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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ピッカピカの三年生一学期

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第1444話 スタンプ集めと長閑な日常

 スタンプラリー専用カードを無事入手したライト達。

 その後一個目のラグナ宮殿正門、二個目のヨンマルシェ市場噴水公園、三個目の花の森公園と順調にスタンプ集めを進めていった。

 途中にある様々な屋台や露店を眺めては、串焼きやチョコバナナを十本づつ買ったり、雑貨屋でちょっとした小物を購入したりしていた。


 また、道中ではライトの同級生イヴリン親子と偶然会って少し立ち話したり、ヨンマルシェ市場噴水公園のスタンプ押印場所でグライフとも会ったりした。

 ちなみにグライフは、ヨンマルシェ市場噴水公園のスタンプは九個目だそうで、「今から最後の一つ、南の塔に行ってきます」と言いながら颯爽と去っていった。

 グライフもスタンプラリーを楽しんでいるようで何よりである。


 そうして花の森公園に着き、三個目のスタンプを無事ゲットしたライト達。

 この時には午前十一時を過ぎていて、小腹が空いてきたライトがレオニスに声をかけた。


「ねぇ、レオ兄ちゃん、ここでお昼ご飯にしない?」

「そうだな、ちと早めだがサクッと昼飯を済ませるか。よし、ラウル、ここで飯にするぞー」

「了解ー」


 ライトの意見を受け入れて、早速昼食の準備にとりかかるレオニスとラウル。

 公園の芝生の上に敷物を敷き、道中でちょこちょこ購入していたお祭りフード類を次々と出しては敷物の上に置いていく。

 串焼き、焼きそば、タコ焼き、テバブ、お好み焼き、チュロス、クレープ等々、お祭りならではの美味しい食べ物がズラリと並ぶ。


「「「「いッただッきまーーーす!」」」」


 食事の挨拶をし、おしぼりで手を拭いてからそれぞれ好きなものを手に取っては食べていく。

 味だけで言えば、それらジャンクフードはいつも食べているラウルの料理に比べて『そこそこ美味しい』という評価にしかならない。

 しかし、お祭りフードにはお祭りフードの良さがある。

 お祭り気分を味わいながら食べるからこそ、より一層美味しく感じるのだ。

 非日常というスパイスが効いたプライスレスなお味は、ライト達のお腹だけでなく心も満たしていく。


「この串焼き、美味しいね!何のお肉だろう?」

「あー、確かそれは牛もも肉だったかな」

「このタコ焼きのタコは、どこで獲ってるんだろ? エンデアン産?」

「エンデアンの市場にも、一応普通のタコは売ってたな。ただし、こないだデッちゃんからお裾分けしてもらったブルーオクトパスの肉は稀少らしいから、タコ焼きには絶対に使わんだろうけど」


 串焼き、タコ焼きなどのメインディッシュ?を皆で頬張っては舌鼓を打つ。

 ある程度腹が膨れてきたら、お次は締めのデザートだ。

 ぬるぬるドリンク水色などのジュースを飲みながら、チョコバナナやリンゴ飴、イチゴ飴などの甘味を食べ始めた。


「チョコバナナ、美味しい!ねぇ、ラウル、今度おうちでチョコバナナ作ってくれる?」

「いいとも。つーか、バナナって果物だよな? 林檎のように、バナナも栽培できるもんなのか? もしできるなら、カタポレンの畑で育ててみたいんだが」

「ぁー、バナナの栽培はどうだろうねー……あれ、確か結構難しかったような気がするけど……今度ラグーン学園の図書室で調べてみるねー」

「よろしくな」


 チョコバナナを食べたライトが、その美味しさに思わず家でも食べたい!とラウルにおねだりしたら、何故かバナナの栽培の可否に話が飛んでしまった。

 確かにバナナは林檎と同じ果物類だし、林檎が栽培できたんだからバナナも栽培できるかも?とラウルが考えるのも当然かもしれない。


 ちなみにラウルはリンゴ飴を食べながら「カタポレンの林檎で作れるかな?」とか呟いている。

 あの巨大林檎をそのままリンゴ飴にするのは、かなり難しいんじゃないの? とライトは内心で思うが、もし巨大林檎でリンゴ飴を作れたら、きっとオーガ族の子供達が喜んで食べるだろうな、とも思う。

