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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ラグーン学園三年生二学期

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第1629話 お泊まり会の準備

 ラーデのもとに突如現れたサマエルと三頭の天空竜。

 彼らとの話の流れにより、カタポレンのコテージ及びラーデの療養地に泊めることになった。

 今日のレオニスは森の警邏でかなりの距離を遠出していて、早朝に出かけてカタポレンの家に帰ってきたのが午後四時過ぎ頃。

 四阿でのんびりと休憩をしているラウル達のもとに、レオニスが悠然と歩いてきた。


「ただいまー」

「お、ご主人様、おかえりー。見ての通り、今日は客が来てるぞー」

「おう、見ても分かるし遠くからでも分かったわ」

「さすがはご主人様だ。家に帰ってくる前から分かってたか」

「そりゃあな。家に近づくにつれて、こんなバカデカい魔力があれば嫌でも気づくわ」

「それもそうか」


 四阿の席に座ったままのんびりと来客を告げるラウルに、レオニスも特に驚くでもなく軽く受け止めている。

 実際レオニスも、帰宅途中で気づいた時には一体何事が起きたのか訝しんでいた。

 しかし、森の上を急ぎ飛びながら家に近づくにつれて、その強大な魔力に心当たりがあることに気づいた。

 そう、これはサマエルが発する魔力であることにレオニスは勘づいたのだ。


「まぁな、子が親のもとを訪ねるのは何も問題ない」

『であろう。今日はファフ兄様のお子が無事孵化したことを父上にお知らせに来たのだ』

「お、ファフニールんとこの卵が孵ったんか!そりゃ目出度いな!」

『うむ。ついては三日後に見舞いに行く故、それまで私もここに滞在させてもらうことにした』

「何ッ!?」


 サマエルが三日も泊まると聞き、レオニスが驚愕している。

 人族を蟻扱いするサマエルが、いくら父親がいるからといって根城の天空島を離れて三日も地上に留まるとは、レオニスも予想外だったからだ。


「つーか、サマエル、お前、南の天空島の主なんだろう? 三日も不在にしていいのか?」

『問題ない。私が数日留守にした程度で我が天空島が揺らぐことなど、万が一にもあり得ぬ。もしその万が一が起きたとて、私が戻ればそれで済むことだ』

「ぉ、ぉぅ、そうか……すんげー自信だな……」


 事も無げにあしらうサマエルに、レオニスが半ば脱力している。

 自信たっぷりに語るサマエルの様子に、主不在の天空島の心配をする方が馬鹿らしくなってくるくらいだ。


「……まぁいい、ラーデもまだ当分は療養に励まなきゃならんしな。ここで親子の親睦を深めていくのも悪かねぇだろ」

『うむ、其方達には迷惑をかけるが、すまんな』

「ラーデが謝ることじゃねぇさ。ラーデ達親子は長らく離れ離れだったんだ、たまには数日いっしょに暮らしたって罰は当たらねぇさ」

『そう言ってもらえると助かる』


 レオニスがサマエルの滞在を認めたことに、ラーデが安堵しながら礼を言う。

 そしてレオニスがラウルに向かって話しかけた。


「三日後に見舞いに行くってことは? 今日は木曜日だから、日曜日に出かけるってことだな?」

「だな。ラーデがファフニールんとこへの手土産が欲しいって言うから、俺はそれまで林檎や桃をできるだけ収穫しとく予定だ」

「あー、確かに手土産は必要だよな。俺も何か他に持っていける土産がないか、考えとくわ」

「そうしてくれ。ご主人様はチェシャ猫の土産の宝石でも用意しといてくれると助かる」

「了解ー」


 ファフニール夫妻への手土産話をサクサクと進めるレオニスとラウル。

 特に言及などしていないが、自分達もファフニール夫妻の見舞いについていくことが確定しているようだ。

 そして、ついていくのは何もレオニスとラウルだけではない。

 そのことは二人とも重々承知していた。


「でもって、行くのが日曜日なら絶対にライトも行くって言うよな?」

「間違いねぇな、賭けてもいいわ。もちろん俺は、小さなご主人様も行くと言う方に賭けるぞ」

「俺もそっちに賭けるから、賭けにはならんな」

「全くだ」

「「ワーッハッハッハッハ!」」


 この場にいないライトの行動を予測するレオニスとラウル。

 ラグーン学園がある平日ならともかく、休日の日曜日となれば絶対にライトもラーデ達といっしょに行く!と言い出すことは間違いない。

 賭けてもいい!と言う二人だが、二人とも同じ方に賭けたら賭けは成立しないのでお流れである。


 そんな他愛もない話をしているうちに、噂の主であるライトがカタポレンの家に帰宅した。

 ラグナロッツァの屋敷から、家の裏にある転移門に移動したライト。

 外の畑の四阿に皆がいることに気づき、家には入らずそのまま駆け寄ってきた。


「レオ兄ちゃん、ラウル、ラーデ、ただいまー!」

「「おう、おかえりー」」

『おかえり』

「……って、ン? サマエルさんもいる? サマエルさん、こんにちは!ご無沙汰してます!」

『うむ、子アr……いや、人の子よ、久しいな』


 レオニス達に帰りの挨拶をしたライト。

 その場にサマエルもいることにすぐに気づき、サマエルにも笑顔で挨拶をする。

