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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ピッカピカの三年生一学期

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第1464話 今年の夏休みの予定・その二

 ライトのラグーン学園三年生一学期の終業式の前日。

 二日後には夏休みになるということで、この日のライトは昼休みに図書室には行かずに、教室で皆と話をしていた。


「今年の夏休みは、皆どこに行くのー? 私は今年もエンデアンのおばあちゃんの家に行くんだー!」

「私もいつものように、プロステスの伯父様のところにお泊まりしに行きますわ。プロステスはお父様の故郷なので、夏と冬には必ず帰省するのが我が家の恒例なんですの」

「僕は今年もキャンプ講習会に参加する予定。ライト君じゃないけど、僕も将来冒険者になることを本格的に視野に入れたいと思ってるんだよね」


 イヴリンの問いかけに、ハリエットとジョゼが各々の予定を明かす。

 二人とも去年と同じ予定を入れているようだ。

 そしてジョゼの話に、ライトが速攻で食いついた。


「へー、ジョゼ君、今年もキャンプ講習会に参加するなんてすごいね!ぼくは八月に十歳になるから、その日に冒険者ギルドで冒険者登録するんだ!」

「わー、ライト君、すごいね!すぐに冒険者になるんだー!」

「まぁ、もうすぐライトさんの夢が叶うんですね!」


 ライトの話に、イヴリンとハリエットがパァッ!と明るい顔で絶賛している。

 ライトは以前から『将来冒険者になる!』と常々宣言しているので、周囲もライトの夢を心から応援してくれている。

 そんなライトに、ジョゼが心底羨ましそうに口を開く。


「ライト君、いいなー。僕の誕生日は十一月だから、冒険者登録するにしてももうちょい先なんだよねー」

「え、ジョゼも十歳になったらすぐに冒険者登録するの? ジョゼのお父さんやお母さんは、ジョゼが冒険者になってもOKなの?」

「ンー、さすがに大賛成って訳じゃないけど。でも、僕んちは領地も持ってないし、名前だけの子爵家だからねー。だから、いつも『自分の食い扶持は自分で稼げ!』とは言われてるし」


 ライトの冒険者登録を羨ましがるジョゼ。

 彼もライトの影響か、ここ最近『僕も将来冒険者になろうかなー』と呟くことが増えてきた。

 それは彼がいつも自嘲気味に言っている、『家は一応貴族だけど、特に継ぐものがない』故の世知辛い事情があるせいか。

 しかし、ジョゼの幼馴染であるイヴリンが心配そうにジョゼに問うた。


「でも、ジョゼのお母さんとか、いっつも『お父様のような、ラグナ官府にお勤めする立派な官僚になりなさい!』とか言ってなかった?」

「うん。だから将来の官僚試験勉強もしなきゃならないんだよね。でも、それ一本だけじゃ不安だし、父さんも『今から技能を増やしておくのはいいことだ』って言ってくれてるんだ」

「そっかー……うん、私もジョゼがやりたいことをやるのが一番いいと思う!」

「!!!……ぁ、ありがと……」


 イヴリンの応援に、ジョゼが一瞬ハッ!としながらも照れ臭そうに礼を言う。

 イヴリンはジョゼとの付き合いが長く、それこそ物心ついた時からずっといっしょに遊んできた仲良し同士だ。

 だからこそ、ジョゼの生家リール家の複雑な事情も知っている。

 仲の良い幼馴染の将来を心配しつつ、彼の夢や未来を応援したいと願う彼女の優しさに、ジョゼは救われる思いだった。


 しかし、そんな仲睦まじい幼馴染達をジトーーーッ……とした目で眺める女子がここに一人。


「皆、いいなー。私もいつも通り、おうちのお手伝いよーーー……」

「まぁねー、リリィちゃんちはしょうがないよねー……」

「てゆか、僕に言わせれば将来継ぐお店があるだけでも十分羨ましいよ……しかもリリィちゃんちの向日葵亭は、ラグナロッツァの中でも大繁盛の宿屋さんだから、リリィちゃんの将来は安泰だし」

「「……はぁーーー……」」


 リリィとジョゼ、隣の芝生が青く見える者同士がほぼ同時に大きなため息をつく。

 しかし、リリィの方が立ち直りが早かった。

 大きなため息で俯き加減だった顔をパッ!と上げて、イヴリンやハリエットの顔をキラキラの瞳で見つめ始めた。


「そしたらさ、今年も皆からのお土産、楽しみに待ってるからよろしくね!」

「うん!エンデアンの市場でリリィちゃんが喜びそうなお土産を買ってくるね!」

「私もプロステスで良いお土産を買えるよう、頑張ります!」

「二人とも、ありがとー!ジョゼとライト君もよろしくね!あ、あと、皆夏休みのうちに一回はうちにご飯を食べに来てね!リリィ、お手伝いしながら待ってるから!」

「うん!ぼくもリリィちゃんへのお土産を頑張って探すね!」

「僕のお土産は、キャンプ講習会で出かける黄大河の河原の石でいい?」


 いつも実家のお手伝いに明け暮れるリリィを励ますために、イヴリンやハリエット、ライトがリリィのおねだりに快く応じる。

 ただし、ジョゼだけはあまり嬉しくなさそうな土産になりそうだ。

 リリィがふくれっ面をしながら「ジョゼってばしどい!もっと良いお土産を探してよー!」とぶーたれている横で、イヴリンがはたとした顔でライトに話しかけた。


「あ、そういえばライト君、ラウルさんに伝えてほしいことがあるんだけど!」

「ン? 何?」

「もし夏休み中にエンデアンに来ることがあったら、うちのおばあちゃんのお店にまた寄ってください!って言ってほしいの。去年の夏休みの時に、ライト君といっしょにお店に来てくれたでしょ? あの時、おばあちゃんもすっごく喜んでくれてたんだ!」


 ライトの即答に、イヴリンが飛び上がらんばかりに喜ぶ。

 思い返せば、去年の夏休みにイヴリンの誘いでエンデアンにあるイヴリン祖母の店に立ち寄った。

 今年もイヴリンはエンデアンの祖母のもとを訪ねるので、去年同様エンデアンでの再会を願っているのだ。

 そんな彼女のささやかな願いを叶えるべく、ライトはすぐに快諾した。


「うん、分かったー。てゆか、ラウルは普段から結構頻繁にエンデアンに出かけるから、きっと夏休み中にも一度はエンデアンに行くと思うよー」

「ホント!? 嬉しい!ヤッター!ライト君、すっごく楽しみにしてるから、ラウルさんにもよろしく伝えといてね!」

「はーい」


 両手を上げて大喜びするイヴリン。

 このくらいのことで喜んでくれるなら、ラウルへの伝言もお安い御用だ。


 するとここで、午後の授業の始まりを告げる鐘が鳴った。

 ライト達は急ぎ個々の机に戻り、教科書を出したりして午後の授業に備える。

 しばらくすると、担任のフレデリクが教室に入ってきた。

 そうしてライトの三年生一学期最後の授業が静かに始まっていった。

 ライトの夏休み突入直前の、ラグーン学園での平和なひと時です。

 作中のイヴリンやハリエットのように、夏休み恒例のお出かけ先って何かしら一つはありましたよねー(・∀・)

 作者も母方祖父母の家に遊びに行くのが常で、毎年楽しみだった思い出があります。

 もっともそれも、今となっては『あー、県外から遊びに来る孫を何日も泊めるのって、ホンット大変だっただろうなー』と思うのですが(´^ω^`)

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