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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ラグナロッツァに潜む危機

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第1258話 ラウルの相談とレオニスの報告

 スラム街から冒険者ギルド総本部に戻ったラウル。

 早速受付窓口にいるクレナのところに相談に向かった。


「すまんな、一つ確認したいことがあるんだが」

「あらぁ、ラウルさんじゃないですかぁ。先程土地調査に向かったばかりですのに……まさかもう調査が終わったんですか?」

「いや、実はこの件について、うちのご主人様の力を借りたいと思っているんだが……俺個人が受けた依頼に対し、他の助っ人を呼んできてもいいもんだろうか? そこら辺が分からなくてな、確認のために一旦こっちに戻ってきたんだ」

「あらまぁ、そうだったんですねぇ」


 今日の午前中に依頼を受けて出かけていったラウルが、二時間経過しないうちに帰ってきたことに驚くクレナ。

 ラウルの初心者ならではの相談に、クレナも納得しつつ解説を始めた。


「ラウルさんが個人的に助っ人を呼ぶのであれば、それはもちろん構いませんよ。ただし、助っ人に呼ばれた方に対する報酬は冒険者ギルドからは一切出せません。ですので、助っ人に呼ばれた方もそれをご承知いただいた上で、なおかつ別途報酬が必要でしたら雇い主であるラウルさん個人のお財布から出していただかなければなりません」

「それは、俺個人の責任においてご主人様への助太刀を頼むなら問題ない、ということだな?」

「はい、そういうことになりますぅ。あ、あとですね、依頼遂行の最中に他者の介在があった場合は、依頼達成の報告の際に必ずそのことを正直にご申告ください。後々トラブルが起きた際などに、冒険者ギルドから事情聴取を行うこともございますので」

「承知した」


 ラウルの質問に適宜答えるクレナ。

 冒険者ギルドの見解は『問題解決のために助っ人呼んでもいいけど、うちからは金は出せんよ』『ただし、金銭トラブルとかならんように気をつけてね』といったところらしい。妥当といえば妥当な方針だ。


 レオニスに助けを求めることが可能だと知ったラウル、クレナに改めて話をする。


「そしたら今日俺が引き受けたあの依頼は、一旦家に帰ってご主人様に相談してからまた明日以降改めて行くってことでいいか?」

「あ、レオニスさんでしたらちょうど今、ギルドマスター執務室にいらっしゃいますよ? マスターパレンとお話ししてる最中のはずですぅ」

「え、マジ?」

「マジですぅ」


 レオニスに相談するために、今日の依頼を明日にしようと思っていたラウル。

 偶然にも、今レオニスが総本部内のギルドマスター執務室にいると言うではないか。

 受付をしたクレナがレオニスから聞いた話によると、コルルカ高原奥地の件をパレンに報告しに来たのだという。


「じゃあ、ここで待っていればそのうちご主人様が出てくるかな」

「そうですねぇ、その方がよろしいかと」

「分かった、そしたら今のうちに売店でぬるぬるドリンクチョコレート味を買ってくるわ」

「フフフ、ラウルさんも朝昼夕に欠かさず買いにいらしてますもんねぇ」

「当然。あれは今しか買えん限定品だからな」


 レオニスが出てくるのを待つ間に、売店で買い物をしてくると言うラウル。

 そんなラウルに、クレナがクスクスと笑う。

 クレナもバレンタインデー限定のぬるぬるドリンクチョコレート味は大好きだし、毎年必ずお昼ご飯と三時の休憩時間に買っているが、ラウルの熱意にはさすがに負ける。


「もし俺が買い物中にご主人様が出てきたら、姉ちゃんの方で引き留めておいてくれ」

「分かりましたぁー。いってらっしゃいませー」


 いそいそと売店に向かうラウル、クレナはその背中を微笑みながら見守っていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 時は少し遡り、ラウルが冒険者ギルド総本部に戻ってくる三十分程前のこと。

