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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ピッカピカの三年生一学期

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第1387話 鷲獅子達の警戒と皇竜不在の理由

 再びアウルムのもとに向かうべく、西に進んでいったライト達。

 しばらく進むと、またもレオニスが空中で止まった。

 レオニスが空中で止まるということは、その先に何かしらの障害もしくは問題が起きたということだ。

 ライト達もレオニスの横や後ろで止まり、その先を見遣る。

 すると、地上のとある窪地に大型の鷲獅子達の群れがいるのが見えた。


 その鷲獅子の群れは百頭近くいて、その全てがライト達のいる方向を睨んでいる。

 彼らの視線は明らかに敵意と警戒を剥き出しにしていて、迂闊に近寄ることを許さないピリピリとした空気を醸し出していた。


「レオ兄ちゃん、あれは……」

「ああ、おそらくはアウルムを守っているんだろう」


 ライト達に向けてあからさまな敵対心を向けてくる鷲獅子達。

 その鷲獅子達の奥は、アウルムがいつも好んで寝そべる場所だ。

 そして少し離れた位置にいるライト達の目にも、その場所に何かキラキラと光り輝くものがあるのが見える。それはおそらくというより、間違いなく金鷲獅子アウルムであろう。


「レオ兄ちゃん、どうする? 何だか今にも飛びかかってきそうな雰囲気だけど……」

「ここで突っ立っていてもどうにもならん。とりあえず地面に降りて、俺達に敵意がないことを示さなきゃな」

「そうだね……」


 レオニスの言葉に、ライトも腹を括る。

 そうしてライト達は全員地面に降り立ち、歩いてアウルムのいる場所に近づいていった。


 ライト達が近づいていくと、大型の鷲獅子達はグルルルル……と歯を剥き出しにして呻り威嚇してきた。

 だが、その中の数頭がレオニスの顔を見て『ン???』という顔をしている。

 その鷲獅子達は、これまで何度かレオニスと追いかけっこで遊んだことがあり、鷲獅子達の方もレオニスの顔を覚えていたようだ。


 しかし、他の鷲獅子は一向に警戒を解かない。

 それどころか、威嚇してもなお近づいてくるライト達にますます警戒を強めている。

 そんな中、鷲獅子達の中で一番奥にいた何者かが鶴の一声を放った。


『お前達、そんなに警戒せずともよい。あれらは吾が友ラーデの知己だ』

「クㇽㇽㇽㇽ……」

『何、心配は要らぬ。確かに見知らぬ顔も二つほど混じっておるが、あれは間違いなく吾が命を救いし恩人達ぞ』

「「「…………」」」


 物静かながらも威厳に満ちたその声に、鷲獅子達が従い静々と道を開ける。

 左右に下がっていった鷲獅子達が開けた道の先にいたのは、金鷲獅子アウルムだった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 何とか無事アウルムに目通りが叶ったライト達。

