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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
三年生の夏休み

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第1536話 砂の女王の相性問題

 ライトがガベリーナと階段で密談していた頃。

 屋上では、レオニスと砂の女王がのんびりと会話をしていた。


「砂の女王も、他の属性の女王に会いたいか?」

『それはもちろんよぅー。今まで一度も会ったことないしー』

「そっか。今俺達がここでやったような転移門の設置が進めば、いつか皆に会えるようになるさ」

『その日がすっごく楽しみー♪』


 四つの点灯虫が放つ仄かな灯りの下、レオニスは柵に寄りかかり上を見上げ、砂の女王はレオニスが作に縛りつけて設置した転移門の操作用石柱を物珍しげに眺めている。

 するとここで、砂の女王がクルッ!と振り返り、レオニスに問うた。


『ねぇねぇ、この先私が会っていい姉妹と会うのが難しい姉妹を教えてくれる? 皆がどんなところに住んでるのか、私、全く知らないのよねぇー』

「ン? そうだなぁ……まず、同じ地属性の地の女王は全く問題ない。火属性の火の女王と炎の女王も大丈夫だな。……ああ、ただし火の女王が住むエリトナ山は、今もマグマがグツグツと煮え滾る活火山だ。だから砂の女王が直接マグマの中に入るのは、さすがに危険だと思う」

『うんうん』


 砂の女王がレオニスに聞きたかったのは、他の属性の女王達の情報。

 どこに住んでいて、どんな環境下で暮らしているのか。

 それを知っておけば、気軽に会える姉妹とそうでない姉妹が事前に分かるだろう。

 レオニスが並べていく答えに、砂の女王が真剣な眼差しで聞き入っている。


「あと、光の女王と雷の女王、闇の女王も問題ないだろう。ただ、闇の女王は暗黒の洞窟にいるからいいが、光の女王と雷の女王は天空島にいるから強風に晒されることも覚悟しとくべきだな」

『強風かぁー……確かに強い風に長時間居続けるのはキツいかなぁ……』

「そう、そういう意味で一番厳しいのは風の女王だろうな。風の女王が住むフラクタル峡谷は、常時風が吹き続ける谷底にあるし」

『そうよねぇ……風の女王がもし本気で怒ったら、私の身体なんて一瞬で吹き飛んじゃうわぁー』

「もっとも、今の風の女王はそんな癇癪持ちじゃないし、神殿の中に入れば谷の強風もそんなに入らないだろうけどな」

『そっかぁー、それなら風の女王とも会えそうね♪』


 砂の女王が会えそうな姉妹と難しそうな姉妹、次々と話題に上がっていく。

 砂という特性上、彼女と最も相性が悪いのは間違いなく風の女王だろう。

 しかし、砂の女王にとって会うのが厳しいのは風の女王だけではない。レオニスがそのことにすぐに言及した。


「残るは水属性だが……地属性と水属性はあまり相性が良くないのは分かるか?」

『ええ、分かるわよー。土は水を汚すし、土も多過ぎる水は形を保てなくなっちゃうのよね』

「そうそう、それそれ。でも、水の女王は既に地の女王と会ったことがあってな? 普通に抱きついてたぞ」

『何ソレ、スゴイ!』


 レオニスが語る水の女王と地の女王の邂逅エピソードに、砂の女王が目を丸くして驚いている。

 地属性と水属性は、五行思想で言えば『土剋水』。水属性側から見て地属性は天敵に当たる。

 しかし、かつて水の女王が地の女王に会いたさに地底世界に出向いた時、彼女は類い稀なる根性でこれを完全に克服していた。

 そうした前例を聞けば、砂の女王も勇気づけられるというもの。

 現に今彼女は『そしたら私も、水の女王に会えるかしら!?』とワクテカ顔で呟いている。


「水の女王は『目覚めの湖』という湖にいるんだが、この湖の真ん中には小さな島があってな。そこに転移門を作る予定だから、砂の女王でも直接水に触れることなく水の女王達に会える」

