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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
取り戻した日常

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1325/1686

第1325話 ドラリシオの群生地へ

 作者からの予告です。

 明日は父方叔父の一周忌にお呼ばれしてまして、朝から出かける予定が入っていますので明日の更新はお休みとさせていただきます。

 申し訳ございませんが、ご了承の程よろしくお願い申し上げます。

 そうしてユグドラシアのもとに八咫烏一族族長一家が全員集結し、ライト達と和やかに会話を交わした。

 ウルスとアラエルは、初めて会う水神アクアに八咫烏一族の代表として、次期族長となるフギンとともに改めて畏まった挨拶をし、ムニンやトリス、ケリオンは同じく初対面のラーデに恭しく頭を下げている。

 ちなみにそのラーデは、ラーデのことが気に入ったミサキに真っ先に抱っこされてご機嫌である。


「ラーデちゃん、私の名前はミサキっていうの!マキシ兄ちゃんの双子の妹なのよ。よろしくね!」

『ミサキか、良き名前だな。我のことを『ラーデちゃん』と呼んでくれるのは、其方が初めてだ』

「そうなの? ラーデちゃん、とっても可愛いのに。皆ちゃん付けで呼んでくれないの?」

『ああ。何故か我は必要以上に畏れられることが多くてな』


 ミサキの両翼に包まれて抱っこされているラーデ、ミサキの言葉にふぅ……と小さくため息をついてみせる。

 そしてミサキは皇竜メシェ・イラーデを相手に、全く物怖じする様子はない。

 相変わらずフリーダムで友好的なミサキに、周りにいる兄姉達がプルプル震えながら「あばばばば……」「ミ、ミサキ……」「し、失礼のないようにね……」と狼狽している。


 そしてユグドラシアは、ライトとレオニス、ラウルに改めて礼を言った。


『レオニス、ラウル、そしてライトもマキシも……先日は天空島のエル姉様の窮地を救ってくれて、本当にありがとう。この恩は生涯忘れません』

「いいってことよ。エルちゃんだって俺達の友達なんだから」

「そうですよ!エルちゃんもぼく達の大事な友達だし、シアちゃんやツィちゃん、ラグスさんやランガさんにイアさんだって友達ですもん!」

「そうそう。今や全ての神樹が俺達の大事な親友であり仲間だ。ツィちゃんやシアちゃんが、俺達に加護や貴重な枝を快く分け与えてくれたように、神樹の皆が困っている時は俺達が助けに行くのは当然のことだ」

「エルちゃんは、僕が生まれた時からずっと見守っててくれたシアちゃんの、大事なお姉さんです!シアちゃんのお姉さんが困っていたら、シアちゃんの家族である僕が助けに行くのは当たり前です!」

『ありがとう……こんなにも心強い友と家族がいてくれて、私はとても幸せ者です』


 家族の危機を救ってくれたことに感謝を示すユグドラシア。

 一方ライト達は、いつものように『友達だから助け合って当然!』と言い切る。

 人族と言えば非力で脆弱で短命な、儚い種族のはずなのに。巨大な邪竜相手に一歩も怯むことなく、邪竜の親玉である邪皇竜メシェ・イラーザすらも撃破するに至った。

 もちろんそれは他者との協力や連携で勝ち得たものだが、それでもやはりレオニス達の存在は欠かせない。


 ニカッ!と爽やかに笑うレオニスに、フンス!と鼻息も荒く友達同士であることを強調するライト、事も無げに当然と言い放つクールなラウル、そしてユグドラシアを家族と言い切ったマキシ。彼らの笑顔の何と頼もしいことか。

 ライト達の心強い言葉に、ユグドラシアの枝葉は感動に打ち震えるかの如くサワサワと揺れ動いていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 そうして挨拶や交流を一通り交わし、レオニスがウルスに向けて本題を切り出した。


