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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
三年生の夏休み

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第1520話 久しぶりのツェリザーク

 プロステスの別荘を出て、ライト達は冒険者ギルドプロステス支部に移動した。

 ツェリザークに移動する前に、レオニスは前の日までに狩りまくったヘルワームの討伐証明部位である大顎の提出を、ラウルは人食いパイアを三体提供してギルド内での解体見学をしていた。


 各査定や解体で小一時間ほどかかったが、レオニスはヘルワーム本体と討伐実績が積めて一石二鳥、ラウルは解体のプロの手による人食いパイアの効率良い解体を見学できて良い勉強になったとホクホク顔であった。

 その間ライトとマキシは、ギルド内売店で買い物をしたり依頼掲示板を眺めたりしていた。

 四人とも充実した時間を過ごせて何よりである。


 そうして次の目的地、ツェリザークに移動したライト達。

 早速受付窓口にいるクレハに挨拶をした。


「よう、クレハ。久しぶり」

「あらー、レオニスさんじゃないですかー。ご無沙汰してますぅー。今日はお連れさんがたくさんおられるのですねぇー」

「クレハさん、こんにちは!」

「ライト君もお久しぶりですぅー。背もちょっと大きくなりましたか?」

「はい!何たってぼくは成長期真っ盛りですから!」

「ウフフ、元気なのは良いことですぅー」


 窓口に来たレオニスの挨拶を皮切りに、ライトとも嬉しそうに話すクレハ。

 ライトが前回ツェリザーク支部を訪れたのは、二年生の春休みに入る直前の終業式の日。

 その時はクレハに会えなかったので、クレハの顔を見て直接話をするのは新年の挨拶時以来だ。

 そしてクレハの視線は、すぐにラウルに映った。


「殻処理貴公子様も、ようこそお越しくださいました!本日も氷蟹の殻処理依頼をいくつか受けていってくださると、非常にありがたいのですがー……」

「おう、そのつもりで来た。早速依頼掲示板を見てくるわ」

「ありがとうございますぅー!よろしくお願いいたしますぅー!」


 クレハの期待に満ちた眼差しに応えるように、ラウルが殻処理依頼を複数こなす宣言をした。

 その頼もしい言葉に、クレハはさらにキラキラとした笑顔で深々と頭を下げる。

 ラウルが早々に依頼掲示板のある方に移動していき、レオニスがクレハに今日の本題を切り出した。


「ところでクレハ、一つ聞きたいことがあるんだが」

「はい、何でしょう?」

「ツェリザークの領主邸に行きたいんだが、場所を教えてくれるか?」

「ツェリザークの領主邸、ですか?」

「ああ、実はな―――」


 レオニスがクレハに、ツェリザーク領主に会う理由を話していく。

 ツェリザークの領主ジョシュア・スペンサーがレオニスに会いたがっていること、それをプロステス領主アレクシス・ウォーベックから聞いたこと、レオニスがツェリザーク領主に会うための紹介状をアレクシスに書いてもらい持参していること等々。

 それらの話をクレハは静かに聞いていた。


「そうでしたか。レオニスさんが権力者に会いたがるなんて、珍しいこともあるものだと思いましたが……そういう理由であれば納得ですぅー」

「まぁな、俺もプロステスのウォーベック侯爵とは懇意にさせてもらっているからな。それに、新しいツェリザーク領主は氷の洞窟や氷の女王に対して寛容だと聞いた。なら一度話をしてみるのもいいかと思ってな」

「そうですね。スペンサー侯爵家の新しいご当主、ジョシュア様は氷の女王の大ファンなことで有名な御方ですし。レオニスさんともきっと話が合うと思いますよー」


 レオニスが空間魔法陣を開き、アレクシスから預かった紹介状をクレハに見せる。

 その紹介状には、ウォーベック家の家紋が捺された封蝋が施されている。

 クレハは何でもできるスーパーウルトラファンタスティックパーフェクトレディー!な受付嬢なので、その封蝋がウォーベック家のものだと瞬時に理解した。


「ウォーベック侯爵からは、今の時期なら事前予告なしで会えるって聞いたんだが……大丈夫か?」

「そうですねー。今は夏真っ盛りで避暑目当ての観光客も多いですが、冬に入ってからだとツェリザークの行政機関は多忙を極めるので、事前の申し入れ無しに会えるのは今のうちですねー」