 レオニスはギルドマスター執務室を訪れていた。


「よう、マスターパレン、邪魔するぜ」

「おお、レオニス君!ちょうどいいところに来てくれた!」

「え、何、マスターパレンの方も俺に何か用があんのか?」

「ああ、すぐにそっちに行くからソファにかけて待っててくれたまえ。おーい、シーマ君!レオニス君にお茶とお茶菓子を頼む!」

「畏まりました」


 相変わらずパレンは書類の山に埋もれながら、レオニスに待機を求め第一秘書野シーマにお茶を出すよう指示する。

 そうしてしばらくしてから出てきたパレンは、キューピッド姿をしていた。


 上半身裸で腰に白い布を一枚巻きつけていて、背中には一対の純白の翼と大弓を背負っている。

 腰の左側には矢筒を携えていて、筒の中には矢が何本も入れられている。

 ちなみにこの矢、レオニスからは見えないが、鏃に当たる先の部分がハート型のスポンジになっており安全性にも配慮がなされている。


 あー、今日のマスターパレンはキューピッドのコスプレか。

 そういやもうすぐバレンタインデーだもんなー……俺んとこには恋のキューピッドなんて全然来ねぇけど。

 つーか、この真冬に上半身裸とか寒くねぇのかな? ……って、そんなん今更か。そもそもマスターパレンは、一月半ばの公国生誕祭でも野外の出店でずーっとパンイチで過ごせる人だし。

 そういやマスターパレンって、剣や拳も使うけど弓の名人でもあるんだよな。あの大弓、使い込まれているところを見るにきっと実戦でも使ってたやつなんだろう。

 俺も剣と拳は使うけど、さすがに弓まで使いこなす自信はねぇわ……やはり冒険者たるもの、一つでも多くの武器類を使いこなせるようになってこそ一人前、ということか。

 さすがはマスターパレンだ、戦いにおけるその貪欲な姿勢は俺も見習わなければな!


 パレンのキューピッドコスプレを眺めながら、頭の中でポジティブレビューを繰り広げるレオニス。

 キューピッドとは、恋の矢を撃つ気紛れな幼児のイメージだが、ムキムキマッチョのキューピッドというのもなかなかに乙なものである。


「さて……今日のレオニス君の用事はアレか、鷲獅子騎士団関連かな?」

「ああ、こないだコルルカ高原奥地に鷲獅子騎士団団長のアルフォンソと行ってきてな。無事金鷲獅子と友誼を結ぶことができたよ」

「何と!それは素晴らしい!さすがレオニス君、シュマルリの竜だけでなくコルルカの金鷲獅子とも知己を得るとは!」


 レオニスがもたらした吉報に、パレンもその頭をより一層輝かせながら破顔する。

 金鷲獅子との友誼の証として、レオニスが空間魔法陣を開きアウルムからもらった羽根を取り出した。


「これがその証拠だ。ここに飾ってある金鷲獅子の羽根に劣らん綺麗さだろう?」

「おおお……この大きさ、この黄金色の輝き、まさしく金鷲獅子の羽根だ」

「これと同じものを、アルフォンソとラウルが一枚づつもらった。アルフォンソのはきっと今頃、鷲獅子騎士団の宿舎のどこかに奉られてるだろうな」

「こんな素晴らしい品を、アルフォンソ君だけでなくラウル君までもらうとは…………ンフォ? ラウル君までコルルカ高原に同行したのかね?」

「ああ、それはちょいと特殊な事情があってな……」


 レオニスが出した金鷲獅子の羽根をうっとりと眺めていたパレン。

 レオニスの話の中にラウルの名前が出てきたことに、はたと我に返りレオニスにその意味を問うた。

 パレンが疑問に思うのも無理はない。ラウルまでコルルカ高原に行くなんて話は、これっぽっちもなかったのだから。


 そんなパレンの疑問に、レオニスはコルルカ高原奥地で起きていた出来事を話して聞かせていった。


「ぬぅ……まさか金鷲獅子まで穢れに侵されていたとはな……」

「ああ、しかもその金鷲獅子、アウルムが穢れに侵されたのは百年以上も前のことらしい。金鷲獅子はまともな人間にずっと出会っていなかったから、そんな事態になっているとは誰も気付なかった訳だ」

「そうだな……中には真っ当な冒険者がコルルカ高原に向かうこともあるが、大抵は鷲獅子を狙う密猟者だろうからな」

「そういうこと」


 金鷲獅子が廃都の魔城の四帝の毒牙にかかっていたことを知り、マスターパレンの垂れ目釣り眉の凛々しい顔が歪む。

 空を駆ける鷲獅子の王、金鷲獅子。冒険者にとってその存在は憧れであり、一生に一度、一目だけでもいいから己の目で見たい!と思う冒険者は多い。

 そんな憧れの存在が、廃都の魔城の四帝によって魔力収奪の憂き目に遭い、生命の危機に晒されていた―――パレンが内心で憤慨するのも当然のことである。


「しかし、こうして羽根をもらい友誼を結べたということは、金鷲獅子はもう大丈夫、ということなのだよな?」

「ああ。俺達が緊急で掻き集めた浄化魔法呪符『究極』の六十枚と、皇竜のラーデがアウルムに魔力を渡したことで穢れを退けることができた。これでもう、アウルムの生命の危機は完全に取り去ることができた、と思う」

