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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
アクシーディア公国生誕祭

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第347話 買い物の資金源

 翼竜牧場のイベント、わくわくふれあい広場を存分に楽しんだライト達は再び露店巡りをすることにした。

 今度は食べ物だけでなく、雑貨やその他のものもじっくりと見ていくつもりだ。

 アクセサリーなどの可愛らしい小物類、鞄や靴などの服飾雑貨、武器や防具を売るお店などもある。


 中でも注目すべきは、各種包丁や鍋などの調理器具やティーカップ、皿などの食器類、カトラリーなどを売っている店だ。

 とにかく料理にまつわるその手の店を見つける度に、ラウルはじーっと品定めをしては何かしら一つ以上は購入していく。

 いや、最低でも何か一つ買うまではテコでも動かない、と言うべきか。


「んー、この牛刀、値段の割に切れ味良さそうだな……一本買っとくか」

「お、この大きさの長皿は持ってないな。ここにある五枚全部くれ」

「綺麗な模様のティーセットだな……揃いの柄のティーポットも込みでこの値段はかなりのお買い得だ。俺の美麗食器コレクションに加えるに相応しい逸品だな!」


 己の物欲に抗うことなく、欲しいと思ったものを全て購入するラウル。

 一体どこにそんな資金があるの?と不思議に思われるかもしれないが、その主な資金源は数日前に行ったツェリザークでの邪龍の残穢の討伐報奨金である。

 その日のうちに、レオニス名義で申請した討伐報奨金。週明けの月曜日に口座への振込を確認したレオニスが、その全額を引き下ろしてラウルにそのまま渡してくれたのだ。


 もちろん、ただそのまま金を渡すだけではない。

『この金で生誕祭を楽しんで来い。もちろんお前の好きなものを買えばいいが、少しくらいはライトやマキシにも美味いもん奢ってやってくれるよな?』

 という、レオニスからのありがたーい確認のお言葉付きである。


 ラウルにしてみれば、わざわざレオニスに言われずとも当然そうするつもりだ。そもそもラウル自身、レオニスと比べても大差ない程度にはライトとマキシには滅法甘いのだから。

 午前中のお祭りフード類のお代は全てラウルの支払いであることからも、ラウルが大きなお兄ちゃんであることがよく分かる。


 そんなラウルのお買い物に、ライトとマキシもちゃんと付き合ってやっている。とはいえ、ラウルと同じ店をずっと見ているのではなく、その左右の隣の店を二人で覗いたりもしているのだが。

 決してはぐれないように、ラウルが品定め中はその店の右隣りもしくは左隣りのどちらかの店をライトとマキシ、二人いっしょに眺めるようにしている。


「あっ、この帽子カッコいいね。マキシ君に似合うんじゃない?」

「そうですか?僕、帽子って全然持ってないんで、いくつか欲しいんですよねー。……あ、このマフラー、ライト君に似合いそう。どうです?」

「どれどれ?……うん、ラグーン学園の制服に合いそうな色だねー。マキシ君のオススメだし、一つ買っちゃおうかなー」

「僕もライト君がオススメしてくれた帽子、気に入ったんで買っちゃいますー」


 ラウルが真剣に食器類の品定めをしている横で、ライトとマキシはその隣にある服飾雑貨の店で仲良くキャッキャウフフしている。

 ちなみにライトはミサンガ紐の売上金、マキシは八咫烏の羽根の売却益でそれぞれ買い物をしている。レオニスやラウルから小遣いをもらうこともできるが、それに甘えることなく自分の稼ぎを使うあたりが二人の生真面目な性格を如実に表している。


 こうして三人は、それぞれ思い思いに露店巡りと買い物を楽しんでいった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「はーっ!生誕祭、まだ初日だってのにすっごく楽しかったー!」