 おそらくラウルもそのつもりで考えているのだろう。


「はー、食った食った。少し一休みしてから、今度は北の塔に行くか」

「うん!」


 ラグナロッツァの中でこんなに長閑(のどか)な食事を食べるのは、久しぶりのことかもしれない。

 そしてこの平和なひと時を堪能しているのは、何もライト達ばかりではない。

 花の森公園には、家族連れや男女のカップル、友達同士で来たであろう大勢の子供の集団等々たくさんの人達がいて、皆笑顔で過ごしていた。


 子供達や家族連れの笑い声があちこちで響く風景を、レオニスがぼんやりとした顔で眺めている。

 そしてこの平和な光景に何か思うところがあるようで、視線は周囲の人々を見つめたままライト達に徐に話しかけた。


「……なぁ、北の塔のスタンプを集めたら、その後に前のラグナロッツァ孤児院があったところに行ってみないか?」

「「「………………」」」


 ライト達の当初の予定では、北の塔で四個目のスタンプを集めた後は西の塔に回る予定だった。

 そして、北の塔から西の塔に移動する途中、少し方向を変えると旧スラム街―――旧ラグナロッツァ孤児院があるエリアに行けるのだ。


 旧ラグナロッツァ孤児院は、言わずと知れた謎の亀裂が発現した場所。

 ライト達のみならず、ラグナロッツァに住む者達全てにとって忌まわしい場所である。

 しかし、ラグナロッツァ最大の危機は既に回避された。

 人々の暮らしにも平穏が戻り、こうして黄金週間という祭りを心置きなく楽しめるまでに日常風景が回復した。

 だからこそ、あの事件の跡地が今どうなっているかがレオニスには気になったのだ。


 そんなレオニスの思いに応えるように、ライトが真っ先に口を開いた。


「うん、いいんじゃない? もう立入禁止にはなってないんでしょ?」

「ああ。ガーディナー組のイアンの話では、あの場所は公園にするって言ってたな」

「じゃあ、公園がどこまでできているか、皆で見に行こっか!」

「「………………」」


 努めて明るく振る舞うライトに、ラウルとマキシが心配そうにライトを見つめている。

 ライトにとってもあの場所は忌まわしい記憶だろうに、そんな場所にわざわざ出向いて大丈夫なのか?と心配しているのだろう。

 しかし、ライトが勇者候補生であることは秘密なので、誰も真意を問うことができない。

 ライトがOKを出したなら、皆黙ってそれを受け入れて従うしかない。


「……よし、じゃあそろそろ北の塔に行くか」

「うん!」


 それまで胡座で座っていたレオニスがゆっくりと立ち上がり、ライト達三人もそれに続く。

 お祭りフードの皿や串などを片付け、敷物も空間魔法陣に仕舞って後片付けを済ませたライト達は、花の森公園から北の塔に向かって歩き出した。

 五月病御祓いスタンプラリーのスタンプ集めの様子です。

 ライト達の力をもってすれば、十ヶ所のスタンプポイントを回るなど造作もないし、その気になれば一日どころか半日もあれば済ませられるのですが。

 さすがに四人揃ってラグナロッツァの上空をビュンビュンと飛び回る訳にもいきませんしねぇ( ̄ω ̄)

 人目につかないカタポレンの中ならともかく、大都市ラグナロッツァは人目があり過ぎるので、ここは他の人達同様にのんびりと街中を歩きながら移動しなければならないのです(´^ω^`)

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