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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
三年生の夏休み

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第1474話 一足早い誕生日プレゼント

 昨日は予告通りのお休みをいただき、ありがとうございました。

 予定通り、本日からまた連載再開いたします。

 パラス達天使がヴィゾーヴニルとグリンカムビの羽根を探している間、ライト達は二人の女王とともに和やかに会話をしていた。

 レオニスが空間魔法陣からテーブルと椅子を出し、少し離れたところでラウルが神鶏達に巨大野菜を食べさせてあげているところを四人で眺めながらの会話だ。


『フフフ、グリンちゃんってばいつにも増して食欲旺盛ね』

『ヴィーちゃん、ホントにサツマイモが好きねぇ』

「グリンちゃんもヴィーちゃんも、また前より大きくなりましたよね?」

『ええ。パラス達が作る美味しい野菜を、毎日モリモリ食べてるからでしょうね』

「そりゃいいことだ。この天空島を守るには、強い力はいくらあってもいいからな」


 サツマイモにトウモロコシに白菜、小松菜、大根葉、どれも美味しそうに啄むヴィゾーヴニルとグリンカムビを、二人の女王が愛おしそうに見つめている。

 ライトが言うように、二羽の体格は邪竜の島討滅戦の時よりも明らかに大きくなっていた。


 神鶏達はラウルの特製野菜が大好きだが、毎日食べられるものではない。

 如何にラウルが世話好きでも、さすがに毎日欠かさず天空島に野菜を届ける訳にはいかないからだ。

 だが今の天空島は、ライト達の支援のもと天使達が各種野菜を作るようになった。

 そのおかげで、神鶏達は新鮮で美味しい野菜を毎日たくさん食べられるようになり、さらに大きく成長したのだ。

 むっちりまん丸なヴィゾーヴニルとグリンカムビを眺めながら、レオニスが二人の女王に問うた。


「あの邪竜の島との戦いの後、何か変わったこととかは起きていないか?」

『ええ、基本的には毎日平和よ。ただ……』

「ン? 何かあったのか?」

『ンー……そこまで大したことじゃない、とは思うんだけど……』

「何か気になることがあるなら、どんな些細なことでも話してくれ。そういう情報は、皆で共有しておくに越したことはないからな」

『そうね……』


 何気なく聞いたレオニスの問いかけに、光の女王と雷の女王が顔を見合わせつつ口篭る。

 彼女達はそれを『大したことではない』と考えているようだが、世の中何が起こるか分からない。それは、冒険者稼業に身を置くレオニスだからこそよく知っている。

 そうしたレオニスの説得に、二人の女王は見合わせていた顔をコクリ、と頷き答えた。


『あの戦いの後、たまに天空竜がこの周辺を彷徨くようになったのよ』

「天空竜? あいつらの根城は南の天空島で、この天空島からはかなり離れてるはずだが……」

『ええ……そりゃあ天空竜にもはぐれ者はいるし、何年かに一度はこの天空島にも迷い込んでくることはあるけど……明らかに頻度が違うのよ』


 二人の女王の気がかりになっていたのは、この近辺にはいない天空竜が現れるようになったこと。

 天空竜とは、空に住む体長10メートル前後の灰白色の有翼ドラゴンのことを指す。

 皮膜型の一対の翼を持ち、その名の通り住処は天空諸島の一つなのだが、ユグドラエルや二人の女王がいる天空島とは違う別の島を縄張りとしている。


 ここで一つ、サイサクス世界における天空島の解説をしよう。

 一般的には『天空島』とひと括りに呼ばれることが多いが、正確には大小複数の島が固まって移動している『天空諸島』である。

 そしてこの天空諸島は一つだけではなく、人族でも知る大規模な天空諸島は最低でも三つある。

 そしてその三つはどれも違う航路を辿っていて、天空諸島同士がぶつかることはない。

 地上で例えると、三つの大陸が空に存在するようなものだ。


 ライト達が頻繁に通う、天空樹ユグドラエルや光の女王、雷の女王がいる天空諸島は緯度で言うと北側。地上から約2000メートルの高度を浮遊している。

 他の二つの天空諸島はユグドラエル達の島より南側にあり、中央の天空諸島は現在無人状態。そして最南の天空諸島が、天空竜の住処となっている。


 そして北側と南側では、少なくとも500km程の距離がある。

 故に、二人の女王が住む北側の天空諸島で天空竜を見かけることなど滅多にないのだ。

 このことはレオニスにもすぐに理解できたので、さらに踏み込んだ質問をした。


「どのくらいの頻度で見かけるんだ?」

『まず、あの戦いの翌日に三頭の天空竜がこの島の上をしばらく飛んでたわ』

『その後は十日とか五日置きくらいになって……最近では、二日か三日に一回は見かけるわね』

「そんなにか!?」


 雷の女王の答えに、レオニスが喫驚している。

 距離にして1000km以上離れている南側の天空諸島。そこにいるはずの天空竜が、二日か三日置きに北側の天空諸島近辺に出現するというのは、もはや立派な異常事態だ。

 だが、そんな異常事態にあっても二人の女王が『大したことはない』と思っていたのは理由があった。


『でも、向こうから何かをしてくるとかここに乗り込んできたとか、そういう実力行使的なことは一切ないのよ』

『とはいえ、この神殿の島やエルちゃん様の島をずーっと繁繁と見たりしてるから、あまり気持ちの良いものでもないのも確かね』

「ふむ……天空竜は、何かを探しているのか?」


 彼女達の話に、レオニスがしばし考え込む。

 天空竜がそれだけ頻繁にこの天空島の近くを彷徨いているというならば、特に何の目的もなく偶然が重なっただけとは考え難い。

 何らかの明確な意思を持って動いている、と考えた方が妥当だ。


 しかし、ユグドラエル達がいるこの場所に天空竜が欲するようなものがあるとは到底思えない。

 天空竜側の目的が分からないうちは、レオニスも対策の施しようもなかった。


「……いくら考えても分からんな。一体やつらは何を目当てに、ここら辺を彷徨いているんだろうな?」

『私達も、それがさっぱり分からないからどうしようもないのよねぇ……』

『あまりに近づき過ぎた時には、いつもパラス達が追い払っているんだけど。一度パラスが天空竜に向かって、何故ここに来るかを詰問したことがあったの。でも、その天空竜は結局何も答えずに立ち去ったわ』


