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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ピッカピカの三年生一学期

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第1379話 誕生日プレゼントのお披露目・その一

 皆でクロエの誕生日を祝うバースデーケーキを美味しくいただいた後は、クロエへのプレゼントのお披露目に移った。

 まずはライトが一番手に名乗りを上げた。


「ぼくからのプレゼントは、これ!寄木細工で作ったアクセサリー!」

「おお、幾何学模様が綺麗でカッコいいな!」

「ホントですね!ライト君、これ全部ライト君の手作りなんですか?」

「うん、そうだよ。ラグーン学園の図書室に『寄木細工の作り方』って本があってね? それを参考にして作ったんだ!」


 ライトがアイテムリュックから出した小箱を、自ら開いてクロエの前で見せた。

 宝石用の小綺麗な小箱に入れられた、寄木細工のイヤリング。そのイヤリングの飾りパーツに、ライトが作った寄木細工が使われていた。

 寄木細工は六芒星型の麻の葉文様になっていて、六色の木のパーツが絶妙なバランスで組み合わされている。

 とても凝った作りに見えるそれを目の当たりにしたクロエが、嬉しそうに声を上げた。


『とっても素敵ね!これは、どう使えばいいの?』

「これはイヤリングといって、耳たぶに着ける装飾品なんだよ」

『耳に着けるのね!ライトお兄ちゃん、着けてくれる?』

「もちろん!」


 クロエの可愛らしいおねだりに、ライトが速攻で快諾する。

 ライトがクロエの横に行き、右耳と左耳にそれぞれ着けてやる。

 星に似た六芒星のドロップパーツがクロエの両耳にぶら下がり、彼女が頭を動かす度に六芒星もゆらゆらと揺らめき動く。

 その優雅な動きと仕草に、レオニス達が思わず見惚れていると、ラウルがライトに向かって声をかけた。


「ライト、この寄木細工はもしかして……ツィちゃん達神樹の枝を用いているか?」

「ラウル、正解!よく分かったねー。その通り、この寄木細工はツィちゃん、シアちゃん、エルちゃん、ランガさん、ラグスさん、イアさん、全ての神樹の枝を用いているんだ!」

「やはりそうか……何とも贅沢だが、だからこそココちゃんに相応しい逸品だな」

「うん!」


 ライト以外の者達の中で唯一、それが神樹の枝でできていることを看破したラウル。

 さすが神樹に最も愛されている妖精である。


 ライトが解説した通り、アクセサリーパーツの寄木細工はサイサクス世界に存在する六本の神樹の枝を使用して作り上げた。

 そして今回ライトが言っていた『ラグーン学園の図書室で寄木細工の本を見て作った』というのは事実。

 そう、ラグーン学園の図書室は何もライトの言い訳の隠れ蓑役ばかりではない。他にもラウルの野菜栽培の参考資料など、本当に役立つ知識をもたらしてくれる場所なのである。


「このアクセサリーを作る前に一応ツィちゃんにも相談して、他の神樹の皆にも先に話を通しておいてもらったんだけどさ? 皆すっごく喜んで賛成してくれたんだって」

「もちろんツィちゃんだって大賛成してたよ!『エル姉様を救ってくれた、あの美しくて勇敢な女の子のために私の枝が役に立てるなら、これ程嬉しいことはありません』って言ってくれたんだ!」


 ライトの寄木細工作成秘話に、闇の女王が満足そうに大きく頷いている。


『まさにココ様に相応しい、素晴らしい品だな。ココ様も、素敵な装飾品をもらえてようございましたな』

『うん!ライトお兄ちゃん、ありがとう!ココね、これ、すっごく気に入った!だってね、ライトお兄ちゃんにこれを耳に着けてもらった途端に、ココの中に力が溢れる感じがするんだもん!』

『ほう、ライトよ、この耳飾りには魔力を増幅する力があるのか?』


 クロエの思いがけない言葉に、闇の女王がライトに問い質した。

 闇の女王の質問に、ライトが嬉々として答える。


「魔力増幅とかの特定の機能はつけてませんけど、レオ兄ちゃんに頼んで出来上がったイヤリングを神樹の皆に見せて回ってもらいました。その時に、神樹の皆が(こぞ)って祝福をかけてくれたんですって。ね、レオ兄ちゃん?」

「ああ。天空樹のエルちゃんはもちろんのこと、他の皆も『エル姉様の大恩神への感謝の印』と言って快く祝福してくれたよ。海樹のイアなんかは『これっぽっちじゃ礼の一つにもなんねぇけど』とか言っていたがな」


