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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ラグナ教の異変

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第238話 年末年始の予定

 レオニス他大人達がラグナ神殿で起きた大事件に右往左往する日々の最中、ライトの学園生活はもうすぐ冬休みになろうとしていた。

 学園の友達たちも、クリスマスは何を食べてどんなプレゼントをもらうかとか、正月は何をして過ごす?など年末年始の話で盛り上がっている。


 そう、今ライトが生きるている世界。それはジョブありスキルあり魔法あり、魔物も悪魔もいる冒険ファンタジーワールドだが、現代日本企業が作り上げたゲームがベースとなっている。

 故に季節感やシーズンイベントなども現代日本準拠なのだ。当然のようにクリスマスもあれば正月もあり、春の花見や夏の花火大会、秋のハロウィン、そりゃもう何でもありである。


「皆は冬休み、どこか行くのー?」

「僕は家で家族とのんびり過ごす予定だよ」

「私もお兄様といっしょに親戚の領地に遊びに行く予定ですの」

「ハリエットちゃん、いいなー。私なんてずーっと家の手伝いだよー」

「そりゃリリィちゃんちは宿屋と定食屋さんだもん、年末年始は稼ぎ時だよねー」

「そうなのー。でも、頑張ってお手伝いすればご褒美のお小遣いもたくさんもらえるんだ!」

「リリィさん、大変そうだけど頑張ってくださいね」

「うん、ありがとう!私頑張る!」


 ライトの同級生であるイヴリンやジョゼ、ハリエットやリリィも楽しそうに話している。

 食堂で昼食を食べ終えた後の、昼休みののんびりとしたひと時である。


 もしこれが中高生ならば、長期休暇前の期末テストという試練を乗り越えなければならないところだが。ライト達はまだ初等部の一年生なので、そんな厳しい試練はないのである。

 ただし、冬休みの課題はしっかり出されるらしいが。


「ライト君もどこかにお出かけするの?」


 ふとリリィがライトに話を向けた。


「ん?ぼく?えーとね、友達の実家のあるところに遊びに行く予定なんだ」

「へー、そのお友達のおうちはどこにあるの?」

「えーと……カタポレンの森のどこか?」

「「「「…………」」」」


 ライト以外の四人が、ライトの言葉を聞いて目を丸くしている。

 そう、普通の人間は魔の森カタポレンには近寄らないものなのだ。

 だが、ライトもラグーン学園に入学して早三ヶ月は経つ。最近ではライトがその保護者レオニスとともに、カタポレンの森に住んでいたということも徐々に知られてきている。

 ただし、今も住んでいて毎日転移門で往復していることまではナイショの極秘情報なので知られていないのだが。


「カタポレンの森のどこかってことは、人じゃないお友達?」

「うん、八咫烏っていう霊鳥で……えーとね、そう、レオ兄ちゃんのお友達なんだ!」

「「「「……ヤタガラスのお友達……」」」」


 ライトは八咫烏の名を出した後、咄嗟にレオニスの友達ということで誤魔化した。八咫烏と自分が友達であるということが知られると、じゃあ八咫烏の羽根ちょうだい!とかねだられかねないからだ。

 もちろんライトとて、自分の友達たちが強欲だと疑っている訳ではない。だが、トラブルの種になりそうなことは隠しておいた方がお互いの身のためでもあるのだ。

 その点金剛級冒険者のレオニスならば、異種族の友達がたくさんいても不思議はない、はず、だ!というライトの目論見による工作活動の一環である。

 結果、ライト以外の四人の目は先程よりもさらに大きく丸く見開かれてしまった。


 ライトが言うところの八咫烏の友達とは、もちろんマキシのことである。

 かつてマキシの全快祝いとフェネセンの門出を祝う食事会で、マキシの出身地である八咫烏の里にいっしょに行こう!とマキシに誘われ、ライトも快諾した。

 その時の約束を、この冬休みの間に果たすつもりなのだ。


 そんな一連の驚きから早くも立ち直る、ライトの同級生達。

 ライトに驚かされるのももはや日常茶飯事なのか、その立ち直りの早さは日々磨かれ続けているようだ。


「ライト君って、人間以外の友達たくさんいそうだよねー」

「うん、もしかしたら人間の友達の方が少ないかもよ?」

「でも、違う種族の友達がいるってのも素敵なことだよね!」

「そうですわね。友達になろうと思ってなれるものでもないですよね」


『人間の友達の方が少ない』―――イヴリンの言葉を受けたジョゼが何気なく言い放った言葉が、ライトの胸にグサッ!と突き刺さる。

 だがしかし、八咫烏だけでなく今や小人族のナヌスや鬼人族のオーガとも交流のあるライト。ジョゼの言葉はライトの胸をガッツリと抉るだけでなく、真実をもド真ん中で射抜いていた。


