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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
三年生の夏休み

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1587/1682

第1587話 薬草採取の実践

 作者からの予告です。

 明日は知人の告別式に行くため、更新をお休みさせていただきます。

 ご了承の程、よろしくお願いいたします。

 冒険者ギルドディーノ出張所の屋外にある、野外実習演習場。

 そこを突っ切り、薬草園に移動したライト達。

 柵代わりの薄い林の向こうには、緑豊かな薬草園が広がっていた。


「うわぁ……かなり本格的な薬草園なんですね」

「ええ。ここディーノ村は、かつてはたくさんの冒険者達で栄えていましたから。回復剤はもとより、解熱剤や解毒剤などもたくさん必要とされていたんですよ」


 薬草園というくらいだから、それなりの面積はあるんだろうな、と思っていたライト。

 そうした予想をはるかに上回る規模に、思わずライトは感嘆を漏らす。

 その広さは、ライト達が住むラグナロッツァの屋敷二つ分は優にありそうだ。


 そしてその広大な薬草園には、様々な草木が植えられている。

 ライトは薬草に関しては素人で、せいぜい植物図鑑を読んだ程度の知識しかないが、そんなライトの素人目にも何十種類もの草木があることが分かる。

 そしてレオニスもこの光景を見て、懐かしそうに呟く。


「おおー、ここも昔とちっとも変わってねぇな!」

「でしょう? このディーノ支部は、出張所に名を変えて以降も私がずーっとお手入れしてますからね」

「ここの水遣りも毎日してんのか?」

「もちろん!適度な肥料やりや草むしりだって、良質な薬草作りに欠かせませんもの」

「はぁー……毎日ご苦労さん、あんたのこと改めて尊敬するわ」


 レオニスの問いかけに、クレアが眼鏡をクイッ!と直しつつドヤ顔で胸を張る。

 野に生える薬草類はともかく、ここは人の手が入った薬草園。

 良質な薬草作りのために、クレアは薬草園の手入れを日々欠かすことなく行っていた。

 それは、ディーノ出張所における毎日の業務の一つと言ってしまえばそれまでだが。それでもこの広大な薬草園を、クレア一人で切り盛りしているというだけで十分尊敬に値する。


「では、レオニスさん。ここでも復習を兼ねて、ここにある薬草類の名前と薬効を挙げていってくださいな」

「おう、任せとけ。昔は散々ここで、学習を兼ねた収穫作業を手伝わされたもんだ」


 クレア教官のご指名に、張り切りながら前に進み出るレオニス。

 早速一番手前にある薬草からその名と薬効を述べていく。


「アレはジオウ、滋養強壮の効果があってポーションやハイポーションの原料になる」

「このドクダミは、解毒剤の原料に使われる」

「そっちのツユクサは解熱剤で―――」


 次々と薬草の種類や効き目を挙げていくレオニスに、クレアが無言のまま満足そうに頷いている。

 もしレオニスの論に不正解があれば、速攻でクレアの訂正が飛ぶはずだ。

 しかし、そうした動きが全く起こらないということは、レオニスの言っている言葉は全て正解なのだろう。


 そうして一通り、全ての草木に対する回答を終えたレオニス。

 すると、彼の後ろにいたライトとクレアが拍手をした。


「さすがはレオニスさん、全部正解ですぅー」

「レオ兄ちゃん、百点満点だって!すごーい!」

「そりゃあな? 俺だって現役の冒険者なんだから、これくらいは知っていて当然だしな!」


 ライトとクレアから手放しで大絶賛されたレオニス、鼻高々でふんぞり返っている。

 レオニスは座学は苦手だが、冒険者という稼業で生き延びるための知識を得る努力は惜しまない。

 薬草の知識もその一つであり、万が一エクスポーションやアークエーテル等の回復剤を所持していない場合でも、そこら辺に生えている野草の中から薬効のある草木を見つけて用いるために頑張って学んだものだ。


