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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
取り戻した日常

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1305/1686

第1305話 思いもよらぬ幸運

 カタポレンの家を出て、しばらく離れたところで一旦止まったライト。

 マイページを開き、マッピングスキルで転職神殿に移動した。

 転職神殿にはミーアとミーナ、ルディが三時のティータイムでのんびりと寛いでいた。


『あ、ライトさん!』

『主様!ご無事でしたか!?』

『パパ様ーーー!』


 ライトの姿を見たミーア達、慌てて椅子から飛び上がりライトのもとに駆け寄る。

 まずミーナがすっ飛んでライトにバフッ!と抱きつき、そのすぐ後にルディがミーナごとライトの周りを胴体でぐるりと囲む。

 そして最後にミーアがルディの胴体越しにライトに声をかけた。


『ライトさん、無事こちらの世界に戻れたのですね……本当に、本当に良かった……』

「ありがとうございます!……って、ミーアさんもミーナもルディも!泣かないで!」

『ぅぅぅ……』

『『うわああああぁぁぁぁん!』』


 ライトが無事サイサクス世界に帰還できたことに、感極まって涙ぐんでいるミーアにライトがギョッ!としつつ宥める。

 ちなみにミーナとルディは、最初から滝涙を流して爆泣き中である。


 涙でぐしゃぐしゃの顔でライトに頬ずりするミーナとルディ。

 ガッチリと抱きつかれて全く身動きが取れないライト。

 だが、それだけ転職神殿組にも心配をかけてしまったのも事実なので、ライトは苦笑しつつもミーナ達に身を委ねていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ライトの帰還の感激に一頻り涙し、何とか落ち着いてきたミーア達。

 ミーアが未だに泣きじゃくる弟妹達に声をかける。


『さあ、ミーナ、ルディ、ライトさんを離して差し上げなさい。それではライトさんのお話を聞けないでしょう?』

『はいぃ……』

『パパ様、おかえりなさいぃ……』


 ミーアの言葉に、ミーナとルディがライトの身体からそっと離れる。

 二体の使い魔達の熱い抱擁からやっと解放されたライト、ふぅ……とひと息ついた後ミーナやルディの頬を優しく撫でる。


「ただいま。ミーナもルディもごめんね、こんなに心配させちゃって」

『はい、すっごくすっごく心配しました。だけど……どうしても主様が直接行かなければならないことでしたから……』

『僕達は、この転職神殿でパパ様の無事を祈ることしかできませんでした……』

「ありがとう。転職神殿の皆が祈ってくれたおかげで、こうして無事に戻ることができたよ」


 ライトを主と慕う使い魔達、その愛情の深さにライトが嬉しそうに微笑む。

 そしてライトは改めてミーアにも礼を言った。


「ミーアさんにもご心配をおかけしました。本当にごめんなさい」

『いえいえ、そんな……ライトさんが謝ることなどありません。だってライトさんは、勇者候補生としていずれは世界を救う役目を担う御方なのですから』

「ぃゃぃゃぃゃぃゃ、ぼくは勇者なんかになるつもりはなくてですね……」


 ライトを未来の勇者として見つめるミーアの熱い眼差しに、ライトは頬を引き攣らせながらゴニョゴニョと呟いている。

 破壊神イグニスやコヨルシャウキもそうだったが、BCOに関わる者達はどうしても勇者候補生を未来の勇者として扱う傾向が非常に強い。

 この先も勇者として生きるつもりのないライトにとっては、なるべく御免被りたい事態である。

 そしてこの事態から話を逸らすべく、ライトはミーアに向かって声をかけた。


「えーっとですね、皆でおやつをしてたならぼくも混ぜてくれませんか?」

『もちろんですとも。ミーナ、ルディ、ライトさんのお席とおやつを用意してくれる?』

『『はーい!』』


 ミーアの呼びかけに、ミーナとルディが急ぎぐしぐしと涙を拭って笑顔で応える。

 ルディが収納魔法を開いて椅子を一脚取り出し、ミーナも収納魔法を開いてケーキやお団子、飲み物などを次々に出してはテーブルの上に置く。


『主様、ミーアお姉様、準備ができましたー!』

『さあ、ライトさん、行きましょう』

「はい!」


 両手をブンブンと大きく振るミーナに、ライトが思わず笑う。

 ミーアがライトの手を取り、優しく引きながら二人でミーナ達のいるテーブルに駆け寄っていった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



