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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
初めての夏休み

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第744話 天空島再訪

 ライトが転職神殿の面々と楽しいひと時を過ごした翌日。

 ライトとレオニス、ラウル、そしてマキシとともに四人で天空島に行くことになった。

 天空島に行く理由は二つ。『神鶏ヴィゾーヴニルに礼を言う』のと『天空樹ユグドラエルの様子を見に行く』の二点である。

 どちらも先般起きた神樹襲撃事件の事後処理の一環である。


 四人は朝イチでカタポレンの家に集合することになっている。

 ライトが家の外の畑に水遣りをしていると、ラウルとマキシがラグナロッツァの屋敷から移動してきて外に出てきた。


「ライト君、おはようございます!」

「あ、マキシ君、おはよう!ラウルもおはよう」

「小さなご主人様、おはよう。今日も野菜の水遣りしてくれてありがとうな」

「ううん、これがぼくの毎朝の仕事の一つだからね!」


 ライトが木製バケツに入った水を、畑の野菜の根元にかけながらラウル達と朝の挨拶を交わす。

 ちなみに畑への水遣りの水は、バケツ一杯の水にハイポーション一瓶とハイエーテル一瓶を混ぜたものを撒いている。ベースの水はライトが水魔法で生み出した水だ。

 回復剤は肥料としての役割を持っていて、回復剤の黄金比率1:1で投入してからよく混ぜている。この肥料成分入りの水を与えることにより、カタポレン産の野菜はより大きく、より美味しく実るのだ。