 天空竜はそれなりの知能と高い攻撃力があるので、パラス達が警戒し詰問するのは当然だ。

 しかし、パラスの問いかけに応じずそのまま立ち去ったのでは結局その目的も理由も分からないままだ。

 天空竜の不可解な行動に、レオニスも首を捻るばかりだ。


「まさかとは思うが……天空竜がこの北側の天空諸島を攻撃して支配しよう、とか考えているとかか?」

『それはないと思うわ……もしそうなら、今頃とっくに私達と全面戦争になっているはずよ』

「だよな……侵略戦争の偵察にしてはお粗末過ぎるし、やるならやるでとっとと動き出しそうなもんだ」

『そうなのよね。特に手出ししてくる訳でもないけど、ずっと監視されているようで気味が悪いのよね』


 二人の女王が顔を顰めつつ呟く。

 彼女達の話を聞いていると、天空竜というストーカーにつきまとわれている事案としか思えない。

 この手の話は、実害が出ないからといって油断することはできない。相手がいつ豹変するか分からないからだ。

 しかもつきまといの頻度や間隔が短くなっているというのだから、二人の女王が気味悪がるのも無理はなかった。


「……分かった。もし何かあったら、すぐに俺のところにも知らせてくれ。できる限り力を貸そう」

『ありがとう。そう言ってもらえると心強いわ』

『そんなことにならないことを祈るけど、もし万が一の時には地上の英雄達を頼らせてもらうわね』

「ああ、遠慮なく頼ってくれ」


 レオニスの言葉に、光の女王と雷の女王が笑顔を浮かべる。

 この天空島にはパラス達百人以上の天使がいて常時守っているし、ヴィゾーヴニルにグリンカムビといった超強力な神殿守護神もついている。

 何より属性の女王二人も強大な力を持ち、そんじょそこらの魔物では太刀打ちできず瞬殺されるだろう。

 並大抵のことでは、彼女達がいる天空島を揺るがすことなどできはしない。


 しかし、相手が天空竜となると侮ることはできない。

 天空竜一頭の力は白銀の君と比べると間違いなく劣るが、それでも獄炎竜他中位ドラゴン達よりははるかに強力だ。

 そんな天空竜が、もし何十頭何百頭の集団で現れたら―――二人の女王達が苦戦を強いられることは想像に難くない。


 そうした最悪の事態に、レオニス達が加勢してくれるというのは実に心強い。

 レオニスが一度(ひとたび)動けば、白銀の君率いるシュマルリの竜族やディラン達竜騎士達も我先にとばかりに駆けつけるだろう。

 もちろん何事も起こらないのが一番いいが、それでも万が一の有事に備えて味方がたくさんいてくれるという頼もしい事実は、二人の女王の心に安堵をもたらした。


 するとここで、ヴィゾーヴニルとグリンカムビに巨大野菜を与えていたラウルがライト達のもとにきた。


「ヴィーちゃんとグリンちゃんに満足してもらったぞ」

「おお、ラウル、お疲れさん。……うん、確かにヴィーちゃんもグリンちゃんも満腹のようだな」


 帰還したラウルの言葉に、ふとレオニスがヴィゾーヴニル達のいる方に目を遣ると、そこにはまん丸お腹でケプー☆とゲップを漏らす神鶏達がいた。

 レオニスが二人の女王と真面目な話をしている間にも、ラウルは二羽の神殿守護神にせっせと巨大野菜を与え続け、神鶏達も遠慮なくバクバクと食べ続けていたようだ。

 そんな食いしん坊な神鶏達に、二人の女王が笑いながら席を立ち近づいていった。


『あらまぁ、グリンちゃんってば。そんなにラウルの野菜が美味しかったの?』

「クエケプー☆」

『まぁまぁ、ヴィーちゃんもすっごく満足そうね!』

「コケゴフー☆」


 目を細めて満足している神鶏達に、二人の女王も同じく目を細めながら相棒の頭や頬を撫でる。

 するとここで、天空樹の島に行っていたパラスが飛んできた。


「光の女王様ー、雷の女王様ー!グリン様とヴィー様の羽根を拾ってまいりましたー!」

『ああ、パラスもお疲れさま。どのくらい集まった?』

「少々お待ちくださいませー!」


 大きな声で近づいてくるパラス、神殿の島に降り立つと同時に空間魔法陣を開いて羽根を取り出した。

 パラスは空間魔法陣にズボッ!と右手を突っ込み、ガバッ!と引っこ抜いた手には大きな白い羽根が三枚あった。


