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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
初めての夏休み

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第633話 歴史的な瞬間

 神々しい二体の守護神、グリンカムビとヴィゾーヴニル。

 輝く鶏の姿をした守護神を胸に抱き、愛おしそうにその羽や頭をそっと撫でる光の女王と雷の女王。

 この世のものとも思えぬその美しさに、しばし見惚れるライトとレオニス。

 鶏達がコケーッ、コケコケッ、と鳴いたかと思うと、女王達は鶏から手を放して二羽を空に送る。

 グリンカムビとヴィゾーヴニルは再び光り輝く巨大な鶏となり、天空樹ユグドラエルの天辺に戻っていった。


「ぃゃー、すげーいいもん見せてもらったわ。光の女王に雷の女王、ありがとう」

「ホントだね!あんなに大きくて綺麗な鶏なんて、ぼく今まで一度も見たことないよ!」

『どういたしまして。あの子達を褒めてもらえて、とても嬉しいわ』

『あの子達はこの天空神殿や雷光神殿だけでなく、この近辺の天空諸島全般を守護してくれているのよ』

「ああ、だから一番良く見渡せる天空樹の天辺にいるんですね!」


 彼らの定位置である、天空樹ユグドラエルの天辺。

 瑞々しい緑葉の生い茂る神樹の上にぽすん、と二羽の鶏が収まる図は何とも面白珍しい。

 というか、二羽ともにかなりの巨大サイズなのに、天空樹のもとに収まるとかなり小さく見える。まるで巨大な公園の中にぽつんと佇む小さな鳥の雛のようだ。

 それは天空樹のサイズがそれ程に巨大であり、想像を絶するほどの大きさであるということの証左であった。


『貴方達、また天空樹のもとに戻るのでしょう?』

「ああ。ここまで俺達を運んでくれた白銀の君と、もう一人の連れがユグドラエルのところにいるんでな」

『そしたら貴方達が帰る前に、我等からもアレをあげないとね』


 二人の女王達はそう言うと、手のひらの上に勲章を作り出した。

 一つ目をレオニスに渡し、すぐに二つ目を作ってライトに渡す。

 光の勲章と雷の勲章を手に入れたライトとレオニスは、女王達に礼を言う。


「光の女王様、雷の女王様、ありがとうございます!」

「これでまた他の女王達にも、あんた達の無事を伝えることができる」

『こちらこそ、貴方達には礼を言わなければならないわ。私達の姉妹のために動いてくれて、本当にありがとう』

『邪竜の島の討滅戦での働きも、期待しているわよ!』

「……あ、そのことなんだが」


 雷の女王の言葉に、レオニスがふと思いついたように問いかける。


「俺も邪竜の島の討滅戦に加わるために、これからどうやってあんた達と連絡を取り合えばいい? 俺達は白銀の君に運んでもらわないと、なかなかここまで来ることができないんだが……」

『そうね……そしたらまずは、光の精霊を使って連絡を取れるようにしましょうか』

「光の精霊、か? どうすればいいんだ?」

『もし私達に何か連絡したいことができたら、その光の勲章を手にしながら光の精霊が現れるように念じればいいわ。そうすれば、貴方の近くにいる光の精霊が呼びかけに応じて貴方のもとを訪れるでしょう』

『そうね、我等からも貴方達に連絡したいことができたら、光の子達に伝えたいことを託して届けさせるわ』


 レオニスの問いに、光の女王が光の精霊を使うことを提案してきた。

 確かに光の精霊ならば、ライト達が住む地上にも至るところに存在している。

 普段は見えない存在であるが、光の勲章を通して呼びかければそれに応じて光の精霊が姿を現す、という寸法だ。


「分かった。やるなら昼とか日の出ているうちの方がいいよな?」

『ええ。さすがに夜だと精霊達の動きもかなり鈍るから、呼ぶなら昼間の明るい時間の方がいいわね』

「了解。これから今後の打ち合わせなんかも必要になってくると思うから、よろしく頼む」

『ええ、こちらこそよろしくね』

『人族との共闘なんて、長い歴史の中でも初めてのことね』

「ああ。歴史に残るような偉業に関わらせてもらえること、心より感謝する」


 二人の女王とレオニス、どちらからともなく手を差し出して固い握手を交わす。

 生者死者問わず、全ての者達の敵である廃都の魔城の四帝を滅するために―――人と精霊の同盟関係が確立した、歴史的な瞬間だった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「さて、ではそろそろ俺達もお暇させてもらうとするか」

