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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
二度目の春休み

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1363/1686

第1363話 和解する四者

 作者からの予告です。

 明日の日曜日は隣県の親戚宅訪問が入っていまして、朝から晩まで外出が確定していますので、明日の更新はお休みさせていただきます。

 申し訳ございませんが、何卒ご了承の程よろしくお願い申し上げます。

 ジャッジ・ガベルの審判を何とか無事通過したライト。

 ガベリーナの声に従い駆けていくと、そこにはレオニスと砂の女王がいた。

 レオニスを見つけたことに、ライトが思わず嬉しそうに「あ、いた!レオ兄ちゃーん!」と声をかける。


 しかし、何だか様子がおかしい。

 レオニスが得物の大剣を持ち、しかも砂の女王相手に思いっきり剣先を向けているではないか。

 あまりにも物騒な場面を目にし、ライトが慌ててレオニスのもとに駆け寄る。


「レ、レオ兄ちゃん、どうしたの!? 何で剣なんか抜いてるの!?」

「ライト!? 無事だったか!」


 この場にライトが現れたことに、レオニスもまた大剣をすぐに鞘に仕舞いライトがいる方向に走っていく。

 そしてライトがレオニスの胸に飛び込み、ライトの小さな身体をしっかりと受け止めるレオニス。

 ライトの無事が確認できたことで、それまで険しかったレオニスの表情から緊張が解れていった。


「ライト、どこも怪我してないか?」

「うん、大丈夫だよ!」

「そうか、それなら良かった……」


 ライトの頭を優しく撫でながら、その無事と再会を喜ぶレオニス。

 その柔らかな笑顔は、先程までの緊迫した時とは大違いだ。

 そしてレオニスが、ライトに向かってさらに問いかける。


「ていうか、今までどこで何をしていたんだ? 砂の女王からは、この城がお前に用があって? お前と直接話をしているって聞いたんだが」

「ぁー、うん、さっきまでガベリーナさんとお話ししてた……」

「ガベリーナと何の話をしたんだ? つーか、ライト、お前もしかしてガベリーナと面識があったのか?」

「ううん、ガベリーナさんと直接(・・)会うのは今日が初めてだよ?」


 レオニスの問いかけに、ライトが言い難そうにゴニョゴニョと言葉を濁す。


 ライトとガベリーナが交わした会話、その内容はモロにBCOに関する話だ。

 それをここで明かすということは、レオニスにもBCOというゲーム世界のことを伝えなければならない。

 だが、今ここでBCOの全てをレオニスに明かす勇気は、ライトにはまだなかった。故に目を泳がせながら、何と言い訳しようか懸命に思案している。


 そんなライトの様子に、レオニスはある程度のことを察し、ふぅ……と小さなため息をつきながら口を開いた。


「……言い難いことなら、無理に言わんでもいい。お前がこうして無事に戻ってきただけで十分だ」

「うん、ごめんね……でも、ガベリーナさんとはちゃんとお話しして、何とか理解してもらえたよ!」

「ならいい。俺だって、好き好んで砂の女王と対立したい訳じゃないからな」


 ガベリーナと和解できたことを強調するライトに、レオニスもそれ以上は追及しなかった。

 何故ならレオニスにとって、ライトの無事以上に大事なことなどないからだ。

 そしてレオニスは砂の女王の方に向き直り、改めて声をかけた。


「砂の女王、さっきはすまなかったな。こうしてライトの無事が確認できたからには、あんた達ともこれ以上争うつもりはない」

『ホントよ、もう……一時はどうなることかと思ったわぁ。でも、何とか丸く収まるようで良かったわぁ、ねぇ、ガベリーナ?』

『ああ。私の疑問も晴れた。人の子らには少々不躾なことをしたが許せ。私にとってとても大事なことだったのだ』

「…………」


 なかなかに不遜なガベリーナの物言いに、レオニスの頬はピクピクと引き攣る。

 しかし、ここで声を荒げてはまた空気が悪くなる。レオニスとしても、砂の女王達とこれ以上険悪になるのは本意ではない。

 ここは我慢だ……とレオニスは懸命に堪えながら、声はすれども姿は見えないガベリーナに向かって上を見上げつつ声をかける。


「あんたが神殿そのもので、神殿守護神も兼ねているというガベリーナか?」

『如何にも。私は砂の女王を守る城、ジャッジ・ガベルのガベリーナ。お前達の来訪を心より歓迎する』

「来訪? 俺達はあんたにとっ捕まって拐われたんだがな……まぁいい。俺達の方も砂の女王の無事を確認するために、このノーヴェ砂漠で探索を続けていたんだからな」


 何事もなかったかのように、シレッと歓迎の意を表すガベリーナ。

 レオニスが呆れたように呟くも、気を取り直して今度は砂の女王に話しかけた。


「そんな訳で。砂の女王、すまんが『砂の勲章』を二つ作って俺達に譲ってもらえるか? あんたが無事なことを他の女王達に証明するために、あんた自身が作った勲章が必要なんだ」