『それはいいわね!』


 レオニスの転移門設置計画に、砂の女王が両手をパン☆と合わせて喜んでいる。

 砂の女王が大量の水に触れるのは危険だが、小島という陸地で会うなら何の問題も起きないはずだ。

 水の女王がド根性を発揮することなく安全に会えるなら、それに越したことはないのである。


「でもって、水属性の女王は水の女王以外にも二体いることは知ってるか?」

『うん、一応知ってるわよー。氷の女王と、あとは海の女王よね?』

「そう、その二体だ。このうち氷の女王は、多分然程問題はない。氷の女王は水属性だが、氷そのものは個体だからな。融けて水になることもない」

『そうよね!……じゃあ、その中で会うのが一番難しいのは、海の女王?』

「そういうことになるな」


 レオニスの誘導するような質問により、砂の女王は風の女王と同じくらいに最も相性が悪い相手が海の女王だということを知る。

 如何に砂の女王が地属性で、水属性にとって苦手な属性であろうとも、大海原という大量の水相手ではさすがに分が悪い。

 もし砂の女王が海に浸かったとして、砂の身体を維持できなければ海の藻屑ならぬ海底の砂と化してしまうであろう。


『海には上陸できる小島とかはないの?』

「ンー……近くにラギロア島とかあるっちゃあるが、あの島はバカンスや観光で人目につくんだよな……」

『やっぱ無理かなぁ……あ、でもでも、海辺の砂浜の砂で身体を作り替えたらイケるかも?』

「何ッ、そんなことができるのか!?」

『もッちろんよぅー!だって私は砂の女王ですもの。全ての砂は私の思うがままに動かせるのよぅー』

「それもそうか……」


 砂の女王がひらめいた妙案?に、今度はレオニスが目を丸くして驚いている。

 確かに海にも砂があり、その砂で身体を作り替えれば海に対する親和性や耐性なども爆上がりしそうだ。

 そう、砂の女王は何もノーヴェ砂漠だけを支配しているのではない。このサイサクス世界に存在する砂、その全てに対して能力を発揮するのだ。


「海の女王ってのは、海に住まうだけあって他の女王と会うのがなかなかに難しくてな。陸地には、塩水はあっても海水はないから移動もままならないし」

『でしょうねぇ……』

「だから、もし砂の女王が海の女王に会いに行けるなら、きっと海の女王も大喜びすると思う」

『……ええ!いつかきっと、いえ、必ず海の女王に会いに行くわ!』


 海の女王の境遇を思い遣るレオニスの言葉に、砂の女王がキッ!と真剣な眼差しになって決意する。

 考えてみれば、海の女王も移動や対面にかなり制限がある方だ。

 海水が存在しない陸地には移動できないし、天空島だって当然行ける場所ではない。

 故に相手の方から海底神殿に出向いてもらうしかないのだが、それとて火の姉妹や風の姉妹は絶対に無理だ。


 属性の女王の中でも屈指の不自由な境遇の海の女王。

 窮屈な思いをしているであろう彼女のために、自分から会いに行く!と砂の女王は心に強く誓った。

 そんな彼女の決意を、レオニスが笑顔で後押しする。


「海の女王のところにも、近いうちに転移門を作る。そしたら砂の女王の方から会いに行けるから、もう少し待っててくれ」

『ええ!その日が今から待ち遠しいわ!』


 小さく微笑みながら励ますレオニスに、砂の女王が顔を綻ばせている。

 するとここで、屋上から階下に続く階段から複数の足音が聞こえてきた。

 ラウルを迎えに行ったライトが戻ってきたのだ。


「レオ兄ちゃーん、ラウルを連れてきたよー!」

「おう、ご苦労さん」

「ご主人様も、転移門設置ご苦労さん」

「ありがとよ。この転移門でカタポレンの家に帰るぞ」

「はーい!」


 ライト達と合流したレオニスが、早速転移門の魔法陣の中に入る。

 一方でラウルの頭の上に乗っかっていたさるぼぼガベリーナは、ラウルの頭上ですくっ!と立ち上がり、ピョイーン!と飛んで砂の女王の肩に乗り移った。

 レオニスに言われる前に、空気を読んで自ら移動できるガベリーナは賢いのである。


 ライト、レオニス、ラウルの三人が魔法陣の中に入り、魔法陣の外にいる砂の女王達に別れの挨拶をした。


「砂の女王様、ガベリーナさん、今日もありがとうございました!給湯室でのお茶会、すっごく楽しかったです!」

『私もとっても楽しかったわぁー。またいつでも遊びに来てねぇー』

『私もとても有意義な時間を過ごせた。再びこのようなひと時を過ごせることを願っている』

「次もまた給湯室で、皆でお茶会しような」

『ええ!その時までに、皆の分のお皿とかカップとか集めておくわねぇー』

『砂の女王よ、皿やコップならラウルが山ほど置いていってくれたようだ』

『え、マジ? ラウル、ありがとうねぇー』

「どういたしまして」


 五人で交わす賑やかな別れの挨拶。

 名残は尽きないが、また近いうちに会えるだろう。

 レオニスが操作パネルをピコピコと弄る間、他の四者は手を振っている。

 砂の女王の右肩に乗っかったさるぼぼガベリーナまで、ライト達同様に右手をブンブン!と振っているのが何とも愛らしい。


 そして転移門が作動し、ライト達はガベリーナの屋上からカタポレンの家に瞬間移動していった。

 ライト達がいない間の、レオニスと砂の女王の様々な会話です。

 実際問題として、属性の女王達にはそれぞれ厳然とした相性の良し悪しが存在します。

 同じ精霊の女王同士、姉妹に会いたいと思う気持ちは痛い程分かるのですが。相性をよく考えてから行動しないと、ホントに大変なことになっちゃうー><


 そして、第1529話から始まったノーヴェ砂漠での砂の女王&ジャッジ・ガベルのガベリーナとの再会も、これにて完了です。

 あらまぁ、今回は8話で終わったの?(゜ω゜) 8話で完了するなんて、かなり早い方よね!(º∀º) ←感覚完全麻痺

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