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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ピッカピカの三年生一学期

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第1402話 様々な実験と検証

 レオニスが冒険者ギルド総本部でパレンと話し合いをしている頃。

 ライトは朝から北レンドルー地方に一人で出かけていた。


 今日のライトの目的は、火魔法や火属性スキルの実験。

 前日にエリトナ山の神殿守護神ガンヅェラのタロン、そして炎の洞窟の神殿守護神朱雀のフラムの力を得たので、新たな力の威力や使い方等々を知っておくためだ。


 マッピングスキルで北レンドルー地方に移動したライト。

 荒涼とした岩だらけの殺風景な光景が広がる。

 火が燃え移りそうなものがほとんどないこの地は、人知れず火魔法を使うのにもってこいである。


 今回ライトがこの北レンドルー地方を実験場所に選んだのには、ちゃんとした理由がある。

 カタポレンの森や山中にある転職神殿で火魔法実験など論外だし、以前レオニスとともに各種魔法テストを実施した目覚めの湖も今回は対象外とした。

 何故ならライトはただ単に火魔法の実験をしたいのではない。

 BCOの火属性スキルも使うつもりなので、水の女王やアクアの前でそれらを使う訳にはいかないからだ。

 そう、人気のない場所で火が燃え移る心配もなく、さらに移動するのも楽な場所といえば、この北レンドルー地方が最適なのである。


 ライトがマッピングしたのは、大きな岩の横に大きな木が一本生えたところ。見渡す限り荒れ地で代わり映えしない中、目安にしやすいから、という理由でここをマッピングポイントに選んだ。

