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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
取り戻した日常

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1300/1686

第1300話 新住人移住の打診

 アクア達とともに、地底世界の地底の池に移動したライト達。

 辿り着いた地底世界は、薄暗い中にも天井に散りばめられた星々のような輝きが光る摩訶不思議な光景が広がっていた。


 そして、地底の池からも冥界樹の雄大な姿がよく見える。

 アクアが冥界樹のある方向を右前肢で指しながら、ライトに問うた。


『ねぇ、ライト君、まずどこへ向かえばいいのかな。あの大きな樹のところ?』

「うん。あれが冥界樹のユグドランガさんだよ。天空樹のエルちゃんや神樹のツィちゃんと同じ神樹で、エルちゃんの弟なんだって。地の女王様達がいるのは地底神殿だけど、ぼく達がランガさんのところに行けばそのうち地の女王様達も来てくれると思うよ」

『そっか、分かった』


 ライトの話に、アクアが頷きながら冥界樹を目指して進み始めた。

 そうしてライト達は冥界樹のもとに着いた。

 ライト達はアクアの背中から降りて、冥界樹を見上げながら挨拶をする。


「ランガさん、こんにちは!」

「よう、ランガ、久しぶり」

『よく来た。そちらにいるは、新しい客人か?』


 ライト達を歓迎するユグドランガの言葉に、冥界樹とは初対面である水の女王とアクアが前に進み出て挨拶をする。


『初めまして、こんにちは。私は目覚めの湖に住む水の女王よ』

『初めまして、こんにちは。僕の名はアクア、湖底神殿の守護神を務める水神だよ』

『水の精霊の女王に偉大なる水神よ、ようこそ地底世界にいらしてくれた。我等が神樹族の大恩人、レオニスとライトの友ならば尚の事大歓迎しよう』


 ライト達だけでなく水の女王とアクアも大歓迎してくれるユグドランガに、二人も嬉しそうに微笑む。


『ありがとう!私も冥界樹さんに会えて嬉しいわ!』

『我のことは是非とも『ランガ』と呼んでくれ』

『そしたら僕のことも『アクア』って呼んでくれると嬉しいな』

『承知した。水神や水の女王と知己を得られるとは、何と喜ばしいことか』


 和やかな会話を交わす高位の存在達。

 ライト達が微笑ましく見守っていると、遠くからドドドド……という地響きのような音が鳴り響いてきた。

 ライト達が一斉にその方向を振り向くと、白虎シロが猛烈な勢いでこちらに近づいてきているではないか。

 シロの背にはもちろん地の女王が乗っている。


『ランガ君、やっほー』

『おお、地の女王にシロも来たか』

『何かねー、珍しいお客さんの気配がしたからー、とりあえず来てみたのー』

『なかなかに聡いの』


 地の女王ののんびりのほほんとした挨拶に、ユグドランガがくつくつと笑いながら対応している。

 そしてシロの背中から降りた地の女王が、水の女王の前にぽよぽよと歩み寄っていく。


『アナタ、もしかして……水の女王?』

『ええ、そうよ!私は水の女王、今日はライト達が地底世界に行くと聞いて、私も是非とも地のお姉ちゃんに会いたくて……二人に頼んで、アクア様とともに連れてきてもらったの!』

