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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
三年生の夏休み

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第1479話 中央の天空島への道案内

 天空島に迫った新たなる危機、レオニスとサマエルの衝突を防ぐために中央の天空島に向かって飛び出したライトとラウル。

 しかし、そのまま南東に向かうと南側で陣取っている天空竜達に邪魔をされてしまうかもしれない。

 なので二人は一旦その場から退くように北側の天空島に向かった。

 それは、天空竜達の妨害を避けるためのフェイク。北側の天空島がある位置から高度を下げて、今まさに一触即発状態の場を大きく迂回しつつ中央の天空島に向かおう、という訳だ。


 そしてライト達が天空樹の島の上空に差し掛かった時、ライトが一旦止まってラウルを呼び留めた。


「あッ、ラウル、ちょっと待って!」

「ン? どうした!?」

「ちょっとだけ寄り道させて!」

「寄り道???」


 一旦止まったライトが、天空樹の島を通過して畑の島に急いで降りていく。

 そしてアイテムリュックから何かを取り出した。

 それは、瞬間移動の魔法陣が入れられた魔石。ライトだけが持つ瞬間移動手段として、ヴァレリアからもらった二十個の魔石のうちの一つだ。

 この魔石を、畑の島の平地部分のど真ん中に急いで埋めた。


 中央の天空島までどのくらい移動時間がかかるか分からないが、最初の行きはともかく帰りだけでも帰還にかかる時間を短縮したい。

 そのためにライトが閃いたのが『ヴァレリアからもらった瞬間移動用魔石を、中央の天空島に移動する前に畑の島に設置しておく!』であった。

 こうしておけば、中央の天空島にも同じく瞬間移動用魔石を設置することでこの畑の島まで瞬時に帰還できる、という訳だ。


 このライトだけが持つ瞬間移動手段は、いつもなら絶対に人目につかないところで使うものだ。

 しかし、ラーデを引き渡せという天空竜の大群の襲来に、それを率いるラーデの子サマエルの出現、そしてサマエルとレオニスが今にも衝突しそうな事態となった今、手段を選んでなどいられない。


 使える力は何でも使う。でなければこの危機は回避できない。

 天空島の危機から皆を救うためには、己の身の安全や多少のリスクなど瑣末なことには目を瞑る———そうした覚悟を以って、ライトは瞬間移動用魔石を使うことにしたのだ。


 一方ラウルは、ライトが何をしているのかさっぱり分からない。不思議そうや顔をしながら、ライトの一連の不可解な行動を見守っている。

 しかし、ラウルがライトのすることに異議を唱えることなどない。

 ライトの行動には必ず何らかの重要な意味や深い理由があり、自分には理解できないことでもそれは絶対に必要なことなのだ、ということをラウルは心の底から理解しているからだ。


「ライト、それは何をしているんだ?」

「それは後で、中央の天空島に向かう途中で説明するね」

「分かった。もう行けるか?」

「うん、お待たせ!」


 地面に魔石を埋め終えたライトが立ち上がり、ラウルとともに再び宙に浮いた。

 するとその時、畑の島にパラスとリィシエルが降りてきた。

 パラスは天空島の防衛と守備のために、他の天使達とともにこの周辺で控えていたのだが。ライト達が畑の島に降りていくのが見えたので、一体何事かと思い駆け寄ってきたのだ。


「ラウル、ライト!どうした、何かあったのか!?」

「あ、パラスさん!実はぼく達、今から中央の天空島に向かうことになりまして!」

「何ッ!? 中央の天空島に行くのか!? それは、女王様方からの特命か!?」

「いや、そうではないんだが……天空竜達との衝突を防ぐために、中央の天空島に行かなきゃならんことになってな」


 畑の島に降りたライト達が、駆け寄ってきたパラス達に簡単に説明をする。

 パラスとリィシエルにしてみたら、何故今から中央の天空島に向かうのか全く分からない。

 彼女達は天空竜の大群の攻撃に備えて後方にいたので、サマエルの出現やレオニスとの対峙も知らないので無理もなかった。


 しかし、この非常事態時に何の意味もなくそんな場所に向かうことなどあり得ないことは、パラス達にも理解できる。

 口元に手を当てつつ思案していたパラスが徐に口を開いた。


「ふむ……何故今この時、中央の天空島に行くのかよく分からんが……その中央の天空島に行くというのは、きっと重大な任務なのだろう?」

「ああ、中央の天空島にはラーデの子供が二体いるらしくてな。天空竜の群れを率いている奴を抑えるには、今すぐそいつらをここに連れてこなくちゃならないんだ」

「何ッ!? ますますもって意味が分からんが……そういうことならば、中央の天空島まで私が案内しよう」


 パラスの思いがけない申し出に、ライトとラウルが目を大きく見開きながら驚く。


「えッ、いいんですか!?」

「ああ。だって君らは、中央の天空島に行ったことなどないだろう? その点私なら、中央の天空島の位置をよく知っているし案内役に最適だ」

「確かに……だが、こっちの防衛の方は大丈夫なのか?」

「それも問題ない。この場の指揮は副官のリィシエルに任せる。リィシエル、私はラウル達の任務を補佐する。この場は君に任せたぞ」

「はッ、分かりました!」


 中央の天空島への道案内役を買って出たパラスが、横にいた副隊長のリィシエルにこの場の防衛指揮を託す。

 確かに中央の天空島の位置を知るパラスがついてきてくれれば、ライト達も迷子などになったりする心配もない。確実かつ最短距離での移動が可能になるだろう。

 これ以上ない心強い味方のサポートに、ライトとラウルが破顔する。


「よし、じゃあ三人で行くか」

「うん!」

「まずは天空竜の群れとの衝突を回避するため、大きく迂回して飛ぼう。でもって、今は一分一秒が惜しい。全力で飛んでいくぞ」

「承知した」


 ラウルが空間魔法陣を開き、パラスにアークエーテルを十本程まとめて渡す。

 全力で飛び続けるからには、途中でどうしても魔力補給が必要になる。

 その魔力補給のための回復剤を、パラスにも先に渡しておくのだ。

 パラスもラウルから教わった空間魔法陣を開き、ラウルに渡されたアークエーテルを収納していった。


「パラス、中央の天空島の案内をよろしく頼む」

「うむ、任された。二人とも、今回の任務の説明を道中でよろしく頼むぞ」

「はい!」「おう」

「パラス隊長、ラウル先生、どうかお気をつけて!」


 全ての準備と話がまとまったところで、ライト達がふわり、と宙に浮いた。

 パラスに後を託されたリィシエルが、上空に飛んだライト達に激励の言葉をかける。

 そして中央の天空島を目指すべく、パラスを先頭にしてライト達は畑の島から飛び立っていった。

 中央の天空島に行く前の下準備回です。

 ぃゃ、ホントは一分一秒でも早く中央の天空島に向かわなければいけないところなんですが。

 それなりに遠いところにある場所に出向くなら、行きはともかく帰りは絶対に転移門とか瞬間移動で時短できるようにしたいよね!と考えた作者。

 今回は終始それを仕込むためだけの回となってしまいました(´^ω^`)

 でもいいの。ほら、『急がば回れ』とよく言うでしょう?(・∀・)


 でもって、その経緯をあれこれ書いている間にパラスさんが作者の脳内に降臨なさいまして。中央の天空島までの道案内役を買って出てくれたのは嬉しい誤算。

 天空島の住人ならば、他の天空島の情報だって知ってて当たり前ですからね!(`・ω・´)

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