 そしてサマエルはサマエルで、ライトのことを子蟻と呼ぼうとしたのだが。その瞬間に、サマエルの脳内でリンドブルムがギロリ!と睨みつけてきた。

 リンドブルムに『人族を蟻呼ばわりするのはやめろ』ときつく言い渡されているので、慌てて『人の子』と言い換えたようだ。


「サマエルさんがここに来たってことは……もしかして、ファフニールさんのところの卵が孵化したんですか?」

『その通り。今朝方リン姉様から私のもとに連絡があってな。この目出度き報せを父上にお届けするために、ここに来たのだ』

「やっぱり!無事生まれてきてくれたんですね、おめでとうございます!」


 ライトの予想が当たったことに、破顔しつつ祝福の言葉を送る。

 基本人族を見下しているサマエルが、このカタポレンの家にわざわざ足を運ぶのは二つの事例しか考えられない。

 一つはラーデに会いたいがため、もう一つは先程の予想、ファフニールの子供関連。

 ライトもファフニールの卵のことは常々気がかりだった。


 ファフニールとフレア・ジャバウォックの間の子って、一体何が生まれるんだろう?

 もし生まれたら、絶対にラーデといっしょに会いに行きたいな!

 ライトはそう考えていたのだ。


「ラーデもとうとうおじいちゃんになったんだね!おめでとう!」

『う、うむ……我が『おじいちゃん』と呼ばれる日が来ようとは、夢にも思っていなかった』

「自分の子供ももちろん可愛いけど、孫となるとまた格別に可愛く思えるんだって!ラーデも初めての孫ちゃんに会うのが楽しみだねぇ!」

『そういうものなのか……』


 ラーデが座る四阿の長椅子の横に、ライトもちょこんと座りながらラーデのことを『おじいちゃん』と呼ぶ。

 竜の始祖たるラーデには、たくさんの末裔が世界中にいる。そういう意味では、今更孫だの曽孫だのもないのだが。


 しかし、長子ファフニールとその番フレア・ジャバウォックとの間に儲けた子となると話は別だ。

 長男の初めての子供となると、ライトの言う通りきっと格別に可愛い存在になるに違いない。

 それはラーデの中でも予想できていた。


「そしたらサマエルさんは、叔父さんてことになるんですね!」

『何ッ!? この私がオジさん、だとぅッ!?』

「そうですよー。だってお兄さんの子供は甥っ子か姪っ子になりますもん。生まれた子は男の子ですか? それとも女の子?」

『そ、それはまだ聞いておらぬ……リン姉様からは『私もまだ教えてもらってないのよー。会ってからのお楽しみ!だってー』と言われておる』

「じゃあ、甥っ子か姪っ子かはまだ分からないんですねー。でも、どっちでも絶対に可愛いですよ」

『それは当然。何しろファフ兄様の初めてのお子なのだ、どんな姿の子であっても可愛いに決まっている』


 ライトに叔父さん呼ばわりされたサマエル。

 最初こそ面食らいながは気色ばんでいたものの、血縁関係で言えば新たに生まれた子はサマエルから見たら甥もしくは姪であることは間違いない。

 そしてまだ見ぬ甥姪に対し『絶対に可愛い』と言い切るあたり、既に叔父バカモードに突入しているようだ。


 傍から見たらなかなかにハラハラする会話の二人に、ラーデが声をかけた。


『ライト、学園の宿題とやらは今日はないのか?』

「あ、一応あるよー。晩御飯になる前に、今からやらないと」

『うむ、早く済ませよ。そしてサマエル、お前も晩御飯を食べるか?』

『食事など要らぬ身ですが……父上のお誘いとあらば断ることなどあり得ません』


 ライトには宿題の催促、サマエルには食事に誘うラーデ。

 続いてラーデはラウルに声をかけた。


『ラウル、済まぬがサマエルの分の食事も用意してやってはくれまいか』

「もちろんいいとも。サマエルにこのコテージに泊まるように勧めたのは、他ならぬ俺だしな」

『ありがとう、感謝する』

「どういたしまして。つーか、ラーデは俺達の家族なんだからそんなこと気にすんな」


 サマエルの分の食事を快諾するラウルに、ラーデが心から礼を言う。

 その横で、レオニスがラウルをジト目で見ながら「サマエルにここに泊まるよう言ったのはお前だったんか……」と呟いているような気がするが。多分気のせいだろう。キニシナイ!


「じゃあ、今日の晩御飯は皆でこっちのコテージで食べよっか!」

「そうだな。じゃ、ラウルが飯の支度をしている間に俺はラグナロッツァの屋敷に行って、マキシを連れてくるわ」

「おう、よろしく頼むわ。そしたらラーデ、サマエル、ひとまずコテージに入るか」

『『うむ』』


 もうすぐ日が暮れるカタポレンの空の下で、ライトは宿題をこなすべくカタポレンの家に、レオニスはラグナロッツァの屋敷に行くために家の裏にある転移門に、ラウルはラーデとサマエルを連れてコテージに、それぞれ移動していった。

 サマエル登場後の合流の様子です。

 この日から三日後からは日曜日というのは、まぁ何とも都合が良いことですが。ライトを除け者にしてラーデの初孫を見に行くとなると、絶対にライトが涙目でゴネそうなので(´^ω^`)

 ここら辺、思いっきりご都合主義ではありますが。ライトのためにも、何とか土日のどちらかに行けるようにした次第です。

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