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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
三年生の夏休み

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1551/1682

第1551話 聞き逃せない話

 東のオーガの里に向かって歩くレオニス達。

 先頭はチェスワフが歩き、その後ろに項垂れたまま歩くランベルト、フィルマン、リクハルドが続く。

 トボトボと力無く歩くランベルトが、彼の横や後ろをついてきていたテオに話しかけた。


「なぁ、テオ……あれ、本当に人族か? 魔族か何かの間違いじゃないのか?」

「あー、お前らもそう思う? 俺らも最初はそう思ったんだよなー。何なら新種のオーガ? でもって、絶ッ対ェーにどっかに角を隠してるだろ!とか疑ったもんなー」

「そうそう。背中か尻にでも角が生えてんだろ!とか思ったけど、それだと服を着てても隠せんだろ? だから、残念なことにレオニスにはどこにも角が生えてねぇってことなんだよなー」

「だから、うちの里ではレオニスのことを【角持たぬ鬼】と呼ぶようになったって訳さ!」

「「「ワーッハッハッハッハ!」」」

「「「…………」」」


 話しかけられたテオだけでなく、ガイやノアも話に入って大笑いしている。

 ランベルトの真面目な質問も大概だが、テオ達の方がもっと失敬である。

 陽気な高笑いをするテオ達に、レオニスがスーン……とした顔で「お前ら、本ッ当ーーーに失敬だね……」と呟いている。


 だが、ここでガイが真面目な顔になり、ランベルト達に語りかけた。


「ランベルト、お前らもそうだが……俺達だって誇り高きオーガ族だ。実力のない者を認めることなど決してない。そんな俺達が、このレオニスを仲間として認めているってことがどういう意味なのか、分かるよな?」

「……ああ……」

「ていうか、これは俺達だけじゃない。うちの族長や長老、全ての中央のオーガがレオニスを認めてるんだ。だから、さっきのリクハルドの無理強い……直接殴り合いなんてものが、もしまかり通っていたら、お前らには悪いが俺達はレオニスの方についただろうよ」


 ガイの話に、横や前にいるテオとノアもしたり顔で頷いている。

 一方でランベルト達東の里のオーガ達は喫驚する他ない。


「……あの人族のことを、そこまで信頼しているのか……」

「ああ。さっきも話したが、レオニスは俺ら中央の里の大恩人だからな」

「何故人族が、お前らの大恩人なんてことになるんだ?」

「それはだな―――」


 先程話しそびれた、レオニスがガイ達の大恩人である理由を道すがら聞かせていく。

 二年前の秋のとある日に起きた、中央のオーガの里における単眼蝙蝠の群れの襲撃事件。

 東の里のオーガ達がこの話の詳細を聞くのは、実はこれが初めてのことだ。


 いや、正確に言えば『中央の里で何か事件が起きたらしい』程度の噂話は聞いていた。

 しかし、事件の当事者である中央の里の者達の口から直接話を聞くのは今日が初めてだった。

 ガイ達が語る、生々しくも壮絶な話にランベルト達も絶句する。


「単眼蝙蝠って、そんな恐ろしいものなのか……」

「ああ。あいつら一匹一匹はちっせー雑魚だし、どこにでもいるヤツだが……すばしっこい上に攻撃魔法を使ってくるからな」

「そんなのが何百匹と集まりゃ、とんでもねー暴力になるってことを、あの日俺達は嫌というほど思い知らされたぜ」

「俺もあの時、族長達といっしょに前線で戦ったが……奴らが放った光線が目に当たって、ろくに戦えなかった。あんな惨めな思いをするのはもうたくさんだ」


 ため息まじりで悔しそうに語るガイ達。

 当時経験した悔しい思いは、彼らの中では遠い過去ではない。一生忘れ得ぬ心の傷にも等しい。


 魔法が使えないオーガにとって、魔法を使う飛行種族は天敵だ。

 如何に優れた腕力を誇ろうとも、空中を自由自在に飛ぶ敵には到底叶わない。

 そんな厳しい現実を叩きつけられたガイ達の悔しさは、察するに余りあると言えよう。


「それに……屍鬼化の呪い、か? 俺らも爺様婆様から話だけは聞いたことがあるが、あれって御伽噺じゃなかったんだな」

「そう、その厄介な呪いを解いてくれたのもレオニスなんだ。人族だけが持つ秘薬?ってヤツを使ってくれたから、うちの族長は屍鬼化せずに済んだんだ」

「それは……正真正銘の救世主じゃないか……お前らがあの人族のことを『大恩人』と呼ぶのも納得だ」

「だろう?」


 若者達の賑やかな会話が続く。

 するとここで、レオニスが思い出したように話し始めた。


「……ああ、その単眼蝙蝠の襲撃事件で思い出したんだが。中央の里を襲った奴等が、この東のオーガの里も狙っているようだぞ」

「「「「何ッ!?!?!?」」」」


 レオニスの突然の情報に、東の里のオーガ達が目を丸くしながら喫驚している。

 もしその話が本当ならば、東の里でも近いうちに襲撃事件が起きるかもしれない。

 これは、チェスワフ達にとって到底聞き逃せない情報である。


「何故そんなことが起きていると分かったのだ!?」

「ぁー、それがな? 闇の女王がこの近辺に異変が起きている、と教えてくれてな。それを今日、俺が調べに来たんだが……ガイ達の里を襲った奴等が仕掛けた罠と同じものがあることが分かったんだ」

「「「「…………」」」」


 チェスワフ達四人が動揺していると、ガイ達も青褪めながら話し合い始めた。


「おいおい、それ、洒落になんないぞ……」

「だが、レオニスが調べた上でそう言うなら、間違いないんだろうな」

「これ、急いで東の里の族長にも知らせるべきだろ」

「だな。レオニス、すまんがその話を東の里の族長にも教えてやってくれないか?」

「もちろんいいとも。その罠は既に俺が潰しておいたが、東の里のやつらも当分は警戒しておくべきだしな」

「ありがとう!」


 レオニスの協力を仰ぐガイ達の要望を、快く受け入れる。

 その惜しみない協力姿勢に、チェスワフもレオニスに声をかけた。


「その話の真偽は今のところ不明だが、私個人としては調査するべき案件だと考えている。是非とも協力してもらいたい」

「おう、いいぞ。カタポレンの森の安寧を保つことは、俺の仕事の一つだからな」

「……ありがとう。では、里に入ったらすぐに族長に会ってもらう」

「了解」


 チェスワフの要請も快く受け入れるレオニス。

 先程レオニスが罠を潰しはしたが、監視役のマードンは本当に役に立つか分からないし、標的にされた東のオーガ達自身が罠の存在を知って警戒しておくのは良いことだ。

 そうしてレオニス達は、東の里の中に入っていった。

 うわーん、また眠気に負けて31時投稿になってもたー><

 後書きはまた後ほど……

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