

【HP】3849/3849

【MP】8789/9943

【SP】120/148

【BP】−

【所持金】1875900G

【CP】468CP



 ====================



 この簡易ステータスを見たライトが、思わず呟いた。


「……あれ? MPとSPがかなり減ってる……?」

「ン? そなの? どれどれ?」


 ライトが思わず洩らした呟きに、ライトの横にいたヴァレリアが身を乗り出してライトのマイページを覗き込んだ。

 そしてライトのステータス値を見ながら、ヴァレリアも「……ふむふむ……なるほど……」と小声でブツブツ呟きながら考え込んでいる。


 ライト達がこれまでにしたマッピングスキルの実験は、全部で十回。

 一回目はライトとミーア、二回目はライトとミーアとミーナ。

 三回目はライト、ミーア、ミーナ、ルディの四人、四回目にはヴァレリアも加わり五人で手を繋いでの移動。これらは全部瞬間移動に成功した。

 他にも手繋ぎではなく、他の四人がライトの背中や腕、脚など様々な箇所に触れた状態でも四回試してみた。こちらも全部成功している。


 そして九回目には、飛行要素も加えてみた。

『ルディがミーアとミーナ、ヴァレリアを背に乗せて飛行しながら、ライトと手を繋ぐ』という図式である。

 これは成功したが、十回目の『他の四人を背中に乗せたルディが地点Bの上に立ち、ルディの背中にいるライトがマッピングスキルを発動する』は失敗に終わった。マッピングが発動せずに、地点Bから瞬間移動しなかったのだ。


 これらのことから、『ライトの身体に触れていればOK=同行可』『服の上からの接触でも可』『マッピングスキルの発動にはライト自身が登録ポイントの上に立っていることが絶対条件』であることなどが分かったのである。


 これらの実験で、ライトがマッピングスキルを発動して成功したのは九回。

 マッピングの使用SPは1、使用MPは30なので、消費SPは9、消費MPは270になる。

 これに実験後の休憩時間中の自然回復(SPは一分につき1回復、MPは10回復)を加えると、MPはともかくSPは全回復していそうなものなのに、そうなってはいなかった。それどころか、MPが1000以上も消耗しているではないか。

 予想もしていなかったステータス値の減少具合に、ライトは全く訳が分からなかった。


 そんなライトの横で、しばらく考え込んでいたヴァレリア。

 彼女の中で、ようやく考えがまとまったのだろう。ヴァレリアはライトに向かって新たな提案をした。


「……よし。そしたらこのおやつを食べ終えた後、また実験をしよう。それではっきりと分かるはずだから」

「分かりました。次はどんな実験をするんですか?」

「さっきもやった実験の一つだけど。ここにいる全員、五人まとめての移動をしよう。そしてその時には、ライト君のMPとSPを全回復させておくんだ。そうすることで、五人で移動した時の消耗量が分かるよ」

「そうですね……マッピングの使用前と使用後で、MPとSPの減った量を算出できますね!」

「そゆこと☆」


 ヴァレリアの提案に、ライトも即時受け入れた。

 ステータス値が全快状態で、五人同行のマッピングを実行。実行直後にステータス値を確認すれば、減少したステータス値を把握できる。

 その数値から、マッピングの本当の消耗値を割り出そう!という訳である。


「さ、そしたら皆でもう少しのんびりお茶をしながら過ごそうか。ライト君のSPも三十分もすれば満タンに戻るしね」

「ただし、自然回復でMP1000以上満ちるのを待つのはさすがに長過ぎるから、ライト君にはこれを飲んでもらうとしよう」


 ヴァレリアが空間魔法陣を開き、中から一本のセラフィックエーテルを取り出してライトに渡した。

 もちろんライトも承諾し、受け取った瓶の蓋を早速開けてセラフィックエーテルをコクコク、と飲んでいく。

 それからまた三十分の間、ライト達は麗らかな日差しのもと様々な話をしてゆったりとした時間を過ごしていった。

 ライトのマッピングスキル検証その二です。

 二話前の後書きにて『ライトのステータス出せなかったー>< そのうち出せたらいいなー』なんて書きましたが。思ったより早くに出せました。

 というか、マッピングのステータス消耗量の謎解きのためには、嫌でも今回出さなければならなくなってしまったという(´^ω^`)


 というか、ライトのステータスを出すのは第243話以来という、正真正銘のご無沙汰ぶり。あまりにも久しぶり過ぎて、ステータス値設定に四苦八苦する有り様><

 ホントはもうちょいこまめに出した方がいいかなー、とは思うんですが。いや、こまめといっても、実際にできて200話か300話に一度くらいの頻度でしょうけど。

 でも、この手の数値って流し読みどころか目が滑りがちなパートだよなぁ……と作者は思ってしまうんですよねぇ。それに、これ一つ提示するだけで150文字近く使うし。

 キャラのチートぶりを誇示するには、ステータス値開示が一番手っ取り早い方法ではあるんですが。なかなかに扱いが難しいところです。

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