「だよな」

「もとよりレオニスさんならば、身分的にも問題ありませんが。ウォーベック侯爵様からの紹介状までお持ちであれば、領主邸に赴いてもすんなり通されることでしょう」

「そっか、なら良かった」


 レオニスの問いかけに、クレハが領主邸までの道順を紙にサラサラと書きながら太鼓判を押す。

 ちなみにその紙は、受付窓口に常備してある『ツェリザーク観光マップ』。その裏の白い部分に簡易地図を書く、いわゆる『チラ裏』というやつである。


「領主邸までの道順はこちらに書きましたので、どうぞお使いください。ここから普通に歩いて三十分くらいのところにありますぅー」

「ありがとう、助かるよ」

「どういたしましてー。いつもラウルさんにはお世話になっておりますので、このくらいお安い御用ですよぅー」

「お、おう、ラウルのおかげか……」


 チラ裏地図を渡すクレハに、レオニスが礼を言う。

 ツェリザークがラウルから受けた恩を思えば、クレハにとってこの程度のことはまさにお安い御用。

 レオニスも、こんなところでラウルに借りを作るとは思わなかった。

 するとここで、タイミング良くラウルが戻ってきた。


「何だ、俺を呼んだか?」

「いや、クレハがお前にはいつも世話になってるって話をしてたんだ」

「そっか、俺の方もクレハさんにはいつも世話になってるがな。……クレハさん、今日はこの中のいくつかを受けようと思うんだが」

「ありがとうございますぅー!」


 ラウルが依頼掲示板から取ってきた、氷蟹の殻処理案件の依頼書数枚をクレハに差し出す。

 そして間を置かずに、ラウルがレオニスに問うた。


「ご主人様の領主との面談は、どれくらい時間がかかりそうなんだ?」

「ンー……領主邸まで片道三十分の往復一時間、領主邸での話に一時間として二時間くらいか?」

「そんだけ時間がありゃ、ルティエンス商会への送り迎えをしても五件くらいは依頼をこなせそうだな。クレハさん、優先順位の高い依頼を五件選んでくれ」

「分かりましたぁー!」


 レオニスの時間の都合を聞き出し、五件は殻処理依頼を受けられると判断したラウル。

 早速クレハに依頼書の選定を頼み、クレハが嬉々として依頼書の内容を見比べている。

 その間にラウルはレオニスと話を詰めていく。


「とりあえず二時間後には、ライト達といっしょにここに戻ってくる。ご主人様もそれでいいか?」

「おう、待ち合わせ場所は売店な」

「了解ー」


 この先ライト達は、三手に分かれて行動する。

 ライトとマキシはルティエンス商会に、ラウルは殻処理依頼五件をこなしに、そしてレオニスはツェリザーク領主のスペンサー侯爵に会いに行く。

 それぞれの用事が済んだら、ここ冒険者ギルドツェリザーク支部で落ち合うのが一番分かりやすい。

 その落ち合う場所もギルド内売店にしておけば、先に戻ってきた方が売店内を見て待っていられる、という抜かりない手筈だ。


「殻処理貴公子様!この五件をよろしくお願いいたしますぅー!」

「了解。じゃ、俺達は早速出かけるとしよう。ライト、マキシ、行くぞ」

「「うん!」」


 クレハの依頼書選定が終わり、五枚の依頼書がラウルに手渡された。

 それを受け取り、ライトとマキシを連れて颯爽と歩き出すラウル。

 三歩ほど歩いたところで、ラウルが後ろを振り返りレオニスに声をかけた。


「ご主人様も、ツェリザーク領主との話し合いを頑張れよ」

「おう、ありがとよ。話の内容によっては、後日お前もツェリザーク領主と会うことになるかもしれんが、そん時はよろしくな」

「はいよー」


 ラウルの励ましに、レオニスも小さく微笑みながら返す。

 そしてレオニスも出口に向かって歩き出し、がライトとマキシに声をかけた。


「ライト、ラウルとマキシの言うことをよく聞くんだぞ?」

「うん!」

「マキシ、ライトのことよろしく頼むな」

「任せてください!」


 冒険者ギルドツェリザーク支部の建物を出た四人。

 そこからレオニスは右に、ライト達三人は左に進んでいった。

 舞台はプロステスからツェリザークに移り、それぞれ行動が分かれていきます。

 このツェリザークという街、初出が第134話で、ディーノ村、ラグナロッツァの次に出てきた拙作屈指の古参の街でもあります。

 第134話って、いつの話よ?と投稿日を振り返ると、何と2021年5月19日ですと。ほぼ丸四年も昔のことでしたよ( ゜д゜)ウヒー!


 あの頃は、四年後もまだサイサクス世界の物語を書き続けているなどとは想像もしていませんでしたねぇ。

 ツェリザークは氷の洞窟に氷の女王、氷蟹にぬるシャリドリンク、アル親子、ルティエンス商会、黄泉路の池に邪龍の残穢等々、話のネタに事欠かない街ですが。ここに領主一族のスペンサー侯爵が加わることに。

 スペンサー侯爵家の現当主、ジョシュア・スペンサー。

 果たしてどのような人物でしょう?( ´ω` )

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