「今日は俺達、これからドラリシオの群生地に行く予定なんだ。だから、もし良ければフギンとレイヴンもいっしょにどうかと思ってな」

「ああ……ドラリシオと言えば、フギン達がオーガの里に出向いた時に遭遇したという事件のことですかな?」

「そうそう。ノーヴェ砂漠で遭難していたドラリシオ達を助けるために、フギンとレイヴンも活躍してくれたからな」


 レオニスの話に、ウルスも納得したように頷く。

 そして自分の名前が出てきたことに、フギンとレイヴンも気づいてレオニス達のもとに寄ってきた。


「父様、レオニス殿、お呼びですか?」

「俺も呼ばれました?」

「ああ。今から俺達は、ドラリシオ・ブルーム達の見舞いに行くんだが。お前達もいっしょに行くか?」


 レオニスの問いかけに、フギンとレイヴンの顔がパァッ!と明るくなる。

 そして間髪置かずに速攻でレオニスの話に食いついた。


「おお、先日砂漠で会ったドラリシオ達ですか!彼女達の見舞いなら、是非とも我らも同行させていただきたい!」

「ええ!俺らもあの子達が元気になったかどうか、ずっと気がかりだったんです。だから俺らも、レオニス殿やアクア君のお供をさせてください!」

「おお、そうか、なら今からいっしょに行こう」


 食いつき気味に同行を求める二羽に、レオニスも笑いながら宥めるように二羽の頭や羽根を撫でる。

 そしてフギンがウルスの方を向き、改めて外出許可を求めた。


「父様、レオニス殿の申し出をありがたく受けたいのですが、レイヴンとともに出かけてもよろしいでしょうか?」

「もちろんだとも。里の守りは我らに任せよ」

「はっ!」

「ドラリシオの群生地に御座すマザーは、シア様の知己でもあらせられるからな。八咫烏一族の代表として、粗相のないようにな」

「父様、ありがとうございます!」


 ウルスの許可が得られたことに、フギンもレイヴンも頭を下げて感謝する。

 そしてユグドラシアが、フギンとレイヴンに声をかけた。


『フギン、レイヴン、我が友マザーに私がよろしく言っていた、と伝えてくださいね』

「はい!シア様のお言葉、必ずマザー殿にお伝えいたします!」


 ユグドラシアから言葉を託されたことに、フギンもレイヴンも背筋を伸ばしつつ敬礼している。

 そしてフギンがレオニスの方に向き、改めて声をかけた。


「ではレオニス殿、参りましょう!」

「おう、じゃ、皆ここからドラリシオの群生地に向けて飛んでいくぞ」

「はーい!」

「「……え?」」


 レオニスの呼びかけに、ライトが真っ先に反応しつつふわり、と宙に浮いた。

 ライトが一人で空を飛んでいることに、フギンとレイヴンが目を丸くして固まっている。

 そんな二羽の様子に気づくことなく、レオニスもふわり、と宙に浮きながらユグドラシアに向けて声をかける。


「じゃ、行ってくる。シアちゃん、またな!」

「シアちゃん、いってきまーす!」

「八咫烏の皆も、またな」

「父様、母様、いってきます!」

『皆、気をつけていってらっしゃいね』


 ライト達はドラリシオの群生地に行った後、そのまま目覚めの湖に帰るのでユグドラシア達とはここで一旦お別れとなる。

 そのため、ライト達はドラリシオの群生地に向かう前に挨拶をしたのだ。


 留守番組のウルスやアラエル、ムニン達兄姉が羽根を大きく振りながらマキシ達を見送り、ミサキも「レオニスちゃん、ライトちゃん、ラウルちゃんにマキシ兄ちゃん、そしてアクアちゃんもラーデちゃんも、またねーーー!」と大きな声で別れを惜しむ。

 そうしてライト達は、フギンとレイヴンとともに八咫烏の里を後にした。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 大神樹ユグドラシアのもとから、ドラリシオの群生地に向かうべく空を飛ぶライト達。