 モーゼの海割りの如く左右に控える鷲獅子達の群れの真ん中を、レオニスが先頭を歩きアウルムの前まで進み出る。

 そしてライト達一行の代表として、まずレオニスがアウルムに声をかけた。


「よう、アウルム。元気にしてたか? ……つっても、こないだシーナ達といっしょにここに来たばかりだがな」

『勇敢なる人族の子らと妖精族よ、よく来てくれた。吾は見ての通り元気にしておるぞ!…………というか、今日はラーデは来ておらんのか?』


 アウルムはライト達を歓迎する一方で、キョロキョロとライト達の周りを見回している。

 いつもレオニスといっしょにこの地に来ていた、彼の親友である皇竜メシェ・イラーデ。その姿が今日は見当たらないことを、不思議に思っているようだ。

 親友の姿を懸命に探すアウルムに、レオニスが申し訳なさそうにその理由を語った。


「すまんな、ラーデは今カタポレンの森で留守番しててな。今日はいっしょに来ていないんだ」

『ぬう、そうなのか。それは残念だ…………しかし、あれもまた吾同様、療養中の身であるからな。ホイホイと外に出かけられんのも致し方あるまい』

「いや、それもあるんだが……ラーデは昨日、ちょいとばかり大きな力を使ってな。その疲れが取れんうちは無理するなって言い聞かせて、今日は留守番させたんだ」

『何? ラーデのヤツめ、また無茶をしおったのか?』


 レオニスの話に、アウルムが目を丸くしながら驚いている。

 今日のライト達のお出かけにラーデがついてきていないのには、実はちゃんとした訳がある。

 前日の暗黒の洞窟でのクロエの誕生日会で、ラーデはクロエへの誕生日プレゼントとして『皇竜の加護』を彼女に与えた。

 もともとラーデもその予定だったので、そのこと自体は何の問題もないのだが、それとは全く別の問題が起きた。

 クロエに飛行能力を与えるために予定以上の魔力譲渡をしたのが原因で、ラーデの身体が50cmからさらに小さくなり、40cmくらいに縮んでしまったのだ。


 誕生日会を終えて暗黒の洞窟から出て、カタポレンの家に帰る途中でライト達はそのことに気づいた。

 仄暗い紫炎が灯る暗黒の洞窟の最奥の間では、ラーデの身体の異変にすぐに気づけなかったのだ。


 しかし、洞窟の外に出てみるとラーデの身体が一回り縮んでいることがよく分かる。特にレオニスなど、それはもう大慌てで「ラーデ、大丈夫か!?」と何度も問うたくらいだ。

 もっとも当のラーデは『何、心配は要らぬ。あの家の横で二日か三日も寝て過ごせば取り戻せる範囲だ』と割と軽い口調で、焦るレオニスを宥めていたのだが。


 そういった経緯を聞き、アウルムがふぅ……と小さくため息をつきつつ呟く。


『全く……ラーデめ、相変わらず慈悲深いヤツだ』

「本当にな……ラーデは笑って許してくれたが、申し訳ないことをさせちまった。これじゃいつまで経ってもラーデが完全体に戻れん」

『そうさな。しかし……あれは昔からそういうヤツだったからの。同胞である竜族はもとより、異種族や邪竜に対しても慈愛を以って接する高潔な精神を持っておった。それ故に邪皇竜などに付け入られたのだろうがな……しかし、それこそが皇竜と呼ばれる所以なのだ』

「そうだな……ラーデのおかげで、ココは翼を得ることができた。どれだけ感謝してもしきれん」


 最初は目を閉じ渋い顔をしていたアウルムだが、その顔は次第に柔らかな笑顔になっていく。

 アウルム自身、お人好しならぬお竜好し?な親友(ラーデ)に救われた者の一頭。他者へ惜しみなく慈愛を注ぐ親友の変わらぬ姿勢に、心から感服しているのだ。


『……ま、ラーデにはまたいつでも会えよう。ヤツ自身が二、三日も休めば取り戻せると言っておるのだ、ならばそれは間違いなく成されるであろうて』

「ああ。ラーデがまたアウルムに会いたいと思った時には、俺達もいつでもいっしょに付き添おう」

『うむ。ヤツともども頼むぞ』

「おう、任せとけ」


 ラーデが不在の理由に得心したアウルムが、レオニスに向かって改めて挨拶をする。

 アウルムの真摯な態度に、レオニスもまた快く応じるのだった。

 うおーん、今日は長電話に拘束されて文章書きが進まなんだー><

 いつもより文字数少なめですんません……何で年末ってこうも忙しないんだろう_| ̄|●


 今日はいつもより短い本文ですが、そんな中でも今回のラーデ不在の理由が判明。

 ただでさえちっこいラーデが、前日のクロエの誕生日会でますますちっこくなってしまいました・゜(゜^ω^゜)゜・

 これはまぁ当人ならぬ当竜も想定外のことで、本来なら絶対に飛べない子に飛べる力を与えてあげたい———ラーデがそう強く願ったことにより、本来与える予定だった加護以上の力を譲渡してしまったのが原因ですね。


 とはいえ、ラーデがそれを悔やむことなど絶対にありません。

 クロエもまたラーデにとって命の恩人であり、大恩あるクロエに報いることを喜びこそすれ後悔などする訳がないのです(`・ω・´)

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