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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
様々な出会い

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第75話 ラウル特製昼食

 ライトとレオニスは、ラグーン学園を出た後真っ直ぐにラグナロッツァの屋敷に帰った。

 ラウルが三人分の昼食を作って、待ってくれているはずだからだ。


「ぼく、ラウルの作るご飯は初めてだから、すっごく楽しみー!」

「そうだなー、俺も大昔に何回か食って以来久しぶりだなぁ」

「おやつだってあんなに美味しく作れるんだから、ご飯だってきっと絶対に美味しいよね!」

「だろうな、昔食べたのも結構美味しかった覚えあるから、今日も楽しみだな」


 そんな会話を交わしながら、ライトとレオニスは屋敷の門を潜り邸宅に入る。

 二人はそれぞれ事前に用意しておいた、ラグナロッツァ邸宅の自室に入り、荷物を置いたり着替えたりしてから食堂に入る。

 テーブルには既に、三人分の食事が用意されていた。


「お、ご主人様達、おかえりー」

「ラウル、ただいまー。なんか、すっごくいい匂いがする!」

「おう、今日はライトの初登校日だからなー、その記念に腕によりをかけて美味しいもん作ったぞー」

「わーい!ラウル、ありがとう!」

「とはいえ、昼食だからそんなにガッツリ重たいもんじゃなくて、軽めのものにしといたけどな」


 ライトとラウルがそんな会話をしていると、レオニスが食堂に入ってきた。

 三人はそれぞれテーブルにつく。


「お、今日のは何だ、パエリアか?」

「正解。海産物たっぷりのパエリアに、ラザニアとサラダとデザートにプリンだぞー」

「早く食べたーい!」

「じゃ、皆で挨拶な」

「「「いっただっきまぁーす」」」


 早速ラウル特製昼食を皆で食べる。

 海の幸たっぷりの熱々パエリアに、ミートソースとホワイトソースがこれまた絶品の熱々ラザニア、口直しのさっぱりとしたサラダ、どれもこれもとても美味しかった。

 出来たての熱々なので、ライトはふぅふぅと冷ましながら食べている。


「レオ兄ちゃん、ラウルのご飯美味しいね!」

「ああ、美味いな!ラウル、お前また料理の腕上げたなぁ」

「お褒めに与り光栄です、ご主人様達」


 やはり、複数人数で食べる賑やかな食事というのは楽しいものだ。一人より二人、二人より三人、食事の会話が弾めば楽しさもより増すというものだ。

 もっとも、生まれながらの貴族なら、食事中に喋るなどはしたないとかマナー違反とかになるのだろうが。


 だが、そこは幸いにしてライトもレオニスも平民の生まれ。ラウルに至っては人間ですらない、妖精である。

 よって、普段の食事ならば貴族のマナーなど無縁にして気にしなくてもいいのだ。キニシナイ!


