表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
二度目の春休み

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1354/1686

第1354話 一つの夢が叶った瞬間

 作者からの予告です。

 明日と明後日に、母と姉と三人でお泊まり旅行の予定が入っております。

 てすので、明日明後日は更新をお休みさせていただきます。

 二日連続のお休みとなりますが、ご了承の程よろしくお願い申し上げます。

 アル達銀碧狼親子の旅立ちを見送ったライト達。

 その後はそれぞれ別行動で過ごした。

 レオニスはライトや鷲獅子騎士団から預かった金鷲獅子アウルムの抜け毛を毛糸にするためにアイギスに出かけ、ラウルは引き続きカタポレンの畑で大根の種まきと肥料の殻焼きに勤しんでいる。

 そしてライトはと言うと―――


「ゼクス、今日ももっちりお肌だね!」

「フュン、また大きくなった?」

「ツェン、ほっぺに切り傷あるね? 後でエクスポーション飲む?」


 十匹のシルバースライムを巨大桶で入浴させながら、甲斐甲斐しくスライム達の世話をするライト。

 ここはイェソドの廃銀鉱山。シルバースライムを風呂に入れていた。


「はぁー……この桶を見ると、あのビースリー三昧の日々まで思い出しちゃうけど……アレは本当にキツかった」

「……でもまぁね、何とかこうして無事帰ってこれただけでも良しとしなくっちゃね!」


 風呂から上がり、ほかほかの湯気が立つシルバースライム達の身体をバスタオルで拭くライト。

 ライトがブツブツと零しているのは、コヨルシャウキと散々散々戦い続けた星海空間での日々。

 コヨルシャウキと戦う度に血みどろの血塗れな自身の身体を、ライトはこの木桶を風呂にして洗い流していたのだ。


 ライトにとってそれは、非常に苦い思い出。

 しかし、そうした辛い経験もまたライトの成長の糧となっているのも事実。

 現にライトは今、この平和なひと時のありがたさを噛みしめつつ、前向きに考えているのだから。


 そうして十匹のシルバースライム全てを風呂に入れ終えたライト。

 ここからまた大事な作業、風呂の湯を【遠心分離】にかけ始めた。

 三回の【遠心分離】を経て、シルバースライムの有効成分である『銀色のぬるぬる』『銀色のねばねば』『銀色のべたべた』に分けて、それぞれをハイポーションの空き瓶に収納していく。

 最後にお目当ての『銀色のべたべた』を収納し終えた時、ライトが両腕を高々と挙げて叫んだ。


「ヤッター!これで『銀色のべたべた』十本分揃ったぞーーー!」


 天に向かって放たれた、ライトの歓喜の雄叫び。

 それは、クエストイベントのエクストラクエストの55番目のお題『銀色のべたべた10個』が完了したことの喜びであった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「はーーー、ここまでくるのに、すんげー長かった……」


 ライトは早速その場で胡座で座り込み、マイページを開いてポチポチとパネル操作を始める。


 ライトが『シルバースライムとお近づきになろう!大作戦』を決行し、イェソドの廃銀鉱山を探索し始めたのが去年の十月のこと。

 そこから銀塊の撒き餌を繰り返し、努力の甲斐あって餌付けに成功し『銀色のべたべた』を定期的に採取できるようになった。


 そしてライトの当初の計算では、『銀色のべたべた』の十個分の採取は三月に入る頃には完了する予定だった。

 だが、その後天空島襲撃事件やらビースリー勃発騒動などの重大事件が立て続けに起きた。おかげでイェソドの廃銀鉱山に通う頻度が低下して、べたべた採取もかなり遅れが出てしまっていたのだ。


 特にビースリー勃発騒動では、ライトは星海空間に出向いていてこちらのサイサクス世界には五日間も不在だった。

 ライトの数々の奮闘あって無事サイサクス世界に帰還できたが、その後ライトが初めてイェソドの廃銀鉱山に来た時には『シルバースライム達が俺のことを忘れてたらどうしよう……』『というか、シルバースライム達に嫌われちゃってるかも……』『いや、忘れるとか嫌われる以前に、餌がなくて餓死してたらどうしよう!?』等々、内心でものすごくビクビクしていた。


 もっともそれは結果的には杞憂で、久しぶりに現れたライトにシルバースライム達は怒ったり攻撃したりなどすることなく、『(ご飯)ちょうだーい☆』とばかりに、ライトの足にスリスリとすり寄ってきたのだが。


