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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
八咫烏の里

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第259話 マキシの里帰り

 今日も休まず投稿できました!ですがストック0なのは変わらず……

 できる限り毎日更新続けます!でもストック0…… ←エンドレス

 翌日。朝も早い時間からライト達は既に起きていて、もういつでも出かけられる準備は整っていた。

 レオニスも今日はライト達の出立を見送るために、皆と朝食をともにしたりしている。

 後は先程ウォーベック家に伝言しに行ったラウルが帰ってくるのを待つばかりである。


「ただいま。ウォーベック家にきちんと伝えてきたぜ」

「おかえりー!伝言ありがとうね!」


 そう、ラウルは昨日決定したライト達のプロステス訪問の日時をウォーベック家の人達に伝えに行ったのだ。

 ラウルを労うライトの横で、レオニスがラウルに改めてウォーベック家の人達の動向を尋ねた。


「ラウル、ウォーベック家の人達は何て言ってた?」

「ウォーベック一家も領主邸に到着するのは29日の昼頃だって言ってたから、ご主人様達が午後に来てくれる方が都合が良いって喜んでたぞ」

「了解。俺もその方向で仕事の調整しとくわ」

「そっかー、やっぱり午後で正解だったんだね、良かった!」

「じゃ、俺達もそろそろ行くか」

「うん!」

「…………」


 ライトの横で、マキシが緊張したように立ち尽くしている。

 そう、今からマキシの生まれ故郷である八咫烏の里に行くのだ。

 ただでさえ反りの合わなかった生まれ故郷。そこを突然飛び出した家出息子が、数ヶ月ぶりに帰郷するのだ。緊張するなという方が無理である。


「マキシ君、大丈夫?」

「…………はい、大丈夫です。いつかは一度家に帰って、家族の皆と話をしなければなりませんし」

「そうだね、マキシ君の家族も皆心配してると思うよ」

「…………」

「さ、そろそろ行くぞ」


 ラウルがライトとマキシに出立を促す。

 それでも不安げな顔のマキシに、ライトは肩に乗せていたフォルを撫でながら自分の手に持ち抱っこした。

 そしてフォルに向かって、優しく語りかける。


「フォル、マキシ君がとても不安なようだからいっしょにいて元気づけてあげてね」

「キュイ?」

「そういう訳で。マキシ君には里帰りの間のフォルのお世話係をお願いするからね」

「さ、皆、行こう!」


 ライトからマキシに手渡されたフォルは、自らの意思でヒョイ、とマキシの肩に乗り頬ずりをした。

 フォルの柔らかいふわもふ頬ずりは、最強無比の癒やし効果抜群だ。マキシも大好きなフォルに癒やされて、心が和み緊張も少しづつ解れていく。

 だが、それと同時にマキシは心の底から己のことが情けなくなった。

 マキシは俯きながら唇を噛みしめる。


 120年も生きている八咫烏の自分が、まだ8歳の人族の子供であるライト君にこんなにも気を遣わせてしまうなんて。

 こんなことじゃ駄目だ。一体何の為に僕は、八咫烏の里だけでなくカタポレンの森まで飛び出したんだ?

 いなくなってしまったラウルを探し出すだけじゃなく、僕自身が変わりたかったはずだ。

 そして僕は、自分の力でラウルを見つけることができた。

 その後も親友のラウルだけでなく、快く屋敷に住まわせてくれるレオニスさんやライト君、僕の内に潜んでいた穢れを取り除いてくれたフェネセンさん……皆のおかげで僕は生まれ変わったんだ。

 今日出かける三人の中で僕が一番の年長者なんだから、僕が皆を守るためにもしっかりしなくちゃ!

