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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ラグーン学園三年生二学期

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1677/1677

第1677話 ラグナロッツァでの合流

 レオニスとピースが炎の洞窟で現場検証を実行した翌日。

 二人は昼過ぎに、冒険者ギルド総本部で落ち合う約束をしていた。

 冒険者ギルド総本部で落ち合う約束をしているのは全部で五人。

 レオニスとピース、パレン、そしてアレクシスとジョシュア。

 本日午後三時にラグナ宮殿でラグナ大公に謁見する予定のメンバーである。


 レオニスが冒険者ギルド総本部に入ったのは午後一時の十分前。

 そしてラグナロッツァよりはるか遠方にいるアレクシスとジョシュアは、冒険者ギルドの転移門を使用して総本部に来る予定になっている。

 そしてレオニスとパレンとピースは、ラグナ宮殿入りする前に互いに情報交換をしておくため、領主達より一時間早く集まることになっていた。

 一階奥の会議室に行くと、パレンとピースが何やら話をしている。


 今日のパレンの衣装は『壬生浪士』がテーマである。

 上は浅葱色の地に、袖口は白い山形模様が入った『だんだら羽織』を羽織っていて、その中には白の長襦袢と黒に近い紫色の長着を着ている。

 下は黒と白の細い縦縞の袴を穿き、足元は黒い足袋と草履。

 腰には長短一振りづつの刀を差し、頭には鉢金と呼ばれる防具を着用という実に凛々しい姿である。


 おお、今日のマスターパレンは和服系か。

 和服って一般的には全く馴染みがなくて、正直俺もマスターパレンが着ているところくらいしか見たことないんだが……確かどこぞの島国だかの古代衣装なんだよな?

 山伏や僧兵の時にも思ったが、マスターパレンにはこういう衣装がホントによく似合うな!

 でもって、背中にある白抜きの文字、『誠』……マスターパレンの人柄を表すのに最も相応しい一文字だ。

 そしてその誠の文字は、国のために誠心誠意仕えるというマスターパレンの決意をも示しているんだろう。

 さすがはマスターパレン、漢の中の漢ってやつだな!


 レオニスが会議室に入って真っ先に目に飛び込んできた、パレンの凛々しい姿に速攻で脳内大絶賛を送っている。

 ライトがかつて生きた前世の現代日本同様に、このサイサクス世界においても和服は非日常感溢れる衣装である。

 しかも壬生浪士だの新撰組などという組織が、このサイサクス大陸に実在するはずもないのだが。そこはBCOの謎の強制力?によって何となく受け入れられている。


 そうしてパレンの壬生浪士コスプレを一通り大絶賛した後、レオニスが改めてパレンとピースに声をかけた。


「よう、マスターパレン、ピース。待たせちまったか?」

「おお、レオニス君。約束の一時の十分前なのだから、何の問題もない」

「そうそう!今ねー、パレンちゃんと例の四人についての情報交換してて、それを整理してたとこー。レオちんにも渡しとくねーぃ」

「おう、ありがとう」


 レオニスの登場にパレンは眩しい笑顔で迎え、ピースは手に持っていた書類をレオニスに渡した。

 その書類は二枚あって、一枚は魔術師ギルド総本部側のデータでもう一枚は冒険者ギルド総本部側のもの。

 その二枚に、先日炎の洞窟に侵入した四人組の詳細なデータが書かれていた。


「ふむ……四人とも冒険者ギルドや魔術師ギルドを追放された後、それぞれ傭兵として活動していたが三年ほど前から足取りが不明、か……その辺りから闇ギルド入りしたんだろう」

「犯罪に対する忌避感が薄い者ほど、闇ギルドからの誘いに気軽に応じる傾向が強いからな」

「三年前に、周囲に『故郷に帰る』って言ってラグナロッツァを出たらしいけど。誰一人として故郷に帰ってないってのは、ギルドの調査で裏付けが取れてるからねーぃ」


 四人の人相書きとともに、出身地や生年月日等の詳細なデータが載せられている。

 剣士のジェイクはゲブラー、重戦士のテッドはケセド、魔術師のカミラはセンチネル、ローグのライラはアドナイの出身。

 幼馴染とか昔からの知己という訳ではなく、それぞれフリーになってから知り合ったようだ。


 ただ、身長体重等の体格やジョブデータはともかく、人相書きはあまりアテにならない。

 その人相書きは、各ギルドを永久追放されて鉱山送りにされた当時の外見的特徴であり、鉱山から脱走後に彼らが行った顔の整形や髪色の変更等々でかなり見た目が違うからだ。


「まずは、こいつらが闇ギルドに所属していたという証拠が欲しいところだな」

「ああ。だが、それだけでは黒幕には到底辿り着けん。黒幕が闇ギルドに精霊の捕獲を直接依頼したという証拠がなければ、のらりくらりと逃げられて終いだろう」

「そこら辺をさ、今後どう追及していくかが問題だよねー……」

「「「……はぁーーー……」」」


 レオニス達三人は、侵入者四人組のデータが記された紙を睨みつけながら深いため息をつく。

 まさに暗中模索状態だが、それでもやらなければならない。

 レオニス達は、アレクシスとジョシュアが来るまで様々な話し合いを続けていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 そうして午後の二時を迎える頃、アレクシスとジョシュアが二人同時に冒険者ギルド総本部の転移門に移動してきた。

