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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ラグーン学園三年生二学期

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第1675話 炎の洞窟の現場検証・その一

 レオニスが魔術師ギルド総本部と冒険者ギルド総本部を回った翌日。

 ピースと二人でプロステスの街を訪れていた。


「ほぇー、十二月だってのにプロステスは暖かいねぇー」

「まぁ、ラグナロッツァに比べりゃ暖かいわな。もっとも、一昨年までは冬でも春や初夏かと思うくらいの気温だったがな」

「それもしんどいよねぇー」

「全くだ。何事も程々がいいってことだな」


 魔術師ギルドプロステス支部を出て、街の外に出て炎の洞窟に向かうレオニスとピース。

 前日に約束した通り、今日はレオニスが昼頃に魔術師ギルド総本部にピースを迎えに行ったため、魔術師ギルド内の転移門での移動である。


「つーか、ピース、徹夜明けでさっきまで仕事してたんだろ? ホントに大丈夫か?」

「ダーイジョブ、ダーイジョブ!パレンちゃんもそうだと思うけどさ? ギルドマスターなんて仕事をしてるとね、徹夜どころか二徹三徹なんて時もあるからねーぃ!」

「そ、そうなんか……ギルドマスターってのは本当に大変な仕事なんだな……」


 先程まで徹夜続きで仕事をしていたピース。

 その体調をレオニスが心配するも、ピースは濃縮アークエーテル片手にきゃらきゃらと笑い飛ばす。

 もっともピースの目の下には薄っすらとクマができていて、全く平気という訳でもなさそうだが。


 そんなのんびりとした気楽な雑談ができるのは、炎の洞窟の入口まで。

 洞窟の中に入ったら、そこから先は現場検証に突入である。

 炎の洞窟の固有魔物に検証を邪魔をされないよう、入口手前で魔物除けの呪符を使用してから洞窟内に入った。


 しばらく進んでいくと、回復剤の空き瓶が複数見つかった。

 瓶の色からするに、それらはグランドポーションやコズミックエーテルと思われる。


「……この空き瓶、劣化具合からするに結構前に捨てられたものっぽいね」

「ラウルに助けを求めた炎の中級精霊の話によると、奴らは何度も炎の洞窟に入っては精霊を拉致しようとしてたらしい。精霊や魔物を生け捕りにしようと思ったら、魔物除けの呪符は使えんからな。この空き瓶もおそらくは奴らの捨てた物だろう」

「とりあえず回収しとこうっと」


 その後もところどころで落ちている空き瓶を拾っては、ピースの空間魔法陣に回収していく。

 ここは炎の洞窟だけに、ゴミをポイ捨てしても大抵のものが間を置かずに燃え尽きてしまう。

 燃えずに長く残るのは、ガラス製の空き瓶や陶器、金属製品くらいしかないのである。


 そうしていくつかの空き瓶を拾い続け、二人は最奥の間の入口手前に辿り着いた。

 ここにも複数の空き瓶が落ちていて、ピースがその中の一つを拾い上げながら観察している。


「このコズミックエーテルの空き瓶、中にまだ蒸気が残ってる。かなり新しいゴミだねぇ」

「そのゴミも、犯人の奴らが捨てていったんだろうな」

「もしかしたら唾液とか残ってるかもー。これも回収っと」


 最奥の間の手前に転がっている四つの空き瓶を、レオニスとピースの二人で拾い集めて全てピースの空間魔法陣に回収した。

 そうして二人は最奥の間に入っていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 レオニスとピースが最奥の間に入ると、炎の女王とフラムが駆け寄ってきた。


『レオニス、よくぞ参った!』

『レオニス君、いらっしゃい!』

「炎の女王にフラム、一昨日ぶりだな。すっかり元気になったようで何よりだ」


 まずは親交の深いレオニスの来訪を歓迎する炎の女王とフラム。

 しかし、炎の女王はピースのことを決して忘れてはいない。

 レオニスに挨拶をした後、待ちきれないといった様子でピースにも声をかけた。


『偉大なる魔術師も、よくぞ参った。心より歓迎する』

「炎の女王ちゃん……小生のこと、覚えていてくれたの?」

『もちろんだとも!汝は妾の命と火の姉様を救いし英雄にして、フラム様誕生の折にも立ち会ってくれた。そんな汝のことを、妾が忘れるはずがなかろう? ……ピース、会いたかったぞ』

「……ありがとう!小生もね、ずっとずっと炎の女王ちゃんやフラム君に会いたかったよ!」


 炎の女王が両手でピースの頬を優しく包み込み、嫋かな笑みを浮かべながら語りかける。

 そしてピースも炎の女王の熱烈な歓迎に、花咲くような笑顔で応える。


 ピースが炎の洞窟を訪れたのは、昨年八月の一度きり。

 ライトやレオニス、ラウルと違って何度も足繁く訪れていた訳ではない。

 だから、炎の女王ちゃんは自分のことなんて忘れてしまっているかもしれない―――ピースは内心でそう思っていたし、一度しか会っていない人間のことなんて忘れても当然だよね、とも思っていた。