 美味しい食事の後は、美味しいデザートが待っている。

 三人はあっという間にパエリアやラザニア、サラダをペロリと平らげ、デザートタイムに突入する。

 ラウルがデザートのプリンを用意している間に、ライトはレオニスに問うた。


「レオ兄ちゃん、午後はどうするの?」

「そうだなー、特にこれと決めてはいなかったが、お前は何かしたいこととかあるか?」

「んー、そうだなー、どうしよう……この家の近所の散策とかどう?」

「この辺なんて貴族の邸宅しかねぇから、散策してもつまらんぞ?」


 そういやそうでした。ここら辺て基本貴族の住むお屋敷街だったね。当然お店なんてもんはないことを、すっかり忘れてました。


「ああ、そうだね……んじゃ、カタポレンの森で少しだけ修行しよっかなぁ」

「お、ライト、自分から修行とはまた見上げた心意気じゃないか」

「うん、当分は学園に慣れるので手一杯で、カタポレン戻ってからまた修行する気力や暇があるかどうかも分かんないしさ」

「そうか、だが毎日の筋トレと森の中のジョギング30分は、学園通ってても必ず続けてもらうがな?」

「うはぁ……大変そうだけど、頑張るー」

「そうそう、それくらいこなせないと一流の冒険者になんてなれないぞ」


 そう、学園生活を通して知識や常識を身につけたり、人との交流を持つことも大事だが、やはりライトにとって一番大事なことは超一流の冒険者になることなのだ。

 何もこの世界に限ったことではないが、力がなければ自分の守りたいものも守れないのだから。


 なのでライトは、冒険者になるための修行を開始してから筋トレと森の中でのジョギングは毎日欠かさずに続けていた。

 そのジョギング中に、斥候のスキル『不意打ち』を使用して職業習熟度もちまちまと積み重ね続けていたりもしている。

 何しろ『継続は力なり』なのだ。


「……あ、そういえばレオ兄ちゃん、そろそろ魔石の回収日じゃない?」

「ああ、明日か明後日には回るつもりでいるが」

「そしたら、今日は魔石のもとになる水晶の採掘に行かない?水晶のストックがぼちぼち減ってきた、とかこないだ言ってたでしょ」

「そういやそうだな、水晶の補充しとかなきゃならんかったわ」

「じゃ、今日の午後はそれで決まりね」

「了解、んじゃデザート食ってひと休みしたら、カタポレンの家に戻るか」


 二人の午後の予定が埋まった瞬間だった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ラウルもたまには、カタポレンの森に里帰りするー?」

「いや、俺は遠慮しとくわ」

「カタポレンの森に、会いたい友達とか家族とかいないの?」

「家族なんざ今更だし、どうでもいいが……友達なぁ、全くいないってこたぁないが。俺、基本的にぼっちでも全然平気だしなぁ」


 ぼっちでも全然平気、と言い切るラウル。だが、それでも友達と呼べる存在は一応いるらしい。


「そっかー。まぁ、気が乗らないうちは無理に帰ることもないしねー」

「そうそう、俺はこの屋敷の留守番で忙しいの」

「留守番て、忙しいもんなの……?」


 デザートのプリンを食べながら、ライトはラウルに話しかける。

 午後は早々にカタポレンの森に帰るという話の流れから、ラウルに里帰りの話を持ちかけてみたのだが、あっさりと拒否された。

 まぁ、それもそうか、とライトは内心思う。

 レオニスとの出会いの話を聞く限りでは、ラウルはカタポレンの森にあまり馴染めなかったようだし。


 だが、それでもカタポレンの森はラウルの生まれ故郷であることに変わりはないし、ライトにとっても大事な場所なので、ラウルもいつかはカタポレンの森の良いところを見つけて好きになってもらえたらいいなぁ、と願うばかりである。


 デザートを食べ終え、ライトとレオニスは自分が食べた分の食器だけ下ろして、二階の宝物庫に向かう。

 二階の宝物庫の中は、前回よりも更に家具類が充実していた。

 その空間はもうすっかりライトのための部屋と化しており、もはや宝物庫の体を成していない。


「ラウル、お見送りありがとうね!あと、この部屋の家具もまた整えてくれたんだね、ぼくのためにありがとう!」

「どういたしまして、小さなご主人様。他に何か必要なものがあったら、またいつでも言ってくれ」

「うん、ラウル大好き!」


 着実に第二のレオニスまっしぐらなラウル、すっかりライトに甘々なお兄ちゃんと化している。

 そんなラウルに、素直に大好き!と言いながらお腹のあたりに抱きつき、好きの表現をその小さな全身で表すライト。

 そんな仲睦まじい二人の横で、ギリギリと歯ぎしりしている人が若干一名いるようだ。


「ちょっと待て、ライト!ライトの一番好きは、俺だよな!?」


 己の顔を指差しながら、ライトに抗議するレオニス。執事の妖精相手に、一体何をムキになっているのか。

 甚だ謎ではあるが、ライトはきょとんとした顔でレオニスの方に向く。

 かと思えば、ラウルからパッと離れて、今度はレオニスに抱きつく。


「そんなの当たり前じゃーん!」


 満面の笑みとともに、勢い良く抱きついてきたライトに、それまで歯ぎしりしていたのはどこへやら。レオニスは途端に相好を崩す。

 ライトはそのまま足まで組み絡ませ、木にしがみつく子猿状態になる。


「だから、今日はこのままカタポレンの森の家に転移してー!」


 眩しいくらいにニコニコとして、無邪気な笑顔でおねだりするライト。

 ライトのその反則的なまでに愛らしい挙動に、思いっきり胸を射抜かれるレオニス。

 仰け反るレオニスの、グッハァ!という小さな呻き声とともに、ズギューーーン!という効果音がどこからともなく聞こえてきた、気がする。


「お、おう、じゃ、このままカタポレンの森に帰るぞー!」

「おー!」


 いそいそと転移門に入るレオニスと、握り拳にした片手を挙げて元気に掛け声を発するライト。

 そんな二人のやりとりを、ラウルは半ば呆れ顔をしつつも笑いながら見送っていた。

 今日もライトは元気に子猿モード全開です。

 まぁねぇ、小さな子供時代なんてあっという間に過ぎていくもんですからねぇ。可愛らしい子猿でいられるのも、今のうちだけの期間限定!ってなもんです。

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