 皆結構な勢いで飛んでいて、フギンとレイヴンもほぼ全力で飛んでいる。

 ちなみにラーデはアクアの背に乗っている。

 ラーデは未だにその力の殆どを失っており、今の非力なラーデではとてもライト達の飛行速度についていけないのだ。


 そしてフギンとレイヴンがライトの横につき、その秘訣?を問うてきた。


「ライト殿、一体いつ飛べるようになったので?」

「ン? あ、えーとね、こないだ知り合った青龍から友達の証に鱗をもらったんだけどね? その鱗を千切った欠片を飲み込むことで、ぼくも空を飛べるようになったんだ!」

「その青龍ってのは、一体何なんスか?」


 青龍が何なのかを知らないレイヴンが、ライトにさらに質問する。

 八咫烏は知性が高いことで知られるが、もともと引き篭もり族で外界のことは殆ど知らないため、四神のことも全く分からないらしい。


「青龍は風の女王様がいる辻風神殿の守護神だよ。要はアクアと同じ役割を持った存在だね!」

「アクア君と同じ存在、とな……」

「こないだ辻風神殿に行った時に、青龍が卵から孵る手伝いをした御礼かな?とは思うけどね」

「そんなすげー御方と知り合いになっただけじゃなくて、さらにすげーもんを御礼にもらったンすか……ライト殿も、何気にすげーッスよね……」


 ライトの解説に、フギンは半ば呆然としつつ、レイヴンは心底感嘆する。


 フギン達がレオニス達とともにドラリシオ・ブルームを救出した時、ライトはまだ空を飛ぶことができなかった。

 そのため当時はアクアの背に乗って、目覚めの湖からドラリシオの群生地に移動していたのをフギンもレイヴンも覚えている。

 それが今はどうだ。レオニスやラウル、アクアにも負けないくらいの速度で空を自在に飛んでいるではないか。

 二羽とも人族の進化の早さに、心から度肝を抜かれていた。


 そうしているうちに巌流滝が見えてきた。

 巌流滝には寄り道せずそのまま通り過ぎ、さらに北西に真っ直ぐ進む。

 すると森が切り拓かれた、見覚えのある場所に至った。

 その切り拓かれた場所こそが、ドラリシオの群生地である。


 ここで一旦レオニスが空中で止まり、ライト達もそれに合わせて止まった。

 そしてレオニスが空間魔法陣を開き、ドラリシオ・マザーの蔓で作られたブレスレットを二つ取り出した。


「ここら辺はもうドラリシオ達の縄張りだ。このまま待ってりゃ向こうから迎えに来るだろうから、今のうちにフギンとレイヴンにもこれを渡しておく」

「これは……マザーの蔓で作ったものですか?」

「そうそう。これを身に着けておけば、こないだみたくドラリシオの脳筋どもに襲われる心配もなくなる」

「とりあえず、脚に通しておけばいいッスかね?」

「そうだな、それがいいだろ。ライト、これをレイヴンの脚に着けてやってくれ」

「はーい!」


 レオニスがブレスレットの片方をライトに渡し、もう片方をフギンの脚に通す。

 ライトもレオニスに渡されたブレスレットを、レイヴンの脚に通してあげた。

 その様子を見ていたアクアが、レオニスの横にスススー……と寄ってきて問いかけた。


『ねぇ、レオニス君。僕にはその輪っかを着けてくれないの?』

「え? アクアはもうドラリシオ達の間ではすっかり知られてんじゃねぇの? つーか、そもそも俺達といっしょにいるんだし、もう疑われるこたないと思うが……」

『えー、そんなの分かんないよ? ていうか、僕だけ仲間外れみたいで寂しいなー……』

「うぐッ……そ、それは……」


 ちょっぴり拗ねてみせるアクアに、レオニスが言葉に詰まる。

 確かにレオニスの言う通りで、アクアを敵視する者はもうドラリシオの群生地にはいないだろう。

 しかしアクアの言うことももっともで、アクアだけマザーの蔓のブレスレットを着けていなくて疎外感を感じるのも当然と言えば当然だ。

 理由としては理解できるだけに、レオニスもため息をつきながら再び空間魔法陣を開きブレスレットを一つ取り出した。


「ほら、アクアの分だ」

『ありがとう!』

「……って、これをアクアのどこに着けりゃいいんだ?」


 レオニスがマザーの蔓のブレスレットを手に持ちながら、アクアの身体のあちこちを眺めて着ける場所を探している。