 真実故にぐうの音も出ず、反論もままならないライト。

 そんなライトの凹む有り様を見てか、リリィやハリエットがさり気なくフォローしてくれた。


「でも、違う種族の人達?って、怖くないの?」

「うん、ぼくが知っている異種族の友達は皆優しくていい人達?ばかりだよ!」

「そうなんだー。僕もいつかそんな友達できたらいいなー」

「そうですね。私もそんなお友達がほしいですわ」


 ライト以外の子供達には、異種族と交流するどころか出会う機会すらほぼない。

 街や市場に行けば獣人族をちらほらと見かける程度で、間違っても小人族や鬼人族などと知り合うことなどないのだ。

 故に異種族相手に良いも悪いも分からないし、むしろ未知の生き物という面で恐れの方が先にくるのも致し方ないことである。


「じゃあお出かけする皆は、大晦日やお正月も働く私にお土産よろしくね!」

「じゃあリリィちゃんは、働いて稼いだお小遣いで私達に奢ってね!」

「いやーん、イヴリンちゃんの鬼ー!」


 リリィとイヴリンの会話に、皆笑っている。

 ラグーン学園の平和な昼下がりだった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ねぇねぇマキシ君、八咫烏の里にはいつ行く?」


 昼休みの会話をきっかけに、マキシとの約束をいつ果たすか話しておこう、と考えたライト。

 ラグーン学園から帰宅して、いつも通りラグナロッツァの屋敷にいたマキシに早速話しかけた。


「ラグーン学園は長いお休み?になるんでしたっけ?」

「うん、冬休みっていうのー。来週にはもう冬休みになるんだー」

「そうなんですね。そしたらいつにしましょうか?」

「ぼくは冬休みに入ったらいつでもいいよー。でも、年末年始は皆ゆっくり過ごしたいだろうから、冬休みになったらすぐに行った方がいいかなぁ?」

「僕もいつでも構いませんよ。年末年始とかお正月?とかは人族の習慣で、八咫烏にはないものですし」


 言われてみればそうだ。冬休み云々も年末年始どうのも、全ては人族独自の文化である。


「ところでさぁ。八咫烏の里って、カタポレンの森のどこら辺にあるの?ぼく達の住むカタポレンの家やディーノ村から遠いの?」

「んー……僕にはちょっとよく分からないかな……」

「そうだな、そこら辺はレオニスに聞いた方が早いと思うぞ」


 そうか、マキシ君もラウルも人族じゃないから学校で地理とか勉強してる訳ないもんね、と心の中で納得するライト。


「そっかー、そうだよね。そしたら今晩レオ兄ちゃんに相談してみよう」

「いつ行くか決まったら俺にも教えてくれよ。俺も護衛としてついていくから」

「ん?ラウルも八咫烏の里に行くの?」

「そりゃそうだろう。お前達二人だけでカタポレンの森を旅するのか?」

「……そうだね、ぼくとマキシ君だけじゃレオ兄ちゃんもお出かけ許してくれなさそうだねー……」


 ライトは『マキシの故郷に帰る』というだけであまり深く考えていなかった。だがラウルの言う通りで、普段動き回っている慣れた行動範囲ではないカタポレンの森を行き来するには危険を想定しなければならないのだ。

 ラウルは普段『人見知りの軟弱者』を自称してはいるが、それでもライトやマキシよりは魔法も使えるだろう。

 ライトとマキシの二人旅の護衛として、ラウルがいっしょについていくのが最適かもしれない。


「じゃあレオ兄ちゃんにはまた後で相談するとして。今度の土曜日か日曜日に、マキシ君の家族にあげるお土産を買いに行こうね!」

「お土産、ですか?」

「そう、お土産。だってマキシ君も久しぶりにおうち帰るでしょ?黙って飛び出してきちゃったんだし、心配かけたお詫びもしないとね」

「そうですね……ライト君にまでそんな気遣いさせちゃってごめんなさい」

「そんなこと気にしないで!それよりもどんなお土産がいいか、マキシ君考えておいてね!人族の珍しい品物をお土産にあげたら、家族の皆もきっと喜んでくれるよ!」

「……はい!」


 さすが中身アラフォーのライト、出先への気遣いも万全である。

 そう、手土産も持たずに空手のまま人様の家にお邪魔するなどライト的にはあり得ないのだ。

 そしてマキシの方も、ライトが自分と自分の家族のためにいろいろと考えてくれていることがとても嬉しかった。


 マキシ君の家族って、お父さんお母さんに兄姉妹六羽の八羽だっけ?お土産たくさんになっても、ぼくのアイテムリュックに入れていけばいいから大丈夫だよね!何なら護衛でついてきてくれるラウルも空間魔法陣持ってるし!

 マキシ君の故郷、八咫烏の里ってどんなところだろう?今から楽しみだな!


 早くもライトは冬休み一発目の帰省イベントに思いを馳せるのだった。

 本日の更新は2021年8月31日ですが、作中では12月の中旬あたりです。

 そう、いつの間にかライト達のサイサクス世界ではすっかり師走になっていたんですよねぇ。一応第218話で、ライトが神殿との話し合いに出かける時のファッションも完全に冬物だったのですが。


 学生時代の頃、冬休み等長期休暇が待ち遠しかったものですねぇ。

 作者は家庭環境的な問題で、毎年どこかに家族旅行に出かけるとかは一切なかったですが。母の実家の祖父母の家にお泊まりするのはとても楽しみでした。

 その他にも、冬休みなら友達に年賀状書いたり、正月に友達がくれた年賀状を見たり、冬休み明けに家族全員分の年賀状のお年玉くじをチェックしたり。そんな思い出が浮かんできます。


 今のこのご時世では、次のお正月の頃もまだコロナ禍が明けてはいないでしょう。ですが、皆がそれぞれに思い思いの楽しい長期休暇を楽しめるといいな、と切に思います。

 とりあえずリリィちゃんよ、年末年始のおうちのお手伝い頑張ってね!

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