 臆病で、意気地なしで、弱虫だった僕は、もういないんだ―――



 マキシは手をグッと握りしめ、意を決したように前を向いた。

 その瞳には強い光が宿る。先程までの項垂れていた気弱な姿は、もうどこにも見当たらない。


「……はい。フォルちゃんのお世話係、誠心誠意務めます!」

「おう、マキシ、その意気だぞ」

「マキシ君、八咫烏の里への案内役もよろしくね!」

「任せてください!」

「皆気をつけていってこいよ。ラウル、マキシ、ライトのこと頼んだぞ」

「任せとけ」

「僕もライト君の護衛頑張ります!」

「はーい!いってきまーす!」


 三人はレオニスに見送られながら、意気揚々と出立していった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 翼竜籠便の発着場。それは、レオニス邸から見てラグナ宮殿の裏側に位置するところにある。

 その理由は、主に二つ。一つは、翼竜籠を利用するのは貴族などの富裕層が多いこと。もう一つは万が一ここラグナロッツァで緊急事態が発生した時に、ラグナ大公他高位の王侯貴族が迅速に避難できるように備えているためだ。


 ライトは生まれて初めて乗る翼竜籠という未知なるものに、ワクテカ期待感が止まらない。

 ドラゴンなら、幼体ではあるがクレアがこよなく愛するクー太という存在が身近にいるおかげで何度も間近に見ている。だが、翼竜(ワイバーン)はまだ一度も見たことがないのだ。


 翼竜って、どれくらいの大きさなんだろう?

 人を数人乗せた籠を持って飛べるくらいなんだから、かなり大きいんだろうなー。

 ていうか、ドラゴンと翼竜て同じ竜でも多分種族としては違うよね? 色とか翼の形とか違うのかな?

 ああー、翼竜籠に乗るの楽しみ!早く翼竜を間近で見たーい!


 そんなことを考えながら歩いていると、牧場のようなかなり開けた場所に出た。

 その広さは田舎の学校のだだっ広い校庭の二つか三つ分は優にありそうなくらい広大で、茶色の大きな岩のような塊?が何個か点在しているのが見える。

 遠目には岩に見えたその塊は、近づくにつれてそれが翼竜であることが分かってきた。


 ライトは一刻も早く翼竜を見たい!という逸る気持ちを抑えながら、まずは搭乗手続き?のために入口付近にある建物の中に入る。

 こぢんまりとした平屋建ての建物は、さながらバスターミナルの案内所のようなものか。

 中には受付窓口があり、獣人族の若い女性が受付嬢として座っていた。ショートの黒髪にピンと立った三角形の黒い猫耳が愛らしい、年の頃は十代後半くらいか。


「おはようございます。今日の7時に翼竜籠三人乗りを予約した者ですが」

「おはようございます!レオニス・フィアというお名前での三名様のご予約でよろしいですか?」

「はい、それで間違いないです」

「承りました。お代の15万Gのうちの半分は前金でいただいておりますので、残りの代金75000Gのお支払いをお願いいたします!」


 ハキハキと話す受付嬢、元気溌剌な笑顔は見る者に好印象を与える。

 受付嬢の要請により、ラウルが金貨の入った袋を出し75000Gの支払いを済ませる。さすがに人前での大金管理ややり取りはまだライトにはさせられないので、今回は大人であるラウルの出番という訳だ。


