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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ピッカピカの三年生一学期

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第1397話 喫緊の課題

 昨日は予告通りのお休みをいただき、ありがとうございました。

 予定通り、本日からまた連載再開いたします。

 エリトナ山頂上の火口横でお茶会を始めたライト達。

 このエリトナ山も炎の洞窟と同じく、今年の正月明けに訪ねて以来四ヶ月ぶりだ。

 皆でラウル特製スイーツを頬張る中、レオニスが火の女王に近況を尋ねた。


「火の女王、エリトナ山で何か変わったことはないか?」

『ン? ……あー、今から三十日程前に、久々に骸骨の群れどもが来たぞ』

「何ッ!?」


 レオニスの問いに、シュークリームを頬張りながら事も無げに異変を語る火の女王。

 思わぬ話に問いかけたレオニスも面食らっているが、それ以上に面食らっているのが炎の女王だ。

 炎の女王はつぶらな瞳をさらに丸くし、慌てながら火の女王に話しかけた。


『火の姉様、それは真にございますか!?』

『ああ。この頂上からはよく見えぬが、あちらの麓の方に骸骨どもの骸が山と転がり積み重なっておるぞ』

『姉様の御身は大丈夫にございますか!? 何かお怪我とかなさってはおりませぬか!?』

『大丈夫、どこも怪我はない。見ての通り、妾はピンピンしておろう?』

『な、ならば良いのですが……』

『ほんに其方は心配性だのう』


 火の女王の身に何も起きていないことを知り、心から安堵する炎の女王。

 そんな炎の女王の頬を、火の女王がフフフ、と小さく笑いながら優しく撫でている。

 しかし、レオニスは安堵してばかりはいられない。

 すぐに火の女王に問うた。


「火の女王、今回の死霊兵団―――骸骨どもはどんな様子だった? いつもと同じような攻撃だったか?」

『いや、それがな、先日はいつもと少々違ってな。何しろ数が多かった』

「数が多い? どれくらいのスケルトンが襲ってきたんだ?」

『そうさな、全部で千は下らなかったな』

「「「『ッ!!』」」」


 これまた事も無げにサラッと言う火の女王の答えに、レオニスだけでなくライトやラウル、炎の女王も驚愕している。


『いつもは来てもせいぜい百か、多くても二百くらいだったのだがな。先日は倒しても倒してもひっきりなしに押し寄せ続けてきて、さすがに妾もうんざりしたわ』

「一度にスケルトンを千体も送られるとは、洒落にならんな……つーか、よく火の女王一人で退けられたな?」

『もともと骸骨の一体一体は弱いからな。とはいえ、それが千ともなると鬱陶しいことこの上ないが』

「骸骨を指揮する奴はいたか?」

『いや、敵将みたいなものはおらなんだ。そこら辺はいつもと同じで烏合の衆だったわ』

「………………」


 火の女王の話に、レオニスが口元に手を当てつつ考え込む。

 廃都の魔城の四帝が火の女王を狙って、このエリトナ山で死霊兵団による襲撃を繰り返している、というのはレオニスも以前火の女王から聞いて知っている。

 しかし、そのためにスケルトン千体を派遣したというのは聞き捨てならない事態だ。


 今回の襲撃は、死霊兵団をまとめ上げる役目の者がいなかったからまだよかったものの、今後も烏合の衆であり続ける保証はない。

 例えば屍鬼将ゾルディスのような、高い知能を持った者が陣頭指揮を取り、組織立った行動を取るようになったら―――如何に火の女王でも、彼女一人の手には負えなくなるだろう。


 そしてもし火の女王が倒されて、このエリトナ山が廃都の魔城の四帝の手に落ちたら―――エリトナ山のマグマが生み出す膨大なエネルギーを四帝に奪われてしまう。

 それだけではない。エリトナ山の中で眠るガンヅェラ、タロンまでもが廃都の魔城の四帝の手中に落ちてしまう。

 万が一このエリトナ山が四帝に奪われたら、間違いなくタロンは四帝の手駒として悪用されることだろう。

 それだけは何としても、絶対に阻止しなくてはならない。


「はぁー……こりゃマスターパレンに報告がてら、一度相談しなきゃならんな」

「レオ兄ちゃん、マスターパレンさんに何を相談するの?」

「相談っつーか、このエリトナ山にも転移門を設置する許可を得なきゃならん。万が一このエリトナ山で深刻な事態が起きた時に、俺達がすぐに駆けつけられるようにな」

「あー、確かにそうだね……炎の洞窟を経由する時間も惜しいもんね」

「そゆこと。だからと言って、最寄りのゲブラーから向かうなんざ論外だしな」


 悩ましげに深いため息をつきながら、俯き頭をガリガリと掻くレオニス。

 本来なら転移門とは、冒険者ギルドや魔術師ギルド、竜騎士団に鷲獅子騎士団などの公的機関やラグナ宮殿などの要所にのみ設置可能なもので、基本的にはそうおいそれと増やしていいものではない。