「うん。光の女王様、雷の女王様、今日は本当にありがとうございました!女王様達にお会いできて、とっても嬉しかったです!」

『まぁ、本当に可愛らしくて礼儀正しい子ね』

『うふふ、こういう素直な子、我は大好きよ!』


 再び天空樹ユグドラエルのいる島に戻るべく、別れの挨拶を交わすライト達と二人の女王。

 するとここで、ライトがはたと用件を思い出して二人の女王に問うた。


「……あッ!そういえばぼく、天空島に来たら是非とも閃光草を採りたかったんですけど……」

『閃光草? そんなものが欲しいの?』

「はい!天空島にある植物はどれも地上にはなくて、ここでしか採れない貴重な素材なんです!」

『まぁ、そうなのね。閃光草ならそこら辺にいくらでも生えているから、好きなだけ採っていっていいわよ』


 光の女王達が不思議そうな顔をしながらも、ライトの望みを承諾する。

 天空島と言えば、ライトには絶対に忘れてはならない重大任務がある。そう、それは『閃光草の採取』であった。


「ホントですか!? ありがとうございます!レオ兄ちゃん、ぼくが閃光草を採り終わるまでちょっと待っててね!」

「おう、いいぞー。でもあんまり遠くに行ったり、島の崖っぷちには絶対に近づくなよー」

「分かったー!」


 二人の女王から好きなだけ閃光草を刈っていい、というお墨付きを得たライト。喜び勇んで礼を言いながら、早速神殿周辺に生えている草むらに駆けていく。


 先日の転職神殿で、ライトは巫女ミーアや使い魔達に【全世界植物大全/最新版】を見せたこともあり、閃光草がどんな姿形をしているかをよく覚えている。

 広々とした天空神殿の庭園?を見ると、確かにそこかしこに閃光草が生えているではないか。

 それはライトにとって、まさしく宝の山にも等しい光景。閃光草のもとに駆けつけたライトの目は、これ以上ない程にキラッキラに輝いている。


 地上では採取することのできない、貴重な閃光草。

 だが、ここ天空島ではまるでぺんぺん草か猫じゃらしの如くわっさわっさと生えていて、どうやら本当に雑草レベルの植物らしい。

 これなら雷の女王が『そこら辺にいくらでも生えているから』『好きなだけ採取してOK!』と簡単に許可を出したのも納得というものである。


 ちなみにBCOにおいて、植物系素材が交換アイテムとして要求される場合、花や葉、茎だけでなく蔓や根、球根などもきっちりと指定されることが多い。

 なのでライトは、葉や茎だけでなく根っこまで丸ごと採取するため、根元を少し掘ってから丁寧に抜き取る。


 だが、レオニスや二人の女王をいつまでも待たせる訳にはいかない。なるべく根も採取しつつ、手早くパパパッ!と閃光草を採取していくライト。

 ライトは定期的にディーノ村の父母の家の手入れをしている。その手入れ作業の中には、家の周辺の草むしりも当然含まれており、実に手慣れたものだ。


 うおおおおッ!ようやく!これで!ずっと!止まっていた!俺のクエストイベントが!やっと進められるぅぅぅぅ!

 ディーノ村の家で培った俺の草むしりの腕を、今こそ発揮する時!この先いつイベントに閃光草が出てもいいように、今ここでできるだけ採っていくぞーーー!


 ライトは内心で大歓喜しながら、シュパパパパッ!とものすごい勢いで閃光草を採りまくってはアイテムリュックに放り込んでいく。

 そんなライトの様子を、レオニスと二人の女王は呆然としつつ眺めている。


『んまぁ……本当にすごい勢いで刈ってるわねぇ……』

「ここら辺の植生は、地上とは全く違うからな……」

『これはこれで、当分草むしりする必要がなさそうだし。逆にありがたいわね!』

「ン……そう言ってもらえるとありがたい……」


 そうして十分くらいが経過しただろうか。

 思う存分閃光草を採取したライト、額にうっすらと浮かんだ汗を手の甲で拭いつつレオニス達のもとに戻ってきた。


「レオ兄ちゃん、お待たせ!光の女王様も雷の女王様も、待っていただいてありがとうございました!」

『いえいえ、どういたしまして。貴方の望みが叶ったのなら、私達も嬉しいわ』

『ええ、当分草むしりしなくていいくらいに刈り取ってくれて、こっちも助かったわ!』


 ライトの礼の言葉に、にこやかに応じる光の女王と雷の女王。

 精霊の長である彼女達は嘘をつかないので、彼女達が言う『嬉しい』や『助かった』という言葉は嘘偽りない本当のことである。

 とはいえ、いくら両者Win-Winでも素材を採取させてもらった側としては、また今度改めて礼をしなければならないだろう。


「これだけ素材を取らせてもらったなら、また今度何かお礼の品でも持ってこないとな」

「うん!今度はラウルの美味しいスイーツを手土産に持って、また女王様達や綺麗な鶏達に会いに来たいです!」

「ああ、それいいな。今度はラウルもこっちに連れてくるか」


 二人の女王達への礼に、ラウルのスイーツを挙げるライト。

 今日は先にユグドラエルと会って話をしたり、ユグドラエルに合う前にも警備隊に止められたりしたので、今からスイーツを出してお茶会と洒落込むほどの時間的余裕はない。

 なので今日はもうスイーツを出せないが、次にここに来た時はもっとゆっくりとした時間を過ごせるだろう。


『まぁ、何か美味しいものをご馳走してくれるの?』

『それは楽しみね!』

『私達の姉妹を助けてくれる貴方達なら、いつでも歓迎するわ』

『次に貴方達に会える日を、我等も心待ちにしているわ!』


 ライトとレオニスは、光の女王と雷の女王と再び固く握手を交わす。

 二人の光り輝く麗しき女王に見送られながら、ライト達は二つの神殿がある島を後にした。

 二人の女王との会談を無事終えて、ライトの念願の閃光草採取も無事叶いました。

 ぃゃー、危うく閃光草採取を忘れるところでしたよ…( ̄ω ̄)…

 二人の女王達が言っていたように、閃光草はこの天空島では完全に雑草扱いで、ユグドラエルのいる島や他の島でも普通にもっさり生えていてどこでも採取できるんですが。

 どこかでライトが閃光草ゲットだぜ!の場面も描写しなくてはならないので、神殿島の草むしりも兼ねてここで捩じ込むことに。


 そして作中にて雑草の例として挙げた『猫じゃらし』。

 作者はこれの正式名称を知らなかったんで、検索してみたところ。『エノコログサ』っていうんですね(・∀・)

 ぃゃー、あんなの普段から『猫じゃらし』としか言わないので、本当はエノコログサという名前だったなんて知りませんでしたよ。作者はまた一つ賢くなった! ←無駄知識

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