 ラウルとマキシも畑の水遣りを手伝っていると、レオニスが森の警邏から戻ってきた。


「お、ご主人様もおかえりー。森の警邏ご苦労さん」

「あ、レオニスさん、おはようございます!」

「おう、ラウルにマキシもおはよう。もうこっち来てたのか、早いな。朝飯は済ませたのか?」

「おう、向こうで食ってきた」

「そうか、じゃあすぐに出かけられるな。畑の水遣りが終わったら、風呂場に集合な」

「はーい」


 ライトとレオニスも既に朝食を食べたので、出かけようと思えばすぐに出かけられる。

 水遣り完了後に風呂場に集合するようレオニスが言ったのは、今回もウィカに水中移動で天空島に連れていってもらう予定だからだ。

 いつもはウィカがいる目覚めの湖まで、ライト達が出向くところのだが。今日はいろいろと予定が詰まっているので、目覚めの湖への移動時間すらも惜しいのだ。


 数分後にライト達が風呂場に行くと、そこにはレオニスの他にも既に浴槽の上にウィカがちょこんと座っていた。


「あッ、ウィカ、おはよう!朝からありがとうね!……って、レオ兄ちゃんがウィカを呼んだの?」

「おう、俺の呼びかけにも応じてくれるようになったぞ!」

「そうなんだ……レオ兄ちゃんって、ホントにすごいね!」

「そ、そうか?」


 ライトは『使い魔であるウィカが、主であるライト以外の者の頼み事を受け入れた』ことに驚愕している。

 何故ならBCOにおける使い魔とは、主以外のプレイヤーと接点を持つことが一切ない。故に、主以外の他者からの命令や頼み事を受けるという前例も事例も全くないのだ。


 なのに、レオニスはウィカとの度重なる交流により、頼みを聞いてもらえるくらいには親しくなった。これはライトにとって驚くべきことだ。

 だがBCOとは違って、サイサクス世界の使い魔達は他者との交流がちゃんと行える。それは、ウィカだけでなくカーバンクルのフォルや黒妖狼のラニを見ても明らかだ。

 そう考えると、ゲームでは味わえない様々な交流を経て使い魔達も成長していけるこの世界の素晴らしさ、無限に秘めたる可能性にライトは内心で感動していた。


 ライトの絶賛に、正直レオニスは何故褒められているのかさっぱり分からない。

 だが、レオニスも褒められて悪い気はしないので、照れ臭そうにウィカの方に向きながら話しかける。


「……でもまぁな、ウィカと俺はシュマルリ山脈をいっしょに旅した仲だしな!」

『うん!レオニス君は、ライト君の次に仲良しの人族だもんね!ねー♪』

「ねー♪」


 糸目の笑顔のウィカにつられて、レオニスもいっしょになって「ねー♪」とニコニコ笑顔で返事をしている。

 照れ隠しの笑顔とはいえ、レオニスにしては珍しいことに妙に可愛らしい笑顔である。


「そしたらウィカ、早速だが俺達を天空島のドライアドの泉に連れてってくれるか?」

「うん!お安い御用だよ!」

「いつもありがとうな」


 レオニスのお願いに、ウィカが快く応じる。

 レオニス、ライト、ラウル、そして八咫烏の姿に戻ったマキシが手を繋ぎ、レオニスがウィカの手を握る。

 何故マキシがわざわざ八咫烏の姿に戻るかというと、これにはちゃんとした理由がある。

 マキシだけはまだ水の女王からの加護を得ていないので、移動先の水中で濡れてもいいように必ず八咫烏の姿に戻ることにしているのだ。


 そしてウィカが能力を発動し、全員の身体が浴槽の中の水に吸い込まれていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 カタポレンの家の浴槽の水に吸い込まれてから数瞬後。