 そんな得意げなレオニスに、クレアが拍手しながら輝く笑顔でレオニスに次の課題を与えた。


「ではレオニスさん、次の課題です。ここにある薬草類を、最も良い状態で収穫してください。収穫の状態によって、冒険者ギルドでの買取価格も大幅に変わりますからね」

「了解ー」


 休む間もなく与えられた第二の課題に、レオニスが果敢に挑む。

 薬草類は、収穫方法が種類によって異なる。

 根っこごと全部採取したり、あるいは葉だけ、花だけ、果実だけを採る、木なら樹皮を少しだけ剥いだり、樹液のみを採取するものもある。


 そして、こうした正しい採り方以外の間違った採取の仕方をすると、買取価格の査定に大きな影響が出ることもしばしばある。

 せっかく採取するなら、間違った採り方をして買取価格が半減するような愚行は避けたい。

 こういうところでも、正しい知識を前もって得ておくことが必要なのだ。


 レオニスがせっせと薬草類を採取している後ろで、クレアがライトと話をしている。


「ライト君、レオニスさんのやり方をよーく見ておいてくださいね。ああ見えてレオニスさんは、薬草類の知識も豊富な方ですから」

「はい!すっごく勉強になります!」


 クレアの言葉に、ライトも大きく頷きながら同意している。

 ここまでのクレアは、自身では何もせずレオニスにただただ丸投げしているようにしか見えない。

 しかしそれは、決して『レオニスの復習』という名のもとにサボって楽をしている訳ではない。多分。


 クレアはレオニスの実力の再確認ができて、レオニスはレオニスでライトにカッコいいところを見せることができる。

 そしてライトは大好きなクレアとのんびり話をしながら、レオニスからも薬草の知識を教えてもらえて大満足。

 全者Win-Win-Win!の完璧な学習風景である。


 そうして全種類の薬草を採取したレオニス。

 ここで摘んだ薬草類のうちの三つをクレアに差し出した。


「クレア、こんなもんでどうだ?」

「……はい、はい……OKです。さすがレオニスさんですねぇ、薬草一つに対しても万全かつ完璧な採取ですぅ」

「そうだろう、そうだろう」


 満足な結果を出せたことに、レオニスがこれ以上ないくらいに得意げな顔をしている。

 一方でクレアが、ふと何かを思い出したように呟く。


「あ、そしたらレオニスさん。今度はライト君に薬草の摘み方を指導しながら、ここにある採取可能な薬草を全て採ってくださいねぇー」

「えー、それって講座云々じゃなくてもはや採取依頼と変わりなくねぇか?」

「まぁまぁ、そう固いことおっしゃらずに。採取していただいた薬草類は、きちんと査定した上で買い取りいたしますからー」

「ンー、それならいいけどよ……」


 引き続き薬草採取をするよう指示を出すクレアに、レオニスがむくれて見せる。

 確かにそこまでいくと、もはや講座の範疇を超えて採取依頼と大差ないことになりそうだ。


 しかし、レオニスがむくれたくらいで引っ込むクレアではない。

 講座内で実践した収穫物でもちゃんとした買い取りを約束することで、レオニスも納得して引き受ける決意をしたようだ。


 だが、この話はこれだけでは終わらなかった。

 レオニスが薬草採取を引き受けてくれたことに安堵したクレアが、一転して目を閉じ物憂げな顔でため息をつく。


「というか、ここ最近回復剤全般の品薄状態が続いていてですね。薬師ギルドに薬草を卸している冒険者ギルドでも、買取価格を強化中なんですよー」

「「…………」」

「ラグナロッツァを中心に、近隣の街どころかこーんな辺境のディーノ村にまで買取価格強化とか、意味分かんないですよ。私も長らく受付嬢をしていますが、こんなことは初めてですぅー」

「「…………」」

「中でもエクスポーションの在庫切れが激しいらしくて、エクスポーションの原材料全般も絶賛高騰中なんですよ。……何でですかね?」

「「…………」」


 クレアの悩みの種に、思いっきり心当たりのあるライトとレオニス。二人してただただ無言を貫くしかない。

 その原因とは、言わずもがなシュマルリ山脈に住むエクスポ大好き竜族達に貢いでいるせいである。

 中でもその原因の渦中の主要人物であるレオニスは、あまりの気まずさに口を開いた。


「ぁー、そのー、えーと、何だ……俺も薬草採取に協力するから、頑張ろうぜ!な?」

「そうですねぇ。レオニスさんの言う通り、ここで悩んでいても何もなりませんからね」

「そうそう!そしたらライト、俺が薬草の見分け方や摘み方を詳しく教えてやるから、ここでいっしょに勉強しようぜ!」

「う、うん!レオ兄ちゃん先生、よろしくね!」

「おう、任せとけ!」


 ウヒヒ、アハハ、と苦笑いしながら薬草採取に励むことを誓うライトとレオニス。

 こうして二人は薬草の復習と学習を兼ねた採取講座を進めていったのだった。

 楽しい楽しい冒険者のイロハ講座のその一、薬草採取の実践編です。

 薬草と一口にいっても、リアルではそれこそ何百種類と存在します。

 ゲームなら『薬草』とか『高級な薬草』あるいは『薬草A』『薬草B』なんかで済んじゃう訳ですが。

 さすがに拙作でもそれを適用するのはちと物足りないので、何とか薬草の固有名を捻り出そうとしたんですがー(=ω=)

 そこまでする気力や余力もなく_| ̄|●

 適当に漢方系の植物の名前で済ますことにしちゃいました・゜(゜^ω^゜)゜・

 気が向いたら&気力が湧いたら、そこら辺手直しするかもしれません。……が、当分はそんなこともできなさそう_| ̄|●

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