「全額のお支払い、確かにお受け取りいたしました。出立時間まであと30分ほどありますので、それまでお待ちください」

「そしたら、外にいる翼竜を見ててもいいですか?」

「ええ、よろしいですよ。当ドラグエイト便の翼竜は、皆おとなしくて良い子ばかりですから!」

「ありがとうございます!」

「ただし、翼竜に近づき過ぎたり大声を出すなどして刺激しないように気をつけてくださいね? おとなしくて良い子達揃いとはいえ、やはり翼竜ですので」

「分かりました!」


 翼竜籠の三人分の運賃全額支払いを済ませた後は、楽しみにしていた翼竜観察タイムだ。

 そう、少しでも翼竜をたくさん見たい一心で30分も早く発着場に来たのだ。

 受付嬢のお姉さんにもほんの少しだけ注意事項を言い渡されながらも、ちゃんと見学の許可を得たライト。

 翼竜籠ターミナル案内所から早速外に出て、広場でゆったりと寛いでいる翼竜達に近づいていく。


 地に伏せてゴロ寝?しているような格好の翼竜達。その状態でさえ長身のラウルの背丈よりもはるかに大きい。

 翼竜は二本足で翼が腕に相当するので、鳥類のように止まり木などで寝たりするのかと思ったがそうでもないらしい。

 まぁよくよく考えたら、こんなデカい図体の翼竜が乗れる木なんてないよなー、とライトは内心思う。

 そう思った瞬間、広場の端の方に巨大な平均台があるのが見えた。あれを止まり木にして、好んで乗る翼竜もいるのだろう。


 今ここにいる翼竜は、ぱっと見三頭だ。その三頭のうちのどれかが、今からライト達が乗る翼竜籠を運んでくれるのだろう。

 皮膚は赤味がかった茶色で、背中側は光沢のある艶やかな鱗がびっしりと生えているのが分かる。お腹の方は鱗より薄い同色系の茶色だ。


「うわぁ……翼竜って大きいんだね。ラウル達は、今まで翼竜を見たことはあるの?」

「いや、俺は見たことはないな。翼竜の生息地はシュマルリ山脈の南側中腹あたりってのは聞いたことあるが」

「僕もないですね。というか、カタポレンの森で遭遇したら間違いなく一目散の全力疾走で逃げますね……」

「だな。ここの翼竜は人族に飼い慣らされておとなしいもんだが、野性の翼竜とか洒落ならん。まぁドラゴンよりは若干マシかもしれんが」


 ライトの何気ない質問に、ラウル達は全力で否定する。確かに考えてみれば、野性の翼竜など危険極まりない存在だろう。

 人族に飼い慣らされた翼竜とて、先程受付嬢のお姉さんからあまり近づき過ぎないように忠告されたのだ。興奮させて暴れられでもしたら、それこそ洒落にならない事態になる。


 ドラゴンのクー太を見た時にも思ったが、成体の大きな翼竜を目の当たりにしたライトは改めてここが異世界であることを実感する。

 あの蝙蝠の翼のような飛膜で飛ぶ姿は、さぞかし圧巻だろうな。籠の中からだと、さすがに見えないかな?

 そんなことを考えながら、ライトは目の前に広がる光景を眺めている。


 すると、翼竜籠ターミナル案内所から一人の青年が出てきて一頭の翼竜のいる方向に向かっていくのが見えた。

 青年はリヤカーを牽いていて、翼竜のもとに何かを届けるようだ。

 ライトはその青年が翼竜のもとに到着する前に、急いで青年に近づいていった。

 翼竜籠、第9話でライトの母レミが他国への移動に使用しています。

 その時の運賃は10万G。今回ライト達が乗る翼竜籠の運賃の倍かかっていますが、これにも一応理由があります。

 まず8年前のレミの旅立ち頃は廃都の魔城の反乱が起きた直後で、世界規模で情勢が極度に不安定だったこと、それにより運賃のみならずあらゆる物価が急上昇していたこと、また他国へ渡るため入国料等の経費が発生するのでそれらも込みの値段だったことなどが挙げられます。

 それから8年が経過し、国際情勢や物流などの物価も当時に比べてかなり安定してきたので、翼竜籠の運賃もお安くなったのです。

 まぁお安いと言っても、一人当たり50万円相当ですが。飛行機のファーストクラスに乗っての旅行だと思えば、妥当ですかね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めて飛行機に乗った時ターミナルでもわくわくしましたね。 きっとそんな感じでしょうか?飛竜見てみたいですねぇ…絶対かっこいい。 更新お疲れ様です。体調大丈夫でしょうか?応援してます。
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