 ライトの確認のパスに、レオニスも頷きながら肯定する。

 今回ライトがクロエへのプレゼントに寄木細工のイヤリングを選んだのには、実は訳がある。

 それは『神樹達が祝福を与えたアイテムを、クロエに常時身に着けてもらいたい』というものだった。

 クロエは暗黒守護神として強力な力を持っているが、生後一年という生まれたばかりにも等しい幼い身。

 彼女の今後の身の安全のためにも、常に身に着けていられるものに神樹達の祝福を付与したい。ライトはそう考えたのだ。


 そうなるとアクセサリー類が最適なのだが、クロエ=ノワール・メデューサは生まれた時から首元や手首に豪奢な飾りを着けている。

 また、クロエの場合髪飾りは無理だと思われる。何故ならクロエの髪は全て生きた蛇でできているからだ。

 そこへ無理矢理バレッタやヘアピン、ヘアゴムなどを着けると、蛇髪達が非常に苦しい思いをする羽目になる。さすがにそれは可哀想過ぎるというものである。


 たかがアクセサリー一つに制約がかなり多いが、そんなことで諦めるライトではない。

 それら以外の場所で身に着けるアクセサリーとなると、イヤリングやピアスなんかの耳飾りがいいよね!ということになったのだ。

 ちなみにノワール・メデューサの耳にピアス穴は開いていないので、ピアスは問答無用で却下である。


『そうなんだ……皆、ココのために力を分けてくれるなんて、すっごく嬉しいな……』


 神樹の枝の寄木細工イヤリングに、世界中の神樹達が大喜びで祝福をかけてくれたという逸話を聞き、クロエが照れ臭そうにはにかむ。

 あの時のクロエは、ただただライト達や闇の女王の役に立ちたい一心で天空島の戦いに馳せ参じた。

 その結果、救われた神樹達がこうしてクロエに感謝の意を示してくれている。

 望外の結果にクロエだけでなく闇の女王も嬉しそうに微笑む。

 まさに『情けは人の為ならず』である。


「ぼくのプレゼントの解説はこれで全部だよ。そしたら次は、誰のプレゼントにする? …………はい、次はマキシ君ね!」

「えッ、僕ですか!?」


 一番手のライトに二番手指名を受けたマキシ。己の顔を指差しながらびっくりしている。

 これは、ライトが「次は誰にする?」と言いながらレオニス達を見回した時、ライトとマキシの視線がバッチリかち合ってしまったせいだと思われる。

 マキシは想定外の指名にびっくりしながらも、徐に空間魔法陣を開いた。


「ライト君の素敵なプレゼントの後だと、僕のは絶対に見劣りすると思いますが……それでもココちゃんのために一生懸命に用意しました」


 マキシは小さな苦笑いを浮かべながら、取り出した小箱をクロエの前のテーブルの上に置いた。

 クロエはその小箱を手に取り、マキシの顔を見つめながら問うた。


『マキシ君、この箱、開けてもいい?』

「もちろん!ココちゃんが気に入ってくれるといいんですけど……」


 クロエの問いかけに、マキシが一も二もなく頷く。

 そしてすぐにクロエが小箱の蓋をそっと開けると、中には黒い羽根でできたブローチが入っていた。


 黒い羽根はもちろん八咫烏であるマキシの羽根。

 ブローチの中央の台座には大きな黒水晶がつけられていて、その黒水晶を中心としてマキシの羽根が二枚、左右対称にあしらわれている。

 そしてこの羽根は下から上に向かってつけられていて、それはまるで天使の背に生えているような漆黒の翼かのようだ。


『うわぁ……とっても綺麗な羽根ね……これはどうやって使うの?』

「これはブローチというもので、服につけて飾る装飾品です。ライト君やラウルから、ココちゃんはビキニを着ているという話を聞いていたので、それならブローチも着けられるかな?と思って作ってみました」

