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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
三年生の夏休み

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1508/1682

第1508話 プロステス支部でのあれやこれや

 昨日は予告通りのお休みをいただき、ありがとうございました。

 予定通り、本日からまた連載再開いたします。

 アイギスでカイ達にフォルを預け、冒険者ギルド総本部からプロステス支部に移動したライト達。

 レオニスはアレクシス・ウォーベックとの話し合いや購入する邸宅の内見、ラウルはレオニスが邸宅の購入後に内装その他を整えるために何度かプロステスを訪れているが、ライトは今年の正月明けに炎の洞窟を訪れて以来。マキシに至ってはプロステスを訪れるのは初めてのことだ。


 まずはプロステス支部の広間に移動し、受付嬢のクレサに挨拶をするために全員で窓口に向かう。


「よう、クレサ」

「あらー、レオニスさんじゃないですかー。……まぁまぁ、ラウルさんにライト君まで!お久しぶりですねぇー」

「クレサさん、お久しぶりです!」

「ライト君は夏休みですか?」

「はい!」

「夏休みの旅行先にプロステスを選んでもらえて、私もとても嬉しいですぅー」


 ライト達一行の訪問を、心から喜ぶクレサ。

 初めて会うマキシにも目を留め、それはもうにこやかな笑顔で話しかけた。


「貴方がマキシさん、ですか?」

「あ、はい、僕はマキシですが……僕のことをご存知なんですか?」

「もちろん!マキシさんのお噂は、クレナからかねがねお聞きしておりますぅー。特にラグナロッツァでのビースリー騒動の時には、冒険者ではないマキシさんにも配給活動で大いに助けていただいたとか……所属支部こそ違いますが、冒険者ギルドの一職員として御礼申し上げますぅー」


 マキシに向かって深々と頭を下げるクレサ。

 他の街のことなのに、ラグナロッツァの一大事に貢献してくれたマキシに冒険者ギルドの職員として礼を言う―――クレサの実直かつ誠実な性格が分かるというものだ。

 そんな真面目なクレサに、マキシが慌てながら声をかける。


「そ、そんな!僕は僕や皆が住む街を守りたかっただけで……」

「その想いを、口だけでなく実際に行動に移せる人がどれだけいると思いますか? ましてやマキシさんは冒険者ではない、一般の方なのに……本当に、本当に尊敬しておりますぅー」