『まぁ、わざわざ私に会いに来てくれたなんてー、とーっても嬉しいわぁー』

『私も地のお姉ちゃんに会えて、とっても嬉しいわ!』


 地の女王に会えた喜びに、水の女王が地の女王の胸に飛び込んだ。

 ふっくらふくよかな身体つきの地の女王に、ヒシッ!と抱きつく水の女王。そんな甘えん坊な水の女王の頭を、地の女王が嬉しそうに微笑みながらそっと撫でている。

 そしてこの、体型が全く異なる姉妹の感動の対面に、二人の後ろにいたライトとレオニスが感激に打ち震えていた。


「遠く離れた姉妹の再会……ううッ、何て感動的なんだろう……」

「全くだ……兄弟姉妹ってのは、どんなに遠く離れていても思い合うもんだもんなぁ……」

「水の女王様も、こうして地の女王様に会うことができて、本当に良かったねぇぇぇぇ」

「ああ、俺も貰い泣きしちまうぜ……頼れる兄貴や姉貴ってのは、本当にいいもんだよなぁ」


 滝の如き涙をダバダバダーと流す人外ブラザーズ。どうやら水の女王と地の女王の感動の対面に、二人して思いっきり貰い泣きしているようだ。

 一方の地底神殿守護神、白虎のシロはキョロキョロと周囲を見回している。

 そしてライト達のさらに後ろ、アクアの背にちょこん、と乗っかっているウィカを見つけると、シロが頬を赤らめつつアクアの真横に一目散で駆け寄ってきた。


『ウィカ様ァー!お久しぶりでございますー!』

『シロちゃん、こんにちは!』

『ああッ、ウィカ様がワタシのことを覚えていてくださった!すっごく嬉しゅうございますぅー!』


 他の誰には目もくれず、ただただウィカに向けて熱い視線を向けるシロ。

 その眼差しは恋する乙女そのものであり、実に愛らしい。

 そんなシロに、ユグドランガが苦笑しつつ窘める。


『これ、シロよ。此度ここを訪ねてきた客人は、其方の想い猫だけではないのだぞ? まずは他の客人にも挨拶をするのが筋であろう』

『ああッ!ワタシとしたことが、ウィカ様に逢えた喜びに舞い上がってしまいましたわ!ウィカ様、申し訳ございません。少々お待ちいただいてもよろしいですか?』

『もちろん!てゆか、ここにいる皆はボクの大事な家族だからね。シロちゃんも、是非皆と仲良くしてほしいな』

『もちろんですとも!』


 ユグドランガとウィカの言葉に、エジプト座りの姿勢でシャキン!と背を伸ばすシロ。

 そしてライト達に向けて改めて挨拶を始めた。


『えーと、アナタはここでは初めまして、よね?』

『うん。僕は水の女王がいる湖底神殿の守護神、水神のアクア』

『まあ!アナタも神殿守護神なのね!ワタシは地の女王のチーちゃんがいる地底神殿の守護神、白虎のシロっていうの。神殿守護神仲間に会うのは初めてだから、とっても嬉しいわ!』

『僕の方こそ、地底神殿の守護神に会えてとても嬉しいよ』


 神殿守護神同士の挨拶ができて、とても嬉しそうなアクアとシロ。

 そしてシロは間髪を置かず、ライト達にもきちんと挨拶をした。


『アナタ達は前にも二回? ここに来てたわよね!また来てくれて、とっても嬉しいわ!』

「シロちゃん、こんにちは!地の女王様ともども、お元気そうで何よりです!」

『ウフフ、チーちゃんはワタシがいっつも守ってるもの!』


 元気よく挨拶を返すライトに、シロも誇らしげにフッフーン☆と鼻高々で応えている。

 そんなシロに、レオニスが揶揄うように話しかける。


「シロちゃんも久しぶり。つーか、愛しのウィカに会えて嬉しそうだな?」

『あらヤダッ、愛しのウィカ様だなんてホントのことをッ』

「……ぐはッ!」


 ウィカの名を出して揶揄うレオニスの言葉に、シロが顔を真っ赤にしながら照れ臭そうにレオニスを突き飛ばした。

 もちろんそれは、シロにとっては軽く小突いた程度のもの。だがレオニスの身体は、ドゴーーーン!という轟音とともに後方に大きく吹っ飛んでいった。


「ンもー、レオ兄ちゃんってば何やってんだか……あ、そんなことよりですね。今日はランガさんと地の女王様達に、大事なお話というかお願いがあるんですが」

『おお、何ぞ?』

『えー、何ナニー、私達にも関係のあるお話なのー?』


 吹っ飛ばされたレオニスの心配をすることなく、ライトは早々に本題を切り出した。

 そう、レオニスがはるか遠くに吹っ飛ばされたのは、恋する乙女を揶揄うようなことを言ったレオニスの自業自得。

 ついでに言うと、レオニスならばあの程度のことでどうこうなるとはライトも思っていないし微塵も心配していなかったりする。


 そしてライトから本日の訪問目的、コヨルシャウキという異世界の女神をここに住まわせてほしい、という話を聞いたユグドランガ達。

 しばし思案の後、徐にその口を開いた。


『ふむ……我としては他ならぬ其方達の頼みだし、聞き届けてやりたいとは思うが……地の女王達はどう思う?』

『そうねぇー……この地底世界に仇なしたりー、害を及ぼすような乱暴者とかでなければー、私も別にいいと思うわよー?』

『うん、ワタシもチーちゃんと同じかなー。そもそもこの地底世界に新しい住人が増えることなんて、まず滅多にないことだし。善良な神様なら、新しい仲間として迎えるのは大いにアリよね!』

『そうだな。まずはこの地底世界の安寧が保たれること、これが大前提だな』


 冥界樹と地の女王、そして地底神殿守護神白虎の意見は一致した。

 新住人を受け入れるかどうかは、兎にも角にもそのコヨルシャウキという者の性格や態度による。

 この地底世界の平和を乱すような者であれば、例え皆の大恩人であるライト達の願いでも受け入れられない、ということだ。


 もちろんライトとしても、その意見に否やはない。

 むしろそうした条件が出されるのは当然のことだと思う。

 故にライトはユグドランガ達に提案をし始めた。


「そしたら、今からここにコヨルシャウキさんを連れてきてもいいですか?」

『もちろんいいとも。我等もそのコヨルシャウキという者と直接会って、直に話をしてみなければ何も分からぬからな』

「では、ちょっと待っててくださいね!」


 ライトはそう言うと、マイページを開いてスキル欄のマッピングを選択した。

 そしてマッピングの行き先の一つ、カタポレンの家の自室に繋がる『カタポレンの森/地点A(ライトの自室)』を一旦削除して今いる地点を『地底世界/冥界樹前』に登録し直す。

