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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ラグーン学園三年生二学期

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第1626話 ラウルの新たな挑戦とラーデへのご褒美

 作者からの予告です。

 明日は朝から一日出かける予定が入っていますので、明日の更新をお休みさせていただきます。

 作者都合で申し訳ございませんが、ご了承の程よろしくお願い申し上げます。

 季節は進み、街を華やかに彩っていたハロウィンも終わり平穏な日々が戻ってきた十一月の半ば頃。

 この日もラウルは、ラーデとともに畑仕事に精を出していた。


 秋野菜であるサツマイモやカボチャを始めとして、里芋やごぼう、じゃがいもなどの根菜類にかぶ、ブロッコリー、カリフラワー等々、様々な野菜を種や苗を畑に植えて育てては、毎朝何らかの収穫をしている。

 特にサツマイモは天空島に住む二羽の神鶏達の大好物なので、他の作物よりもいつも多めに作ってはストックを貯めるようにしている。


 ラウルが土魔法で畑を掘り起こし、地面の中から出てきたサツマイモをラーデがせっせと取り出しては四阿に運んでいく。

 両者とも手慣れたもので、テキパキと作業をこなしていた。


 そうしてサツマイモの収穫を一通り終えた後、ラウルが焼却炉で殻焼き作業のついでにいっしょに焼いていたサツマイモをラーデとともにいただく。

 二週間程置いたのは追熟のためであり、サツマイモをより甘く美味しくさせるための必須作業である。


 熱々のサツマイモを皿の上に置き、少し冷ましてから頬張る。

 焦げた皮の中はホクホクで、まるで蜜を垂らしたかのような甘さ。素朴な味ながらも極上の甘味は、畑作業の一休みのご褒美にぴったりである。


『おおお……いつ食べてもこのサツマイモというのは美味だな』

「ホントにな。ただ火で焼いただけなのに、こんなに甘くて美味しいなんて最高だよな」

『うむ。皆が皆、このサツマイモに夢中になるのも頷けるというものよ』


 美味しい焼き芋を食べながら、特にラーデが感心しつつ大絶賛している。

 ラーデはこのカタポレンの森に来るまで、食事を摂るということは一切なかった。

 何をせずとも膨大な魔力に満ち溢れており、わざわざ食事などの生きる糧を摂らずとも生きていけたからだ。


 もちろんそれは今も、皇竜の本質として変わらない。

 だが、何かを食べて栄養を摂取することでいち早い回復が見込めることが分かっている。

 そしてそれ以上に、今のラーデは美味しいものを食べることの喜びというものを知った。

 これはラーデ自身にとっても意外なことであったが、新たな感情を知るというのも悪くない―――ラーデはそう思っていた。


 美味しい焼き芋を食べた後、ラウルが再び動き始めた。


「さて、と。そろそろ例のアレの初収穫といくか」

『おお、とうとうアレに挑むか』

「ああ。良い成果になっていると信じたいところだ」

『大丈夫。其方がこの畑でやることに、間違いなどなかろうて』

「だといいんだがな」


 よっこらしょ、とラウルが四阿の椅子から立ち上がり、徐にとある方向に歩いていった。

 その横を、ラーデがお供するかのようにふよふよと飛んでいく。

 二人が向かったのは、北側の畑に新しく植えたとある木がある列。

 その木の下には、人の頭程もある巨大な濃茶のトゲトゲがある物体がそこかしこに落ちていた。


『これは……本当に食せる物なのか? 見るからに厳つい棘に覆われていて、とてもじゃないが食べられるような代物には見えんのだが……』

「もちろんだ。これは栗と言ってな、このトゲトゲ、イガの下に茶色の実が入っているんだ」


 怪訝な顔でイガ栗を眺めるラーデに、ラウルが笑いながら解説している。

 ラウルが新しく畑に植えたのは栗の木。『銀寄』『利平』『石鎚』という三種類の栗の木をそれぞれ五本づつ。

 今年の夏に桃の栽培が成功してすぐに、ラウルは次の果物に栗を選んで苗木をラグナロッツァで購入し、カタポレンの畑に植えて育て始めていた。

 

『では、まずはこの棘を剥かないとならんという訳だな?』

「そうそう。普通の栗なら、長靴を履いて足で軽く踏み潰しながらイガを剥くらしいんだが。ここで育った栗は、普通のものの何倍もデカいやつだからな。足で踏み潰すのはちと骨が折れそうだから、コイツを使う」