「……ぁ、ありがとうございます……」


 マキシの勇気ある行動を、クレサがべた褒めする。

 確かにクレサの言う通りで、冒険者でもないマキシが配給活動を手伝う義理もなければ義務もない。

 しかし、マキシはラウルとともにラグナロッツァを支えたかった。

 ラグナロッツァはマキシにとって第二の故郷であり、この先もずっと死ぬまで住み続けて骨を埋める覚悟だってある。

 親友のラウルを追って辿り着いた人里(ラグナロッツァ)は、マキシにとってももう絶対に手放せない居場所となっていた。


 そうした覚悟や決意をクレサに大絶賛されて、照れ臭そうにはにかむマキシ。

 するとここで、クレサがマキシに向かって小声で囁いた。


「マキシさん……もしよろしければこれを機に、正式に冒険者登録なさいませんか?」

「え"ッ!? そそそそんな、僕には無理ですよ!そもそも僕はアイギスに勤めていて、物作りの修行に励んでいるところでして……」

「あらまぁ、それは残念ですぅ…………あ、でもでも、もしお気が変わりましたら是非!いつ何時でも、冒険者ギルドはマキシさんを大歓迎いたしますぅー♪」

「あ、はい……」

「もちろん、ここプロステス支部でのご登録も大歓迎ですよ? ……痛ッ!」


 マキシにグイグイと迫るクレサの頭に、レオニスの拳骨が落ちた。


「おいコラ、ラグナロッツァ住民であるマキシをプロステス支部に勧誘するんじゃない」

「痛ッたぁーーー……ぇー、別にどこ所属でもいいじゃないですかぁー」

「そもそもマキシは物作りを極めたくて、わざわざアイギスの門戸を叩いて修行してんだ。マキシの人生を捻じ曲げるような強引な勧誘は、如何にクレサと言えど俺が許さん」

「……はぁーい……」


 レオニスにしては珍しく強い諌めの言葉に、クレサが頭の天辺を両手で擦りながら涙目で折れる。

 優秀な人材はいくらでも確保したい!と思うのは、冒険者ギルドのみならずどこの組織でも同じだ。

 特にマキシは空間魔法陣持ちということで、それが知られれば引く手数多なのは間違いない。


 しかし、マキシが本当にやりたいことを我慢してまで冒険者になる必要などない。

 特にマキシは八咫烏、ラウルのようにその正体を広く周囲に明かせるものではない。

 故にマキシは今後も必要以上に正体を明かすつもりはないし、冒険者になるつもりもない。

 そうしたマキシの意思を、レオニスが代弁したようなものだ。


「マキシさん、申し訳ございませんでした。先程のことは忘れてください」

「ぃ、ぃぇ、謝る程のことでもないので、どうぞお気になさらず……」

「マキシさんは、心が広い御方なのですねぇ……」


 頭の天辺からシュウシュウ……と白い煙を立ち上らせながら謝るクレサに、マキシも苦笑いしながら謝罪を受け入れる。

 何とかこの場を凌げたことに安堵したライトが、場の空気を変えるために別の話を切り出した。


「ねぇねぇ、レオ兄ちゃん。ぼく、プロステスの依頼掲示板を見てみたいな!」

「おう、そうだな、ライトももうすぐ冒険者登録できるしな。冒険者ギルドにどんな依頼が出されているか、今から見て勉強するのはいいことだ」


 ライトの呼びかけに、レオニスもうんうん、と頷きながら同意する。

 そしてこの話に、クレサが喜色満面の笑顔で食いついた。


「まぁ!ライト君、もうすぐ冒険者登録できるのですか!?」

「はい!ぼくは今年十歳になるので、誕生日になったらその日のうちに冒険者登録するつもりなんです!」

「それは素晴らしいですぅー。お誕生日はいつなのですか?」

「八月十二日です!」

「じゃあ、あと二週間で冒険者になるんですね!」

「はい!」


 ニコニコ笑顔のクレサに負けないくらい、嬉しそうな顔で受け答えするライト。

 場の空気を変える作戦は、見事成功したようだ。


「そういえば、先日クレア姉さんがすっごく嬉しそうな顔で言ってました。『ライト君はね、ディーノ村で冒険者登録をしてくれるのよ!』って」

「はい、クレアさんともそう約束しました。だってぼくの故郷はディーノ村ですから」

「あの時のクレア姉さんは、それはもうとても喜んでいて……涙ながらに私達妹に自慢してくれたんですよ。その時のクレア姉さんの、花咲くようなお顔と言ったら……ライト君にもお見せしたかったですねぇー」

「それはぼくもちょっと見たかったですねぇー」


 ライトの冒険者登録話に花を咲かせるライトとクレサ。

 クレアが妹達相手に、ライトの冒険者登録話を自慢げに話していた―――その話の主役であるライトにしてみたら、嬉し恥ずかしといったところか。

 二人してクスクスと笑い合う様子に、さっきまでしかめっ面していたレオニスの顔も和らぐ。


「さ、そしたらライトも依頼掲示板を見に行くぞ」

「はーい!」

「クレサさん、俺も後学のために見ていっていいか?」

「もちろんですぅ!もし受けてもいいと思う依頼がありましたら、いつでも気軽にお声がけくださいー♪」

「ありがとう」


 プロステス支部の依頼を見るために、掲示板に向かうライトとレオニス。

 その後をラウルとマキシもついていく。

 一般人のマキシはともかく、現役冒険者であるラウルもプロステスの依頼に興味があるようだ。

 まるで冒険者パーティーそのもののようなライト達一行のの背を、クレサが微笑みながら見守っていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 その後プロステス支部の依頼掲示板を一通り見終えたライト達は、建物を出て別荘に向かった。