 そうした苦難の末に、ようやく辿り着いた『銀色のべたべた』の十個分の採取。ライトはマイページのアイテム欄に『銀色のべたべた』を早速収納する。

 それからイベントページを開き、エクストラクエストページをチェックした。

 現在の進捗状況は、以下の通りである。



 ====================



 ★身代わりの実を10回作ろう!★


 〔身代わりの実 原材料(1個分)〕 進捗度:0/10

 51.閃光草の根10個 報酬:エネルギードリンク1グロス 進捗度:10/10

 52.濃縮マキシマスポーション10個 報酬:身代わりの実追加レシピA 進捗度:10/10

 53.熱晶石10個 報酬:魔法の刷毛1個 進捗度:10/10

 54.濃縮ギャラクシーエーテル10個 報酬:身代わりの実追加レシピB 進捗度:0/10

 55.銀色のべたべた10個 報酬:荊棘の巻物【刃】1個 進捗度:10/10



 ====================



「ンぬぅーーー……濃縮ギャラクシーエーテルが全く進まん……」


 エクストラクエストページを開いたライトが、ものすごく渋い顔で唸る。

 先程まで『銀色のべたべた』の十本目をゲットして、大喜びしていたというのに。

 他のお題は何とかクリアできているのに、何故こんなにもギャラクシーエーテルの作成が全く進んでいないのか―――それは、とある材料が大きな障害となっていた。


「砂漠蟹なぁ……一個二個ならラウルに頼んで鋏だけ譲ってもらえるけど……濃縮ギャラクシーエーテルを作るとなると、一個につき砂漠蟹の大鋏が要るってのがなぁ……」

「これ、どーーーすべ……」


 眉間に皺を寄せながら、マイページのエクストラクエストページを藪睨みするライト。

 そう、ライトのギャラクシーエーテル作りにおける最難関は『砂漠蟹の大鋏』であった。


 砂漠蟹とは、文字通りノーヴェ砂漠で出現するサンドキャンサーのことを指す。

 これまでライトは、北レンドルー地方や暗黒の洞窟、転職神殿近辺など様々なフィールドで雑魚魔物狩りをしてきた。

 だが、さすがにノーヴェ砂漠は未だにライト単体での魔物狩りを決行したことはない。

 特にレオニスに『ノーヴェ砂漠はすんげー危険なところ!(だから、近寄るなんて以ての外!)』と口を酸っぱくして常々言われてきたのだ。


 しかし、ここまできてエクストラクエスト完遂を諦めるなどあり得ない。

 となると、何としても『砂漠蟹の大鋏』を大量入手しなければならない。

 ライトは目を閉じひたすら思案する。

 そうしてしばらくうんうんと唸り続け、突如パッ!と目を見開いた。


「ンーーー…………そうだ!こないだ行ったワカチコナの近くに、瞬間移動用の魔法陣を置こう!そしたらいつでもノーヴェ砂漠に行けるようになるし!」

「でもって、サンドキャンサーの鋏だけ(・・・)を採取しようっと!それなら何とかなるよね!」

「よーし、そしたら早速ノーヴェ砂漠に行くぞ!…………って、その前に『銀色のべたべた』の報酬をもらおっと!」


 ギャラクシーエーテル作りの最難関である『砂漠蟹の大鋏』対策を何とか捻り出したライト。

 ノーヴェ砂漠に行く前に、先程完了したエクストラクエスト55番目のお題の報酬『荊棘の巻物【刃】』を受け取ることにした。

 ちなみにライトがマイページとにらめっこをしている間、シルバースライム達はライトが撒いておいた銀塊をおやつ代わりに食べたり、ライトの背中をよじ登ったりしている。


 イベントのお題部分をタップし、それからアイテム欄にページを切り替える。

 するとそこには『荊棘の巻物【刃】』という名のアイテムが新たに出現していた。


 BCOでは、スキル書の類いは使用することで習得できるシステムとなっている。

 そしてこの『荊棘の巻物【刃】』もスキル書の一つであり、アイテム名の横に『使用する』というアイコンがある。

 これをタップすることで、ライトが欲して止まなかったSP消費ゼロの特殊スキル『無限の手』を会得することができるのだ。


 ライトは小刻みに震える右手人差し指で、えいッ!とばかりに『使用する』のアイコンを押す。

 すると次の瞬間に別窓が開き、そこには『特殊スキル『無限の手』を習得しました!』という文字が表示されていた。


「……ヤッ……ターーーーー!とうとう無限スキルを手に入れたぞーーー!」


 再び歓喜の雄叫びを挙げるライト。

 ライトの周りにいたシルバースライム達は、その大声に別段驚いたりすることもなくライトの肩や頭の上でみょいーんと伸び縮みしている。

 そんなマイペースなシルバースライム達を、ライトはギュッ!と抱きしめた。


「シルバースライムの皆、ありがとう!本当に、本当にありがとう!皆のおかげで、ぼくの夢が一つ叶ったよ!」


 シルバースライムをむぎゅーッ!と抱きしめながら、グリグリと頬ずりしまくるライト。頬ずりされているのは、アハトと名付けられたシルバースライムである。

 友達(ライト)からの熱い抱擁に、アハトが嫌がったり逃げるような素振りはない。

 それどころか、他のシルバースライム達までライトの身体のあちこちをよじ登り顔に近づいてくる。

 それはまるで、ライトの喜びに共感していっしょに喜んでくれているようだった。


 ライトは両腕に抱えきれないほどの友を抱きかかえながら、己の念願が叶った喜びに浸りつつシルバースライム達に語りかける。


「皆、本当にありがとうね。これからもぼくと友達でいてね」


 ライトの語りかけに、シルバースライム達はみょいーんと身体を伸び縮みさせている。

 まるで喜びの舞のようなそれはシルバースライム達の肯定の意であり、ライトとシルバースライム達の絆がより一層深まった瞬間だった。

 アル達銀碧狼親子と別れた後のライトの様子です。

 ぃゃー、クエストイベント関連は超久しぶり!

 ぃぇね、作者だってクエストイベントを忘れていた訳ではないんですよ?

 ただ、他の修羅場が頻発しててですね、こればかりは如何ともし難く(;ω;)


 ライトがシルバースライムの探索をして仲良くなったのが第905~908話、そこから相手に入浴事業?を開始したのが第988話ですか。

 リアルタイムでは、何と丸一年以上経過してしまいましたがΣ( ̄Д ̄)

 その間ライトは地道ながらも、着実に銀色のべたべた集めを進めていたのです(`・ω・´)


 ……てゆか、シルバースライム以上に特殊スキル『無限の手』の習得の方がずーーーっと時間がかかってた件( ̄ω ̄)

 特殊スキルの存在が拙作の中で出てきたのが第167話、実に1200話の時を経てようやく習得にこぎつけることができましたですよΣ( ゜д゜)

 他のBCOスキルと違い、SPを全く消費しないというこの無限スキル。今後のライトの職業習熟度上げにおいて、大いに活躍してくれることでしょう( ´ω` )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