 そこから顔をヒョイ、と出して周囲に人がいないかを覗う。


 この荒野は人々が行き交う街道からはかなり離れているし、滅多に人も寄りつかない場所だ。

 しかし、ライトが魔法を使うところを他人に見られる訳にはいかない。そのため、念には念を入れて用心しているのだ。

 そうして辺りには誰もいないことを確認したライト。

 岩陰からピョコッ!と飛び出して、さらに開けた大地に立つ。


 ここに来る直前、ライトは自室でタロンの鱗を飲み込んでおいた。

 青龍の鱗の時のように、親指と人差し指の爪で小さく折り取りペロッ☆と舐めて、そのまま唾とともにゴクリ、と飲み込む。

 すると、鱗の欠片を飲み込んだ瞬間、お腹の中がカァッ!と熱くなった感覚が湧き起こった。

 しかしそれは程なくして収まり、その後特に違和感などなく今に至る。


 ライトは青龍の鱗を、これまで小粒の欠片にして合計七回飲んだ。しかし、ガンヅェラの鱗や朱雀の羽根はまだ一回づつしか飲んでいない。

 というのも、火属性の力を一気に大量に服用して火の力が暴発でもしたら、とんでもないことになるからだ。それはさすがに洒落にならないし、想像するだけで怖過ぎる。

 如何にライトが基本無謀でも、今回は慎重に事を進めるつもりなのである。


 ちなみにこの北レンドルー地方に移動する直前に、ライトの自室にいるうちに魔物除けの呪符を使用した。

 これで今から三十分間は、雑魚魔物に襲われる心配はない。

 今日は雑魚魔物に邪魔されることなく、とことん火魔法実験を行う気満々である。


 準備万端整えて、北レンドルー地方で意気込むライト。

 屈伸したり腰を左右に捻ったり、一通り準備体操をして十分に身体を解してから火魔法の実験を開始した。


「よーし、そしたらまずは基本の火球を出してみるか!」


 ライトはそう呟くと、両の手のひらを上に向けてその中に小さな球状の火が灯っているシーンを頭の中で思い浮かべた。

 それは魔力テストの時と同じで、レオニスから伝授された火魔法の出し方。

 その経験のおかげでイメージするのも然程苦労せず、すぐにライトの手のひらの上に小さな火球がふよふよと浮きながら灯った。


「おおッ!何か前より簡単に火が出た気がする!」


 思ったより簡単に火球が出せて、ライトが思わず破顔しつつ喜ぶ。

 基本森の中で暮らすライトは、あれ以来火魔法を使って練習することはほとんどなかった。

 だが、火属性の神殿守護神二体の力を取り込んだ今、以前よりも火魔法の威力は確実にパワーアップしたようだ。


 しかし、ライトの感覚ではまだそこまで強くなったという気はしない。

 むしろ、まだ後二回くらいはガンヅェラの鱗や朱雀の羽根を飲んでも大丈夫そうな感じだ。

 ライトは手のひらの上に浮く小粒の火球を見つめながら、独りごちる。


「ンー……これなら、鱗と綿毛をあと一回づつ飲んでも良さそうだな」

「……よし、早速飲むか!」


 ライトは手のひらの上の火球をそのままギュッ!と握りつぶし、アイテムリュックからまずはガンヅェラの鱗を取り出す。

 一回目と同じくらいの大きさに折り取り、ペロッ☆と舐めて口に含む。

 ガンヅェラの鱗の残りをアイテムリュックに仕舞い、それと入れ替わりに今度は朱雀の羽根を取り出した。


 こちらも一回目同様、羽根の根元の綿毛を指で五本くらい摘んでプチッ☆と毟り取って、舌の上に乗せて口に含む。

 先に口に含んだガンヅェラの鱗の欠片とともに、朱雀の羽根の綿毛を飲み込んだライト。

 その瞬間、ライトの腹部に再び熱く滾る力が湧き上がるのを感じた。


「おおお……さっきよりもっと大きな力がついた気がする!」

「よーし、今度はジェット噴射で飛んでみるか!」


 二回目の摂取の後、ライトは靴の裏から火を噴き出すイメージで飛び始めた。

 前の日の土曜日に炎の洞窟で披露した『巨大ロボ飛行』である。


 ライトが頭の中で思い浮かべた通りに、靴の裏から火と風が同時に噴き出してライトの身体が上空に向かって勢いよく飛んでいく。

 しかし、その後のイメージが難しい。上に向かって飛ぶだけなら効率良さそうだが、その姿勢から左右や水平に方向転換しようとしてもなかなか上手くいかないのだ。


「ンー……飛ぶ時の補助動力として使うには、結構っつーかかなり練習しないとキツいか……」

「水平に飛んでる時に勢いをつけるには良さそうだけど……それだって、風魔法一本で速度調整する方が余程早そうなんだよなー」

「……うん、空中飛行に火を用いるのはとりあえずやめとくか。何も無理して火力で飛ぶ必要もないしな!」


 しばらくの間、風魔法と火魔法を併用して飛んでいたライト。

 早々に見切りをつけて地面に着地した。


 空中飛行は、ただ単に飛べればいいというものではない。飛ぶこと自体もだが、それと同時に空中での身体のバランス維持を心がけながら飛ばなければならない。

 これを行うのに、風魔法一つだけを用いるならまだやりやすいのだが。風魔法と同時に火魔法も合わせてイメージするとなると、思考のリソースがかなり割かれて余裕がなくなる。こうした現実を、ライトは今己の身を以って実感していた。


