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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
三年生の夏休み

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1553/1685

第1553話 フェルディナンドとの対話

 いろいろとあったが、何とか東のオーガの里の中に入ることができたレオニス。

 先頭をチェスワフとランベルト達三人が歩き、その後ろにレオニスが続いて歩く。

 レオニスの右にはガイ、左にはテオ、後ろはノアがレオニスを取り囲むようにして歩いている。

 これは、万が一この里の中でレオニスに何かされた場合に備えて護衛しているのだ。


 実際にレオニスが東の里の中に入ると、東のオーガ達が全員漏れなく怪訝な顔でレオニスを見てくる。

 その視線は興味本位の軽いものもあるが、ほとんどが胡乱げもしくは忌々しそうに睨みつけてくるのだ。

 さすがに問答無用で襲いかかったり絡んでくる者はいないが、これはチェスワフが先頭を歩いているからだった。


 実はこのチェスワフという男、代々族長の側近を務める家系の跡取り長男であり、その腕っぷしの強さも折り紙つきだ。

 そのため東の里の者達からの信頼がとにかく厚く、レオニスを不躾に睨みつけてくる者達も『チェスワフさんが連行してるなら大丈夫だろう』という考えがあったからこそ、手出しせずにいたのだ。

 もしそれがなかったら、今頃レオニスは多数の東のオーガ達に取り囲まれてちょっかいを出されていたことだろう。

 もっともレオニスの場合、オーガ達のちょっかいなど撥ね退けて倍以上に返してしまうのだが。


 そうしてチェスワフの案内で辿り着いた一軒の家。

 明らかに他の家屋より大きくて立派で、ここに族長が住んでいるであろうことが一目で分かる。

 家の入口の前で、チェスワフが一旦立ち止まり振り向いた。


「ここに我が里の族長であるフェルディナンド様がおられる。レオニスとやら、失礼のないように努めよ」

「あー、俺はオーガ達の『拳で語る』以外の流儀は知らんので、何が無礼で何が逆鱗なのか正直全く分からん。だから全て許せとまでは言わんが、何かあったら都度指摘して教えてくれるとありがたい。できる限り直す努力はする」

「……承知した」


 レオニスに釘を刺したつもりのチェスワフだったが、ド正論で返されてぐうの音も出ない。

 他所者を受け入れないオーガのマナーなどレオニスが知る由もないし、チェスワフが逆の立場なら人里で礼儀正しく振る舞えるはずもないことに彼は気づかされたのだ。


 コホン、と一つ咳払いをし、チェスワフが再び歩を進めて東のオーガの族長の家の中に入っていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 巨大な家の中を、無言で歩くレオニス達。

 ちなみにレオニスは、ここまで来るのに実は歩いていない。

 地面の上から10cmほど浮き上がった状態で、スススー……と飛んでいるのだ。


 というのも、オーガ達とレオニスの歩幅は全く違う。

 オーガ達が普通に歩いているつもりでも、彼らの背丈の半分にも満たないレオニスは小走りもしくはそれなりに疾走しないと追いつかないからである。

 直立姿勢で腕組みしながら足は一切動かさず、まるでベルトコンベアの上に乗っかっているような移動の仕方だが、オーガ達との体格差を考えれば致し方ない。


 そうして入っていった族長の家で、レオニスは奥の間に通された。

 そこは質素だが趣のある板の間で、部屋の奥には族長と思しき壮年のオーガが胡座で座っていた。


「族長、先程お話しした者を連れて参りました」

「ご苦労。お前達は入口まで下がっておれ」

「はっ」


 威厳溢れる壮年オーガの命に、素直に従うチェスワフ。

 族長であろう壮年オーガは、人族の年齢で例えると三十代半ばくらいに見える。

 年齢的にはチェスワフと同世代っぽいが、族長を重んじているのかあるいは身分差を意識してか、チェスワフの方が常に敬語で接している。

 チェスワフがランベルト達若手とともに部屋の入口付近まで下がり、壮年オーガの方からレオニスに声をかけた。


「お前が、中央のオーガ達と懇意にしているという人族か」

「ああ。俺の名はレオニス・フィア、この森に住む人族だ」

「この魔の森に住める人族がいようとはな……よくもまぁ熊や大蛇に食われぬものだ」

灰闘牙熊(グレイファングベア)やジュエルスネークか? そいつらは簡単に増えるし、増え過ぎると森の生態系が悪化するからな。適度に狩ってラキ達への手土産にすることが多いな」