「僕もです!人族のお祭りって、本当に盛大でいろんなお店が出るんですね!」

「俺も今日はいつも以上にいろんなもの買えて楽しかったわ。討伐報奨金様々だな」


 日暮れ頃にラグナロッツァの屋敷に帰り、晩御飯を食べながら談笑するライトとラウルとマキシ。

 その日の食卓のメニューは、タコ焼き、串肉、焼きそば、テバブ等々お祭りフード三昧である。

 主に午前中に購入した品々だが、全てラウルの空間魔法陣に収納していたので全て焼き立て熱々の温度が保たれている。


「明日はアクシーディア公国建国記念日で、ラグナ宮殿でラグナ大公のお言葉を聞いた後に竜騎士団の飛行ショーが始まるんだよね?」

「ああ。俺はもうここ数年、ラグナ宮殿にまで飛行ショーを見に行ってはいないが。毎年ものすごい歓声がここまで聞こえてくるぞ」

「そうなんだー。そういえばラグナ宮殿ってこの屋敷のすぐ裏側にあるもんね」

「何なら竜騎士団や鷲獅子騎士団の飛行ショーも、見るだけならこの屋敷の屋上の上からでも見れるぞ?」

「「本当!?」」


 ラウルの話に、ライトだけでなくマキシも食いつき気味に反応する。竜や鷲獅子を一目見たいのは、ライトだけではない。マキシもまたその勇姿を拝む気満々なのである。


「まぁラグナ宮殿で直接見るよりは若干遠目になるがな。それでもあのとんでもない人混みの中をわざわざ観に行くよりは、ここの屋上から眺める方が絶対に楽だとは思うぞ?」

「あー、やっぱりものすごく混雑するんだぁ……そりゃ当然だよねー、誰だって目玉企画の飛行ショー観たいだろうし」

「ああ、竜や鷲獅子だけでなく平民の参賀の様子もここから見えるんだがな?ありゃまたすげーぞ、今日の祭りの混雑をさらに二倍三倍煮詰めたようなもんだ」

「「うへぁ……」」


 この屋敷に執事として雇われてから、早数年経つラウル。建国記念日当日の行事のこともよく知っている。

 その図は現代日本で言うところの、皇居での一般参賀のようなものか。


「まぁそんな訳で。竜騎士団や鷲獅子騎士団の飛行ショーを観たいなら、この屋敷の屋上の上からの観戦をオススメする」

「そうだねー。今日のお祭りよりもっと混雑するんだったら、ちょっとくらい遠目でもいいからこの家からのんびりと観た方がいいよねー」

「絶対にもみくちゃになって、空を見上げるどころじゃなくなりそうですもんねぇ」

「そゆこと。レオニスだって、夜勤明けすぐにあの人混みの中を行くのはさすがにキツいだろうしな」


 今の話し合いで、三人の中では明日の飛行ショー観戦はこの屋敷の屋上の上で観ることに決定したようだ。

 今日の祭りの混雑ぶりは、ライトもマキシも十二分に経験した。あの混雑をさらに二倍も三倍も煮詰めるなんて、想像するだに恐ろしい。真夏の有名海水浴場の芋洗い状態さながらの地獄絵図に違いない。

 そんな恐ろしい場所に身を投じることなく、ゆったりと観れる方法があるならば是が非でもそちらを選ぶのが当然の流れである。


「竜騎士団や鷲獅子騎士団の飛行ショーって、何時から始まるの?」

「あー、確か参賀の平民入場開始が午前八時からで、ラグナ大公のお出ましと言葉が十時、それが済んでから飛行ショーの始まりだから、十時半頃からだな」

「じゃあ十時ちょっと過ぎ頃に、皆で屋上の上行けばいいね」

「だな」


 ラウルに詳細な時間を確認したライトは、少しだけ無言で何かを考えた後に再び口を開く。


「今日はレオ兄ちゃん夜勤もあるから、帰ってくるのは遅いんだよね?」

「ああ。明け方頃には帰ってきて、少し仮眠をとってから二日目の祭りに行くって聞いたが」

「そっかぁ。レオ兄ちゃんも今頃差し入れ食べてくれてるかなー」

「そうだな、あれだけ持っていけば晩飯の分も足りるだろ」


 今までレオニスは、何があっても夜には必ず帰ってきてライトといっしょにご飯を食べていた。それ故に、レオニスのいない食卓はものすごく寂しいものに感じてしまうライト。

 だが、それもこれも全ては二日目の祭りをライトとともに過ごすために頑張っているのだ。ライトもそのことが分かっているからこそ、寂しいなんて弱音は吐かなかった。


「そしたら、明け方に帰ってくるレオ兄ちゃんを迎えられるように、今日はぼく早く寝よう。お風呂入って上がったらすぐに寝るね」

「ああ、そうだな。ライトがおかえりって言ってやったらレオニスも飛び上がって喜ぶと思うぞ」

「だといいなぁ」

「大丈夫ですよ!レオニスさんのことだから、大好きなライト君がおかえりのお出迎えしてくれたら絶対に夜勤の疲れも吹っ飛んじゃいますって!」


 レオニスに対するライトのささやかな心遣いを聞き、ラウルやマキシも微笑みながらその効果の効き目に太鼓判を押す。

 ライトやラウルだけでなく、マキシにまですっかりお見通しとは。


 晩御飯を終えて、それぞれ食器を下ろし始める。

 明日一日また生誕祭を目一杯楽しむため、そして仕事に励むレオニスの帰宅を出迎えて労うため、ライトは早々に床についたのだった。

 ラウルのお買い物資金源、邪龍の残穢討伐報奨金。

 支給総額は10万Gで、第一発見者のスミスに2万Gが分けられているので討伐者認定を受けたレオニスに8万Gが振り込まれています。

 今回レオニスはその全額をラウルにそのまま渡しましたが、レオニスも大概ラウルに甘いんですよねぇ。ラウルも気心知れた者には遠慮なく甘えるという、可愛い一面もあるんですが。

 でもまぁ生誕祭直前の臨時収入ということで、神がかったタイミングの良さにラウルはホクホクです。

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