『分かったわ。ちょっと待っててねぇー』


 レオニスの要望に砂の女王が快諾し、手のひらの上で勲章を作り始めた。

 砂の女王が自身の魔力を手のひらに集中させて、勲章を作り上げていく。

 程なくして出来上がった勲章を二つ、レオニスに手渡した。


『これでいいかしら?』

「ああ、十分だ、ありがとう」

『どういたしましてー』


 砂の女王から渡された二つの勲章。

 身の丈10メートル近い砂の女王が作るものだから、その勲章もとんでもない大きさになるかと思いきや。他の女王達が作る勲章とほぼ同じサイズのものだった。

 二つの勲章のうちの一つを、早速レオニスがライトに渡す。

 レオニスから勲章を受け取ったライト、すぐに砂の女王に礼を言う。


「砂の女王様、ありがとうございます!」

『いいえー、こちらこそ礼を言わなければならないわぁ。良かったらこれから上の階で改めてお話をしない? 他の姉妹の皆の話を聞きたいのー』

「そしたらぼく達といっしょに、お茶会をしませんか? 美味しいお茶と美味しいお菓子を食べながらお話ししましょう!」

『それ、いいわねぇ♪ いきましょいきましょ♪』

「『…………』」


 ライトの魅惑的なお誘いに、砂の女王が嬉しそうに応じる。

 そして砂の女王がその大きくて美しい手をライトの前にそっと差し伸べる。

 『この手のひらに乗っていいわよー』という砂の女王の、これまた魅惑的なお誘いにライトも「ありがとうございます!」と嬉しそうに手のひらの上に乗っかった。


 ライトを手に乗せた砂の女王が、ライトとともにいそいそと階段を登り上の階に移動していく。

 速攻で仲良くなったライトと砂の女王を見て、レオニスとガベリーナが呆然としている。

 レオニスはお茶会を持ちかけるライトの手腕に、ガベリーナはそれに嬉々として乗っかる砂の女王のお気軽さにそれぞれ唖然としているのだ。


 しかし、ここで呆然とし続けていても仕方がない。

 レオニスは俯き頭をガリガリと掻きながら、はぁー……とため息をついた後呟く。


「……しゃあない、ここは一つ懇親会ということで俺もお茶会に混ぜてもらうとするか。ガベリーナ、あんたはこの城以外に小さな依代みたいなもんはねぇのか?」

『うぬぅ……そんなものを持とうと思ったことすらないわ』

「なら、今からでも作れ。ライトが用意してくれる茶菓子は美味いものばかりだからな。あんたも味わわなきゃ損だぞ?」

『そ、そんなにか……承知した、今から何か依代になりそうなものを見繕うとしよう』


 両手を頭の後ろで組みながら、ガベリーナに話しかけるレオニス。

 ガベリーナの方も、レオニスが言う『美味い茶菓子』に俄然興味が湧いたようだ。

 レオニスがライトと砂の女王の後を追って階段を上り、ガベリーナは城内の依代探しに奔走する。

 そうしてライト達は最後の女王とその相棒、生きた裁判所ジャッジ・ガベルとともに前代未聞のお茶会を催すべく上階に移動していった。

 嗚呼ッ、今日も時間が足りないッ><

 後書きはまた後ほど……



【後書き追記】

 ライトの合流により、一触即発状態だったレオニスと砂の女王の対決危機を何とか回避できました。

 属性の女王探しのラストで斬り合いの大喧嘩とか、洒落なりませんからね><


 そしてライト達がガベリーナに拐われた理由は、レオニスも知りたいところなのですが。どうやらそれは先日判明したライトの重大な秘密、勇者候補生が絡む話だというのを早々に察して見逃すことに。

 レオニスもヴァレリアと交わした『勇者候補生について根掘り葉掘り聞かない』という約束をきちんと守っているのです。

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