 このブレスレットは既に輪っかになっていて、金具を取り外しできる構造にはなっていない。なので、巨大なアクアのどこに着ければいいのか分からないのだ。

 そんなレオニスに、ライトが声をかけた。


「レオ兄ちゃん、ぼくがアクアのネックレスに通してあげるよ」

「お、そうか? ならライトに頼むとしよう」


 ライトの申し出をありがたく受けたレオニスが、ライトにマザーの蔓のブレスレットを渡した。

 ライトはそれを受け取り、アクアの首にかかっているネックレスの紐の結び目を一旦解いてから再び結び直した。


 そのネックレスは、ライトがアクアの誕生日プレゼントとして急遽拵えたもの。目覚めの湖の貝殻に穴を開けて、その穴に丈夫な麻紐を通して繋げただけの簡単な品だ。

 しかし、そんな粗末な物でもアクアにとっては宝物。誕生日祝いでプレゼントされた時から、ずっと肌身離さず着けていた。


 ネックレスにブレスレットを通し終えて、再びネックレスをアクアの首にかけてやるライト。

 自分の望みが叶えられたことに、アクアが嬉しそうにライト達に礼を言う。


『ライト君もレオニス君も、ありがとう!この首飾りがもっと素敵になって、すっごく嬉しい!』

「どういたしまして!こんなにアクアに喜んでもらえるなんて、ぼくも嬉しいよ!」

「そうだな、アクアだけ仲間外れってのも可哀想だもんな。…………ン?」


 花咲くような笑顔で喜ぶアクアに、ライト達もほっこりと和む。

 特にライトは内心で『あんなちゃちなネックレスなのに、こんなに喜んでくれるなんて……アクアって、本当に親孝行の良い子だよね!』と感激している。

 するとここで、レオニスのジャケットをクイッ、クイッ、と引っ張る者がいた。

 それはラーデだった。


「『………………』」


 レオニスをじーーーっ……と見つめるラーデに、レオニスもまたラーデの目をじーーーっ……と見ている。

 二人して無言のまま、ただただ見つめ合う格好のレオニスとラーデ。

 ラーデの顔は何かを言いたげだが、何故か無言でレオニスを見つめ続けている。

 これまでのやり取りの流れ的に、ラーデも『自分にもそのブレスレットをくれ』と言いたいのだろう。


「……ぁー……ラーデもこのブレスレット、要るか?」

『もちろん。我だけ仲間外れなのはいただけぬ』

「だよなー、ちょっと待ってな」


 レオニスが開いたままの空間魔法陣から、本日八個目のマザーの蔓のブレスレットを取り出した。

 それをラーデの腕に着けて軽く締めてやると、ラーデもご満悦といった様子で嬉しそうに破顔する。


 これでここにいる全員がマザーの蔓のブレスレットを身に着けた。

 ここまで万全を期せば、ドラリシオの群生地の中でも安全だろう。

 すると、ライト達のいる下の方から誰かの声が聞こえてきた。


「アクア様ぁーーー!」

「こーーーんにーーーちはーーー!」

「お迎えに上がりましたぁーーー!」


 とても賑やかなその声の主は、レオニス達によって『ドラ子』『ドラ恵』『ドラ代』と名付けられた三体のドラリシオ・チルドレンだった。

 ライト達が下を見ると、木々の隙間から手や蔓をブンブンと振っている三体のチルドレン達がいた。

 三体ともニッコニコの笑顔でアクア達がいる上空を見上げている。


「お、お迎えが来たか」

『さあ、皆でドラ子ちゃん達のところに行こう』

「うん!」


 ドラリシオ・マザーが遣わしたであろう迎えの使者。

 彼女達と合流すべく、ライト達は森の中に降り立っていった。

 ユグドラシアのもとを立ち、ドラリシオの群生地に向かうライト達。

 来客の出迎え役に、チルドレントリオのドラ子・ドラ恵・ドラ代の登場です(・∀・)

 ぃゃー、この子達も一年ぶりの登場ですが。当時は結構な我がまま娘で、レオニスやアクアに襲いかかって逆にギャフン!されてましたねぇ。嗚呼懐かしいー( ´ω` )


 作中時間では、あの事件からまだ四ヶ月程度しか経過していませんが。彼女達はどのように過ごしてきたのでしょう?

 彼女達の成長ぶりが覗えるといいのですが。

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