「………………」


 壮年オーガのチクリとした嫌味に、レオニスは全く気づくことなく平然と返す。

 普通なら、非力な人族など熊や大蛇に食われて当然。

 なのに、この目の前にいる人族の男は捕食されないどころか、逆に返り討ちにして同胞達への手土産にしていると言うではないか。

 俄には信じ難いことではあるが、魔の森に居を構える時点で只者ではないことは明らかだ。

 嫌味が通じずに呆けていた壮年オーガ、話題を変えるべく改めて名乗り始めた。


「私の名はフェルディナンド、東のオーガの族長である。時にレオニスとやら、我が里の近くで何かおかしなものを見つけたらしいな?」

「ああ、それはだな―――」


 早速本題を切り出してきたフェルディナンドの問いに、レオニスがこれまでの経緯を語って聞かせた。

 そうして一通りレオニスの話を聞いた後、フェルディナンドがレオニスの横や後ろにいるガイ達にも問いかけた。


「ガイ、テオ、ノア、この者が言っているのは、本当のことか?」

「ああ、本当のことだ。俺達は二年前の秋に、単眼蝙蝠の群れに襲われた。あの時のことは、今でもたまに夢に見て魘されるくらいだ……」

「この人族、レオニスの言うことは信用に値する。うちの族長や長老もレオニスのことを信頼しているし、何よりこいつはあの時窮地に陥っていた俺達を助けてくれた。だからこいつは、中央の里の大恩人であり友なんだ」

「そうそう。もしあの時、レオニスが中央の里に駆けつけてきてくれなかったら……俺達だって今頃こうしてここにはいられなかっただろうな」

「中央の友、か……」


 ガイ達三人が、口を揃えてレオニスを擁護する。

 これは、フェルディナンドからしたらとんでもなく異例のことだ。

 するとここで、ガイがフェルディナンドに改めて進言した。


「中央の里を襲った奴等と同じ奴が、この東の里も狙っているかもしれない。これは絶対に無視しちゃいけない事態だ」

「その話も、チェスワフから一応は聞いている。……よし、今から見に行くだけ行ってみるか」

「それでこそ、東の族長さんだぜ!」


 若者の進言を嘲笑うことなく受け止めるフェルディナンドに、ガイが破顔しつつ絶賛している。


 東の里の族長は代々頭が固く、なおかつ封建的な考え方をする者が多かった。

 年齢の上下関係は絶対的であり、年下の者の言うことなど一笑に付して取り合わない石頭―――それが東のオーガの族長の代名詞だった時代もあったが、近年ではそれが改善されつつあるらしい。


 その原因は、言わずもがなベスの輿入れ。

 他所者と蔑まれたベスの弛まぬ努力と子供達への教育が実を結び、ベスの息子であるフェルディナンドは立派な族長となったのだ。

 そう、先程チェスワフがガイ達に言っていた『これでも昔に比べたら開放的になった』というのは、実は本当のことなのである。


 板の間にドカッと座っていたフェルディナンドが腰を上げ、のっそりと立ち上がる。

 その身の丈は5メートル近くあり、明らかに他の東のオーガ達よりも大きな体躯である。

 髪や瞳の色は東のオーガのそれだが、肌は砂色より若干濃いめ。

 ここら辺は、中央のオーガである(ベス)に似たのだろう。


 立ち上がったフェルディナンドが、レオニスに向かって声をかける。


「レオニス、その不審な場所とやらに案内してもらおう」

「おう、いいぞ」


 フェルディナンドの要請に、レオニスが快く応じる。

 族長自らが里の危機への対応に早急に乗り出すのは、レオニスとしても好感が持てるところだ。

 そうしてレオニス達はフェルディナンドの家を出て、不審な罠があった場所に移動していった。

 ようやく東のオーガの族長フェルディナンドとの面会&対話です。

 堅物揃いの東の里の中にあって、母が中央の里の出でいわゆるハーフな生まれのおかげか、そこまで偏屈なキャラではなさそうなので一安心( ´ω` )

 あー、でも今の時代、『ハーフ』という言葉も差別的と捉えられかねないんでしたっけ?(゜ω゜)

 大昔は『混血』という表現が一般的だったようですが、今は多分『混血』の方が一発アウトよね…(=ω=)…


 ここら辺をggrksしてみると、なかなかに難しい問題のようですが。ハーフや混血以外にも『ダブル』『ミックス』『Hafu』など、様々な表現の仕方があるのですねー(゜ω゜)

 作者はプロ作家ではありませんし、拙作も作者の趣味の範疇を出ない素人小説ではありますが。

 日々文章を書いてWEB上で発信しているからには、今後ともこうした何気ない言葉一つにも十分気をつけていきたいところだとは思っています。

 ……とか言いつつ、もう670万字以上綴り続けてきているので、この大量の文字の中に作者自身も全く気づいていないチョンボがあるかもしれませんが(´^ω^`)

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