『服につけるの?』


 黒い羽根のブローチ、その美しさにクロエも一目見て気に入ったようだが、同時に戸惑ってもいた。

 如何せんクロエはブローチなどというアイテムを一度も見たことがないので、どうやって身に着ければいいのかさっぱり分からないのだ。

 クロエが己の服装部分、胸元をキョロキョロと見続けるも最後は諦めてマキシに声をかけた。


『……どこにどうやってつければいいか分かんない……マキシ君、お手本でつけてもらえる?』

「え"ッ!? そそそそれは……ラ、ライト君、僕の代わりにお願いできますか!?」

「うん、いいよー」


 クロエの縋るような視線に、マキシが思いっきり赤面しながらオロオロしている。

 クロエの中身は幼い子供だが、身体は妖艶な美女。首から下と臍までの間は、目の遣り場に困るほどのボン!キュッ!ボーン!のグラマラスなナイスバディなのだ。

 そんなナイスバディ、しかもブローチが唯一着けられそうな胸の谷間のビキニ生地に手を伸ばせ!などというのは、思春期のマキシには敷居が高いにも程がある。


 そしてそれが無理難題であることは、丸投げされたライトにもよく分かる。

 レオニスやラウルもマキシ同様クロエの胸元に手を伸ばすのは憚られるだろうし、闇の女王は闇の女王で人族が用いる装飾品の使い方を知りようはずもない。

 なのでここは一つ、マキシ君や皆のためにも自分が一肌脱がなくちゃね!と思い快諾したのだ。


 ライトがクロエの横に行き、小箱のブローチを手に取り金具の針の部分を外す。

 そしてクロエに「ちょっとごめんねー、ビキニに触らせてねー」と言いつつ胸の谷間にあるビキニ生地を指で摘み、ちゃちゃっと器用にブローチを着けた。

 そしてライトがブローチを着けている間、マキシが安堵したようにブローチの解説を始めた。


「このブローチは、以前レオニスさんがカイさん達に作ってもらっていたブローチを参考にしています」

「だよな。あのブローチの真ん中についている黒い石、ありゃ黒水晶だよな?」

「そうですそうです、こないだレオニスさんに無理言って融通してもらったものです。レオニスさん、その際はお世話になりました、本当にありがとうございます」


 マキシの解説の途中で、レオニスがブローチの肝である黒い石のことに触れる。

 それはマキシも言っていたように、かつてレオニスがラグナ教の悪魔潜入事件の捜査で各支部を回る時に備えとして作ったブローチをモチーフにしてマキシが作ったものだ。

 しかし、マキシは八咫烏だけに羽根は自前で用意できるが、黒水晶の入手まではさすがに厳しい。

 なので、黒水晶を持っているであろうレオニスにマキシが直に頼み込んで、その使用目的を明かした上で無償で譲渡してもらったのだ。


「黒水晶とマキシの羽根がクロエの身を守ってくれるんだ、俺に否やなんてないさ。この二つの効果の凄まじさは、この俺も身を以って体験済みだしな」

『パパ、このブローチはココのことを守ってくれるの?』

「ああ。このブローチについている黒い羽根は八咫烏のマキシの羽根で、真ん中の黒い石は黒水晶といって強力な魔除けの効果がある。この二つの組み合わせは最強だぞ? 俺もこれと似た物を着けていたことがあってな。何せあの廃都の魔城の四帝の一角【女帝】の渾身の攻撃を防いでくれて、それどころか撃退までしてくれたんだ」

『『何ソレ、スゴイ!』』


 レオニスが語る八咫烏の羽根と黒水晶のブローチの効果に、クロエだけでなく闇の女王まで驚きの声を上げる。

 その話は他でもないレオニス自身の体験談だけに、二人とも疑うことなく信じ受け入れている。


『そのような強力な魔除けは、もはや魔導具と言っても差し支えないな……ココ様、このように素晴らしいものを手に入れることができて本当にようございました。これでココ様の身の安全は、ますます万全なものとなりましょう』

『うん!マキシ君、初めて会うココのために、こんなに素敵なものをくれて本当にありがとう!』

「うわッ!」


 闇の女王に絶賛され、クロエも喜びのあまり思わずマキシに抱きつく。

 クロエからの歓喜の抱擁に、マキシが一瞬だけ驚きつつもすぐに破顔する。


「ココちゃんは、ここにいる皆の大事な家族です。その家族の中に、僕も入れてもらっていいですか?」

『もちろんよ!マキシ君、いえ、マキシお兄ちゃんもココの大事な家族よ!』

「マキシお兄ちゃん……末弟の僕に、ミサキ以外の妹が増えるなんて……とっても嬉しいです!」


 クロエの答えに、マキシもクロエの身体を優しく抱きしめる。

 八咫烏とノワール・メデューサ、二つの種族に掛け替えのない絆が生まれた瞬間だった。

 のごおおおおッ、今日も書いても書いても終わらないー><

 後書きはまた後ほど……



【後書き追記】

 クロエの誕生日プレゼントのお披露目、まずはライトとマキシの二本立てです。

 この二人は手先が器用でハンドメイドもお手の物だから、プレゼントを作らせるのも割と楽ちんなんですよねー(・∀・)

 とはいえライトの方、神樹の枝を用いた何かを作らせようとすると途端に難易度マシマシに…( ̄ω ̄)…

 相変わらず木製のアイテムは拙作内において取り扱いが難しい……


 そんな中、作者の無い知恵振り絞って何とか捻り出したのが『寄木細工』。

 『麻の葉文様』で検索していただくとお分かりいただけるのですが、この文様はパーツが六の倍数でできているので、拙作の神樹族六本とちょうど数字が合うのですよ!゜.+(・∀・)+.゜

 これはもう奇跡よね!てゆか、麻の葉文様は拙作の神樹族のために存在していたのだ!と言っても過言ではありません!……って、いくら何でもさすがにそれは過言だな……

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