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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
三年生の夏休み

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1530/1683

第1530話 ガベリーナとの再会

 砂の女王に導かれ、ガベリーナ=ジャッジ・ガベルの中に招かれたライト達。

 砂の女王と三人が中に入った途端に、入口が閉じられた。

 そしてズズズズ……という音とともに、下に降下するような感覚を覚える。

 これは、ガベリーナが日中の暑い日差しを避けて砂の中に潜り込み始めたためだ。


 まるでエレベーターで地下深くに沈むかのような感覚がしばらく続き、ピタッと止まった。

 その頃には巨城の中はひんやりと涼しくなり、先程までいた地上の猛暑が嘘のような快適な温度になっていた。


「おおお……これがあの巨大な城の中か……俺は入ったことはないが、ラグナ宮殿もこんな感じなのか?」

「ンー……ここは宮殿というよりも、どちらかというとお役所か裁判所みてぇな感じだがな」


 初めて見るガベリーナの内装?の物珍しさに、ラウルがキョロキョロと見回している。

 決して華美ではないが、上質な内装は高貴さや気品といったものを感じさせる。

 そのためラウルはラグナ宮殿に例えたが、レオニスの鋭い観察眼『裁判所みてぇな感じ』という言葉に、横にいたライトは内心でドギマギしていた。


 すると、どこからともなく声が聞こえてきた。


『ライト、レオニス、よくぞ来た』

「あ、ガベリーナさん、こんにちは!」

「よう、ガベリーナ。今日は普通に玄関から入らせてもらったぞ」

『うむ。これからはそうするが良い』

「………………」


 ライト達を歓迎する声の主は、砂の女王の相棒であるガベリーナ。

 ガベリーナの歓迎の声に、ライトは元気良く挨拶してレオニスはちょっぴり皮肉めいた返し方をしている。

 だが、その程度の皮肉ではガベリーナに通じるはずもなく、華麗にスルーされて終わりである。


 するとここで、レオニスの頭の上に突然何かが落ちてきた。

 ぽすん、とレオニスの頭の上に乗っかったそれは、体長約7cmのさるぼぼにそっくりなガベリーナの分体だった。


「ン? 何だ何だ、何か降ってきたぞ!?」

「あ、それ、前にここでお茶会した時に砂の女王様が作った、ガベリーナさんの分体だ」

「マジ!? つーか、何で俺の頭の上に乗っかってんだよ!?」

『いや何、ここが一番見晴らしが良さそうなのでな』

「建物の中で見晴らしなんてあんのか!?」


 突然のことにびっくりして、自分の頭に手を伸ばすレオニス。

 頭の上にはライトが言っていた通り、さるぼぼガベリーナが乗っかっているではないか。

 レオニスが慌てて右手でガシッ!と掴んで引き剥がそうとするも、さるぼぼガベリーナはレオニスの頭にしがみついて離れない。

 何故かは分からないが、どうもガベリーナはレオニスの頭の上に居たいようだ。


 そして、さるぼぼガベリーナがレオニスの金髪を束で掴んでいるものだから、それを引っ張ると自分の頭髪まで引っ張ってしまい、レオニスが「痛てッ!」と小さく叫んでいる。

 そんな二人のやり取りを見て、砂の女王やライト達が微笑んでいる。


『あらまぁ、ガベリーナがこんなに懐くなんて……珍しいこともあるものねぇー』

「ちっちゃいガベリーナさん、可愛いー!」

「ご主人様よ、よく似合ってるぞ」

「お前ら、他人事だと思って……」


 この現状を誰も助けようとしないどころか、むしろ皆ガベリーナ寄りで容認しているではないか。

 周囲に誰一人として味方がいないことに、レオニスが悔しげに歯ぎしりしている。


「レオ兄ちゃん、無理矢理剥がすなんて可哀想なことしちゃダメだよ? ガベリーナさん、そこがお気に入りのようだし」

「そうだな。というか、あまり無理に引っ張るとご主人様の毛がごっそり抜けて、ハゲちまうかもしれんぞ」

「何ッ!? それは困る!」


 ライトとラウル、特にラウルの説得?にレオニスがギョッ!とした顔でさるぼぼガベリーナから手を離した。

 マスターパレンのような、ツルッ☆としたスキンヘッドになるならともかく、身長7cmのさるぼぼガベリーナがしがみついた部分だけハゲたら、それは間違いなく河童状態になってしまう。

 さすがにそれは避けたいレオニス。諦めたように、はぁーーーー……と大きなため息をついた。


「……しゃあない。何でそこがいいのか分からんが、ガベリーナの好きにすりゃいい」

『うむ。もとよりそのつもりぞ』

「つーか、これ以上俺の髪の毛引っ張るなよ? 頭に乗っかるだけにしてくれ」

『承知した』


 観念したレオニス、さるぼぼガベリーナが頭上に乗っかることをついに認めた。

 レオニスの公認をもぎ取ったさるぼぼガベリーナ、しがみつくのをやめて改めてレオニスの頭上をよじ登り、一番高いところでちょこん、と座った。

 さるぼぼガベリーナの顔には目鼻はついていないが、明らかに満足そうだ。


 するとここで、ラウルがレオニスの頭上のさるぼぼガベリーナを見つめながら挨拶をした。


「ガベリーナ、お初にお目にかかる。砂の女王にも既に挨拶はしたが、あんたにも自己紹介させてもらおう。俺の名はラウル、プーリアという妖精族だ。訳あって人族のご主人様達といっしょに暮らしている」