 ライトは地面に降り立ち、左手で右肩を押さえながら右腕を回したりして身体を解す。

 そしてマイページのアイテム欄からアークエーテルを取り出し、おごッ!と喉詰まりするところまで、つまりMPが満タンになるまで飲み続けた。


「そしたら今度は、攻撃の実験をするか」

「つーか、火魔法っていったらやっぱ攻撃魔法だよな!」


 ライトは右手を大きく広げてガバッ!と勢いよく前に突き出し、手のひらから極太の火柱が噴出するイメージを頭の中に描いた。

 すると、ライトの手のひらどころかその何十倍も太い火柱がゴウッ!と一気に前に噴き出したではないか。

 その長さも瞬時に100メートルは伸びていて、とんでもない質量の火柱が出現していた。


 そして次の瞬間、ライトが「おわッ!」と小さく叫びながら後ろにゴロゴロと転がっていく。極太の火柱の勢いの反動で、ライトの身体が後方に吹っ飛んだのだ。

 これは、ライト自身こんなに太い火柱が出るとは思っていなかったので、足を踏ん張る等の準備や心積もりを全くしていなかったせいである。


「痛ッてぇーーー……何ッだ、このとんでもねー威力は……」


 ゴロゴロと地面を二回三回と転がったライト、右手で後頭部を押さえながら呟く。

 しかし、威力の割にはそこまで魔力を使った感覚はない。

 マイページを開いて自身のステータスを見ると、MPが80減っていた。


「あの極太火柱が、たったの80MPで出せる、だとぅ?…………すッげーーー!」

「建物の中とかの閉鎖空間で使うのは、さすがに厳しいだろうけど……ここのような野外なら、存分に使えそうだな!」


 予想以上の結果に、ライトは上機嫌で喜ぶ。

 MPが瞬時に80減るというのは、常人ならばかなりキツいことだ。

 MPの総量が80以下の者にはまず実現不可能なことだし、MPが三桁ある者でも一気に80ものMPを失う事態はなるべく避けたい。


 しかし、魔の森育ちのライトにはそれらの懸念も無用だ。

 レベル1の時点でMPのMAX値が5000を超えるライトにとって、80MPは手痛いという程のものでもない。

 計算上では、今の極太火柱を一分間出し続けても魔力切れにならない。雑魚敵を一掃するには十分な時間と威力である。


 その他にも、ライトは様々な炎を繰り出し続けた。

 炎の洞窟でレオニスが繰り出していた『炎槍』を真似て槍のような炎を出してみたり、炎を細くして縄のように動かしてみたり、火球を立て続けに十個、二十個と出してから一気に前に噴出したり。

 思いつくままにやりたいことを一通りやってから、ライトは一休みすることにした。


 MP回復のための回復剤に、今度はアークエーテルではなくギャラクシーエーテルを取り出してクピクピと飲むライト。

 アークエーテルのMP回復量は800、一方のギャラクシーエーテルはその四倍の3200。

 ここでケチッてアークエーテルをがぶ飲みしていたら、あっという間に水腹になってしまう。それを避けるために、ギャラクシーエーテルを飲むことにしたのだ。


 そして最後にBCOの火属性スキルの実験に着手した。

 ライトが今使える火属性スキルは、【魔術師】一次職【魔術師】の★1スキルの『フラム・バル』と同光系二次職【中位魔術師】の★1スキル『フレア・ガン』、同光系三次職の★1スキル『フレイム・バースト』、そして同四次職スキル『ギーヴル・ソレイユ』。

 BCOの魔術師は、主に攻撃魔法を覚える職業。光系闇系どちらに進んでも、それぞれ強力な攻撃魔法を習得できるのが魅力の職業なのだ。


 ライトはこれらの火属性スキルを、低威力順に試していく。

 フラム・バル他四つのスキルは、どれもが明らかに想定以上の火力を発揮していた。

 やはりサイサクス世界の神殿守護神の力は強力で、魂こそ埒外だが肉体はこのサイサクス世界のものであるライトの能力にも大きく影響しているようだ。


「すげー!BCOスキルだから消費MPは前と変わらないのに、威力はマシマシになってる!これって超お得じゃーん!」

「あー、そしたら今度は水属性スキルや風属性スキルの威力も気になってきたなぁ……」

「……よし、まだ時間に余裕もあるし、今から水属性スキルの検証もしちゃおうっと!」

「……っと、その前に魔物除けの効果延長しとかないとな」


 火属性スキルの威力が大幅に上がっていることに気を良くしたライト。

 今度は水属性スキルの検証を行うことにした。

 というのも、ライトはアクアからもらった水神の鱗の力をその身に取り込んでいる。ならば水属性スキルの威力も上がってるよね?と思い至った、という訳だ。

 そうしてライトはその後も様々な魔法やBCOスキルの検証をし続けていき、心ゆくまで実験を楽しんだのだった。

 うおーん、三日連続で間に合わないー><

 後書きはまた後ほど……



【後書き追記】

 前々話でライトが新たに得た火属性の力の検証回です。

 新しい力を得たら、それをより効率良く使いこなすためにも検証や実験を重ねていかねばなりませんからね!(`・ω・´)


 しッかしライト君よ、ますます人外度がマシマシしていってるのぅ( ̄ω ̄)

 今話ではやってないけど、第1400話での火吹きとか九歳児のやることじゃねぇよね…(=ω=)…

 でも拙作の舞台は、魔法と魔物が身近に実在するサイサクス世界。

 厳しくも無限の可能性がある世界、兎にも角にも逞しく生き抜くための力を蓄えていかなくてはね!(`・ω・´)

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