 だが、それは杞憂に過ぎなかった。

 炎の女王はピースのことを忘れてなどいなかったし、それどころか『会いたかった』とまで言ってくれた。

 これはピースにとって望外の喜びであった。


 するとここで、フラムがうずうずしながら炎の女王とピースに声をかけた。


『ねぇねぇ、炎の女王ちゃん……この人が、ピースって人?』

『ええ、そうですよ。……ピース、フラム様に改めて自己紹介してくれぬか?汝がフラム様と会うのは二度目だが、一番最初に会ったのは孵化直後だったからな、フラム様の方は汝のことを覚えていらっしゃらぬのだ』

「うぃうぃ、そりゃ仕方がないよー。じゃ、改めて自己紹介させてもらうねーぃ☆」


 炎の女王の要請に、ピースが快諾しつつ自己紹介を始めた。


「フラム様、お目にかかれて光栄に存じまする!小生の名はピース・ネザン、そこにいるレオちんと同じ人族で、魔術師なんてものをしてるます!」

『……ぬぅーーーん……』


 微妙に怪しい敬語を使うピースに、何故かフラムが渋い顔をしている。

 不機嫌そうなフラムの様子に、さすがのピースも慌てだした。

 クルッ!と180°後ろに向き、横にいたレオニスのジャケットをクイッ、クイッ、と引っ張りながら小声で囁く。


「……ン? ね、ねぇ、レオちん、もしかして小生、何か間違えた?」

「お前の敬語が胡散臭いからじゃね?」

「ウソーン!小生なりに頑張ったのにー!?」

「お前、頑張ってそれなの? 俺だってもうちょいマシな敬語使えるぞ?」


 フラムに背を向けながら、ゴニョゴニョと話し合うレオニスとピース。

 そんな二人に、フラムが業を煮やしたように叫んだ。


『そんな堅苦しい喋り方、しないでよー!もっと楽しくお話ししようよー!』

「ぁ、そっちの方?」

『ボクは君のことを『ピース君』って呼びたいんだ!だからボクのことも『フラム君』って呼んでよー!』

「ぇ、いいの?」

『ボクがいいって言ってんだから、いいのーーー!』


 プンスコと怒ったように見せながら、言っていることは可愛らしいフラム。

 先程の不機嫌そうな顔は、ピースが他人行儀かつ畏敬の念を示したことへの不満からくるものだったようだ。

 幼子のように拗ねるフラムに、ピースがほっとしたような顔で笑う。


「なぁーんだぁー、頑張って敬語を使わなくても良かったんだねーぃ☆」

『そうだよ!だって君は、レオニス君やラウル君、ライト君とも仲良しなんでしょ? だったらボクとも仲良しになってよ!』

「うぃうぃ♪ 小生もね、是非ともフラム君と仲良しになりたかったんだ!これからもズッ友でよろぴくね☆」

『うん!…………ズッ友って、ナニ?』


 フラムの真意が分かり、あっという間にピースの口調が普段通りになった。

 敬語など使い慣れないピースにとって、フラムの要望は渡りに船。

 両者合意のもと、フランクな関係を築いていければ万々歳である。


 一方で、レオニスは炎の女王と話をしていた。


「炎の女王、すまんが今日も一昨日の事件を調べに来た。正直なところ、一昨日のことなど思い出したくもないだろうが……協力してもらえるか?」

『もちろんだとも。妾だけでなく、フラム様や妾の姉妹にまで害をなす者の存在は捨て置けぬ。其奴を捕まえて仕置きするためならば、いくらでも協力しようぞ』

「ありがとう、恩に着る」


 事件の調査に協力的な姿勢を見せる炎の女王に、レオニスが感謝を述べる。

 黒幕を追い詰めるには、どんな些細な情報でもいいから入手したいところだ。

 そしてそれには一番の被害者である炎の女王の協力が欠かせない。

 彼女の快諾を得たレオニスが、早速ピースに声をかけた。


「ピース、調査を始めるぞ」

「はーい!」

「ピースはこの最奥の間に残る魔力の残滓を捉えてくれ。俺も他に何か物的証拠が残っていないか、改めてよく見てみるから」

「らじゃー」


 今日の炎の洞窟再訪の目的である現場検証。

 レオニスとピース、それぞれの役割を果たすべく動いていった。

 レオニスとピースのプロステス郊外&炎の洞窟二人旅?です。

 ピースが炎の女王に褒めてもらいたさに会いに行ったのが第685話ですか(゜ω゜)

 あれから990話、ほぼ1000話が経ってんのか…( ̄ω ̄)…

 月日が経つのh(以下超省略


 最近ピースの活躍の場が久しくなかったし、今回はピースにも頑張ってもらわねば!

 ……って、その分主人公の出番がゴニョゴニョウケケなんですけど(´^ω^`)

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