 急ぎではないので、のんびりと歩きながら雑談に花を咲かせる。


「マキシ、さっきはクレサが要らん粉かけてすまなかったな」

「いえ、そんな!レオニスさんが謝ることではないですし、気にしないでください!」

「そう言ってもらえるとありがたい……今後もし同じようなことを他所でも言われたら、その都度俺に言ってくれ。きちんと俺が絞めておくから」

「はい、その時はよろしくお願いしますね!」


 レオニスがマキシに改めて謝っている横で、ライトとラウルは依頼掲示板の内容について話していた。


「ラウル、プロステスで受けたいような依頼はあった?」

「ンー、特になかったかな。プロステスには殻とか骨とか、畑の肥料になるようなものはないようだし」

「まぁねー……人食いパイアの肉や皮、牙目当ての討伐依頼もあったけど……」

「パイア肉を他人様にくれてやるくらいなら、その前に俺が自分のために調理するわ」

「だよねー。ラウルならそう言うと思った!」


 ライトの予想通りの答えを述べたラウルに、ライトが笑いながらウケている。

 プロステス近郊には甲殻類系の魔物はいないし、ラウルが愛してやまないパイア肉のもとである人食いパイアの討伐依頼だってラウルが受けるはずがない。

 自分が狩った人食いパイアを他人に譲る? ンな訳ねぇだろ! こう考えるあたりが、実にラウルらしい。


「てゆか、ここにも乙女の雫を募集する依頼があったね……」

「ああ、しかも求めているのが【炎の乙女の雫】とはな……」

「まぁねぇ……プロステスでは炎の女王様は大人気だから、【炎の乙女の雫】を欲しがるのは分かるんだけどね」

「にしたって、領主を出し抜いて【炎の乙女の雫】を入手しようってのは悪手だろ?」

「全くね……」


 先程までの大笑いから一転、ずーん……と暗い顔になるライトとラウル。

 プロステス支部の依頼掲示板にあった数多の依頼書の中に『求む!炎の乙女の雫』というものがあったからだ。

 しかもそれは一枚だけでなく、少なくとも五枚以上は見た。

 そしてその報酬金額は、何とラグナロッツァ総本部にある同種の依頼よりも安い300万Gだった。


 どこの世界にも、欲しいものを安く買い叩きたがる人種はいるんだなぁ……とライトは内心で呆れる。

 一体どこの命知らずや常識知らずが出した依頼書か分からないが、それでは【炎の乙女の雫】を入手することは一生叶わないだろう。

 少なくとも今年の鑑競祭りで叩き出した最高金額、6000万Gを超える報酬を用意してから依頼出せや!といったところである。


 そんな話をしているうちに、領主邸があるエリアに差しかかったライト達。

 ここから十分も歩けば、領主邸の前を通り過ぎて別荘に到達できるはずだ。

 まだ見ぬ新たな財産『レオニス所持の別荘』に、早くもライトは思いを馳せていた。

 話の舞台はプロステスに移り、冒険者ギルドプロステス支部でのちょっとしたあれこれです。

 プロステスのクレサさんが出てくるのは、第1116話以来ですか(゜ω゜)

 そんな久しぶりの登場なのに、マキシを勧誘して珍しくレオニスに怒られていますが。まぁクレサの『優秀な冒険者を一人でも多く確保したい!』という気持ちは分からないでもないんですよねー。サイサクス世界で空間魔法陣を使える人材は貴重だし。

 しかし、マキシが八咫烏であるというのは秘密であり、例えクレア十二姉妹であろうとも明かせないので。早々にレオニスの拳骨が落とされてしまった訳です(´^ω^`)


 そして作者の昨日のお花見話。

 作者が住む周辺の桜はとっくに散ってしまっていて、今の見頃はハナミズキですが。標高の高いところではまだ咲ききっていない桜があるのですよ♪(・∀・)

 ぃゃー、晴天の下でたくさんの花が咲き乱れる景色というのは実に良いですね!( ´ω` )

 この美しい景色を来年も見られるといいな。

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