「この五倍くらいは採取し、空間魔法陣にて保存しております!」

『まぁ、結構な量を拾えたのね。それを全てライトに渡してくれる?』

「畏まりました!」


 光の女王の命令にパラスがニコニコ笑顔で従い、ライトの前に移動した。


「ライト、これは天空島に住む全ての者達からの君への誕生日プレゼントだ。神殿守護神であらせられるヴィー様とグリン様の羽根だ、大切にしてくれ」

「あ、ありがとうございます!」


 右手に持った三枚の白い羽根を、パラスが大事そうに恭しくライトに差し出す。

 パラスが手に持つその羽根は、大きさはまちまちだがどれもとても大きくて立派なものだ。

 一番小さなものでも、ライトの頭一つ分より大きい。


 ライトが急いでアイテムリュックを持ち、早速蓋を開けて仕舞い込む間にパラスが次々と別の羽根を空間魔法陣から取り出す。

 そうしてパラスからライトに渡された羽根は、全部で十六枚もあった。


「パラスさん、光の女王様、雷の女王様、こんなに素敵な誕生日プレゼントをもらえて、すっごく嬉しいです!ありがとうございます!」

『どういたしまして。抜けた羽根を拾っただけのものだけど、そんなに喜んでもらえて私も嬉しいわ』

『秋になる頃には羽根の生え変わりが始まるから、その時にまた綺麗な羽根を選んでとっておいてあげるわね!』

「はい!楽しみにしてます!」


 二人の女王が嫋かに微笑みながら、ライトの誕生日を一足早く祝ってくれた。

 ライトは女王達に礼を言いつつ、神鶏達のもとに駆け出した。


「ヴィーちゃんもグリンちゃんも、本当にありがとう!」

「クエ♪」

「コケ♪」


 地面に座って寛ぐ二羽の神鶏達。

 そのふわもふな胸元に、ライトがバフッ!と勢いよく抱きつく。

 それはまるで、極上のベッドに飛び込んだかのような究極のふわもふ。

 毎日美味しい野菜を食べる神鶏達は、体格だけでなく羽根のつやもふ度も格段に上がっていた。


 プレゼントのもとである神鶏達にもお礼を言ったライト。

 しばし極上のふわもふを堪能した後、レオニス達のもとに戻った。


「ヴィーちゃん達の羽根は、後で家に帰ってからレオ兄ちゃん達にもおすそ分けしてあげるね!」

「おう、よろしくな」

「楽しみにしてるぜ」


 ちゃんとレオニスやラウルにも神鶏達の羽根を分け与えるというライトに、レオニス達も嬉しそうに微笑む。

 ライトの一足早い誕生日プレゼントがもらえたところで、ラウルがレオニスに話しかけた。


「時間的にはちょいと早いが、俺達も昼飯にするか?」

「そうだな。……ああ、せっかくならパラス達の任務完了の労いも兼ねて、畑の島で皆でバーベキューでもするか」

「おお、そりゃいいn」

「何ッ!? バーベキューだとぅ!? ならば天使達総出で準備をしてこよう!」


 レオニスの粋な提案に、ラウルが承諾するより先にパラスが食いついた。

 バーベキューという言葉に真っ先に反応し、真っ先に畑の島に向かってすっ飛んでいくパラス。

 バビューン!と勢いよく飛んでいく姿に、ライト達はしばし呆気にとられた後誰からともなく大笑いしていた。

 神殿の島でののんびりとしたやり取りの回です。

 そんな中にも、何やら若干不穏な気配が漂う話が出てきているような気がしますが。多分気のせいでしょう。キニシナイ!(º∀º) ←適当


 そして作中で天空諸島の解説を出していますが。前にもどこかの話で『天空諸島A』『天空諸島B』『天空諸島C』とかいう解説をしたような記憶があるんですが…( ̄ω ̄)…

 それがどこの回だったのか思い出せない_| ̄|●

 下書きアプリで検索しても出てこなかった_| ̄|●

 多分アプリの下書き以降にウェブブラウザの方で手直ししたヤツなんだろうな_| ̄|●

 そのサルベージで時間食い過ぎて、投稿時間も大幅に遅れたという_| ̄|●

 くッそー、話数も1500話近くなるとサルベージにも一苦労どころか大苦戦じゃわッ(うω´)

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