『うむ、外での会話は私も聞いていた。改めての自己紹介、痛み入る。私の名はガベリーナ。審判を司る城にして、砂の女王が住む神殿と彼女を守る守護神も兼任している』


 ラウルの挨拶と自己紹介に、さるぼぼガベリーナも身体の向きを変えて応じる。

 分体の見た目の愛らしさとは全く違う、理知的な会話にラウルは驚きを隠せない。


「神殿自身に自我があって、しかも会話ができるというのはすごいな」

『そうか? 他の神殿守護神のことは知らないが、私にとってはこれが当然であり日常茶飯事だ』

「もし良ければ、ご主人様達同様俺とも仲良くしてくれるとありがたい」

『それは私としても願ってもないこと。妖精と知己を得られるなど、夢にも思っていなかった。こちらこそ、今後ともよしなに頼む』


 ガベリーナのことを純粋に尊敬し、褒め称えるラウル。

 そんなラウルにガベリーナも好感を示し、さるぼぼ分体の小さな右手をラウルに伸ばした。

 その手は握手を求めているのだ、と瞬時に理解したラウル。レオニスの頭の上に鎮座ましましているさるぼぼガベリーナの右手に、そっと右人差し指を差し出した。


 そうして握手を交わしたラウルとガベリーナ。

 スムーズに交流ができて何よりである。


「ガベリーナ、もし良ければこの建物の中を案内してもらえるか? 俺は役所も裁判所も入ったことがないし、ましてや宮殿なんて一度も足を踏み入れたことがないんだ」

『良かろう。一部関係者以外立入禁止の場所があるが、それ以外ならいくらでも案内しよう』


 好奇心旺盛なラウルの願いに、ガベリーナが快く応じる。

 ガベリーナが言う『関係者以外立入禁止の場所』とは、言わずもがな法廷エリアだ。


 そこには基本的に罪人と被告人以外は入れない。

 中の作りこそ裁判所の法廷そのままだが、裁判官や弁護人、傍聴がいたことは一度もない。

 裁判官や検察官の役割はガベリーナが果たすし、弁護は罪人もしくは被告人が自ら法廷台に立って行わなければならない。

 傍聴だってわざわざ外部から招き入れることなどない。


 そして、今のライト達はガベリーナにとって罪人や被告人ではない。

 かつてライトはガベリーナに拉致られて法廷台に立たされたが、それは両者がBCOにおいて勇者候補生とレイドボスという敵対関係にあったからであって、その件についてはきちんと話し合って双方合意の上で和解している。

 そのため、今はライトであっても法廷エリアには入れないのである。

 もっとも、ライトとしてはジャッジ・ガベル内の法廷台なんて二度と立ちたくない!と思っていることだろうが。


『では、まずは一階から案内していくとしよう』

「ああ、よろしく頼む」

「「「『『………………』』」」」


 未だにレオニスの頭上にいるさるぼぼガベリーナが、ラウルに向かって声をかける。

 しかし、さるぼぼガベリーナがそこ―――レオニスの頭上から動き出す様子が全くない。

 その場にいた五人は、しばし無言のまま立ち尽くす。


 もしガベリーナが自らラウルを案内しようと思っているなら、レオニスの頭上から降りて自らの足で歩いていきそうなものなのだが。さるぼぼガベリーナは、一向に動き出そうとしない。

 どうやらさるぼぼガベリーナは、このままレオニスを馬車代わりに使うつもりのようだ。


 このままでは埒が明かない、と考えたレオニスが徐に口を開いた。


「…………ガベリーナ、どっちに行けばいいんだ?」

『このホールの奥、そこからまず右に曲がってくれ』

「了解ー」


 無言の空気に耐えきれず、結局レオニスが折れる形でガベリーナに行き先を尋ねる。

 レオニスとて乗り物扱いされることには釈然としないが、それはそれとしてレオニスもこの建物=ジャッジ・ガベルの内部構造に興味がある。

 なので、例え乗り物扱いされても立入禁止区域外を見て回れるなら御の字である。


 そうしてライト達は、ジャッジ・ガベル内部の見学ツアー?をするべく歩きだしていった。

 いつもの後書きの前に、懺悔します。

 昨日の前話の投稿チョンボ。久々にドデカいやらかしをしてしまいました……

 26時ちょい前くらいに投稿したはずなのに!

 投稿したつもりで安心してすぐに寝て、朝起きてふとスマホでなろうのマイページ見たら。投稿されてないジャマイカ!ヒィィィィ! ←ムンクの叫び顔

 割と真面目な話、作者のポンコツぶりに年々拍車がかかる一方で歯止めが利きません……どうすりゃいいんでしょ_| ̄|●

 どなたか作者のうっかりポンコツを治す方法を教えてくださいぃぃぃぃ(TдT) ←超切実


 ……と、悲しくも情けない懺悔はこれくらいにしといて。

 砂の女王の相棒、ガベリーナの再登場です。

 口調は相変わらず堅めのガベリーナさんですが、分体のモデルがさるぼぼのせいか、何か微妙に可愛くなってきている気がするー。

 分体の行動を表す時に、本体の言動と区別するために『さるぼぼガベリーナ』と書き分けているせいもあるかも?(゜ω゜)

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