 しかし、火の女王の話を聞くとエリトナ山の防衛は喫緊の課題だ。

 そのためには、このエリトナ山に転移門を設置する必要がある―――レオニスはそう考えたようだ。


「廃都の魔城の奴等も、これまで無限に使えていた魔力の収奪量が減って焦っているんだろう」

「だろうねー……邪竜の拠点だった天空島も、こないだ潰したばかりだもんね」

「そうそう。ま、あの島を一つ潰した程度ですぐに弱ってくれる程、奴等もやわじゃねぇがな」


 レオニスの意図を汲み取ったライト、うんうん、と頷きながら同意している。

 そんなライト達に、今度は火の女王が話しかけた。


『そんな訳で……其方らには、骸骨どもの骸の後始末を頼みたい。憎たらしいことに、あの骨は相も変わらず妾の火では炭にならんようでな。せっかくエリトナ山が綺麗になったというのに、また不浄の骸が積み重なっては堪らん』

「分かった。一応浄化魔法の呪符もぼちぼち貯まってきてるから、すぐに掃除可能だ。ライト、ラウル、手伝いを頼んだぞ」

「うん!」「了解」


 レオニスの呼びかけに、ライトとラウルも即時承諾する。

 火の女王の力だけでは死霊兵団の骸を消すことはできないが、レオニスが持つ浄化魔法呪符『究極』があれば祓うことが可能だ。

 ちなみにその浄化魔法呪符『究極』は、今年の二月初旬に金鷲獅子のアウルムを穢れから助けるために一度全部使い切ってしまった。

 それからまた魔術師ギルドのギルドマスターであるピースに、レオニスが千枚頼むと言っていた。そして今現在レオニスの手元には、約七百枚の浄化魔法呪符『究極』があると言う。


「何でもな? ピースは一日のうちに描いていい呪符の数を『種類問わず、一日につき十枚まで』って秘書に決められてるんだと」

「どうしてまたそんな制限がかけられてんの?」

「そうでもしないと、ピースが他の仕事をしなくなるから、てことらしい。あの呪符も究極というだけあって、ピースでも一枚描くのに五分以上はかかるんだと」

「ぁー……そしたら十枚描くだけで一時間はかかっちゃうねぇ」

「そゆこと。他の奴なら一枚十五分はかかるらしいがな」 


 レオニスが語る、ピースを取り巻く様々な事情。

 確かに秘書が懸念するように、呪符描きが大好きなピースをそのままにしていたら、呪符ばっかり描いて他の仕事を全て後回しにしかねない。

 さすがにそれはよろしくないので、一日十枚まで!という明確かつ分かりやすい縛りを設けたようだ。

 ピースはそれに対し、ブーブーと文句を言いながらも素直に従っているという。


 実際レオニスの注文は緊急性が高いものではないし、毎日必ず一時間は息抜きタイムが得られると思えば、ピースにとってもそこまで悪くない条件だ。

 それに、一ヶ月に三百枚の浄化魔法呪符『究極』を描いてもらえるなら、レオニスの方にも特に問題はない。

 週に一度魔術師ギルドに出向き、一週間分の呪符七十枚を対価の魔宝石と交換するのがここ最近のレオニスの習慣となっていた。


 そんな話をしていると、火の女王や炎の女王も話に加わってきた。


『あの魔術師、ピースは元気にしておるか?』

「おう、俺が魔術師ギルドに行く度に『炎の女王ちゃんや火の女王ちゃんにまた会いに行きたーい!』って叫んでるぜ」

『そうか、妾もまたあの偉大なる魔術師に会いたいのう。たくさん頭を撫でて、たくさん褒めてやりたいものよ』

「次に会えた時には、是非ともそうしてやってくれ。あいつはああ見えて、実は結構な寂しがり屋だからな」


 ピースのことを思う火の姉妹の言葉に、レオニスも微笑みながら頷く。

 魔術師ギルドマスターという要職に就くピースは、レオニスのように行動の自由がない。

 しかし、あのピースのことだ、火の姉妹に会うためにきっとまた何とかして長めの有給休暇をもぎ取るに違いない。


「……さて、ではその死霊兵団の残骸を見に行くとするか」

「そうだね!エリトナ山を綺麗にしなくっちゃね!火の女王様、残骸があるところまで案内よろしくお願いしますね!」

『もちろん。其方らにも手間をかけさせるが、よしなに頼む』

「おう、任せとけ」


 美味しいおやつを食べ終えて、早速新たな依頼に取りかかるライト達。

 敷物や空の皿などをちゃちゃっと片付けて、ライト達は火の女王と死霊兵団が戦ったという麓の方に降りていった。

 エリトナ山でのお茶会と、エリトナ山における新たな課題が出てきた回です。

 ライト達はこれまで、エリトナ山との行き来をだいぶ改善して短縮してきましたが、それでも何かあった場合にすぐに駆けつけられる環境には至っていません。

 それを解決するには、やはり転移門の新設が一番手っ取り早い&最も確実な訳で。その許諾を得るべく、近々マスターパレンに相談することに。


 てゆか、マスターパレンもだいぶご無沙汰してて、作者としても寂しい限りだったのですが。これでマスターパレンの出番が作れる!と作者大歓喜☆ㄟ( ̄∀ ̄)ㄏ

 まずは死霊兵団の後片付けが先なので、マスターパレンの出番はもうちょい先の話になりますが。パレン様大好きな作者は、その日が今から楽しみです♪( ´ω` )

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