「それは良かった……」


 レオニスの報告に、パレンが心から安堵する。

 アクシーディア公国には鷲獅子騎士団があることからも分かるように、人族にとって鷲獅子はかなり身近な存在だ。

 その鷲獅子の王が害されたとあっては、マスターパレンが気が気でないのも無理はない。


 しかし、金鷲獅子の危機はレオニス達人族の手によって回避された。

 これはレオニスが所属する冒険者ギルドにとっても、実に誇らしいことだ。

 そしてパレンは、安堵の表情のままレオニスにさらに問うた。


「して、その『アウルム』というのは、もしかして金鷲獅子の名前かね?」

「あー、それはまず一番初めに金鷲獅子と友達になったアルフォンソが名付け親だ。皇竜がラーデと呼ばれているのを羨ましく思ったらしくてな、金鷲獅子の方からアルフォンソに『名前をつけてくれ!』って頼んだんだ」

「おお、アルフォンソ君が金鷲獅子の名付け親になったのか!」

「その場にいた他の鷲獅子騎士達全員で、いろいろと相談して決めてたがな」


 金鷲獅子の名、アウルムの名前にまつわる話をレオニスから聞いたパレン。花咲くような笑顔で我が事のように喜ぶ。

 そうしてその後もレオニスは、ラウルがラーデを伴って合流した経緯や急遽ラグナロッツァに帰還するために臨時で設置した転移門のことなどを、パレンに話していった。


「コルルカ高原奥地の転移門に関しては、以後鷲獅子騎士団が全責任を持って管理運用するとのことだ」

「そうか、あちら側がそう言うのであれば後は任せるしかないな」

「ああ。本当は俺がその場で撤去するつもりだったんだがな? 竜騎士団だってシュマルリに転移門を持ってるだろ!だから壊さないでくれ!ってアルフォンソから言われたら、さすがに反論できんかったわ……」

「そうだな……鷲獅子騎士団も、竜騎士団に対していろいろと思うところはあっただろうからな……」


 転移門の無許可設置やその後の管理に関して正直に報告したレオニスに、パレンも険しい顔をしながらも頷く。

 本来なら転移門の無許可設置は厳罰ものなのだが、鷲獅子騎士団が竜騎士団同様に修行のために使いたい!と言えば考慮せざるを得ないのが正直なところだ。

 事後報告になるのはよろしくないが、結果としてより良い活用法があってそれが今後有益なものとして活かされるならば、お目溢しするのも吝かではない、といったところか。


 そうして一通りの報告を終えたレオニスが、出されたお茶をくいっ、と飲み干した。


「とりあえず、こないだのコルルカ高原奥地の遠征報告はこんなところだ。俺はこれから鷲獅子騎士団に行って、ラグナロッツァで購入した呪符の代金の請求なんかをしてくる」

「そうか、アルフォンソ君もお疲れさまだった、と私が言っていたと伝えておいてくれ」

「承知した」


 パレンとの話し合いを終えて、ギルドマスター執務室を後にしたレオニス。

 その後鷲獅子騎士団に向かうべく、出口がある一階の大広間に行くと、そこには万能執事(ラウル)が待ち構えていた。

 冒険者ギルド総本部でのあれやこれやです。

 前話までの不穏な空気はひとまず置いといて。のんびりとした空気を綴る作者。パレンのバレンタインデー向けコスプレも披露しちゃったりなんかして♪( ̄m ̄)

 そう、バレンタインデーと言えば愛の告白や恋物語!

 レオニスやラウルに真っ当な恋物語や嫁を用意してやれない作者は、その代わりにマスターパレンのコスプレ=ムキムキマッチョなキューピットをご提供!

 ……って、朴念仁なラウルはともかくレオニスからすんげー恨めしい目で睨まれそう(´^ω^`)


 一方リアルでは、ここ数日39℃前後の灼熱日が続いていてホント厳ちぃ><

 もうエアコンフル稼働させなきゃやってらんねーです、室内で熱中症なったら洒落なんないし(;ω;)

 読者の皆様方も、くれぐれもお身体お気をつけください。

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