 ライト達は、森の木々に囲まれた美しい泉の中にいた。

 ここはドライアドの里の中心にある、天空島の名も無き泉である。


 泉の真ん中から現れたライト達に、泉の中や森の木々の上にいたドライアド達が速攻でわらわらと寄ってきた。

 彼女達は普通にプライベートタイムを過ごしていたので、その姿は約15cm前後の本体モードである。


『あら!ラウルじゃない!いらっしゃい!』

『前にラウルといっしょに来た人族もいっしょね!』

『まぁ、新しいお連れさんはカラスなの?』

『『『カラスさん、初めまして♪』』』


 三頭身の幼女姿のドライアド達が、新顔のマキシを早速取り囲む。何気に新しもの好きのようだ。


 ひとまず泉から陸地に上がるライト達。

 マキシもすぐに人化の術で八咫烏の姿から人の姿に変わる。

 それを見たドライアド達はびっくり仰天である。


『まあ!貴方、カラスなのに人の姿にもなれるの!?』

『あんなにむっちりまんまるだったカラスが……』

『こんなにすっきりとした美少年になるなんて……一体何事!?』


 ドライアド達が心底度肝を抜かれたように、唖然としながらマキシを見つめている。

 マキシの人化した姿は、現代日本でいうところの中学生男子くらいの年齢に見える。いわゆる『紅顔の美少年』というやつである。


 だがその本体である八咫烏の方は、相変わらずむっちりぷりっぷりのまんまる体型。それが本来の姿だとは、人化した姿からは全く想像もつかない。

 その天地ほどもあるギャップは、ドライアドのビフォーアフターにも匹敵する。

 驚きを隠せないドライアド達に、マキシの方から名乗り挨拶をする。


「ドライアドの皆さん、初めましてこんにちは。僕の名はマキシ、八咫烏という種族です」

『八咫烏というのね、何だかすっごく強そうで高貴な響きね!』

『私達も貴方と同じように、変身できるのよ。見てて!』


 マキシのビフォーアフターに刺激されたのか、一人のドライアドが絶世の美女に変身した。

 ミニサイズだったドライアドが、ボフンッ!と靄に包まれたかと思うとナイスバディな美女になるという、まるで美少女戦士の変身シーンさながらの光景である。


 しかし、変身したドライアドがマキシに言い寄る様子はない。

 マキシの見た目が十代半ばくらいにしか見えないので、どうやら彼女達の捕食対象にはならないらしい。

 つまり、ただ単に『私も変身できるのよ!』という特技?を見せたかっただけのようだ。


 マキシの方も、ドライアドに妙な色気を振り撒かれる訳ではないので、素直に驚きながら感想を述べる。


「うわぁ、ドライアドさん達は素敵なお姉さんに変身できるんですね!」

『そうよー、私達の色香で落ちない男なんていないのよ♪……って、そこにいる人族には何故か通用しないんだけどね?』

「そうなんですか?」

『ええ。ラウルも木から生まれた妖精だから、私達の魅了が全ッ然通用しないし。ホンット、ドライアドの面目が立たないというか、悔しいったらありゃしないわ!』


 ぷくー、と頬を膨らませながらむくれるドライアド。

 さすがドライアド、果たしてそれが計算された演技かどうかは分からないが、美女姿でむくれる姿も実にあざと可愛い。

 そんなドライアドを見て、マキシがフフッ、と微笑みながら語りかける。


「でも、どちらかというと僕も綺麗なお姉さんの姿よりは、さっきの小さな可愛らしい姿の方が好きですよ?」

『え、そ、そう?』

「はい。あの小さな可愛らしい姿の方が、ドライアドさん達の本当の姿なんでしょう?」

『そ、そうよ?』


 マキシの問いかけに、ドライアドの顔が少しづつ紅くなっていく。

 そして何故か、マキシと会話しているドライアドだけでなく他のドライアド達も頬を赤らめてそわそわしている。


「僕の場合は、八咫烏の姿より人の姿の方が地上では何かと便利だから変身しますけど……ドライアドさん達は本体そのままの姿でも動きやすいでしょうし、何より十分愛らしいですよ」


 その反則的なまでに強烈な口説き文句の如きマキシの言葉に、思いっきり胸を射抜かれるドライアド達。

 仰け反るドライアド達の、ウクッ!クハッ!ァハァッ!という小さな呻き声とともに、ドギャーーーン!ズガーーーン!バッキューーーン!という効果音がどこからともなく聞こえてきた、気がする。


『ハァ、ハァ……何この胸を射抜かれるような衝撃は……』

『ど、どこからか矢を射たれた……?』

『そ、それにしては、矢も刺された傷もないけど……』


 マキシの言葉にノックアウトされた何人かのドライアド達が、己の胸を押さえながら力なくヘロヘロと地面に落ちていく。

 そしてぺたんこの胸をペタペタと触って、実物の傷がないことを確かめている。

 美女に化けて人間の男を誑かす、恋愛百戦錬磨のドライアド。

 そんな彼女達を一撃でノックアウトしてしまうマキシの天然砲、何気に超強力な威力を持っているようだ。


 マキシにノックアウトされていないドライアド達が、地に伏したドライアド達に代わりライト達に問うてきた。


『皆、今日は何しにきたの? エルちゃん様や女王様方に会いにきたの?』

「ああ、両方に用事があって来たんだ」

『そしたら私達といっしょに行きましょ!どちらから先に会いに行く?』

「そうだな……まずはヴィゾーヴニルを遣わしてくれた雷の女王に会いに行くか」

『雷の女王様ね、分かったわ!』


 レオニスの答えに、その場にいたドライアド達が他のドライアドも呼び始める。

 たくさんのドライアド達に囲まれたライト達。レオニスが唯一飛べないライトをその背におんぶし、マキシは再び八咫烏の姿に戻る。


「さ、じゃあ雷光神殿に行くか」

『『『おーーー!』』』


 レオニスの掛け声に、ドライアド達が高らかに気勢を上げる。

 ドライアドの泉がある島から、雷光神殿のある島に向かってレオニス達は飛び立っていった。

 早くも二回目の天空島訪問です。

 夏休みの間に二回も訪問することになるとは思いもしませんでしたが。神樹襲撃事件の際に、強力な守護神ヴィゾーヴニルを派遣してくれたことへの御礼を言いに行かなければ!

 というか、夏休みが開けたらまた土日にならないと行けなくなっちゃうので、今のうちに行っておこう!という事情もあります。


 そして、今回マキシも同行しているのは、ユグドラグスへの訪問の際にマキシを連れていけなかったというのもあります。

 今日第614話を何気なく読み返してちたら、マキシもユグドラグスのところに行こうね!という話になってるじゃないですか!

 ヤダー、そんなの忘れてたー>< もう既にユグドラグスのところにはライトとレオニスの二人で御礼を言いに行かせちゃったよぅぉぅぉぅ(;ω;)


 ……という裏事情があり。よし、ここはユグドラグスの時は絶賛お盆中でアイギスが猛烈に多忙を極めてて休暇が取れず(実際竜王樹のところに行ったのは8月16日、お盆最終日)、代わりに天空島行きに同行するため後日休暇を取った、ということにしよう!となりました。

 マキシ、本当にすまんのぅ、適当な作者でごめんよぅ><

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