 その後『ツェリザーク/ルティエンス商会裏口』を選択し、コヨルシャウキを迎えに瞬間移動していった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ライトがコヨルシャウキを迎えに出かけた直後、シロに吹っ飛ばされたレオニスがヨレヨレになって戻ってきた。


「……あれ? ライトはどこ行った?」

『コヨルシャウキという者を迎えに行く、と言って消えたばかりぞ』

「え、何、もしかしてライトのやつ、瞬間移動の魔法まで使えんの?」


 レオニスがライトの能力に目を丸くしていると、そこにコヨルシャウキを伴ったライトが戻ってきた。


「コヨルシャウキさんを連れてきました!……って、レオ兄ちゃんもおかえりー」

「おう、ただいまー。…………って、それ、コヨルシャウキか?」


 ライトが連れてきたコヨルシャウキに、レオニスの目はさらに大きく見開かれる。

 その身長はレオニスとほぼ同じくらいで、顔に着けていた仮面の形も若干変化しているので、レオニスがその変貌ぶりに驚くのも致し方ない。

 そんなレオニスに、コヨルシャウキが挨拶?をする。


『おお、レオニスか。久しいの』

「久しいっつっても、六日ぶりくらいか? だいぶちっこくなったようだが、そっちも元気そうで何よりだ」

『それより……ここは一体何処ぞ?』


 レオニスとの再会よりも、連れてこられた場所が何処だか気になる様子のコヨルシャウキ。

 彼女は昨日、ライトが帰った後のヴァレリアとの話し合いで、ルティエンス商会とはまた違う場所に案内されることを聞かされていた。

 しかし、それがどこであるかをまだ具体的には知らされていなかったので、地上とはまた全く異なる地底世界の様子が物珍しくて仕方がないようだ。


 キョロキョロと周囲を見回すコヨルシャウキに、ライトが解説を始めた。


「コヨルシャウキさん、ここは地底世界といって地上から何百メートルも下にある世界です」

『何故此方をここに連れてきたのだ?』

「まず、ここならコヨルシャウキさんを怖がったりいじめたりするような悪者がいないから、というのが一番大きな理由です。それに、ここには冥界樹ユグドランガさんや地の女王様、そして地底神殿守護神の白虎のシロちゃんもいて、とても賑やかで楽しく過ごせると思うんです」

『………………』


 ライトが語る理由を聞きながら、地底世界の天井を眺めるコヨルシャウキ。

 天井には星海空間を思わせる星々のような煌めきが無数にあり、コヨルシャウキの心を鷲掴みにしていた。


『ここは……此方のいた星海世界にとてもよく似ておるの』

「そう、それもここを選んだ理由の一つなんです!ここの天井で光っているのはランガさんの魔力の結晶で、本物の星ではないですけど……それでも、コヨルシャウキさんの故郷の宇宙空間によく似てますよね!」

『………………』


 ライトの言葉に、コヨルシャウキは無言になる。

 コヨルシャウキにとって、あの星海空間は故郷と呼べるような良いものではなかった。

 ビースリーという使命を全うする時だけを夢見て、ただただその出番を待つためだけにいる、舞台裏にある控室のようなもの。

 むしろ永遠とも思える孤独しかない、さながら牢獄のような空間でしかなかった。


 だがそれでも、あの星海空間はライトが言ったように、コヨルシャウキが生まれた場所であることに違いはない。

 創造神が自分のために与えてくれた、苦々しくも思い出深い場所を彷彿とさせるこの地底世界の光景を、コヨルシャウキは万感の思いで眺め続ける。


『……此方のいた星海世界より、ここの星々の方が煌めきが強くて綺麗だとは思うがな』


 コヨルシャウキがぽつりと呟いた言葉は、コヨルシャウキがこの景色を気に入った様子を表していた。

 ライト達の地底世界訪問=コヨルシャウキさんのための移住推進計画遂行の回です。

 その中で水の女王と地の女王が感動の対面を果たしたり、レオニスがシロに吹っ飛ばされたり、何かとわちゃわちゃしておりますが。まぁそんなのはいつものことよね!(º∀º) ←開き直り


 でもって、文中でシロがしゃんとした姿勢で座る場面。

 これのために猫の座り方の名前?をggrksした作者。

 作者のイメージである、前足を揃えて後ろ足を折りたたみ上半身を起こした座り方を『エジプト座り』というのですね!

 他にも『スフィンクス座り』とか『スコ座り』とか、様々な座り方があることを作者は学びました。香箱座りくらいしか知らなかった作者は、また一つ賢くなった!(º∀º) ←無駄知識

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