 巨大なイガ栗を前にして、ラウルが空間魔法陣から何かを取り出した。

 それは、いつも殻割りの時に使うウォーハンマー。これで実の外側にあるイガを軽く潰しておこう、という訳である。


 ラウルがウォーハンマーを高く振り翳し、イガ栗目がけて一直線に振り下ろす。

 すると、鋭い針山状態だったイガが砕け散り、割れたイガの中の栗の実が見えた。

 ラウルはウォーハンマーの平らな面でさらにイガを軽く擦り潰し、中の身をもっと表に引き出してから拾い上げた。


 イガから取り出した栗の実は丸々としていて、ラウルの両手で持つ程の大きさがある。

 艶やかな濃茶色の鬼皮がとても綺麗で、虫食いの一つもない完璧な実り方だった。


「おおー、結構な大きさの栗だな!」

『これは、どうやって食べるものなのだ? これまでの林檎や桃とは違うようだが……』

「確かに栗は生食には向かん。焼くなり煮るなり蒸すなり、何しろ一度は加熱してからでなきゃ始まらん」

『焼くというと、焼き芋のように焼くのか?』

「いや、焼き芋は焼いててもおとなしいもんだが、栗はそのまま火に焼べると爆発するらしいんだよな」

『何ッ!? 爆発だと!? そんな危険な代物なのか!?』


 栗の食べ方など全く分からぬラーデがラウルに問いかけるも、その答えが『爆発する』ということに目を丸くして驚いている。

 これまでの野菜や果物で、何かをして爆発するなど聞いたことがなかったラーデが驚くのも無理はない。


「そんな心配することはない。加熱する前に、栗の皮に切れ目を入れておけば爆発は防げるとさ。果物屋のおばちゃんがそう言ってたわ」

『そ、そうなのか……それなら良かった』

「とりあえず……そうだな、まずはこの栗を真っ二つに割って中身を見てみるか」


 ホッ……と安堵するラーデの横で、ラウルが空間魔法陣からオリハルコン包丁を取り出し、栗を地面に置いて真ん中から切った。

 栗の鬼皮とは、普通の栗ですらかなり硬いもの。しかも今ラウルが手にしているのは、通常のものより何倍もの大きさを持つカタポレン産の巨大栗。鬼皮の厚みだって、普通のものよりかなり分厚いはずだ。

 なのに、ラウルのオリハルコン包丁はまるで大根でも切るかのように、スッ……と栗の中に入っていくではないか。

 さすがはオリハルコン包丁、その切れ味は巨大栗の分厚い鬼皮ですら紙と化してしまうようだ。


 オリハルコン包丁で切った栗の中は、輝くような黄色をしている。

 そしてラウルは外側にある鬼皮をオリハルコン包丁でスパスパと切り落とし、黄色い実の部分だけを取り出した。


「この、鬼皮を剥いた状態で茹でたり蒸したりしてもいいんだ」

『ほう、ではここですぐに加熱するのか?』

「本当は、サツマイモと同じように追熟させた方が甘みが増すらしいがな。まずは初物の味見ということで、俺とラーデだけで先に茹でて食ってみるか」

『それはいいな!』


 ラウルがニヤリ、と笑いながら初物の試食を持ちかけると、ラーデの顔もパァッ!と明るくなる。

 もちろんこの初物の味見は、後でライトやレオニスにもちゃんとさせてやるつもりだ。

 しかし、今ここにいるのはラウルとラーデのみ。

 いつも野菜や果物の収穫を手伝ってくれるラーデに、彼だけの特別なご褒美があっても罰は当たるまい。

 ラウルのそうした心配りに、ラーデも嬉しそうな顔で喜んでいる。


「じゃ、早速コテージの台所で茹でるとするか」

『うむ。せっかくなら蒸すという方法も試してみてくれ。味に違いが出るのか、是非とも食べ比べてみたい』

「お、そりゃいいな。じゃあ両方の調理法でやってみるか」


 ラーデの提案に、ラウルもノリノリで承諾する。

 秋の柔らかい日差しの中、ラウルとラーデは初物の栗を味わうためにコテージの中にいそいそと入っていった。

 ラウルの次なるチャレンジ、栗の木の栽培です。

 栗もサツマイモに並ぶ、秋の味覚の代表格ですよね!(・∀・)

 ファミレスなどでもモンブランやマロン系のスイーツがあちこちで発売されて、マロンが好きな作者もついつい食後のデザートに頼んじゃうんですよねー♪( ´ω` )


 しかし、栗を使った商品って何気にお値段が高いですよね?

 例えば栗の甘露煮とか、スーパーで売ってる生栗を見ても一袋1000円とか普通にしてて「うわ、高ッ!」と思っちゃうのですが。

 作者は数年前に交通事故で亡くなった父方伯父から、毎年大量の栗をもらっていたので知っています。

 栗ってね、美味しいんだけどね、食べられるようにするまでの手間がね、ホンッ……トーーーに大変なんですよ!(;`皿´;)


 作者がもらうのは、イガ栗から剥かれた状態だからまだマシなんですが。それでも土や泥をよーく洗い流してー、一晩水に浸けてー、鬼皮のまま長時間茹でてー、それから鬼皮と渋皮を剥いてー……←この一連の工程を経ないと、栗の一欠片も満足に食べられないという煩わしさがががが(;ω;)

 そりゃ加工賃やら手間賃が嵩んで、売値が高くなるのも当たり前ってなもんです。


 父方伯父が不慮の事故で亡くなってしまった今は、栗をたくさんもらうことはなくなりました。

 今にして思えば、生栗をたくさんもらって二晩くらいかけてあくせくと処理していたのはとても幸せなことでした。

 季節が秋になり、スーパーの店頭などで栗を見かける度に、伯父が今でも元気に生きていたらきっと栗をたくさんくれただろうなぁ……と寂しくなります。


 ですがきっと、伯父も天国で栗の木や野菜をたくさん育てては仏様に献上していることでしょう。

 そう思うことにして、作者は今日も自分と伯父の代わりにラウルを扱き使い、サイサクス世界独自の巨大栗を育てさせているのです。

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