 まずジョシュアがプロステスのアレクシスのもとを訪ね、そこから二人でラグナロッツァに移動してきたらしい。


 二人は冒険者ギルド職員によって会議室に通され、レオニス達と合流した。


「やあ、皆お揃いだね」

「お待たせしてしまったかな?」

「アレクシス候にジョシュア候、お久しぶりですな」

「マスターパレンも元気そうで何よりだ」

「マスターピース、今日は貴公に初めてお会いできて光栄だ」

「いやいや、こちらこそ!今日はよろしくお願いしますねーぃ!」


 パレンとピース、そしてアレクシスとジョシュア。

 久しぶりの再会や初めて顔を合わせる者同士が和やかに会話している。

 ちなみにレオニスはどちらともちょくちょく会っているので、挨拶は一番最後に後回しだ。


 しかし、今日のアレクシスはいつもと違い、レオニスに食いつくように話しかけてきた。


「レオニス君!先日君に渡しておいた熱晶石!炎の女王様方にお渡しできたかね!?」

「ぉ、ぉぅ、もちろん渡してきたぞ」

「そうか、ありがとう!……で、炎の女王やフラム様は何と仰っていた?」

「うん、フラムも炎の女王もすんげー美味しいって言って、喜んで食べてたぞ」

「そうか……そうか……本当に良かった……」


 レオニスの顔面10cm前まで迫る勢いで、炎の洞窟の主達の反応を問うアレクシス。

 その必死な形相に、さしものレオニスもタジタジとするばかりである。

 そして炎の洞窟の主達に差し入れした熱晶石が大好評だったことを知り、アレクシスは安堵しながらもその目に薄っすらと涙が滲んでいた。


 アレクシスは生まれながらの高位貴族であり、普段は他者に顔色を気取られることなど絶対にない。

 しかし、今回ばかりは訳が違う。

 プロステスの象徴とも言える炎の洞窟、そこに住まう主達が愚かな人族の手によって甚大なダメージを受けたとレオニスから聞かされて以降、正直アレクシスは生きた心地がしなかった。


 炎の女王様やフラム様の御身に、もしものことがあったら―――

 女王様方は炎の洞窟とプロステスに愛想を尽かし、出奔してしまわれるかもしれない―――

 もし万が一、そのような事態になってしまったら……私の代でウォーベック家は終わりを迎えることになるだろう……


 レオニス達外部の者が想像もつかない程に、アレクシスは思い詰めていた。

 しかし、現場検証で炎の洞窟を連日訪れたレオニスに熱晶石を差し入れしてもらったことで、アレクシスが考え得る最悪の事態は免れた。

 このことにアレクシスが不覚にも涙するのも無理はなかった。


 そして、そんなアレクシスの心情を誰よりも理解していたのがジョシュアだった。


「アレクシス候、本当に良かったですな」

「うむ……我がプロステス同様、ジョシュア君のところの氷の洞窟もきな臭い(はかりごと)に巻き込まれているのだよな」

「はい。この夏に氷の洞窟で起きた、氷の精霊に対する拉致未遂事件。絶対に許し難いことです」

「全くだ!今日のラグナ大公謁見で、絶対に洞窟に対する諸々の法改正を認めていただこうぞ!」

「はい!」


 ジョシュアの励ましに、アレクシスが次第に気力を取り戻していく。

 ジョシュアが治めるツェリザークは、長きに渡りプロステスと姉妹都市条約を締結し友好的な関係を築いてきた。

 炎の洞窟と氷の洞窟、属性的には完璧に相反する両者だが、周辺地域の気候をも大きく左右する洞窟が近くにあるという点では全く同じ。

 それだけにアレクシスの気持ちがジョシュアには痛い程よく分かるし、逆もまた然りである。


 そうした地方領主二人のやり取りが一通り済んだところで、レオニスが皆に向けて声をかけた。


「さ、そしたらぼちぼちラグナ宮殿に行くとするか」

「そうだな。アレクシス候、ジョシュア候、表にラグナ宮殿行きの馬車を停めてあります。全員で馬車に乗ってラグナ宮殿に向かいましょうぞ」

「うむ、承知した。今日はよろしく頼む」


 レオニスとパレンの呼びかけに、アレクシスとジョシュアも快く応じる。

 そうして五人は一台の大きな馬車に乗り、ラグナ宮殿に向かっていった。

 いよいよラグナ宮殿でのラグナ大公謁見の日です。

 ホントはもうちょい先、ラグナ宮殿に入って謁見の間に入ったところあたりまで書くつもりだったんですがー。

 その前段階で4000字近くなってしまったので、キリのいいところで一旦締め。

 何でそんなんなってもたのかというと。えぇえぇ、言わずもがなですがパレン様のコスプレ関連解説のせいでございますとも!><


 今回はラグナ大公謁見ということで、パレン様の正装であるカウボーイ姿にするかどうか悩んだんですよ。

 でもねー、よくよく考えたらカウボーイ姿を披露する前、第246話というはるか大昔に山伏姿で登城しちゃってるんですよねぇ(´^ω^`)

 なので、ここは『パレンがカウボーイ姿の正装で出動するのは事件や緊急事態が起きた時のみ』ということにしました。

 つまり、今回のような事前に予定された謁見では正装で出かける必要ナッシング!てことになる訳ですね♪(・∀・) ←何だかんだでパレン様のコスプレができて大満足な人

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