『まあ……ライトさんはコヨるんさんと、五十七回も戦ったんですか……』

「はい……すんごーくキツかったです……でも、その分経験値と職業習熟度上げは捗りましたけどね!」

『そんなにもたくさんの経験値を得られたのなら、今の主様はすっごく強くなったんですね!』

「まあね!おかげで向こう側に行く前はMAXにできなかった【神聖騎士】も、もうとっくにマスターしちゃったよ!」

『まぁ、それは素晴らしいですね!では、後ほど転職の儀を行いますか?』

「はい、よろしくお願いします!」


 ライトが亀裂の向こう側で戦い抜いてきたビースリー。

 その様子を土産話としていろんな話をするライトと、ワクテカ顔で聞くミーア達。

 特に戦士系の光系四次職【神聖騎士】をマスターしたことを報告する時など、ライトの鼻は高々である。

 そんなライトに、ルディもワクテカ顔で尋ねる。


『パパ様、ビースリーはバトルイベントだから、報酬があるんですよね!? 良いものは出ましたか!?』

「ぁー、うん……半分くらいはハイポダースとハイエダースで、三分の一くらいがファッションアイテムだったよ……」

『そそそそれは……』


 ルディに訊かれたビースリーの報酬。その惨敗ぶりに、ライトの顔から瞬時に半分以上の生気が抜けていた。

 そして転職神殿組の三人の耳に『チーーーン☆』という美しくも虚無に満ちたおりんの音色が鳴り響いた、ような気がする。


 BCOのイベント報酬は、時にものすごく貴重かつ豪華なものを得られることもあるが、同時にライトのように惨敗を喫することも往々にして起こる。

 こればかりは時の運なので致し方ない。

 それに、全部が全部ハズレばかりという訳でもない。それを証明するために、ライトは努めて明るい声で当たり報酬の話をし始めた。


「あ、でもね、一応あのイベントの当たり報酬の『ルジェアの星屑の翼』や『ルジェアの魔杖』もゲットできたんだよ!」

『まぁ、それは良かったですね!』

『主様、そのルジェアの星屑の翼とはどんなものなのですか?』

『その星屑の翼、僕達にも是非とも見せてください!』

「うん、いいよ!ちょっと待っててね!」


 ミーナの質問やルディのおねだりを受けて、早速ライトがマイページを開いてアクセサリー装備である『ルジェアの星屑の翼』を装備した。

 ライトの背中からふわりとした四枚の瑠璃色の羽根が生えたことに、ミーア達の目が大きく見開かれる。


『うわぁ……これが『ルジェアの星屑の翼』ですか……』

『すっごく綺麗ですねぇ……』

『ライトさん、ビースリーで頑張った甲斐がありましたね』

「はい!」


 イベント限定報酬の美しさに、ミーア達はただただため息をつきながらうっとりと見入っている。

 星海空間で何十回と繰り広げた死闘はものすごくキツかったが、このイベント限定品を入手できただけでもライトは報われた思いがした。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 そして話はミーアの専門分野である職業のことに移り変わる。


『ライトさん、次の職業はもう決めておられるのですか?』

「はい。次は【闘士】にしようと思ってます」

『【闘士】ですか。【戦士】に負けず劣らず強力な物理技に加えて、回復スキルも得られるのが魅力の職業ですね』

「はい、そうなんです!」


 星海空間で【神聖騎士】をマスターしたライト。

 休憩時間にマイページの職業欄を開いては、次に目指すのは闘士職だ!と心に決めていた。

 これでライトは、六つの職業全てに一度は手を出すことになる。

 するとここで、ミーアがはたとした顔でライトに尋ねる。


『あ、そういえば……四次職マスターのご褒美の質問は何にするのかも、もう決めてあるのですか?』

「はい、一応決めてあります」

『そうですか。ならばすぐにでも転職して、ヴァレリアさんから四次職マスターのご褒美とともに、先日のビースリーの地上での発動を阻止したご褒美をヴァレリアさんからいただきましょう』

「はい!…………って、ビースリー発動阻止のご褒美って、何ですか?」


 ミーアの言葉に、満面の笑みだったライトの顔がはたととまる。

 いつもの四次職マスターのご褒美はともかく、後者のビースリー発動阻止のご褒美の件はライトは全く聞いていないので、意味が分からないのも無理はなかった。


『まぁ、ヴァレリアさんからまだお聞きになっていないのですか?』

「はい……」

『此度ラグナロッツァでビースリーが開始されていたら、間違いなくラグナロッツァは滅亡していたことでしょう。それを未然に防いだのは、他ならぬライトさんです。多大な貢献をなさったライトさんに、ヴァレリアさんがそのお礼として三回のご褒美をくださる約束をしてくださったのです』

「そうなんですか!? ヤッター!」


 ミーアの話に、ライトの目が丸くなる。

 職業システムの四次職をマスターする以外でもヴァレリアから褒美をもらえるとは、ものすごくラッキーなことだ。

 しかもそれが三回分とは、完全にライトの予想外のことだ。

 この思いもよらぬ幸運に、ライトが飛び上がって喜ぶ。


「あー、そしたらヴァレリアさんに何をお願いしよう? すっごく悩むー」

『フフフ、確かにヴァレリアさんに願いを叶えてもらえる機会は滅多にないですからね』

「そうなんですよね!でも、ぼくもちょうど【神聖騎士】マスターのご褒美を使ってヴァレリアさんにお願いしたいことがあったから、まずはそれが可能かどうか聞いてみます!」

『分かりました。では、早速転職の儀を始めましょうか』

「はい!」


 ライトとミーアは席から立ち上がり、神殿内の祭壇の前に二人で移動していった。

 転職神殿組との再会です。

 第1295話でもヴァレリアに言われていましたが、ヴァレリアに言われなくてもライトは自発的に転職神殿にも帰還後すぐに顔を出していたことでしょう。

 第1266話と第1267話でもビースリーのことを転職神殿組に相談していたし、その後の報告くらいはきちんとしなくちゃ!という意識はライト側にもありましたからね(´^ω^`)


 でもって、ライトにはまだ知らされてなかった、ヴァレリアさんからのご褒美三回分。これはねぇ、ライトにとってはまさに棚ぼたのような嬉しい誤算です。

 ラグナロッツァの危機回避のために動いたら、その功績を讃えられて褒美をもらえるなんて微塵も考えていませんでしたからね。

 その褒美に何をもらうかは、これからのお・楽・し・み☆(ゝω・)

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